18番でパーパットを沈め笑顔でギャラリーの声援に応える横峯さくら=千葉・グレートアイランドCで(武藤健一撮影)
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◇伊藤園レディス<最終日>
▽17日、千葉県長南町・グレートアイランドC(6639ヤード、パー72)▽晴れ、気温19・1度、風速5・1メートル▽賞金総額9000万円、優勝1620万円▽55選手(うちアマ2人)▽観衆5606人
ついに抜いた! 1打差4位から出た横峯さくら(27)=エプソン=が4バーディー、ノーボギーの68で回り、通算10アンダーで逆転優勝を果たした。10月のマスターズGCレディース以来の今季4勝目。これで賞金ランキングでは森田理香子(23)=リコー=を抜き、トップに立った。1打差の9アンダー2位に吉田弓美子(26)=イーグルポイントGC、8アンダー3位に服部真夕(25)=LIXIL=ら4人が入り、森田は6アンダー10位だった。
過去3年間、韓国勢に渡し続けた賞金女王の座は、日本の花・さくらが取り返す。鮮やか逆転劇でさくらがシーズン4勝目を射止め、2010年7月の日医工女子オープン以来1232日ぶりに賞金ランクトップに立った。そして、6月のサントリーレディス終了時に最大となる約4338万円差があった森田をついに抜き去り、逆に1170万円近い差をつけた。
V戦線の各選手がスコアを伸ばしながらの大混戦。最後は、ボギーを打たないさくらが制した。最終成績10位以内の11選手で、この日オーバーパーをたたいた選手は1人もいない。だが、ボギーもダブルボギーも出さなかったのはさくらだけ。3番パー5で1つ目のバーディーを決めると、8番から6メートル、5メートル、8メートルのパットを次々に沈め3連続バーディー奪取。これで試合を決めた。「きょうはショットがあまり思うようにならず、ずっとティーショットが右に行ってた。でもセカンドショット以降でカバーできたし、長いパットが入ってくれた」と話した。
シーズン後半、さくらのキーワードとなっているのは「OKライン」。メンタルトレーニングの中で使われる造語で「自己肯定感を持つか、否定感を持つかを分けている自分自身の中の評価ラインのこと」だそうだ。
最終18番の第2打で、さくらは「以前ならピンを狙うところを、とにかく安全にグリーンに乗せて、最悪3パットボギーでプレーオフでもOK」と考えたという。「2年前の最終日に首位タイから池ポチャして負けたことも頭をよぎりました。でもそういうマイナスイメージも、無理して打ち消さない。今の自分のありのままでプレーすればいい、って」という。
3日間でボギーがわずか1つというゴルフも、その考え方のたまもの。「私自身の心の整理ができてる。欲とか出てきた感情に対して、自分ができるかできないかをしっかり考えた上でプレーしてるから」。残り2試合。追われる立場に変わっても、動じることはないようだ。(月橋文美)
◆賞金女王の行方 さくらの伊藤園レディス優勝で、残り2戦に賞金女王の可能性を残すのはランク6位のアン・ソンジュまでの6選手に絞られた。このうち、4位の佐伯三貴以下3選手は次週の大王製紙エリエールでの優勝が必須。万が一、さくらが同大会予選落ちもしくは欠場となった場合でも、3位・吉田は単独2位が必須。逆にさくらが同大会で優勝した場合は、森田が6位以下なら最終戦を待たずさくらの女王が決定する。
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