韓国側には、「訪韓時にアピールしたばかりなのに、アメリカは日本に事実上の(歴史認識に対する)免罪符を与えた」(青瓦台関係者)と映った。それでもアメリカ側は気にかけるそぶりを見せていない。オバマ政権内部の変化について米シンクタンクの研究員の一人がコメントする。
「オバマ政権は歴史認識で安倍政権には問題があると考えている。ただし、朴大統領が歴史認識に執着しすぎていることも問題だと認識し始めた。反日を掲げなければ国内世論がまとまらないという彼らの事情は百も承知だ。
朴大統領を取り巻く国家安全保障や外交、経済問題を担当する政策立案者たちはいったいいつまでこんなことを大統領にやらせているのか。日韓が反発し合うことがアメリカの国益にならないことがわからないのだろうか」
批判は、ワシントン在住の韓国系研究者からも出始めた。その一人が、ハーバード大学ケネディ行政大学院が発行する「コリア・ポリシー・レビュー」編集主幹を務めた経験を持つジェイソン・イム氏だ。
同氏は、筆者とのやり取りで、「慰安婦問題で日本の天皇に謝罪せよと要求しても土台無理なことははっきりしている。今、韓国がやるべきことは元慰安婦たちに日本の謝罪を受け入れさせることだ。日本人を許すことで、軍国主義下で犠牲になった多くの日本人と過去の苦しみを分かち合う。そしてこうしたことが二度と起こらないよう日韓両国民が誓い合うことだ」と提案している。
朴大統領の「アメリカを怒らせて日本をこらしめてもらう」という狙いは、あまりに姑息かつ執拗に繰り返されたことで反発を生んだ。
※SAPIO2013年12月号