民間人校長:2年目の大阪市教委 難問「人間性」チェック
毎日新聞 2013年11月18日 08時22分
◇リポート提出3倍、面接時間増
大阪市教委が公募する市立学校長の選考が、今月末の合格者決定に向けて大詰めを迎えている。2年目の今回、市教委は「民間人枠」を新設して35人を採用する方針だったが、競争倍率が前年より極端に低下、「合格基準を満たす人材が足りない」と枠いっぱいの採用を断念した。今春の採用者にセクハラなど問題が相次ぎ発覚するなか、「人間性を重視した」という今回の選考。「規律を教える立場だという認識を持った校長を採用したい」という担当者の思いは届くのか。
今春採用分では、民間人と教頭を対象に計50人程度を募集し、同基準で選考した結果、民間人の合格者は11人にとどまった。このため市教委は来春採用分について、募集する69人に「民間人35人、教頭34人」と枠を設けた。「閉鎖的な組織を外部に開く」のが狙いだ。
しかし、民間人に関する競争倍率をみると、前回は84倍だったが、応募者が激減した今回は、予定通り35人を採用すれば4倍となる計算だった。実際には、最終(2次)面接を終えて市教委が一定の基準を満たすとみているのは22人。そのまま採用すれば、倍率は7倍となる。
逆風の中で進んだ今回の選考だが、問題発覚前に公表された要項段階で一定の改革が施されていた。
最初の書類選考では、昨年は1本だったリポートを、3本提出させた。テーマは、(1)学校選択制で選ばれる学校作り(2)学力向上のマネジメント(3)いじめが子どもに与える影響−−だ。(1)(2)は市の条例や教育施策計画を読み込まねばよい評価を得ることは難しく、民間人の経験と発想だけでは選ばれないようなハードルを課した。
次の1次面接は受験者1に対し、面接官3人。時間は15分で、前回より5分延ばした。市教委幹部に加え、橋下徹市長の意向で公募区長18人が今回から面接した。最後の2次面接は1対4で、前回と同様に教育委員、民間の会社役員などが面接官を務めた。
問題の続発を受けて変更した点もある。2次面接の時間は前回の倍の30分に増やした。また、(1)人間性・教育的識見(2)改革志向や実行力(3)組織マネジメント力−−の判定基準のうち、(1)の比重を急きょ高めた。「最初に子供にどんなあいさつをするか」「今までの組織でどんなセクハラ研修を実施したり受けたりしたか」。そんな質問を通じ、人物や規律への認識を把握しようと努めたという。