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ブラック鎮守府へようこそ！？

沙芽葉

2013年10月20日 15:54

電ちゃんがブラック鎮守府と噂される鎮守府に行くお話です。（この作品は執筆途中です）注意：各キャラの過去に独自設定を設けています。さらに艦これの世界観についても少し独自設定があります。

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電「ここが通称、ブラック鎮守府…なのですか」

私は今日、ブラック鎮守府と呼ばれている鎮守府に面接にきました。
私たち艦娘は訓練を受けたあと、それぞれ希望する鎮守府に配属されるのですが、当然のことながら、人気の鎮守府からそうでない鎮守府まで様々です。そこで、希望する鎮守府に入るには面接が用意されているのですが…

電「うぅ…連戦連敗…なのです」

ちょっと理由があって、遅くに訓練を終了した私。どの鎮守府も、駆逐艦は足りているようで…というのは言い訳かもしれません。とにかく、全く面接に通らない…のです。そこで手当たり次第面接を受けることにしたのですが、受けてからここがブラック鎮守府であることを聞きました。

過酷で、休みが少なくて、体罰もある、おそろしいところ…だそうです。

電「怖いのです…」

そんなところなら、落ちたほうがいいかも。でもでも、とにかく受けるだけ受けてみるのです！言われているほどひどいとこでもないかもしれません。

どちらにしろ、私には行く場所がないのですから…。

ｺﾝｺﾝ
電「失礼するのです！」

提督「入れ」

提督「面接に来た艦娘の電だな？」

電「はい！なのです！」

この人が提督…うぅ…怖いのです。背が高くて、目つきが鋭いのです。それに目が青い…心まで見透かされそうな目なのです。

提督「では、やる気をアピールしてみろ」

電「やる気…ですか？」

提督「そうだ。お前がここでやっていこうという意気込みを伝えてくれ」

電「は、はい！」

こんな質問、初めてです。いつも資料を見ながら性能について聞かれるばっかりだったのに…。

電「えっとえっと、私、体が小さいし、火力も弱いし、お役に立てることがなかなかないかもですけど、それでも、お役に立とうと思うのです！訓練で学んだこと、生かしていきたいのです。とにかく、頑張るのです。いっぱいいっぱいがんばるのです！」

そのあともいっぱいアピールしたけど、結局、頑張りますとしか言えてなかったと思います。でも、頑張る気持ちは負けないってことを伝えたかったのです。

提督「わかった。もういい」

電「あ」

ずっと私の目を見ていた提督が資料に目を落としました。

うぅ…これはまた落ち

提督「採用だ」

電「え？」

提督「採用だ。明日から頼むぞ」

電「は、はい！なのです！」

提督「ここのことは本日中に同じ駆逐艦である皐月に聞いておけ。この時間はここにいるはずだ。明日はここでの任務について説明するからそのつもりでな」

ま、まさかの即、採用なのです。びっくりです。

でも、また別の不安が…。

提督「その他、わからないことは艦娘同士で話し合ってくれ。特に皐月は旗艦経験もあり、人望も厚いから頼るといい」

電「わかりました」

私はブラック鎮守府で任務につくことになりました。この先、不安、なのです。
とにかく、皐月さんにお話を聞かないと…

[newpage]

～閑話～

電ちゃんは艦これプレイ時に最初に選んだ艦娘でした。
見た目もセリフも全部可愛い！なのです！

[newpage]

電「あ、あの、皐月、さん？」

皐月「ん？僕を呼んだかい？」

電「はい、あの、明日からここで任務につくことになった電です。よろしくです」

皐月「あ、そうなんだ。皐月でいいよ。よろしくね！」

電「はい、よろしく、なのです」

やさしそうなひとでよかったのです。訓練の時は、同じ駆逐艦でも、怖い子いたからなぁ。

皐月「じゃあまずこの鎮守府を案内するよ！ついてきて！」

電「はい、なのです！」

皐月「ここが会議室で、ここがケガしたときに入る入渠室。あと、あっちには装備補給室があるよ」

見た目はほかの鎮守府となにも変わらないのです。ちょっと気になることを聞いてみようかな…。

電「あ、あの」

皐月「ん？なんだい？」

電「ここの任務ってどうですか？その…厳しい…ですか？」

皐月「もしかして、ここがブラック鎮守府だって噂を聞いたのかい？」

電「！」

いきなりの図星で、びっくりです。私、そんなわかりやすいのかな。

皐月「やっぱりそうか～。いや、気にしなくていいよ。みんな最初そのことを聞いてくるから」

皐月「ひどいんだよね～。ここで任務についたことないヒトがブラックだ、なんて噂しちゃってさ」

電「じゃあ、あの噂は嘘なんですか？」

皐月「う～ん？半分は本当かな？厳しいし、休みも他と比べて少ないし、あ、あと悪いことしたら体罰もあるよ」

いっきに天国から地獄へ。なのです。半分って…噂の全部が本当じゃないですか！10割なのです！噂は真実だったのです！

皐月「でも、任務は命がけのとこもあるからね。厳しいのは仕方ないし、休みが少ないってのはみんなが頑張って休まないだけさ。休みがほしいって言ったらもらえると思うよ。体罰も、任務を放棄したりだとか、自己中心的なことをしたらあるけど、わざとじゃないミスをしたくらいで叩かれたりはしないよ」

電「そうなの…ですか？」

皐月「あぁ、それに僕は、この鎮守府が好きだよ」

電「え？」

皐月「時間もあるし、食堂でちょっとお話しようよ。ここはカレーがおいしいんだ」

私は皐月ちゃんに手を引かれて、食堂に向かいました。

[newpage]

電「おいしい、のです！」

皐月「そうでしょ！ここはカレーの他にも、日替わりランチがおいしいんだ。今度食べてみるといいよ」

電「はいです！」

食堂で皐月ちゃんとふたりでカレーを食べました。他の人は休憩中らしく、食堂は私たちだけでした。

皐月「じゃあ僕がここにきてよかったって思った事を話すよ」

食事が終わって、皐月ちゃんがお話の続きをしてくれました。

皐月「僕ね、ここにくる前に２つほど他の鎮守府にいたことがあったんだけど、そこでの任務は主に遠征と待機だったんだ。僕の駆逐艦装備は他の子より性能が低いらしくてね。出撃なんて一度もなかったし、遠征も数合わせみたいな感じだったんだ。

他の子は出撃でどんどん経験を積んでいくのに、僕は遠征でそんな子たちの後ろを付いていくだけ。そのうちに、僕は必要ないんじゃないかって思っちゃってね」

皐月ちゃんはちょっとさみしそうにその頃のことを話しました。

皐月「それでもうどこでもいいやってなっちゃってさ。そこをやめた後、次のところもすぐやめちゃって、それでここに来たんだ。それでここの面接でやりたいことを聞かれたとき、僕は出撃任務につきたい！僕は弱いかもしれないけど、僕に任せてほしい！って言ってみたんだ。そしたらすぐ採用されて、次の日にはすぐ出撃の任務が来たんだよ！」

皐月ちゃんはさっきとは違って、とてもうれしそうに話し始めました。

皐月「もちろん最初はうまくいかなかったよ。すぐ中破しちゃって帰還するハメになったったんだけど、それでも出撃したいって言ったら、次の日にまたすぐ出撃させてくれたんだ！それで僕、うれしくて、とにかく役に立ちたくて、いっぱい出撃して頑張ったら、その努力が認められて、ある作戦で旗艦まで任されたんだ！

出撃できただけでも他のとこより全然いいのに、旗艦までできるなんて、僕本当にうれしかったんだ！」

電「出撃任務は、怖く、なかったのですか？」

皐月「そうだね、やっぱり今でもちょっと怖いよ。でも、みんなの役に立てる喜びのほうが大きいかな。それにここの提督は優秀だからね。出撃作戦で無茶なのはないよ。僕、頑張るあまり無茶をして、それでひっぱたかれたことがあるんだよね」

皐月ちゃんは恥ずかしそうにほほをかきながらそう言った。

電「ひっぱたかれ！？」

皐月「無茶をしたらの話だよ？提督は僕たちが轟沈しないよう、ケガした子がでたらすぐに引き返すよう命令するくらいだからね。」

電「提督は…怖く…ないですか？」

皐月「見た目はちょっと怖いけど、僕らのこと大切にしてくれてると思うよ？怒るととっても怖いけどね」

うう、それじゃ結局怖いってことじゃないですか…。

皐月「でも、頑張らせてくれるここの提督、僕は好きだよ」

電「そう…なのですか」

皐月ちゃんの笑顔と頑張ったお話を聞いて…私もここで頑張ろうって決意しました。

[newpage]

～閑話～

僕っこで「まっかせてよ！司令官！」なんて言ってくれる皐月ちゃんが好きで、ゲームの方の艦これでは頑張って育てました。
３－２キス島撤退作戦では皐月ちゃんを旗艦にしてクリアしました。
今では遠征艦隊の旗艦として活躍しています。

[newpage]

？？「あー！！こんなところにいた！！」

電「え？」

皐月「あ、島風。どうしたの？」

島風とよばれたその子はものすごい速さで食堂に入ってきました。頭のリボンがうさぎさんみたいです。

島風「どうしたのじゃないよー！次の遠征の準備の時間でしょー！！」

皐月「あ、もうそんな時間だっけ？ってまだ少し余裕があるじゃないか」

島風「おっそーい！時間がたつのが遅いのよ！それに準備ははやいほうがいいの！」

皐月「またむちゃを言って…あ、紹介するよ。この子が新しくここに来た電ちゃんだよ」

電「あ、どうも電です。どうか、よろしくお願いいたします」

島風「島風です。スピードなら誰にも負けないよ！速きこと、島風の如し！ってね！」

島風ちゃんって…確か、駆逐艦の中ですごく強い子って話を聞いたことがある。へ～この子がそうなのですね。

島風「さ、自己紹介も終わったし、皐月！準備いこ準備！」

皐月「わかったよ、そんな押さないでって、ごめんね電。」

島風「皐月は旗艦なんだから、みんなよりはやくなきゃだめなのー！！」

電（皐月ちゃんが旗艦で島風ちゃんがそのチーム？“あの”噂だと、ここは人手不足だから、休みが少ないんだって…でも、強いって噂の島風ちゃんがいるし、人手不足って話は嘘ってこと？）

皐月「あ、わからないことがあったらここのとなりのとなりの部屋にいる長門さんに聞くといいよ。今の時間ここにいるなかじゃ一番ここのこと詳しいから！」

電「え！？長門さんってあの戦艦の！？」

皐月「ああ！って引っ張るなって島風～～」

島風「はやくはやく！おっそ～い！」

島風ちゃんに手を引かれて皐月ちゃんは食堂を出ていきました。それにしてもあの有名な長門さんまでここにいたなんて…おかしいな、そんな話聞いたことなかった。それに、長門さんなら鎮守府を選べる立場なのに…。ここがブラックだって噂、あれってなんなんだろう…。

ここがブラックだって呼ばれている理由はただ単に厳しいってだけなのだろうか。謎がとけないまま、私はとりあえず長門さんにあってみることにした。

[newpage]

ｺﾝｺﾝ

長門「誰だ？」

電「あ、あの、今日からここで任務につくことになった電です。ちょっとお話したいのですが」

長門「そうか、入っていいぞ」

電「はい、失礼しますのです」

部屋に入ると、長門さんが出迎えてくれた。

長門「ようこそ私たちの鎮守府へ。お互い頑張ろう」

電「はい、なのです！」

笑顔で握手してくれたのです。とても強そうでやさしそうなひとです。

長門「今日ここにきたばかりじゃまだわからないことが多いだろう。そうだ、ここの案内をしてやろうか」

電「あ、案内は先ほど皐月ちゃんにしてもらいました」

長門「そうか…それは残念だ」

本当に残念そうなのです。（なんでだろう？）

電「そ、それよりも、長門さんとお話がしたいのです！」

長門「私と？それはいいが、私は面白い話など、持ち合わせていないぞ？」

電「あのその、で、できたら、長門さんがここに来た理由なんかを知りたい、のです！」

長門「私がここに来た理由？」

電「はい！私はここにくるのに鎮守府選びで苦労して…その、ここがどんなところか知るためにも、いっぱいある鎮守府のなかで、なんで長門さんがここを選んだのか知りたいのです！」

噂のことを直接聞くわけにもいかなかったので、私は長門さんがここを選んだ理由を聞くことにしました。

長門「ふむ…」

長門さんは少し考えたあと、優しく微笑みながら　いいだろう　承諾してくれた。

長門「少し話すから茶菓子を出そう。ちょうど金剛からもらったチョコレートクッキーがあまっていたところだ」

電「あ、実はさっき食事をしたばかりなので、お菓子は大丈夫です」

長門「そ、そうか…それは残念だ…。」

長門さんがとてもとても残念そうなのです！（なんで！？）

電「あ、あのでもその！チョコは好きなのでほしいかも！なのです！」

長門「そうか！なら仕方ないな、出してやろう！」

長門さんうれしそうなのです。ちょっとよくわからないのです（汗）

[newpage]

長門「やはりこのクッキーはうまいなぁ…緑茶にもよくあうぞ」

電「はい、あうのです」

長門さんは結構ハイペースでクッキーをたいらげています。おなかすいてたのかな？

長門「それで、私がここにきた理由だったかな？」

電「はい」

長門「そうだな…では順を追って話すとしようか」

長門さんはお茶を一気に飲み干すと、話してくれました。

長門「私が訓練を終えたとき、自慢じゃないが私は引く手あまたでな。各鎮守府から、ウチのとこに来てくれと要望があったんだ。多分、私の訓練時の成績を見てのことだろうな。火力がすばらしいだの、性能がいいだのもてはやされ、あのころの私は完全に慢心していたんだ」

長門さんの言っていることは事実です。私も聞いていました。長門さんが訓練生の時はとても優等生で、誰もかなわないくらいだったこと。そして、いまもどこかの鎮守府で成果を上げて活躍しているという話を。

長門「そこで私はどこの鎮守府がいいか見極めることにしたんだ。全部の鎮守府を受けて、選んでやろうとね」

長門「ところがだ。私の高い鼻はここの提督にポッキリとおられてしまってな」

電「え？どういう…ことですか？」

長門「ハッキリ言われたんだ。『お前なんていらない、出ていけ』とな」

びっくりなのです。長門さんを断るなんて…すごい戦力なのになんで…。

長門「驚いたよ。選んでやるなんて思ってたのに…私が選ばれる側だってことをその時ようやく思い出したね」

電「なんでここの提督はそんなことを？長門さんの成績ならそんなこと…」

長門「言っただろ、慢心があったと。私は面接で、自分の成績の自慢くらいしか言わなかった。他のとこの面接じゃ向こうから質問するか、それかわたしをもてはやすだけだったからな」

長門「そしたら提督に言われたよ『過去の戦果ばかり気にしているヤツに明日はない。アスリートが過去の成績でだけでは大会に出られないのといっしょだ。今、この場でやる気を見せれないヤツが今後活躍できるわけがない』ってね」

長門「私も言い返した『私を取らなかったことを後悔させてやる！』とね」

あの提督の視線にひるまずにそんなことが言えるあたり流石長門さんなのです。

長門「そしたらあの提督は『やってみろ。ウチの艦娘はお前より強くなる！俺が信じた艦娘たちのほうが絶対に強い！』と言い返してきた」

長門「あの時は頭に来たよ。そのまま飛び出して、もう二度と来るかって思ったね」

電「…じゃあ…なんで今ここに？」

長門「ああ、そのあとも他の鎮守府を回ったんだが、どこもかしこもわたしの過去の成績ばかり…私の意思なんて関係ないようだった。私がわざとやる気のないように装っても、気にしないところばかりだったんだ」

長門「そのうちにここの提督の顔が浮かんできてな。あそこまでハッキリと自分の鎮守府の艦娘を信じるなんていえる提督はそうそういないんじゃないかって思えてきた」

長門「そこでもう一度出向いてみたんだ。断られたら断られたでいいから、今度は真剣に面接を受けてみようってな」

電「それで…どうなったんですか」

長門「そりゃもちろんまたけんかになったよ」

電「えええええ！！？？」

微笑みながら話す長門さんの口からあまりにも矛盾する言葉がでてきて変な声を出してしまったのです。

長門「そして最後に、私がここのエースになって、お前を見返す。それが私の目標だ。私を採用しろ！と言ったら　やれるもんならやってみろ！と採用が決まったというわけだ」

なんかもういろいろとすごすぎるのです。私には絶対にできないのです。流石長門さん。なのです。

[newpage]

電「提督とは…」

長門「うん？」

電「提督さんとは、今は仲直りしたのですか？」

長門「いや、いまだにまだけんかもするし、攻撃のミスが続くと鼻で笑われる。嫌味なヤツだよ」

セリフとはうらはらに楽しそうに話す長門さん。でもその笑顔はちょっと怖いのです。

長門「しかし、ヤツの作戦立案は見事なものだ。我々が轟沈しないよう考慮されている。それに、調子が悪いと今でも旗艦を下される」

電「え？」

長門さんが旗艦を務めないことがある？そんなことが…

長門「だがそれがいい」

電「ええ！？？いいんですか！？」

長門「ああ。そのほうが慢心がなくなる。私は常に旗艦であり続けるために努力する必要がある。私が求めていた場所は、こういう場所なんだ」

電「あ…」

やっぱり、流石長門さん。なのです。常に強くあり続けようとする姿勢。かっこいいのです！

長門「さて、私の話は以上でおしまいだな。クッキーはまだあるぞ？おかわりをもってこよう」

電「いえ、大丈夫なのです」

電（というか長門さんひとりでほとんど食べちゃってたのです）

長門「そうか…残念だ」

電「あ、あの、私のことはいいのでクッキー食べたらどうですか？しけってしまったらもったいないと思うのです」

長門「そうか…そうだな、もったいないなら仕方ないな！食べてしまうとしよう」

電（というか長門さん、自分が食べたかっただけなのですね。今度は長門さんにお菓子もってこようかな）

電「あ、あの、提督ってどんなひとかもっと詳しく聞きたいんですけど…」

長門「う～む…提督の人柄なら金剛のほうが詳しいから、明日にでも金剛から聞くといい。今日はけっこう話したし、君も準備があるんじゃないかい？」

電「あ、そうですね。そうします」

金剛さん…か。変わりモノだって話を聞いたことあるけど、どんなヒトだろう。

電「それじゃあそろそろ失礼するのです。ありがとうございました！」

長門「ああ。今後ともよろしく頼むぞ」

私がお辞儀をして部屋を出ると、ドアを閉めるときに笑顔で手をふってくれている長門さんが目に入った。本当にいいヒトなのです。ここでなら私もうまくやっていけそうなのです！

でも、"あの"噂と今のお話…ここの提督はどんなひとなんでしょうか？
とにかく今日は準備をして、明日にそなえるのです！

[newpage]

～閑話～

長門さんは艦これプレイ時、初期に建造で来てくれたため、出にくいということを後で知りました。長門さんは初期から今までずっとウチの絶対的エースです。
あと、長門さんは甘いものが好きで少しこどもっぽい…っていう設定が好きです。

やたら出てきたクッキーは一時期クッキークリッカーというゲームが流行っていたことに関係があるのかもしれない…。

[newpage]

電です。通称ブラック鎮守府に来て初の任務を任される日…なのですが、朝からなにやら修羅場です。怖いです。

提督「もう一度、命令を無視した理由を話せ。わかりやすく、短くな」

天龍「だから！夜戦に入らなきゃ敵艦を落としきれなかったからだって言ってるだろ！」

提督「それだけでは説明になっていないと言っているんだ！」

もめているのは提督と、今日任される遠征任務の旗艦を務める予定の天龍さんです。天龍さんと、私、同じ遠征艦隊に入る予定の長月ちゃんと文月ちゃんが提督室にいるんですが、みんな顔がひきつってます。

龍田「提督～私に説明させて頂けないでしょうか～」

そしてもうひとり、昨日天龍さんと出撃したという龍田さんがいます。このひとはニコニコしてますが、その笑顔がまたちょっと怖いのです。

天龍「龍田！余計なこと言わなくていい！これは俺の責任だ！」

提督「龍田。お前に発言を許した覚えはないが？」

ふたりの標的が龍田さんにうつりました。でも、龍田さんは全然ひるみません。

龍田「このまま言い争っていては時間がもったいないわよ～？今日は新人のこの子への指示もあるんでしょう？物事は効率よく進めたほうがいいと思うのですけど？」

電「！　あのその…」

提督「……。」

天龍「……。」

提督と天龍さんがこちらを見て、しばらく沈黙したあと

天龍「…ふん。」

提督「簡潔に報告してみろ」

提督さんが龍田さんに発言を認めました。

龍田「では報告します。提督は天龍ちゃんが中破したため、撤退命令を出されました。しかし、こちらは天龍ちゃんのみ中破、敵側は旗艦のみ生き残りであちら側も中破でした。この時点で、敵側の攻撃は限られています。各鎮守府の過去のデータからも、こちらがわの艦隊が夜戦で中破から轟沈するには複数の敵からの集中砲火が条件です。これらのデータをもとに、夜戦を実行することを艦隊のみなで合意しました」

提督「命令に逆らってでも決行した理由はなんだ」

龍田「提督は戦闘においての判断は戦場にいる艦娘にまかせる。とおっしゃっていましたよね？その発言を拡大解釈したものです。轟沈はありえず、燃料や弾薬の無駄を省くため、適正な条件で敵の旗艦を撃破した。これが我が艦隊の決断であり、その結果得られた戦果です。」

龍田さんはすらすらと簡潔に報告して見せました。とてもわかりやすく、感心するほどでした。

提督「…わかった。艦娘同士で適正な判断があったと認めよう。今回の件は不問だ」

ほっ…どうやらおさまったみたいです。
怖かったのです。

提督「ただし！」

電（！）

提督「天龍。お前は無茶をしがちだ。たとえ倒せても、自分が沈んでは意味がない。お前が沈めば、今後、お前が沈められる数十、数百の敵艦を助けることとなる」

天龍「…ああ」

提督「自分だけがケガをして自分が理由で撤退をするのにためらう気持ちはわからなくもないが、今後は熱くならず、“報告まで”冷静にするように」

天龍「…わかった。悪かったよ」

提督「よし、じゃあ張り手一発だ」

天龍「は？」

電「え？」

天龍「ま、まてよ！不問だって言ったじゃないか！」

提督「報告が満足にできなかった事への罰だ。そこに立って歯を食いしばれ」

天龍「うぅ…わかったよ」

電（え、張り手って、え？え？？）

天龍「くっ」

天龍さんが歯を食いしばって目をつむります。

パチィィン！！！

天龍「んぐっ！！」

提督が天龍さんのほほを思いっきり叩きました。
すごい音です。めちゃくちゃ痛そう…なのです。

提督「10分後、遠征任務についての説明を行う。以上」

天龍「ううう…はぃ」

長月・文月・電「は、はい！！」

提督は奥の部屋に行ってしまいました。天龍さんは泣きそうです。ていうかちょっと泣いてます。
やっぱり提督さんは怖いのです。とても怖いのです。

[newpage]

龍田「ごめんね～怖いとこ見せちゃって」

電「あ、はい。あの、でも天龍さんが…」

天龍「うぐ…ひっく」

龍田「天龍ちゃ～ん　みんな見てるわよ～？」

天龍「う゛るさい。んぐ。まってろ」

ゴシゴシと目をこする天龍さん。目が赤くなっちゃいますよ？

龍田「もう～天龍ちゃんったら。叩かれるのなんていつものことでしょ～？いい加減慣れなさいよ」

天龍「慣れるわけないだろ！アイツの張り手…マジで痛いんだぞっ！」

龍田「ま～でも慣れたほうなのかしらね～初めて叩かれたときなんて大泣きして大変ｄ－

天龍「うわ～～～～～言うな！言うなって！」

天龍さん…いつも叩かれてるのですね。というかそんな叩かれてるのに提督と言い争えるのがおどろきなのです。

天龍「龍田はもういいだろ！これから任務の話があるんだから出てってくれよ！」

龍田「はいはい。それじゃみんな、天龍ちゃんのことお願いね」

天龍「逆だろ！？もう出てけってば！」

龍田「あん。冷たいわよ天龍ちゃん。誰のおかげで窮地を脱したと思ってｒ－

天龍「だあああわかった！わかった！お礼はあとでするから！出てってくれ！」

龍田「言ったわね？今夜は部屋で待ってるわよ～お礼楽しみだわ～」

天龍「かわったから！じゃあな！」

天龍さんが龍田さんを追い出しました。部屋で待ってるって、なにする気なのでしょうか？きになります。

天龍「ごほん。では改めて、俺がこの遠征艦隊の旗艦を務める天龍だ。見た目が怖くてもびびらないでくれよ？」

正直さっきの光景を見てからだと全然怖そうに見えないのです。
長月ちゃんも文月ちゃんも苦笑いしているのです。

電「はじめまして、電です。よろしくなのです」

天龍「おうよろしく！長月と文月とは自己紹介済ませてるんだったよな？」

電「はい、昨日のうちに」

文月「あらためてよろしくね～電ちゃん」

長月「よろしく」

電「はい、なのです！」

みんなやさしそうなひとたちなのです。この艦隊なら大丈夫そうなのです。
話していたら提督さんが入ってきました。みんな私語をやめて並びます。

提督「そろそろ遠征任務の説明を始めるぞ」

一同『はい！！』

初任務、頑張るのです！！

[newpage]

提督「それでは遠征任務について説明する。この編成に適した任務は以下の２つ。海上警備任務と燃料輸送任務だ」

天龍「海上警備は近場だが、燃料輸送は少し遠めだな。初めての任務だったら海上警備がいいんじゃないか？」

提督「全員が初めての任務だったら、な。今回は初参加がひとりだけだ。お前たちがフォローすれば、燃料輸送任務もこなせると考えたのだ」

天龍「なるほどな」

電「あ、あの、遠征の目的って資源の調達ですよね？警備しても燃料がもらえるのですか？」

文月「そうだよー、警備だとその報酬として資源がもらえるの。バイトみたいなものだねー」

長月「あと、警備は敵艦と遭遇することはまずないが、輸送任務の場合は輸送中に敵艦の遭遇する可能性がある。確率は低いがな。資源は多く手に入るが、警備よりは若干危険な任務だ」

電「そうなのですか」

天龍「提督、やっぱり俺は警備任務がいいと思うぜ？電はまだ訓練上がりだろ？流石にいきなりはきつくないか？」

提督「そうだな、確かお前はここが初めての鎮守府だったな」

電「はい、ほかの鎮守府に行ったことはありません。ですが…」

提督「ん？」

電「ですが私は、難しいほうの任務で頑張ってみたいのです！」

そうです、私は遅れている分、頑張らないといけないのです。
私のせいでここのみんなの足をひっぱるわけにはいかないのです。
遅れている分、頑張らないと。あのときみたいに、なってはいけないのです。

電「やらせてほしいのです！」

天龍「電…」

提督「よし、では燃料輸送任務にしよう」

天龍「提督？」

提督「がんばれるんだな？」

電「は、はい！なのです！」

提督の視線に、私は精一杯のまなざしと返事で答えました。

提督「天龍、旗艦として、フォロー頼んだぞ」

天龍「しっかたねえなぁ！よし、俺に任せな！」

提督「よし、では準備が整い次第出撃せよ」

一同「了解です」

いよいよ出撃です。ドキドキしてきたのです。

[newpage]

～閑話～
海上警備任務と燃料輸送任務は存在しない遠征です。
（ゲームで軽×１駆×３の場合の適正な遠征は海上護衛任務とタンカー護衛任務）

天龍はその世界水準軽く超えてる胸と男勝りな言動がドストラクでゲームの方の艦これではずっと育ててました。
今では対潜水艦用のエースとして活躍しています。
あとなんだかいじめたくなるキャラですよね。物語では提督が叩いたりして申し訳ありませんでした。

ちょっと龍田さんにはたかれてきますね。

[newpage]

天龍「それにしても驚いたぜ。お前やるな」

電「え？何がですか？」

任務遂行中、天龍さんが私にお話ししてきました。

天龍「いや、あの提督に向かって自ら任務を志願するなんてさ。初めてじゃなかなかできないもんだぜ？」

文月「そうだね～私もちょっとびっくりしちゃったよ。私ならむりだな～」

電「いえそんな。私は少しでもここのお役にたちたいと思っただけです」

本当はつい言葉が先に出ただけで、そんなに深く考えていなかったのです。

天龍「初めての出撃でそんな気負うことないとおもうぜ？提督も初めからそんなレベルの高いことは要求しないからな」

電「そうなのですか？」

天龍「ああ」

私の質問に、文月ちゃんと長月ちゃんもそうだと首を縦に振りました。

長月「ここの提督は無理難題を言ったりはしないからな。個々の能力に見合った任務をくれるんだ」

文月「それに、どうしても苦手な任務があったら、相談すれば別の任務にしてもらえるよ。その辺は融通をきかせてくれるんだ～」

みなさん、提督をすごく信頼しているみたいなのです。
私はまだ、怖いひとっていうイメージしかないですけど…

電「あ、あの、文月ちゃんや長月ちゃんも、提督に叩かれたこと、あるのですか？」

今朝のことが強烈だったので、私は体罰について聞いてみることにしました。

文月「私はないよー。私は命令に逆らったりしないもん。それに体罰受けたことあるひとのほうが少ないくらいだよ」

電「え？なのです？」

長月「ああ、例え任務でミスをしても、怒られはするがぶたれたりはしないさ。」

そういえば皐月ちゃんも言ってました。わざとじゃない限り、失敗での体罰はないって。

電「で、でも龍田さんが、天龍さんはいつもぶたれてるって」

長月「ああ、天龍はぶたれるのが仕事だからな」

天龍「おい！それは違うだろ！」

それはそうでしょうね。ぶたれるのがお仕事なんて、天龍さんが変態さんになってしまうのです。

天龍「あいつは俺に特別きびしいんだよ。多分あいつのビンタ一番くらってるのは、俺だぜ？」

長月「天龍はあぶなっかしいんだよ。提督は天龍が無茶をしないように、しないように…とビンタで教育しているんだと思うけどね」

天龍「ふん。提督は俺らに甘すぎるんだよ。軍艦たるのも、死ぬまで戦ってなんぼだろ？」

文月「これだもんね～もう今朝の提督の言葉忘れてるよ。だから一番ぶたれるんだよ～」

天龍さんに、文月ちゃんも長月ちゃんもあきれ気味です。
なるほど、そういうことだったのですね。ちょっとだけ安心しました。
あんな体罰、私には耐えれそうにありません。見ただけですがトラウマになりかけてます。

[newpage]

天龍「だいたい、あいつは俺が…」

そう言いかけたとき、天龍さんの顔が急に真剣なものになりました。

天龍「電探に反応。敵艦かもしれない。長月、索敵準備」

長月「了解」

天龍「文月と電は燃料を迅速に動かせるよう準備。合図があったら急発進できるよう備えろ」

文月「了解です」

電「あ、はい。了解、なのです」

急な出来事にちょっとびっくりしました。
どうやら敵艦みたいです。私はここが危険な場所であることを思い出して急に怖くなってきました。
でも、訓練を思い出して、冷静に指示にしたがいます。うう～。ドキドキします。

文月「大丈夫だよ。合図があったら私についてきて」

電「はいです！」

文月ちゃんに励まされ、私も気合をいれなおします。

天龍さんが索敵を始めて、長月ちゃんもそれについていきました。
私と文月ちゃんが燃料を持って待機。
合図があったら、指示された方角に急発進です。
うう…敵艦ってどんなのでしょう。遅い艦だったらいいんですけど。

――――。

しばらくして、ふたりが戻ってきました。

天龍「………電探反応なし。一応索敵もしたが、見当たらなかったな」

長月「こちらも異常なしだ。どうやら気のせいだったようだな」

天龍「ああ。でも念のため気を付けて進むぞ。燃料も積んだし、早く帰還しよう」

一同「了解です！」

ふう。ひとまずよかったのです。
それにしても的確な指示と迅速な行動準備、流石です。
訓練の時とは全然違ったのです。早く私もできるようになりたいなぁ。

[newpage]

天龍「よし、作戦完了。艦隊無事帰投。みんなお疲れさん！」

一同「お疲れ様です！」

あれから何事もなく帰ってくることができました。一安心、なのです。

天龍「そんじゃ燃料を保管庫にいれて、ちゃっちゃと提督に報告しちまおうぜ。お腹もすいたしな」

文月「そうだね～そうしよう」

天龍「保管庫はこっちだ。運ぶぞ」

長月「了解だ」

これは初任務成功ってことでいいんですよね？
よかったのです。私でもお役に立てたのです。
まだまだみんなとは差があるけど、これから頑張って追いつくのです！

天龍「ここに収納だ。燃料を俺に渡してくれ。…よっと。……ん？」

天龍「あれ？電の燃料タンクだけ、ちょっと軽くないか？」

電「えっ？」

天龍「ちょっと待ってな。えーっと…あーーっ！？」

電「あ、あわわっ！」

文月「えっ？なになにどうしたのー？」

―――――。

提督「なるほど。電の運んでいた燃料タンクのひとつが蓋がなく、燃料が漏れていた、と。それで報告書より燃料がすこし少ないんだな」

天龍「ああ、燃料は半分以上残ってたから、多分ふたが緩んでて、運んでくる最中に落としちまったんだろう」

提督「そうか。それはまた珍しいミスだな。ふつうは匂いで気が付きそうなものだが」

電「うう…本当に、申し訳ない、のです」

情けないのです。蓋の閉め忘れなんて、ありえないミスなのです。本当に私はドジなのです。

電「本当にごめんなさいです！私のドジでみんなに迷惑をかけて、私みんなの足をひっぱちゃって…あの…ごめんなさい！ごめんなさい！」

天龍「まぁ電も初任務で緊張してたんだろう。敵艦遭遇の危険もあったしな」

提督「電」

電「は、はい」

提督「今、我が国では燃料が貴重なものになりつつある。まだ余裕があるにしろ、貴重な資源であるのには変わりない」

電「はい…」

提督「今後は同じミスがないよう、燃料の扱いには十分に注意しろ。確認を怠るな」

電「はい。ごめんなさい、です」

提督「よし、では天龍、電探の反応についての報告をしろ」

電「え？」

天龍「ああ、待ってな。今地図を出すから」

終わり…ですか？私への罰は…私は許されたのでしょうか？

[newpage]

天龍「このあたりで反応があったんだ。そういや前々回もこのあたりで反応があったな」

提督「うむ。なにかあるのかもしれんな。一応上にも報告しておくか」

電「あ、あの！」

提督「ん？なんだ電」

電「あの…私は…いいのでしょうか。私のせいで燃料が、その、なのに」

提督「…電。お前はわざとやったのか？」

電「え！？いえ、そんなことするはずないのです！わざとじゃないのです！」

提督「ならば仕方のないことだ。誰だってミスはある。ただし、次も同じ過ちをしたら罰を与えるぞ」

電「あ…はい、です」

許して、もらえたのです。それもこんなにあっさり…。
訓練のときだってもっといっぱい怒られました。なのにここでは、こんな、ちょっとびっくりです。

文月「電ちゃんは気にしすぎだよ～。初めてだったんだし、次からまた頑張ろうよ」

長月「うむ。同じミスを繰り返さないことが重要だ。失敗は誰にだってあるさ」

電「みんな…うぅ…ありがとう、なのです」

みんな、みんなやさしいのです。うれしくてちょっと涙がでちゃいます。
私、頑張ります。私だって頑張ればできるってこと、証明するのです！

天龍「そういや提督、蓋がないタンクどうするよ？一応中身は別のタンクにうつしたけど」

提督「燃料は揮発しやすいからな。密閉できないタンクは捨てるしかないだろう。邪魔だしな」

―――――邪魔――――――。

天龍「そうか？なんかもったいないな。とっといたらどうだ？」

提督「役に立たないものを置いておいても仕方ないだろう」

――――役に――立たない―――――――。

電「…！…ううぅ…」

頭が…痛いのです。頭が…痛くて…。

――――邪魔なんだよ！――――ドジばっかり！―――泣けば許されると思ってるの！？――――

違う、違うのです！

――――邪魔だ！―役立たず――ドジ！―役立たずはいらない――あんたってほんとドジね――みんなの足をひっぱらないでよ―――ジャマなのよ―あんたのせいで失敗したのよ！――お前のせいだ！！――――

電「違うのです！！！！」

天龍「うぉ！？びっくりした。どうした電？」

文月「電ちゃん？」

電「違うのです違うのです違うのです！私はみんなの役に立ちたくて―」

―――邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔―――

―――役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず―――

電「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ…うぐ、ゴホっ―――。」

私は口からあふれてくるものを抑えきれずに、そのまま座り込んで吐いてしまいました。
口を押えた両手の隙間から、口からあふれたそれが床に落ちて、べちゃっという不快な音を出しました。

天龍「おい電！？大丈夫か！？」

文月「電ちゃんしっかり！」　長月「電！しっかりしろ！」

みなさんごめんなさい。迷惑ばかりかけて、ドジでごめんなさい。役立たずでごめんなさい。

提督「電！！！！」

いつのまにか私の目の前にいた提督が、私のほほを両手でつかんで、顔を上げさせて、私の瞳を覗き込みながら、言いました。

提督「電。俺はお前に今回の任務を頑張れといった。お前はこの任務、頑張ったのだろ？違うのか？」

電「………はい。私、みんなのために、頑張りました。でも…」

提督「頑張ったならいい。お前は俺の言うとおり、任務を頑張ってくれた。俺の与えた任務にお前は答えてくれた。お前はここの役に立ったんだ」

提督の青い瞳が、私を見ています。
提督の言葉に、私の頭の中を覆っていた黒い霧が、晴れていった気がしました。

[newpage]

提督「落ち着いたか、電」

電「…はい」

私の返事に、提督は私のほほから手を放しました。

天龍「大丈夫か、電」

いつの間にか天龍さんも、しゃがんで私の背中をやさしく撫でてくれていました。
天龍さん…やさしい顔、なのです。まるで訓練の時一緒にいてくれたあの子みたいに…優しくて…あったかい感じ…です。

天龍「電。お前は気にしすぎだよ。俺もみんなも全然お前を攻めちゃいないし、役立たずとも思ってない。それに、燃料の７割は運んでこれたんだ。任務は成功じゃないか」

文月「そうだよ～みんな気にしてないよ？燃料も、電ちゃんのおかげで３人だった時より多く運べたんだよ。電ちゃんのおかげで助かったんだよ？」

長月「そうだ。みんなお前を攻めてない。私たちは仲間なんだ。失敗も今回運んでこれた燃料も、みんなの失敗でみんなの成果だ。」

電「はい…です。ぐす…ふぇえ…はぃ、なの…ですっ…！」

私は今度は目からあふれてくるものを止められなくなっていました。
すごくすごくあったかいです。みんなのあったかさで、溶けちゃいそうなのです。

提督「初めての任務で疲れただろう。風呂でも入って、疲れをいやしてこい。天龍、頼めるか？」

天龍「ああ。任せてくれ」

天龍「それでいいか？電」

電「ぐす…んっ…はい。お風呂、入りたいのです」

文月「じゃあ今度はみんなでお風呂に出撃しよ～疲れが吹き飛ぶよ～」

長月「そうだな。そうしよう」

遠征艦隊みんなでお風呂に行くことになりました。みんな優しいです。お風呂、楽しみです！

提督「………。」

提督「…皐月にもフォローするよう伝えておくか。あいつなら別の艦隊のヤツらにもうまく伝えられるだろう」

[newpage]

～閑話～

艦これでは、常に遠征を出しておくのが吉です。
遠征から帰ってきた艦隊に燃料を補給し、すぐにまた遠征に向かわせたほうが、資材を多く調達できます。

でも、長い遠征を終えて帰ってきた艦娘たちに、すぐにまた遠征に行って来い！と命令するのは、なんだかかわいそうな気がしてしまいます。

[newpage]

遠征任務に行ってきたみんなで、お風呂にやってきました。
さっそくみんなで入るのです！

電「うわ～とっても広いのです！」

おっきなお風呂が４つもあります！あと泳げちゃうくらい広いです！

文月「お風呂～お風呂～♪」

長月「ここの風呂は他の鎮守府と比べても大きい方らしいぞ」

電「はい！大きいのです！」

天龍「そうだろ～でかいだろ～。ここの風呂のでかさは自慢できるレベルだぜ！」

電「…はい。本当に…でっかいのです」

初めて会った時から思ってましたけど、天龍さんは本当にお胸が大きいのです。
何を食べたらあんなにおっきくなるんでしょうか？私も頑張ればこれからおっきくなるのかな…？
あと天龍さんはお風呂の時も眼帯は外さないんですね。

？？「本当にでっかいデスネ～。ミルクが絞れちゃいそうデス」

電「え？」

天龍「ひゃん！？」

誰かが天龍さんの背後から、天龍さんのお胸をわしづかみにしました。
おお～おっぱいが揺れているのです。本当におっきいのです。

？？「おやおや～これはまたおっきくなったんじゃないデスか？うらやましいのデ～ス」

天龍「こらやめろ！ひん！やめろってば金剛！」

金剛さん？に胸をもまれて、天龍さん変な声がでちゃってます。ちょっとかわいいです。

天龍「いい加減に。んん～～～///　くっ、いい加減に…しろ！！」

ﾄﾞﾝ！

金剛「Ouch！！！」

天龍さんのひじが金剛さんのおなかにめり込みました。痛そうです。

金剛「うぅ～も～天龍さんヒドイデ～ス」

天龍「金剛が変なことしてくるからだろ！毎回毎回いい加減にしろよ！」

金剛「HAHAHA～そうり～デース」

どうやらこの方が長門さんの言っていた金剛さんらしいです。
なるほど、お話に聞いた通り変わった方なのです。おもに話し方がですけど。

[newpage]

金剛「おや？見かけない顔がありますネ？どちら様デスカ？」

天龍「あぁ。コイツか？コイツは昨日からウチで任務に就くことになった電だ」

電「あ、どうも、電です。」

天龍さんに紹介されて、私は金剛さんに頭を下げてました。

金剛「そうでしたか～。私は英国で産まれた帰国子女の金剛デース！ヨロシクオネガイシマース！」

電「は、はい。よろしくお願いします」

金剛さんは元気ハツラツといった感じで挨拶してくれました。なるほど、片言なのは帰国子女だったからなのですね。（帰国子女なのを抜きにしても妙なしゃべり方ですけど）
それにしても…金剛さんも十分おっきいのです。ここはスタイルがいい人が多いなぁ。

天龍「そういえば金剛。お前今日は長門たちと出撃じゃなかったのか？」

金剛「出撃は午前中で、今さっき帰ってきたところデス。あ、今日のMVPは私だったんデスヨ？これで提督のハートゲットにまたいっぽ近づきました！」

天龍「またそれか。やれやれ、あんなカタブツのどこがいいんだか」

あの長門さんを抜いてMVPを？すごいのです。それにしても、長門さんと肩を並べるくらいのひとがいるなんて、ここのひとってあの話とは反対にすごいひとばかりなんじゃ…。

天龍「それじゃ体洗ってとっとと入ろうぜ。体が冷えちまうよ」

文月「金剛さん。金剛さん」

金剛「ん？どうしました？文月サン？」

文月「あのね。また髪を洗ってほしいな～と思って。いいかな？」

金剛「お～それくらいお安い御用デース。ついでに長月サンも洗ってあげますヨ？」

長月「私はいい。髪くらいひとりで洗える」

金剛「遠慮しなくていいデスヨ？さあ行きまショー！」

長月「うを！？い、いいと行ってるだろ！ひっぱるな！」

金剛さんは文月ちゃんと長月ちゃんを引っ張って行きました。髪を洗ってもらう…ちょっとうらやましいのです。

天龍「じゃあ俺が電の髪を洗ってやるよ」

電「え？いいのですか？」

天龍「ああ。来な。背中も流しあっこしようぜ？」

電「は、はいです！」

[newpage]

天龍さんが私の頭をやさしく洗ってくれてます。天龍さんは見た目は全然違うけど、訓練生のとき一緒だったあの子と雰囲気が似ています。優しくて頼りがいがあって、いっしょにいるとこころがぽかぽかしてきます。

天龍「なぁ、電」

電「はい？」

天龍「さっきの提督室でのことだけどな」

電「！　…はい」

天龍「お前の様子、ただ失敗を悔いているにしちゃおかしかった。いったいどうしたんだ？」

…そうですよね。みなさんに迷惑をかけてしまいましたし、話さなくてはいけないことです。
でも、あのことを思い出すと、今でも胸が苦しくなります。

電「…お話します。さっきは、嫌なことを思い出してしまったのです」

天龍「嫌なこと？」

私は手を胸に当て、覚悟を決めて、話し始めました。

電「はい。私は理由があって、訓練を遅くに終えました。私は訓練生の時に――」

天龍「…いや、やっぱり話さなくてもいい」

電「えっ？」

でも、天龍さんはあえて私の話をさえぎりました。

天龍「誰にだって、聞かれたくない過去や思い出したくもない嫌な出来事はある。」

天龍さんは眼帯に手をあてて、ちょっと切なそうな表情を浮かべていました。私はなんとなくその表情を見てはいけないような気がして、よそ見をして見えなかったふりをしました。

天龍「俺がさっきのことを聞いたのは、電からそんな過去の話を聞こうと思ったからじゃない。俺が言いたかったのは、お前に何があっても、俺たちはお前の仲間だってことだ」

仲間。私には難しい言葉です。

電「仲間…ですか」

天龍「そうだ。それにな、過去の出来事を気にする必要なんて、全然ないんだぜ？」

天龍「お前は入ったばかりだから知らないかもしれないが、ここにいる連中はわけありのヤツが多くてさ。俺もここに来る前にちょっとやらかしちまって、ここには途中から入ったんだ」

天龍「ここは俺の他にも途中から来たやつが多くいる。つまり１度失敗してここでやり直してる奴が多いんだ。だから、過去の失敗にとらわれることはないんだよ。みんなここで再スタートしてんだからな」

天龍さんは私が嫌な思いをしないように、あえて話をさえぎって、それで励ましてくれました。
どうやったらこんなにもひとを気遣うことができるんでしょうか？
天龍さんは本当にやさしいひとです。

天龍「だからさ、お互いに頑張ろうぜ。昔のことなんて気にすんな！」

電「…天龍さん。ありがとうごさいます。本当にありがとうございます！」

私は天龍さんに何度も何度もお礼を言いました。
天龍さんはそんなになんどもお礼を言われることしてなぜ？なんて言ってましたけど、天龍さんのお話は私を救ってくれた気がしました。

[newpage]

～閑話～

天龍の眼帯の下がどうなっているのかは諸説ありますが、私は古傷があるという設定が好きです。
ただのおしゃれでしているという設定も可愛くていいですけどね。

個人的には「フフフ、怖いか？」と言いつつ、眼帯がないと駆逐艦のみんなに本気で怖がられてしまうため、眼帯をつけてみんなを気にかけつつ怖さを演出してドヤ顔の天龍…という設定が大好きです。

[newpage]

執筆中です。
※お話を一部修正しました。

電「ここが通称、ブラック鎮守府…なのですか」

私は今日、ブラック鎮守府と呼ばれている鎮守府に面接にきました。
私たち艦娘は訓練を受けたあと、それぞれ希望する鎮守府に配属されるのですが、当然のことながら、人気の鎮守府からそうでない鎮守府まで様々です。そこで、希望する鎮守府に入るには面接が用意されているのですが…

電「うぅ…連戦連敗…なのです」

ちょっと理由があって、遅くに訓練を終了した私。どの鎮守府も、駆逐艦は足りているようで…というのは言い訳かもしれません。とにかく、全く面接に通らない…のです。そこで手当たり次第面接を受けることにしたのですが、受けてからここがブラック鎮守府であることを聞きました。

過酷で、休みが少なくて、体罰もある、おそろしいところ…だそうです。

電「怖いのです…」

そんなところなら、落ちたほうがいいかも。でもでも、とにかく受けるだけ受けてみるのです！言われているほどひどいとこでもないかもしれません。

どちらにしろ、私には行く場所がないのですから…。

ｺﾝｺﾝ
電「失礼するのです！」

提督「入れ」

提督「面接に来た艦娘の電だな？」

電「はい！なのです！」

この人が提督…うぅ…怖いのです。背が高くて、目つきが鋭いのです。それに目が青い…心まで見透かされそうな目なのです。

提督「では、やる気をアピールしてみろ」

電「やる気…ですか？」

提督「そうだ。お前がここでやっていこうという意気込みを伝えてくれ」

電「は、はい！」

こんな質問、初めてです。いつも資料を見ながら性能について聞かれるばっかりだったのに…。

電「えっとえっと、私、体が小さいし、火力も弱いし、お役に立てることがなかなかないかもですけど、それでも、お役に立とうと思うのです！訓練で学んだこと、生かしていきたいのです。とにかく、頑張るのです。いっぱいいっぱいがんばるのです！」

そのあともいっぱいアピールしたけど、結局、頑張りますとしか言えてなかったと思います。でも、頑張る気持ちは負けないってことを伝えたかったのです。

提督「わかった。もういい」

電「あ」

ずっと私の目を見ていた提督が資料に目を落としました。

うぅ…これはまた落ち

提督「採用だ」

電「え？」

提督「採用だ。明日から頼むぞ」

電「は、はい！なのです！」

提督「ここのことは本日中に同じ駆逐艦である皐月に聞いておけ。この時間はここにいるはずだ。明日はここでの任務について説明するからそのつもりでな」

ま、まさかの即、採用なのです。びっくりです。

でも、また別の不安が…。

提督「その他、わからないことは艦娘同士で話し合ってくれ。特に皐月は旗艦経験もあり、人望も厚いから頼るといい」

電「わかりました」

私はブラック鎮守府で任務につくことになりました。この先、不安、なのです。
とにかく、皐月さんにお話を聞かないと…
[newpage]
～閑話～

電ちゃんは艦これプレイ時に最初に選んだ艦娘でした。
見た目もセリフも全部可愛い！なのです！

[newpage]
電「あ、あの、皐月、さん？」

皐月「ん？僕を呼んだかい？」

電「はい、あの、明日からここで任務につくことになった電です。よろしくです」

皐月「あ、そうなんだ。皐月でいいよ。よろしくね！」

電「はい、よろしく、なのです」

やさしそうなひとでよかったのです。訓練の時は、同じ駆逐艦でも、怖い子いたからなぁ。

皐月「じゃあまずこの鎮守府を案内するよ！ついてきて！」

電「はい、なのです！」

皐月「ここが会議室で、ここがケガしたときに入る入渠室。あと、あっちには装備補給室があるよ」

見た目はほかの鎮守府となにも変わらないのです。ちょっと気になることを聞いてみようかな…。

電「あ、あの」

皐月「ん？なんだい？」

電「ここの任務ってどうですか？その…厳しい…ですか？」

皐月「もしかして、ここがブラック鎮守府だって噂を聞いたのかい？」

電「！」

いきなりの図星で、びっくりです。私、そんなわかりやすいのかな。

皐月「やっぱりそうか～。いや、気にしなくていいよ。みんな最初そのことを聞いてくるから」

皐月「ひどいんだよね～。ここで任務についたことないヒトがブラックだ、なんて噂しちゃってさ」

電「じゃあ、あの噂は嘘なんですか？」

皐月「う～ん？半分は本当かな？厳しいし、休みも他と比べて少ないし、あ、あと悪いことしたら体罰もあるよ」

いっきに天国から地獄へ。なのです。半分って…噂の全部が本当じゃないですか！10割なのです！噂は真実だったのです！

皐月「でも、任務は命がけのとこもあるからね。厳しいのは仕方ないし、休みが少ないってのはみんなが頑張って休まないだけさ。休みがほしいって言ったらもらえると思うよ。体罰も、任務を放棄したりだとか、自己中心的なことをしたらあるけど、わざとじゃないミスをしたくらいで叩かれたりはしないよ」

電「そうなの…ですか？」

皐月「あぁ、それに僕は、この鎮守府が好きだよ」

電「え？」

皐月「時間もあるし、食堂でちょっとお話しようよ。ここはカレーがおいしいんだ」

私は皐月ちゃんに手を引かれて、食堂に向かいました。
[newpage]
電「おいしい、のです！」

皐月「そうでしょ！ここはカレーの他にも、日替わりランチがおいしいんだ。今度食べてみるといいよ」

電「はいです！」

食堂で皐月ちゃんとふたりでカレーを食べました。他の人は休憩中らしく、食堂は私たちだけでした。

皐月「じゃあ僕がここにきてよかったって思った事を話すよ」

食事が終わって、皐月ちゃんがお話の続きをしてくれました。

皐月「僕ね、ここにくる前に２つほど他の鎮守府にいたことがあったんだけど、そこでの任務は主に遠征と待機だったんだ。僕の駆逐艦装備は他の子より性能が低いらしくてね。出撃なんて一度もなかったし、遠征も数合わせみたいな感じだったんだ。

他の子は出撃でどんどん経験を積んでいくのに、僕は遠征でそんな子たちの後ろを付いていくだけ。そのうちに、僕は必要ないんじゃないかって思っちゃってね」

皐月ちゃんはちょっとさみしそうにその頃のことを話しました。

皐月「それでもうどこでもいいやってなっちゃってさ。そこをやめた後、次のところもすぐやめちゃって、それでここに来たんだ。それでここの面接でやりたいことを聞かれたとき、僕は出撃任務につきたい！僕は弱いかもしれないけど、僕に任せてほしい！って言ってみたんだ。そしたらすぐ採用されて、次の日にはすぐ出撃の任務が来たんだよ！」

皐月ちゃんはさっきとは違って、とてもうれしそうに話し始めました。

皐月「もちろん最初はうまくいかなかったよ。すぐ中破しちゃって帰還するハメになったったんだけど、それでも出撃したいって言ったら、次の日にまたすぐ出撃させてくれたんだ！それで僕、うれしくて、とにかく役に立ちたくて、いっぱい出撃して頑張ったら、その努力が認められて、ある作戦で旗艦まで任されたんだ！

出撃できただけでも他のとこより全然いいのに、旗艦までできるなんて、僕本当にうれしかったんだ！」

電「出撃任務は、怖く、なかったのですか？」

皐月「そうだね、やっぱり今でもちょっと怖いよ。でも、みんなの役に立てる喜びのほうが大きいかな。それにここの提督は優秀だからね。出撃作戦で無茶なのはないよ。僕、頑張るあまり無茶をして、それでひっぱたかれたことがあるんだよね」

皐月ちゃんは恥ずかしそうにほほをかきながらそう言った。

電「ひっぱたかれ！？」

皐月「無茶をしたらの話だよ？提督は僕たちが轟沈しないよう、ケガした子がでたらすぐに引き返すよう命令するくらいだからね。」

電「提督は…怖く…ないですか？」

皐月「見た目はちょっと怖いけど、僕らのこと大切にしてくれてると思うよ？怒るととっても怖いけどね」

うう、それじゃ結局怖いってことじゃないですか…。

皐月「でも、頑張らせてくれるここの提督、僕は好きだよ」

電「そう…なのですか」

皐月ちゃんの笑顔と頑張ったお話を聞いて…私もここで頑張ろうって決意しました。
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～閑話～

僕っこで「まっかせてよ！司令官！」なんて言ってくれる皐月ちゃんが好きで、ゲームの方の艦これでは頑張って育てました。
３－２キス島撤退作戦では皐月ちゃんを旗艦にしてクリアしました。
今では遠征艦隊の旗艦として活躍しています。

[newpage]
？？「あー！！こんなところにいた！！」

電「え？」

皐月「あ、島風。どうしたの？」

島風とよばれたその子はものすごい速さで食堂に入ってきました。頭のリボンがうさぎさんみたいです。

島風「どうしたのじゃないよー！次の遠征の準備の時間でしょー！！」

皐月「あ、もうそんな時間だっけ？ってまだ少し余裕があるじゃないか」

島風「おっそーい！時間がたつのが遅いのよ！それに準備ははやいほうがいいの！」

皐月「またむちゃを言って…あ、紹介するよ。この子が新しくここに来た電ちゃんだよ」

電「あ、どうも電です。どうか、よろしくお願いいたします」

島風「島風です。スピードなら誰にも負けないよ！速きこと、島風の如し！ってね！」

島風ちゃんって…確か、駆逐艦の中ですごく強い子って話を聞いたことがある。へ～この子がそうなのですね。

島風「さ、自己紹介も終わったし、皐月！準備いこ準備！」

皐月「わかったよ、そんな押さないでって、ごめんね電。」

島風「皐月は旗艦なんだから、みんなよりはやくなきゃだめなのー！！」

電（皐月ちゃんが旗艦で島風ちゃんがそのチーム？“あの”噂だと、ここは人手不足だから、休みが少ないんだって…でも、強いって噂の島風ちゃんがいるし、人手不足って話は嘘ってこと？）

皐月「あ、わからないことがあったらここのとなりのとなりの部屋にいる長門さんに聞くといいよ。今の時間ここにいるなかじゃ一番ここのこと詳しいから！」

電「え！？長門さんってあの戦艦の！？」

皐月「ああ！って引っ張るなって島風～～」

島風「はやくはやく！おっそ～い！」

島風ちゃんに手を引かれて皐月ちゃんは食堂を出ていきました。それにしてもあの有名な長門さんまでここにいたなんて…おかしいな、そんな話聞いたことなかった。それに、長門さんなら鎮守府を選べる立場なのに…。ここがブラックだって噂、あれってなんなんだろう…。

ここがブラックだって呼ばれている理由はただ単に厳しいってだけなのだろうか。謎がとけないまま、私はとりあえず長門さんにあってみることにした。
[newpage] 
ｺﾝｺﾝ

長門「誰だ？」

電「あ、あの、今日からここで任務につくことになった電です。ちょっとお話したいのですが」

長門「そうか、入っていいぞ」

電「はい、失礼しますのです」

部屋に入ると、長門さんが出迎えてくれた。

長門「ようこそ私たちの鎮守府へ。お互い頑張ろう」

電「はい、なのです！」

笑顔で握手してくれたのです。とても強そうでやさしそうなひとです。

長門「今日ここにきたばかりじゃまだわからないことが多いだろう。そうだ、ここの案内をしてやろうか」

電「あ、案内は先ほど皐月ちゃんにしてもらいました」

長門「そうか…それは残念だ」

本当に残念そうなのです。（なんでだろう？）

電「そ、それよりも、長門さんとお話がしたいのです！」

長門「私と？それはいいが、私は面白い話など、持ち合わせていないぞ？」

電「あのその、で、できたら、長門さんがここに来た理由なんかを知りたい、のです！」

長門「私がここに来た理由？」

電「はい！私はここにくるのに鎮守府選びで苦労して…その、ここがどんなところか知るためにも、いっぱいある鎮守府のなかで、なんで長門さんがここを選んだのか知りたいのです！」

噂のことを直接聞くわけにもいかなかったので、私は長門さんがここを選んだ理由を聞くことにしました。

長門「ふむ…」

長門さんは少し考えたあと、優しく微笑みながら　いいだろう　承諾してくれた。

長門「少し話すから茶菓子を出そう。ちょうど金剛からもらったチョコレートクッキーがあまっていたところだ」

電「あ、実はさっき食事をしたばかりなので、お菓子は大丈夫です」

長門「そ、そうか…それは残念だ…。」

長門さんがとてもとても残念そうなのです！（なんで！？）

電「あ、あのでもその！チョコは好きなのでほしいかも！なのです！」

長門「そうか！なら仕方ないな、出してやろう！」

長門さんうれしそうなのです。ちょっとよくわからないのです（汗）
[newpage]
長門「やはりこのクッキーはうまいなぁ…緑茶にもよくあうぞ」

電「はい、あうのです」

長門さんは結構ハイペースでクッキーをたいらげています。おなかすいてたのかな？

長門「それで、私がここにきた理由だったかな？」

電「はい」

長門「そうだな…では順を追って話すとしようか」

長門さんはお茶を一気に飲み干すと、話してくれました。

長門「私が訓練を終えたとき、自慢じゃないが私は引く手あまたでな。各鎮守府から、ウチのとこに来てくれと要望があったんだ。多分、私の訓練時の成績を見てのことだろうな。火力がすばらしいだの、性能がいいだのもてはやされ、あのころの私は完全に慢心していたんだ」

長門さんの言っていることは事実です。私も聞いていました。長門さんが訓練生の時はとても優等生で、誰もかなわないくらいだったこと。そして、いまもどこかの鎮守府で成果を上げて活躍しているという話を。

長門「そこで私はどこの鎮守府がいいか見極めることにしたんだ。全部の鎮守府を受けて、選んでやろうとね」

長門「ところがだ。私の高い鼻はここの提督にポッキリとおられてしまってな」

電「え？どういう…ことですか？」

長門「ハッキリ言われたんだ。『お前なんていらない、出ていけ』とな」

びっくりなのです。長門さんを断るなんて…すごい戦力なのになんで…。

長門「驚いたよ。選んでやるなんて思ってたのに…私が選ばれる側だってことをその時ようやく思い出したね」

電「なんでここの提督はそんなことを？長門さんの成績ならそんなこと…」

長門「言っただろ、慢心があったと。私は面接で、自分の成績の自慢くらいしか言わなかった。他のとこの面接じゃ向こうから質問するか、それかわたしをもてはやすだけだったからな」

長門「そしたら提督に言われたよ『過去の戦果ばかり気にしているヤツに明日はない。アスリートが過去の成績でだけでは大会に出られないのといっしょだ。今、この場でやる気を見せれないヤツが今後活躍できるわけがない』ってね」

長門「私も言い返した『私を取らなかったことを後悔させてやる！』とね」

あの提督の視線にひるまずにそんなことが言えるあたり流石長門さんなのです。

長門「そしたらあの提督は『やってみろ。ウチの艦娘はお前より強くなる！俺が信じた艦娘たちのほうが絶対に強い！』と言い返してきた」

長門「あの時は頭に来たよ。そのまま飛び出して、もう二度と来るかって思ったね」

電「…じゃあ…なんで今ここに？」

長門「ああ、そのあとも他の鎮守府を回ったんだが、どこもかしこもわたしの過去の成績ばかり…私の意思なんて関係ないようだった。私がわざとやる気のないように装っても、気にしないところばかりだったんだ」

長門「そのうちにここの提督の顔が浮かんできてな。あそこまでハッキリと自分の鎮守府の艦娘を信じるなんていえる提督はそうそういないんじゃないかって思えてきた」

長門「そこでもう一度出向いてみたんだ。断られたら断られたでいいから、今度は真剣に面接を受けてみようってな」

電「それで…どうなったんですか」

長門「そりゃもちろんまたけんかになったよ」

電「えええええ！！？？」

微笑みながら話す長門さんの口からあまりにも矛盾する言葉がでてきて変な声を出してしまったのです。

長門「そして最後に、私がここのエースになって、お前を見返す。それが私の目標だ。私を採用しろ！と言ったら　やれるもんならやってみろ！と採用が決まったというわけだ」

なんかもういろいろとすごすぎるのです。私には絶対にできないのです。流石長門さん。なのです。

[newpage]
電「提督とは…」

長門「うん？」

電「提督さんとは、今は仲直りしたのですか？」

長門「いや、いまだにまだけんかもするし、攻撃のミスが続くと鼻で笑われる。嫌味なヤツだよ」

セリフとはうらはらに楽しそうに話す長門さん。でもその笑顔はちょっと怖いのです。

長門「しかし、ヤツの作戦立案は見事なものだ。我々が轟沈しないよう考慮されている。それに、調子が悪いと今でも旗艦を下される」

電「え？」

長門さんが旗艦を務めないことがある？そんなことが…

長門「だがそれがいい」

電「ええ！？？いいんですか！？」

長門「ああ。そのほうが慢心がなくなる。私は常に旗艦であり続けるために努力する必要がある。私が求めていた場所は、こういう場所なんだ」

電「あ…」

やっぱり、流石長門さん。なのです。常に強くあり続けようとする姿勢。かっこいいのです！

長門「さて、私の話は以上でおしまいだな。クッキーはまだあるぞ？おかわりをもってこよう」

電「いえ、大丈夫なのです」

電（というか長門さんひとりでほとんど食べちゃってたのです）

長門「そうか…残念だ」

電「あ、あの、私のことはいいのでクッキー食べたらどうですか？しけってしまったらもったいないと思うのです」

長門「そうか…そうだな、もったいないなら仕方ないな！食べてしまうとしよう」

電（というか長門さん、自分が食べたかっただけなのですね。今度は長門さんにお菓子もってこようかな）

電「あ、あの、提督ってどんなひとかもっと詳しく聞きたいんですけど…」

長門「う～む…提督の人柄なら金剛のほうが詳しいから、明日にでも金剛から聞くといい。今日はけっこう話したし、君も準備があるんじゃないかい？」

電「あ、そうですね。そうします」

金剛さん…か。変わりモノだって話を聞いたことあるけど、どんなヒトだろう。

電「それじゃあそろそろ失礼するのです。ありがとうございました！」

長門「ああ。今後ともよろしく頼むぞ」

私がお辞儀をして部屋を出ると、ドアを閉めるときに笑顔で手をふってくれている長門さんが目に入った。本当にいいヒトなのです。ここでなら私もうまくやっていけそうなのです！

でも、"あの"噂と今のお話…ここの提督はどんなひとなんでしょうか？
とにかく今日は準備をして、明日にそなえるのです！

[newpage]
～閑話～

長門さんは艦これプレイ時、初期に建造で来てくれたため、出にくいということを後で知りました。長門さんは初期から今までずっとウチの絶対的エースです。
あと、長門さんは甘いものが好きで少しこどもっぽい…っていう設定が好きです。

やたら出てきたクッキーは一時期クッキークリッカーというゲームが流行っていたことに関係があるのかもしれない…。

[newpage]
電です。通称ブラック鎮守府に来て初の任務を任される日…なのですが、朝からなにやら修羅場です。怖いです。

提督「もう一度、命令を無視した理由を話せ。わかりやすく、短くな」

天龍「だから！夜戦に入らなきゃ敵艦を落としきれなかったからだって言ってるだろ！」

提督「それだけでは説明になっていないと言っているんだ！」

もめているのは提督と、今日任される遠征任務の旗艦を務める予定の天龍さんです。天龍さんと、私、同じ遠征艦隊に入る予定の長月ちゃんと文月ちゃんが提督室にいるんですが、みんな顔がひきつってます。

龍田「提督～私に説明させて頂けないでしょうか～」

そしてもうひとり、昨日天龍さんと出撃したという龍田さんがいます。このひとはニコニコしてますが、その笑顔がまたちょっと怖いのです。

天龍「龍田！余計なこと言わなくていい！これは俺の責任だ！」

提督「龍田。お前に発言を許した覚えはないが？」

ふたりの標的が龍田さんにうつりました。でも、龍田さんは全然ひるみません。

龍田「このまま言い争っていては時間がもったいないわよ～？今日は新人のこの子への指示もあるんでしょう？物事は効率よく進めたほうがいいと思うのですけど？」

電「！　あのその…」

提督「……。」

天龍「……。」

提督と天龍さんがこちらを見て、しばらく沈黙したあと

天龍「…ふん。」

提督「簡潔に報告してみろ」

提督さんが龍田さんに発言を認めました。

龍田「では報告します。提督は天龍ちゃんが中破したため、撤退命令を出されました。しかし、こちらは天龍ちゃんのみ中破、敵側は旗艦のみ生き残りであちら側も中破でした。この時点で、敵側の攻撃は限られています。各鎮守府の過去のデータからも、こちらがわの艦隊が夜戦で中破から轟沈するには複数の敵からの集中砲火が条件です。これらのデータをもとに、夜戦を実行することを艦隊のみなで合意しました」

提督「命令に逆らってでも決行した理由はなんだ」

龍田「提督は戦闘においての判断は戦場にいる艦娘にまかせる。とおっしゃっていましたよね？その発言を拡大解釈したものです。轟沈はありえず、燃料や弾薬の無駄を省くため、適正な条件で敵の旗艦を撃破した。これが我が艦隊の決断であり、その結果得られた戦果です。」

龍田さんはすらすらと簡潔に報告して見せました。とてもわかりやすく、感心するほどでした。

提督「…わかった。艦娘同士で適正な判断があったと認めよう。今回の件は不問だ」

ほっ…どうやらおさまったみたいです。
怖かったのです。

提督「ただし！」

電（！）

提督「天龍。お前は無茶をしがちだ。たとえ倒せても、自分が沈んでは意味がない。お前が沈めば、今後、お前が沈められる数十、数百の敵艦を助けることとなる」

天龍「…ああ」

提督「自分だけがケガをして自分が理由で撤退をするのにためらう気持ちはわからなくもないが、今後は熱くならず、“報告まで”冷静にするように」

天龍「…わかった。悪かったよ」

提督「よし、じゃあ張り手一発だ」

天龍「は？」

電「え？」

天龍「ま、まてよ！不問だって言ったじゃないか！」

提督「報告が満足にできなかった事への罰だ。そこに立って歯を食いしばれ」

天龍「うぅ…わかったよ」

電（え、張り手って、え？え？？）

天龍「くっ」

天龍さんが歯を食いしばって目をつむります。

パチィィン！！！

天龍「んぐっ！！」

提督が天龍さんのほほを思いっきり叩きました。
すごい音です。めちゃくちゃ痛そう…なのです。

提督「10分後、遠征任務についての説明を行う。以上」

天龍「ううう…はぃ」

長月・文月・電「は、はい！！」

提督は奥の部屋に行ってしまいました。天龍さんは泣きそうです。ていうかちょっと泣いてます。
やっぱり提督さんは怖いのです。とても怖いのです。

[newpage]
龍田「ごめんね～怖いとこ見せちゃって」

電「あ、はい。あの、でも天龍さんが…」

天龍「うぐ…ひっく」

龍田「天龍ちゃ～ん　みんな見てるわよ～？」

天龍「う゛るさい。んぐ。まってろ」

ゴシゴシと目をこする天龍さん。目が赤くなっちゃいますよ？

龍田「もう～天龍ちゃんったら。叩かれるのなんていつものことでしょ～？いい加減慣れなさいよ」

天龍「慣れるわけないだろ！アイツの張り手…マジで痛いんだぞっ！」

龍田「ま～でも慣れたほうなのかしらね～初めて叩かれたときなんて大泣きして大変ｄ－

天龍「うわ～～～～～言うな！言うなって！」

天龍さん…いつも叩かれてるのですね。というかそんな叩かれてるのに提督と言い争えるのがおどろきなのです。

天龍「龍田はもういいだろ！これから任務の話があるんだから出てってくれよ！」

龍田「はいはい。それじゃみんな、天龍ちゃんのことお願いね」

天龍「逆だろ！？もう出てけってば！」

龍田「あん。冷たいわよ天龍ちゃん。誰のおかげで窮地を脱したと思ってｒ－

天龍「だあああわかった！わかった！お礼はあとでするから！出てってくれ！」

龍田「言ったわね？今夜は部屋で待ってるわよ～お礼楽しみだわ～」

天龍「かわったから！じゃあな！」

天龍さんが龍田さんを追い出しました。部屋で待ってるって、なにする気なのでしょうか？きになります。

天龍「ごほん。では改めて、俺がこの遠征艦隊の旗艦を務める天龍だ。見た目が怖くてもびびらないでくれよ？」

正直さっきの光景を見てからだと全然怖そうに見えないのです。
長月ちゃんも文月ちゃんも苦笑いしているのです。

電「はじめまして、電です。よろしくなのです」

天龍「おうよろしく！長月と文月とは自己紹介済ませてるんだったよな？」

電「はい、昨日のうちに」

文月「あらためてよろしくね～電ちゃん」

長月「よろしく」

電「はい、なのです！」

みんなやさしそうなひとたちなのです。この艦隊なら大丈夫そうなのです。
話していたら提督さんが入ってきました。みんな私語をやめて並びます。

提督「そろそろ遠征任務の説明を始めるぞ」

一同『はい！！』

初任務、頑張るのです！！

[newpage]
提督「それでは遠征任務について説明する。この編成に適した任務は以下の２つ。海上警備任務と燃料輸送任務だ」

天龍「海上警備は近場だが、燃料輸送は少し遠めだな。初めての任務だったら海上警備がいいんじゃないか？」

提督「全員が初めての任務だったら、な。今回は初参加がひとりだけだ。お前たちがフォローすれば、燃料輸送任務もこなせると考えたのだ」

天龍「なるほどな」

電「あ、あの、遠征の目的って資源の調達ですよね？警備しても燃料がもらえるのですか？」

文月「そうだよー、警備だとその報酬として資源がもらえるの。バイトみたいなものだねー」

長月「あと、警備は敵艦と遭遇することはまずないが、輸送任務の場合は輸送中に敵艦の遭遇する可能性がある。確率は低いがな。資源は多く手に入るが、警備よりは若干危険な任務だ」

電「そうなのですか」

天龍「提督、やっぱり俺は警備任務がいいと思うぜ？電はまだ訓練上がりだろ？流石にいきなりはきつくないか？」

提督「そうだな、確かお前はここが初めての鎮守府だったな」

電「はい、ほかの鎮守府に行ったことはありません。ですが…」

提督「ん？」

電「ですが私は、難しいほうの任務で頑張ってみたいのです！」

そうです、私は遅れている分、頑張らないといけないのです。
私のせいでここのみんなの足をひっぱるわけにはいかないのです。
遅れている分、頑張らないと。あのときみたいに、なってはいけないのです。

電「やらせてほしいのです！」

天龍「電…」

提督「よし、では燃料輸送任務にしよう」

天龍「提督？」

提督「がんばれるんだな？」

電「は、はい！なのです！」

提督の視線に、私は精一杯のまなざしと返事で答えました。

提督「天龍、旗艦として、フォロー頼んだぞ」

天龍「しっかたねえなぁ！よし、俺に任せな！」

提督「よし、では準備が整い次第出撃せよ」

一同「了解です」

いよいよ出撃です。ドキドキしてきたのです。
[newpage]
～閑話～
海上警備任務と燃料輸送任務は存在しない遠征です。
（ゲームで軽×１駆×３の場合の適正な遠征は海上護衛任務とタンカー護衛任務）

天龍はその世界水準軽く超えてる胸と男勝りな言動がドストラクでゲームの方の艦これではずっと育ててました。
今では対潜水艦用のエースとして活躍しています。
あとなんだかいじめたくなるキャラですよね。物語では提督が叩いたりして申し訳ありませんでした。

ちょっと龍田さんにはたかれてきますね。

[newpage]
天龍「それにしても驚いたぜ。お前やるな」

電「え？何がですか？」

任務遂行中、天龍さんが私にお話ししてきました。

天龍「いや、あの提督に向かって自ら任務を志願するなんてさ。初めてじゃなかなかできないもんだぜ？」

文月「そうだね～私もちょっとびっくりしちゃったよ。私ならむりだな～」

電「いえそんな。私は少しでもここのお役にたちたいと思っただけです」

本当はつい言葉が先に出ただけで、そんなに深く考えていなかったのです。

天龍「初めての出撃でそんな気負うことないとおもうぜ？提督も初めからそんなレベルの高いことは要求しないからな」

電「そうなのですか？」

天龍「ああ」

私の質問に、文月ちゃんと長月ちゃんもそうだと首を縦に振りました。

長月「ここの提督は無理難題を言ったりはしないからな。個々の能力に見合った任務をくれるんだ」

文月「それに、どうしても苦手な任務があったら、相談すれば別の任務にしてもらえるよ。その辺は融通をきかせてくれるんだ～」

みなさん、提督をすごく信頼しているみたいなのです。
私はまだ、怖いひとっていうイメージしかないですけど…

電「あ、あの、文月ちゃんや長月ちゃんも、提督に叩かれたこと、あるのですか？」

今朝のことが強烈だったので、私は体罰について聞いてみることにしました。

文月「私はないよー。私は命令に逆らったりしないもん。それに体罰受けたことあるひとのほうが少ないくらいだよ」

電「え？なのです？」

長月「ああ、例え任務でミスをしても、怒られはするがぶたれたりはしないさ。」

そういえば皐月ちゃんも言ってました。わざとじゃない限り、失敗での体罰はないって。

電「で、でも龍田さんが、天龍さんはいつもぶたれてるって」

長月「ああ、天龍はぶたれるのが仕事だからな」

天龍「おい！それは違うだろ！」

それはそうでしょうね。ぶたれるのがお仕事なんて、天龍さんが変態さんになってしまうのです。

天龍「あいつは俺に特別きびしいんだよ。多分あいつのビンタ一番くらってるのは、俺だぜ？」

長月「天龍はあぶなっかしいんだよ。提督は天龍が無茶をしないように、しないように…とビンタで教育しているんだと思うけどね」

天龍「ふん。提督は俺らに甘すぎるんだよ。軍艦たるのも、死ぬまで戦ってなんぼだろ？」

文月「これだもんね～もう今朝の提督の言葉忘れてるよ。だから一番ぶたれるんだよ～」

天龍さんに、文月ちゃんも長月ちゃんもあきれ気味です。
なるほど、そういうことだったのですね。ちょっとだけ安心しました。
あんな体罰、私には耐えれそうにありません。見ただけですがトラウマになりかけてます。
[newpage]
天龍「だいたい、あいつは俺が…」

そう言いかけたとき、天龍さんの顔が急に真剣なものになりました。

天龍「電探に反応。敵艦かもしれない。長月、索敵準備」

長月「了解」

天龍「文月と電は燃料を迅速に動かせるよう準備。合図があったら急発進できるよう備えろ」

文月「了解です」

電「あ、はい。了解、なのです」

急な出来事にちょっとびっくりしました。
どうやら敵艦みたいです。私はここが危険な場所であることを思い出して急に怖くなってきました。
でも、訓練を思い出して、冷静に指示にしたがいます。うう～。ドキドキします。

文月「大丈夫だよ。合図があったら私についてきて」

電「はいです！」

文月ちゃんに励まされ、私も気合をいれなおします。

天龍さんが索敵を始めて、長月ちゃんもそれについていきました。
私と文月ちゃんが燃料を持って待機。
合図があったら、指示された方角に急発進です。
うう…敵艦ってどんなのでしょう。遅い艦だったらいいんですけど。

――――。

しばらくして、ふたりが戻ってきました。

天龍「………電探反応なし。一応索敵もしたが、見当たらなかったな」

長月「こちらも異常なしだ。どうやら気のせいだったようだな」

天龍「ああ。でも念のため気を付けて進むぞ。燃料も積んだし、早く帰還しよう」

一同「了解です！」

ふう。ひとまずよかったのです。
それにしても的確な指示と迅速な行動準備、流石です。
訓練の時とは全然違ったのです。早く私もできるようになりたいなぁ。

[newpage]
天龍「よし、作戦完了。艦隊無事帰投。みんなお疲れさん！」

一同「お疲れ様です！」

あれから何事もなく帰ってくることができました。一安心、なのです。

天龍「そんじゃ燃料を保管庫にいれて、ちゃっちゃと提督に報告しちまおうぜ。お腹もすいたしな」

文月「そうだね～そうしよう」

天龍「保管庫はこっちだ。運ぶぞ」

長月「了解だ」

これは初任務成功ってことでいいんですよね？
よかったのです。私でもお役に立てたのです。
まだまだみんなとは差があるけど、これから頑張って追いつくのです！

天龍「ここに収納だ。燃料を俺に渡してくれ。…よっと。……ん？」

天龍「あれ？電の燃料タンクだけ、ちょっと軽くないか？」

電「えっ？」

天龍「ちょっと待ってな。えーっと…あーーっ！？」

電「あ、あわわっ！」

文月「えっ？なになにどうしたのー？」

―――――。

提督「なるほど。電の運んでいた燃料タンクのひとつが蓋がなく、燃料が漏れていた、と。それで報告書より燃料がすこし少ないんだな」

天龍「ああ、燃料は半分以上残ってたから、多分ふたが緩んでて、運んでくる最中に落としちまったんだろう」

提督「そうか。それはまた珍しいミスだな。ふつうは匂いで気が付きそうなものだが」

電「うう…本当に、申し訳ない、のです」

情けないのです。蓋の閉め忘れなんて、ありえないミスなのです。本当に私はドジなのです。

電「本当にごめんなさいです！私のドジでみんなに迷惑をかけて、私みんなの足をひっぱちゃって…あの…ごめんなさい！ごめんなさい！」

天龍「まぁ電も初任務で緊張してたんだろう。敵艦遭遇の危険もあったしな」

提督「電」

電「は、はい」

提督「今、我が国では燃料が貴重なものになりつつある。まだ余裕があるにしろ、貴重な資源であるのには変わりない」

電「はい…」

提督「今後は同じミスがないよう、燃料の扱いには十分に注意しろ。確認を怠るな」

電「はい。ごめんなさい、です」

提督「よし、では天龍、電探の反応についての報告をしろ」

電「え？」

天龍「ああ、待ってな。今地図を出すから」

終わり…ですか？私への罰は…私は許されたのでしょうか？
[newpage]
天龍「このあたりで反応があったんだ。そういや前々回もこのあたりで反応があったな」

提督「うむ。なにかあるのかもしれんな。一応上にも報告しておくか」

電「あ、あの！」

提督「ん？なんだ電」

電「あの…私は…いいのでしょうか。私のせいで燃料が、その、なのに」

提督「…電。お前はわざとやったのか？」

電「え！？いえ、そんなことするはずないのです！わざとじゃないのです！」

提督「ならば仕方のないことだ。誰だってミスはある。ただし、次も同じ過ちをしたら罰を与えるぞ」

電「あ…はい、です」

許して、もらえたのです。それもこんなにあっさり…。
訓練のときだってもっといっぱい怒られました。なのにここでは、こんな、ちょっとびっくりです。

文月「電ちゃんは気にしすぎだよ～。初めてだったんだし、次からまた頑張ろうよ」

長月「うむ。同じミスを繰り返さないことが重要だ。失敗は誰にだってあるさ」

電「みんな…うぅ…ありがとう、なのです」

みんな、みんなやさしいのです。うれしくてちょっと涙がでちゃいます。
私、頑張ります。私だって頑張ればできるってこと、証明するのです！

天龍「そういや提督、蓋がないタンクどうするよ？一応中身は別のタンクにうつしたけど」

提督「燃料は揮発しやすいからな。密閉できないタンクは捨てるしかないだろう。邪魔だしな」

―――――邪魔――――――。

天龍「そうか？なんかもったいないな。とっといたらどうだ？」

提督「役に立たないものを置いておいても仕方ないだろう」

――――役に――立たない―――――――。

電「…！…ううぅ…」

頭が…痛いのです。頭が…痛くて…。

――――邪魔なんだよ！――――ドジばっかり！―――泣けば許されると思ってるの！？――――

違う、違うのです！

――――邪魔だ！―役立たず――ドジ！―役立たずはいらない――あんたってほんとドジね――みんなの足をひっぱらないでよ―――ジャマなのよ―あんたのせいで失敗したのよ！――お前のせいだ！！――――

電「違うのです！！！！」

天龍「うぉ！？びっくりした。どうした電？」

文月「電ちゃん？」

電「違うのです違うのです違うのです！私はみんなの役に立ちたくて―」

―――邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔―――

―――役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず―――

電「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ…うぐ、ゴホっ―――。」

私は口からあふれてくるものを抑えきれずに、そのまま座り込んで吐いてしまいました。
口を押えた両手の隙間から、口からあふれたそれが床に落ちて、べちゃっという不快な音を出しました。

天龍「おい電！？大丈夫か！？」

文月「電ちゃんしっかり！」　長月「電！しっかりしろ！」

みなさんごめんなさい。迷惑ばかりかけて、ドジでごめんなさい。役立たずでごめんなさい。

提督「電！！！！」

いつのまにか私の目の前にいた提督が、私のほほを両手でつかんで、顔を上げさせて、私の瞳を覗き込みながら、言いました。

提督「電。俺はお前に今回の任務を頑張れといった。お前はこの任務、頑張ったのだろ？違うのか？」

電「………はい。私、みんなのために、頑張りました。でも…」

提督「頑張ったならいい。お前は俺の言うとおり、任務を頑張ってくれた。俺の与えた任務にお前は答えてくれた。お前はここの役に立ったんだ」

提督の青い瞳が、私を見ています。
提督の言葉に、私の頭の中を覆っていた黒い霧が、晴れていった気がしました。
[newpage]
提督「落ち着いたか、電」

電「…はい」

私の返事に、提督は私のほほから手を放しました。

天龍「大丈夫か、電」

いつの間にか天龍さんも、しゃがんで私の背中をやさしく撫でてくれていました。
天龍さん…やさしい顔、なのです。まるで訓練の時一緒にいてくれたあの子みたいに…優しくて…あったかい感じ…です。

天龍「電。お前は気にしすぎだよ。俺もみんなも全然お前を攻めちゃいないし、役立たずとも思ってない。それに、燃料の７割は運んでこれたんだ。任務は成功じゃないか」

文月「そうだよ～みんな気にしてないよ？燃料も、電ちゃんのおかげで３人だった時より多く運べたんだよ。電ちゃんのおかげで助かったんだよ？」

長月「そうだ。みんなお前を攻めてない。私たちは仲間なんだ。失敗も今回運んでこれた燃料も、みんなの失敗でみんなの成果だ。」

電「はい…です。ぐす…ふぇえ…はぃ、なの…ですっ…！」

私は今度は目からあふれてくるものを止められなくなっていました。
すごくすごくあったかいです。みんなのあったかさで、溶けちゃいそうなのです。

提督「初めての任務で疲れただろう。風呂でも入って、疲れをいやしてこい。天龍、頼めるか？」

天龍「ああ。任せてくれ」

天龍「それでいいか？電」

電「ぐす…んっ…はい。お風呂、入りたいのです」

文月「じゃあ今度はみんなでお風呂に出撃しよ～疲れが吹き飛ぶよ～」

長月「そうだな。そうしよう」

遠征艦隊みんなでお風呂に行くことになりました。みんな優しいです。お風呂、楽しみです！

提督「………。」

提督「…皐月にもフォローするよう伝えておくか。あいつなら別の艦隊のヤツらにもうまく伝えられるだろう」
[newpage]
～閑話～

艦これでは、常に遠征を出しておくのが吉です。
遠征から帰ってきた艦隊に燃料を補給し、すぐにまた遠征に向かわせたほうが、資材を多く調達できます。

でも、長い遠征を終えて帰ってきた艦娘たちに、すぐにまた遠征に行って来い！と命令するのは、なんだかかわいそうな気がしてしまいます。

[newpage]
遠征任務に行ってきたみんなで、お風呂にやってきました。
さっそくみんなで入るのです！

電「うわ～とっても広いのです！」

おっきなお風呂が４つもあります！あと泳げちゃうくらい広いです！

文月「お風呂～お風呂～♪」

長月「ここの風呂は他の鎮守府と比べても大きい方らしいぞ」

電「はい！大きいのです！」

天龍「そうだろ～でかいだろ～。ここの風呂のでかさは自慢できるレベルだぜ！」

電「…はい。本当に…でっかいのです」

初めて会った時から思ってましたけど、天龍さんは本当にお胸が大きいのです。
何を食べたらあんなにおっきくなるんでしょうか？私も頑張ればこれからおっきくなるのかな…？
あと天龍さんはお風呂の時も眼帯は外さないんですね。

？？「本当にでっかいデスネ～。ミルクが絞れちゃいそうデス」

電「え？」

天龍「ひゃん！？」

誰かが天龍さんの背後から、天龍さんのお胸をわしづかみにしました。
おお～おっぱいが揺れているのです。本当におっきいのです。

？？「おやおや～これはまたおっきくなったんじゃないデスか？うらやましいのデ～ス」

天龍「こらやめろ！ひん！やめろってば金剛！」

金剛さん？に胸をもまれて、天龍さん変な声がでちゃってます。ちょっとかわいいです。

天龍「いい加減に。んん～～～///　くっ、いい加減に…しろ！！」

ﾄﾞﾝ！

金剛「Ouch！！！」

天龍さんのひじが金剛さんのおなかにめり込みました。痛そうです。

金剛「うぅ～も～天龍さんヒドイデ～ス」

天龍「金剛が変なことしてくるからだろ！毎回毎回いい加減にしろよ！」

金剛「HAHAHA～そうり～デース」

どうやらこの方が長門さんの言っていた金剛さんらしいです。
なるほど、お話に聞いた通り変わった方なのです。おもに話し方がですけど。

[newpage]
金剛「おや？見かけない顔がありますネ？どちら様デスカ？」

天龍「あぁ。コイツか？コイツは昨日からウチで任務に就くことになった電だ」

電「あ、どうも、電です。」

天龍さんに紹介されて、私は金剛さんに頭を下げてました。

金剛「そうでしたか～。私は英国で産まれた帰国子女の金剛デース！ヨロシクオネガイシマース！」

電「は、はい。よろしくお願いします」

金剛さんは元気ハツラツといった感じで挨拶してくれました。なるほど、片言なのは帰国子女だったからなのですね。（帰国子女なのを抜きにしても妙なしゃべり方ですけど）
それにしても…金剛さんも十分おっきいのです。ここはスタイルがいい人が多いなぁ。

天龍「そういえば金剛。お前今日は長門たちと出撃じゃなかったのか？」

金剛「出撃は午前中で、今さっき帰ってきたところデス。あ、今日のMVPは私だったんデスヨ？これで提督のハートゲットにまたいっぽ近づきました！」

天龍「またそれか。やれやれ、あんなカタブツのどこがいいんだか」

あの長門さんを抜いてMVPを？すごいのです。それにしても、長門さんと肩を並べるくらいのひとがいるなんて、ここのひとってあの話とは反対にすごいひとばかりなんじゃ…。

天龍「それじゃ体洗ってとっとと入ろうぜ。体が冷えちまうよ」

文月「金剛さん。金剛さん」

金剛「ん？どうしました？文月サン？」

文月「あのね。また髪を洗ってほしいな～と思って。いいかな？」

金剛「お～それくらいお安い御用デース。ついでに長月サンも洗ってあげますヨ？」

長月「私はいい。髪くらいひとりで洗える」

金剛「遠慮しなくていいデスヨ？さあ行きまショー！」

長月「うを！？い、いいと行ってるだろ！ひっぱるな！」

金剛さんは文月ちゃんと長月ちゃんを引っ張って行きました。髪を洗ってもらう…ちょっとうらやましいのです。

天龍「じゃあ俺が電の髪を洗ってやるよ」

電「え？いいのですか？」

天龍「ああ。来な。背中も流しあっこしようぜ？」

電「は、はいです！」
[newpage]
天龍さんが私の頭をやさしく洗ってくれてます。天龍さんは見た目は全然違うけど、訓練生のとき一緒だったあの子と雰囲気が似ています。優しくて頼りがいがあって、いっしょにいるとこころがぽかぽかしてきます。

天龍「なぁ、電」

電「はい？」

天龍「さっきの提督室でのことだけどな」

電「！　…はい」

天龍「お前の様子、ただ失敗を悔いているにしちゃおかしかった。いったいどうしたんだ？」

…そうですよね。みなさんに迷惑をかけてしまいましたし、話さなくてはいけないことです。
でも、あのことを思い出すと、今でも胸が苦しくなります。

電「…お話します。さっきは、嫌なことを思い出してしまったのです」

天龍「嫌なこと？」

私は手を胸に当て、覚悟を決めて、話し始めました。

電「はい。私は理由があって、訓練を遅くに終えました。私は訓練生の時に――」

天龍「…いや、やっぱり話さなくてもいい」

電「えっ？」

でも、天龍さんはあえて私の話をさえぎりました。

天龍「誰にだって、聞かれたくない過去や思い出したくもない嫌な出来事はある。」

天龍さんは眼帯に手をあてて、ちょっと切なそうな表情を浮かべていました。私はなんとなくその表情を見てはいけないような気がして、よそ見をして見えなかったふりをしました。

天龍「俺がさっきのことを聞いたのは、電からそんな過去の話を聞こうと思ったからじゃない。俺が言いたかったのは、お前に何があっても、俺たちはお前の仲間だってことだ」

仲間。私には難しい言葉です。

電「仲間…ですか」

天龍「そうだ。それにな、過去の出来事を気にする必要なんて、全然ないんだぜ？」

天龍「お前は入ったばかりだから知らないかもしれないが、ここにいる連中はわけありのヤツが多くてさ。俺もここに来る前にちょっとやらかしちまって、ここには途中から入ったんだ」

天龍「ここは俺の他にも途中から来たやつが多くいる。つまり１度失敗してここでやり直してる奴が多いんだ。だから、過去の失敗にとらわれることはないんだよ。みんなここで再スタートしてんだからな」

天龍さんは私が嫌な思いをしないように、あえて話をさえぎって、それで励ましてくれました。
どうやったらこんなにもひとを気遣うことができるんでしょうか？
天龍さんは本当にやさしいひとです。

天龍「だからさ、お互いに頑張ろうぜ。昔のことなんて気にすんな！」

電「…天龍さん。ありがとうごさいます。本当にありがとうございます！」

私は天龍さんに何度も何度もお礼を言いました。
天龍さんはそんなになんどもお礼を言われることしてなぜ？なんて言ってましたけど、天龍さんのお話は私を救ってくれた気がしました。
[newpage]
～閑話～

天龍の眼帯の下がどうなっているのかは諸説ありますが、私は古傷があるという設定が好きです。
ただのおしゃれでしているという設定も可愛くていいですけどね。

個人的には「フフフ、怖いか？」と言いつつ、眼帯がないと駆逐艦のみんなに本気で怖がられてしまうため、眼帯をつけてみんなを気にかけつつ怖さを演出してドヤ顔の天龍…という設定が大好きです。

[newpage]
執筆中です。
※お話を一部修正しました。

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