除染遅れに市民の怒り
<福島市長選新人圧勝>除染市町村任せのツケ
任期満了に伴う福島市長選は17日投開票され、東京電力福島第1原発事故に伴う除染の促進などを掲げた無所属新人の元環境省東北地方環境事務所長、小林香氏(54)が、自民、公明などの支援を受けて4選を目指した無所属現職の瀬戸孝則氏(66)に倍以上の票差をつけて初当選した。(毎日新聞)
新人候補 小林香 72,441
現職候補 瀬戸孝則 32、851
共産党 山田 裕 7、620
昨日行なわれた福島市長選挙において現職候補が新人候補にダブルスコアで負けるという結果になったが、市民の誰もが驚かず当然の結果と受け止めた。現職候補には自民・民主・社民・公明などが推薦していたが、組織は何の役にも立たないどころか各政党に対しても批判が現れた形となった。
福島は危険だから児童は疎開すべきだなどと無責任な活動を煽っていた日本共産党はやはり惨めな結果となった。得票数は前回の1万6千票台から半減し7千602票に終わり、供託金まで没収された。
「日本から原発をなくす」「暮らしと命を守る」などと言ってきた日本共産党にも全く支持が集まらなかった。福島市民は反原発の日本共産党など全く支持していないことがこれで明らかであり、首都圏などで反原発派が「福島市民の為に活動している」などと言ってもそれは嘘であり、党利党略で福島の名前を持ち出していることが証明された。
特に投票率が低迷する中において、各政党が推す候補者が新人候補にこのように大差を付けられたことは、現在の状況を打開する上で与野党共に全く信頼されていないと言うことだろう。大きな組織は市民の声を汲み取ることが最初から出来ないでいた。
現職が圧倒的に優勢だろうとしか判断出来ず、安易に現職候補に乗ってそれで安全策とした。そこには福島の未来へのビジョンもなければ、閉塞感を打破しようとする気概も全く感じられなかった。
私はこのような選挙戦に一石を投じる意味で創刊したばかりの「復興ニュース」3号目を市内に多数配布した。福島市が進めている除染がいかにデタラメであるかを徹底的に批判、現職候補への批判となったが、それもやむ得ないと判断した。
除染の遅れそのものも問題だったが、その手法は他の市町村と比べてもいい加減なものだった。大手ゼネコンだけが膨大な利益を得て、地元の業者は下請けで苦労ばかりさせられる。作業員は過酷な仕事をする割には恵まれない。
一番悪いのはただ椅子に座っている役人だった。投票前日の土曜日にもこんなことがあった。福島市の消防署の向かいの駐車場を水洗いしており、その水が側溝に垂れ流されていた。本来であればこの垂れ流し方式は汚染水が側溝に流れ込むので、他の市町村では採用していない。
しかし、福島市の場合はどう言う訳か、それは環境省のガイドラインで禁じられているわけではないなどと言い張って、この汚染水垂れ流し方式を変えようとはしなかった。側溝にはゼオライトを設置するので、セシウムはそれで除去されるなどと説明していた。
ところがそれは嘘でゼオライトなど側溝には使っていなかった。アスファルトにしみこんだセシウムを高速洗浄機で洗い流すのは良いが、それを側溝に垂れ流していれば側溝の放射線量が高くなるばかりである。
市役所は直接汚染水を垂れ流ししないように指導していると居直り、側溝にはゼオライトを敷いてから作業を行なっていると取材には答えたが、その様子は全くなかった。この日丁度現場に遭遇したので、役所に電話を入れそのゼオライトを敷いている箇所を指摘させるつもりで電話した。
ところが電話に出た職員が言うには「土曜日で除染対策課は休みです」と答えだった。「一人もいないのか?」の質問には「誰もいません」の一言である。数百億円も国民の税金を使ってやっている仕事で、土曜日にも作業員は仕事をしているのに、お役人はのんびり家で休んでいる。
こんな市役所の対応を許していたのだから、現職が大差で負けるのは当然である。責任を取って辞めるべきは現職市長だけではない。デタラメな除染を行なってきた役人達にもそれ相応の責任を取らせるべきと思っている。
地元だけにこの問題は今後も徹底して追及して行く考えです。勿論新人市長が同じように能力がないとなれば容赦はしない。