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公共放送―政治では変えられない

これで公正・中立な公共放送が保たれるのだろうか。NHK経営委員に作家の百田尚樹氏ら5人(うち再任1人)を充てる人事が国会の同意をうけ、経営委員会の顔ぶれが変わった。新任[記事全文]

JR北海道―早く経営の刷新を

泥沼の深さに言葉を失う。JR北海道の保線部署で、レール幅の検査値が改ざんされていたことがわかった。国の特別保安監査が入る直前で、異常を指摘されるのを避けるためだったとみ[記事全文]

公共放送―政治では変えられない

 これで公正・中立な公共放送が保たれるのだろうか。

 NHK経営委員に作家の百田尚樹氏ら5人(うち再任1人)を充てる人事が国会の同意をうけ、経営委員会の顔ぶれが変わった。新任の4人は百田氏をはじめ、哲学者の長谷川三千子氏ら、いずれも安倍首相と近い間柄だ。

 安倍色の濃い人事に、野党は「経営委の私物化だ」と反発した。NHK内部では「これほど首相に近い人物をそろえた露骨な人事は前例がない」と職員らが不安を募らせている。

 経営委はNHKの経営をチェックするとともに、現場のトップである会長の任命権をもつ。定数12の経営委員のうち9人以上の賛成がないと会長には就任できない。

 松本正之会長の任期は来年1月で切れる。政権内には、最近のNHK報道が原発やオスプレイの問題で反対の方に偏っているとの不満がくすぶる。そんな折の人事。公共放送への政治介入が疑われかねない。

 こんなことがあった。第1次安倍政権だった2007年、首相と親しい古森重隆・富士フイルムホールディングス社長(現会長)らが経営委員になった。委員長に就いた古森氏は経営委で「選挙中は歴史ものなどでいつも以上に注意を」と発言し、番組介入との批判を浴びた。

 当時、相次いだNHKの不祥事の対策として経営委の監督機能強化を柱に、放送法が改正された。同時に改正案には、経営委員が個別番組の編集に介入することを禁じる項目が盛り込まれ、08年から施行された。

 そして今回の人事である。番組編成や役員人事に大きな権限をもつ会長を通じ、NHKの番組内容や報道姿勢に影響力を行使しようという意図があるなら、放送法改正の趣旨に逆行すると言わざるを得ない。

 視聴者が期待するのは、政治に左右されない不偏不党の公共放送だろう。NHKトップには、受信料を納得して払ってもらえる番組づくりに専念できるよう、現場環境を整えるリーダーシップが求められる。

 一方、経営委員について、放送法は「公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者」を、衆参両院の同意を得て首相が任命すると定めている。

 首相と親しいからといって、よもやその意を体して会長を決めるようなことはあるまい。良識が発揮されると期待する。

 放送現場や視聴者の支持を抜きにして、公共放送を変えることはできない。

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JR北海道―早く経営の刷新を

 泥沼の深さに言葉を失う。JR北海道の保線部署で、レール幅の検査値が改ざんされていたことがわかった。

 国の特別保安監査が入る直前で、異常を指摘されるのを避けるためだったとみられる。「会社のためと思ってやった」と語った社員もいたという。

 監査妨害は鉄道事業法に触れる可能性がある。いや、それ以前の問題として、レールの異常は放置し続ければ列車の脱線につながりかねないものだ。

 現場社員が、何をおいても守るべき安全より会社の体面を優先したのであれば、もはや公共輸送を担う資格はない。

 深刻なのは、JR北の経営陣が、事態に対処する能力を明らかに失っていることだ。

 野島誠社長は、保線業務の改善策を検討する外部専門家の委員会を設ける方針を示した。

 だが、レール異常の放置が発覚してからほぼ2カ月たつのに、まだ発足していない。対応の鈍さにあきれるが、経営陣が問題の根深さをいまだ理解していないように見えるのが、いっそう気にかかる。

 JR北では今年だけでも、列車の出火・発煙や運転士の覚醒剤使用など、深刻な不祥事が続いている。今回の改ざんも、病根はつながっていると考えるべきだ。保線業務だけの問題とみなしているなら、根治はとうていおぼつかない。

 05年にJR宝塚線脱線事故を起こしたJR西日本は、数々の批判を踏まえて、外部専門家がすべての安全策を見直す安全諮問委員会を設けた。

 今のJR北は、いつ重大事故が起きてもおかしくないリスクを抱えている。国の指導で、JR東日本から社員8人を期間限定で受け入れたが、その程度ではまったく不十分だ。

 経営の構造から社員のモラルまで、多くの分野に精通した外部専門家を集め、社内の問題点を徹底的に洗い直すべきだ。

 野島社長は「安全な鉄道をつくりあげるのが私の使命」と述べ、辞任を否定した。10年ぶりの技術系出身トップとして6月に就任し、改革は緒についたばかりとの思いがあるのだろう。

 ただ、毎日35万人以上が使う道民の足の立て直しは待ったなしだ。社内の人心一新は避けて通れまい。

 経営基盤が弱いJR北は今も事実上の国有企業で、毎年の事業計画や役員選任は国が認可している。事故が起きれば、間違いなく国も責任を問われる。

 禍根を残さないよう、国がもっと前に出て、一刻も早く経営陣を刷新すべきだ。

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