「お金は……ないです」
業務上横領容疑で14日逮捕された坂本芳信容疑者(56)は、そう話していた。坂本が事務長を務めていた長野県建設業厚生年金基金の使途不明金は約24億円。今月1日に逃亡先のタイで身柄を拘束された時の所持金は、わずか2万円だった。坂本は元愛人に「もう殺してほしい」と頼んだらしいが、そりゃ考えが甘すぎる。
「坂本が横領に手を染め始めたのは05年ごろからで、長野市の郊外で家賃月5万円の借家暮らしをしながら、その裏で出張と偽って上京し、銀座や六本木の高級クラブで豪遊。1500万円の腕時計を身に着けたり、気に入った女のコに店を持たせたこともあったそうです」(捜査事情通)
放蕩(ほうとう)の限りを尽くしたからには、きっちり罪を償ってもらわないと、被害者だって怒りが収まらない。が、どうにも納得できない“結末”になりそうなのだ。
「業務上横領は併合罪が適用されるので、最長で懲役15年。民事でタイの女性たちにも返還請求することはできますが、“青森アニータ事件”を見て分かる通り、実際に回収するのはかなり難しいでしょう」(紀藤正樹弁護士)
青森県住宅供給公社を舞台にした横領事件の被害額は14億4600万円。01年に逮捕された経理担当の男は懲役14年が確定した。
「チリに建てたアニータの豪邸を強制的に回収するなどしましたが、最終的に取り戻せたのは5000万円ほどとされています」(関係者)
<60代後半でシャバに?>
坂本は行方をくらます10年9月まで、タイには30回近く女漁りに出かけていた。飛行機はいつもファーストクラス、ホテルはスイートルーム。毎日違う女を抱き、ロレックスの腕時計や60万バー