時事通信 11月16日(土)8時33分配信
中国の習近平共産党総書記が就任して15日で1年。当初は「改革派」への期待も強かったが、1年間を通じて見えてきたのは、腐敗の深刻化に何度も警告し、「党も国家も滅びる」と危機感を強める顔と、体制に異を唱える声を徹底的に弾圧する保守強硬派の姿だ。既得利益層が優遇され、庶民は改革の恩恵を受けられない社会に不満が爆発する中、共産党崩壊への不安が日増しに強まっている表れでもあり、習氏は「権力集中」体制を構築することで危機を乗り切ろうとしている。
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◇後退した既得利益層改革
党18期中央委員会第3回総会(3中総会)が閉幕した翌日の13日夜。国営新華社通信などは習氏の改革への強い決意を示す発言を伝えた。「古い問題が解決すれば、新たな問題がまた発生する。改革は一回で成功しない。また一回苦労すれば、もう楽ができるというものでもない」
しかし3中総会の結果を見ると、前評判に比べ国有企業改革など既得利益層に対する改革は後退したとの印象が強い。共産党関係者は「江沢民(元総書記)らの影響力は残っている。党内バランスを考える必要がある」と明かした。
結局、3中総会の目に見える成果は、内外の治安維持を統括する「国家安全委員会」と、改革の司令塔となる「中央改革全面深化指導小組」という二組織の立ち上げ。習指導部が「安定」「改革」を二大緊急問題と見ている表れであり、党関係者によると、両組織トップに習氏が就く予定だ。党主導の下、李克強首相率いる国務院(中央政府)は単なる「経済政策実施機関」に成り下がった感が強まった。
◇言論統制強化と活動家拘束
習指導部の引き締めが強まった一つの契機は、8月19日の「全国思想宣伝工作会議」での習氏の重要講話だった。消息筋によると、習氏はこう訴えた。「インターネットは既に世論闘争の主戦場になった。われわれが耐え切り、勝利できるかが、わが国のイデオロギーや政権の安定に直接関わっている」
この発言以降、ネット上での言論統制は一層強くなり、「(反体制的な言動で)習総書記就任後1年間で拘束された活動家らは、胡錦濤前政権の後半5年間の人数を大きく超えた」(人権活動家)という。
今後の焦点は経済の行方。大きく減速すれば、社会不満はさらに噴出し、政権の安定を脅かす可能性は高い。人権派弁護士の唐吉田氏は「政治はさらに集権を強め、経済面では既得利益集団を微調整するだけにとどまる」と解説、経済面も含めて大きな構造改革には踏み出せないとみる。
改革派歴史学者は「(共産党は)今や改革の機会を逸した。人には手術で徹底的に病気を除去する手法と、薬や注射で最後まで持たせる治療法があるが、習指導部では後者が選択肢になっている」と語った。(北京時事)
最終更新:11月16日(土)14時15分
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