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福島市長に小林氏 大差で現職破り初当選
 | 小林 香氏 |
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任期満了に伴う福島市長選は17日、投票が行われ、即日開票の結果、無所属新人で元東北環境事務所長の小林香氏(54)が、4選を目指した無所属現職の瀬戸孝則氏(66)=自民・公明・社民推薦=、共産党新人で党地区委員長の山田裕氏(58)を大差で破り、初当選した。
福島県内の主要市長選では4月の郡山、9月のいわきに続く現職落選となった。
小林氏は福島第1原発事故からの復興策として除染の迅速化や企業誘致をアピール。環境省勤務で培った人脈や経験を生かした市政改革を訴えて組織力の薄さをカバーし、票を伸ばした。
小林氏は「市が抱える問題に真正面から取り組み、市民に向き合う姿勢が評価された。除染廃棄物の仮置き場を早く設置し、除染を加速させる」と述べた。
瀬戸氏は3期12年と原発事故対応を指揮した実績を強調。与党など3党の推薦を受けて組織戦を展開したが、復興遅れに不満を持つ有権者の批判を浴びた。事務所で「私の至らなさが全ての原因。皆さまの支援に感謝したい」と語った。
山田氏は国内原発の即時廃炉や市民の健康管理策の強化を訴えたが、広がりに欠けた。
福島市は原発事故の避難区域外ながら放射線量が比較的高い。現在も子育て世代を中心に約6000人が市外に自主避難し、選挙では住民帰還の行方が焦点になった。当日の有権者は23万1791人。投票率は49.10%で前回を10.92ポイント上回った。
福島市長選開票結果(選管最終)
当 72,441 小林 香 無新(1)
32,851 瀬戸 孝則 無現
7,620 山田 裕 共新
<こばやし・かおる> 中大卒、英サセックス大修士課程修了。88年に旧大蔵省に入り、財務省国際金融局を経て02年から環境省勤務。東北地方環境事務所長を務め、13年7月に退職。伊達市出身。54歳。
◎県都でも現職落選連鎖
【解説】福島市長選で現職の瀬戸孝則氏が敗れた。郡山、いわきの福島県内主要市長選で続く現職落選連鎖の嵐は県都でも吹き荒れた。
敗因は福島第1原発事故からの復興遅れに対する市民の不満が現職への批判票となって表れたことに尽きる。組織力のない新人の小林香氏が大差で当選したことからも、民意の風向きが読み取れる。
原発事故では14万人以上の県民が避難生活を送る。福島市は原発から約60キロ離れ、避難区域ではないが、約6000人の市民が放射能に不安を抱き、自主避難している。
東日本大震災の被災3県で津波被害がメーンの岩手、宮城両県は程度の差はあれ、復興に向けた歩みが進む。しかし、原子力災害を受けた福島県の被害は今も進行中だ。県民や市民は「どこが底か分からない」という絶望感から、投票行動で鬱憤(うっぷん)を現職にぶつけたと受け取れる。
現職落選連鎖は来年11月に予定される知事選も例外ではない。佐藤雄平知事は去就を明らかにしていないが、3選出馬の環境は悪化している。(福島総局・山崎敦)
2013年11月18日月曜日
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