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倒壊危険空き家「撤去を」近隣住民がSOS 仙台
 | 倒壊の危険がある若林区の空き家。隣の幼稚園(白い壁の建物)との間隔は数十センチほどしかない |
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仙台市若林区の住宅街に倒壊の危険がある一軒の空き家があり、近所の住民から取り壊しを求める声が区役所に寄せられている。塀一枚を隔てた隣に幼稚園があり、「園児がけがでもしたら大変」と園関係者が特に不安がっている。区も危険を認識しているが、空き家の所有者を特定できないため手をつけられないでいる。
区などによると、空き家は木造2階建てで敷地面積は約80平方メートル。少なくとも築60年以上が経過している。登記簿上の所有者は既に死亡し、家は4、5年前から無人の状態。相続権を有するとみられる親族の男性は、数年前から行方が分かっていない。
家は老朽化が激しく屋根や外壁が一部崩れている。2階のベランダにはごみと思われる紙類や布類が大量に放置され、壊れかけた柵から落ちそうになっている。近所の人によると、ネコが何匹かすみついているらしい。
区は昨年、(1)倒壊の危険がある(2)住居として使用できない−などを屋外から確認し、市の基準に基づき、著しく保安上の危険がある「廃屋」と判定した。区は親族の男性と話し合おうと、空き家に張り紙するなど呼び掛けているが、1年以上たっても連絡はない。
空き家は私有財産に当たり、行政が無断で処分することはできない。若林区区民生活課は「区内の空き家で最も深刻なケースで、以前から心配している。所有者の特定に全力を挙げる一方、巡回などで住民の安全を確保したい」と説明する。
隣の幼稚園は数年前から空き家の危険性に気付き、行政に対応を求める一方、強度の高い窓に替えるなど、倒壊に備えて園舎を改修した。空き家の周囲は以前、虫取りなど子どもの遊び場になっていたが、今は空き家側に出られないよう園の裏門を閉鎖している。
幼稚園関係者は「知り合いの大工に、いつ倒壊してもおかしくない、と言われ心配でならない。園児の身を守るためにも早く撤去してほしい。事が起きてからでは遅すぎる」と訴える。
<仙台市の空き家>市によると、8月末現在、管理に問題がある空き家は市全体で430件。うち53件は所有者を特定できないなど「対応が困難」とされる。廃屋は市内に8件、若林区内に2件ある。市議会は空き家対策条例の制定を目指し、8月にまとめた条例骨子案に、倒壊の恐れがある家屋を市が撤去できる行政代執行の項目を盛り込んだ。ただ、所有者不明の家屋は代執行の手続きができず、行政に対しては、シートで覆うなど応急措置が認められる程度になる見通しだ。
2013年11月18日月曜日
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