当記事では、2013年11月に行われたニコニコ静画のリニューアルに伴って生じた問題について述べる。
概要
ニコニコ静画のサービス開始からちょうど4年目となる2013年11月14日昼頃、ニコニコ静画の大幅リニューアルが発表された。これによりイラストのトップページやタグ検索ページ、イラスト閲覧ページが従来とは全く異なる形式に変更された。またスマートフォン用のページも新たに開設された。
本日11月14日(木)に「ニコニコ静画
」が4周年を迎えることを記念して、
イラストコーナーが大幅にリニューアルしました!!
イラストコーナーのTOPページや、イラスト表示ページなどデザインを一新!
好みのイラストを見つけやすくなり、ニコニコ静画をもっと手軽にお楽しみいただけるようになりました★
さらにスマートフォン向けのページもオープン!
スマートフォンでもより快適にご利用いただけます。
新しい「ニコニコ静画」のイラストコーナーをぜひお楽しみくださいませ!
これからもニコニコ静画をよろしくお願いいたします!
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スマートフォン版は、スマートフォンで"ニコニコ静画"を検索し、
イラストコーナーからスマートフォンモードで閲覧するか、URL:http://sp.seiga.nicovideo.jp/illustに
アクセスしてくださいね!
問題点
リニューアル直後から要望掲示板やニコニコ大百科・2ちゃんねるの静画スレ、Twitterなど各所で問題点の指摘や不具合の報告が大量に上がり、一帯は静画ユーザーの阿鼻叫喚に包まれた。
リニューアル手法
イラストページ
- これまでイラストの上部に表示されていたタイトル・キャプション・タグ・投稿者プロフィール等の情報がイラストページの下の方に移された。そのためこれらの情報を見るためにいちいちページを大きくスクロールしなければならなくなったほか、いわゆる「キャプション芸」や「そしてこのプロフ絵である」ネタを楽しみにくくなった。
→ 2013年11月16日、タグ以外の情報がイラスト上部に表示されるように修正、投稿者プロフィールはイラスト上部と下部の2か所に表示 - イラストページの背景が白地から灰色に変更されたが、イラストに悪影響を与えるとの声が多い。
→ 2013年11月16日、イラスト・コメント・タグの表示部分などを白地に変更、ページ全体は灰色を維持 - 大きな画像をブラウザサイズに合わせた拡大率で見ることができなくなり、イラストページのデフォルトサイズか元々の画像サイズでしか見られないようになった。
- イラストページ上の「gifアニメを再生」ボタンをクリックしてgifアニメを見ると、アニメの左上部分以外が消えた状態で再生される(イラストをクリックして別ページで閲覧すると全体が再生される)。
→ 2013年11月15日修正 - 最新コメントの表示件数が10件から7件に減少した。また省略されたコメントを読む際に専用ページに飛ばされるため、省略されたコメントを読みながらタイトル・キャプション・タグ等をチェックすることができなくなった。
→ 2013年11月16日、最新コメントの表示件数を10件に変更 - 省略されたコメントを読む際にスクロールバーが右端の文字を半分隠してしまう。
→ 2013年11月15日修正 - コメント中の静画リンク機能(「im○○」とコメントすると自動的にリンクが貼られていた)がなくなった。
- イラストページ下部にある「投稿者の他のイラスト」欄の表示件数が7件から4件5件に減少した。
→ 2013年11月16日、4件から5件に変更 - イラストページ下部にあった「関連度の高いイラスト」欄が削除され、代わりに「人気のイラスト」欄が追加された。もっとも人気イラストはランキングページに行けば見られるため不要であり、全く無関係なイラストを見せられるのは不快との声も多い。なおスマートフォン版では「関連するイラスト」という項目名で関連イラスト表示が残されている。
- ニコニコ大百科のお絵カキコを大百科経由で投稿した際に、イラストページに当該大百科の掲示板へのリンクが付かなくなった。
- ニコニコ市場が下部のバナー広告よりさらに下に移された。
検索ページ等
- タグ検索ページのサムネイルが縦長になり、横長の画像は構図を無視して両端を大きくカットされるようになった。また基準以上に縦に長い静画は構図を無視して下部分をカットされるようになった。
- タグ検索ページで閲覧数・コメント数・クリップ数のデータがマウスオーバーしないと表示されなくなった。
- タグ検索・定点観測・投稿イラスト一覧ページに最新コメントが表示されなくなった。
- タグ検索からワンクリックでキーワード検索に切り替えることができなくなった。
なお検索ページのうちキーワード検索はリニューアル前のものがそのまま残されている(2013年11月16日時点)。
Internet Explorer での閲覧時の不具合
動作環境やIEのバージョンによって異なるものの、以下のような不具合が報告されている。
なおこれらの不具合は互換表示をオフにすると解消されるという報告も上がっているが、逆に互換表示をオフにしたところコメントが見えなくなる等の新たな不具合が生じたとの報告もある。また一度ログアウトしてIEを再起動してからログインしなおすと治ったとの報告も上がっている。
以上のような問題点が次々に指摘され、要望掲示板や大百科の掲示板はリニューアル前の状態への復元を求める静画ユーザーの声で溢れかえることになった。また11月16日15時時点ではニコニコ春画のイラストページがリニューアル前の状態で残されており[1]、そちらと比較してリニューアル前の良さを思い知ったという声も多く見られた。
動画の新バージョン「ニコニコ動画:GINZA」と原宿廃止問題に関する不満が鬱積する中で行われた本件静画リニューアルにより、ニコニコ運営陣への批判が一層強まることは避けられないとの見方が広まっている。
改善点
現状ではリニューアルに否定的な意見が大半を占めているものの、一部の新要素を評価する声も見られる。
- コメント入力時に現在の文字数と最大文字数(60文字)が表示されるようになった。
- 投稿者コメントが自動的に色分けされるようになった。
- イラストの投稿者ページから投稿マンガへのリンクが付くようになった(従来もマンガからイラストへの導線はあったが、その逆はなかった)。
なお「一般会員もhtmlタグを使用したキャプションを投稿できるようになった」「一般会員も再投稿できるようになった」との報告が上げられている一方、これらの要素は実際には機能していないとの指摘もある。
対策
運営への要望
2013年11月16日付で意見・要望用のフィードバックページが新設された。イラストページの中央右(クリップの真下)のリンクボタンから移動できるほか、右のリンクから直接飛ぶことも可能。 → ニコニコ静画へのフィードバック
またこれまで通り右掲示板の該当スレッドへ意見・要望を寄せることもできる。 → niconicoへの要望掲示板
ユーザーによる対応
ユーザー有志によってリニューアル前に近い状態で閲覧するためのCSS等が開発されている。
- ニコニコ静画を従来のスタイルにしてみた。
- doco.dake.氏開発
- MOD_Seiga
- segabito氏開発
- ニコニコ静画の表示改変方法β版(Chrome+Firefox+Opera)
- saikai氏開発
運営側の反応
ユーザーからの批判が殺到したことを受け、リニューアルの翌日からイラストページの新要素の一部を従前のスタイルに戻す方向で譲歩がなされた。とりわけ反発が多かったキャプション等の下方移転に関しては、タイトル・キャプション・投稿者プロフィールを最上部に戻し、タグをイラストの直下に置くという折衷的な解決策が採られた。
一方で同様に反発が多く見られる「タグ検索ページのサムネイル両端カット」「関連イラストの廃止と人気イラストの追加」については2013年11月16日時点ではそのままの運用が続けられている。元々今回のリニューアルは「スマートフォン基準を採用する」「人気イラストを前面に押し出す」という2点を柱としており、それぞれと密接に関わりのあるこれらの新要素はなかなか復元に応じがたいのではないかと推測されている。
こうした中、ドワンゴ社員でニコニコ静画(電子書籍)の担当者である「まさらっき」氏が自身のTwitterでリニューアル前への復元を求めるユーザーを激しく批判し、物議を醸した。なお「まさらっき」氏の発言が事実であるならば、今回のリニューアルはドワンゴ内部ではかなり高い評価を得ていたようである。
(リニューアル直後)
「つーか静画の新しいUIめちゃめちゃ速いんだけどなにこれ凄い」
「静画のspもカッコイイなこれ」
「静画のリニューアル超絶見やすくなっててヤバい」(キャプション位置等復元直後)
「せっかく凄い良かった静画のリニューアルが色々戻されてる まさに目の前で」
「ほんとUIの変更を妨げる層は害悪だわ 全員殺して回りたい」
「ファーストビューに絵が全部出た方がいいに決まってんじゃねえかクソがッ」
「動画とかスクロールしないと上半分しか見えないんだぜマジクソ」
「タイトルが上に行っただけで随分回覧性が悪くなった なんつーか下まで行く気力が失せる」
「せっかく最高にクールなUIだったのに勿体ねえ」
「クソを全員殺して回れ」
「やっぱクソダサくなったな 絵を白枠の中に入れたのは最悪だわ」
「あんなに最高にクールだったのに」
「これだともう全部スマフォで見ればいいやってなる程度に糞デザインだわ」
また、エンコードツール「つんでれんこ」の開発者である「窓屋」氏(Twitter)との間で以下のような対話が交わされた。
(まさらっき)「静画のタイトルとキャプションを消滅させるextension書くか」
(窓屋)「ユーザーが各々好きにデザイン設定できるようにすればみんな幸せになれると思うんですがねえ。昔のiGoogleみたいな感じに。」
(まさらっき)「結局iGoogleは失敗だったけどね 基本的にサービス側の決定に文句たれるのは絶対に許されないこと Webサービスを使うということはそういうことであるべき」
(窓屋)「iGoogleはGoogleにとって『ユーザー情報の収集装置』として『不要』と判断されたから切られただけであって、UIの設計が『失敗』したわけではないと思いますけどね。」
(まさらっき)「iGoogle以外にカスタマイズできるWebページってほとんどなかったよねーって言う点であんまり誰も望んでなかったんじゃないかなぁと思う」
(窓屋)「それはそれで、ひとつの開発姿勢だとは思いますけどね。まあそういう姿勢続けてると、そのうちユーザーが離れていくと思いますが。」
(まさらっき)「ユーザは停滞させることの罪を知ってほしい」
(窓屋)「でもニコニコはウォール機能とかつけてるじゃないですか。動画だって、仕様を満たせば再エンコしないじゃないですか。ユーザーが遊べる部分が、ニコニコは多いんですよ。他のサービスと比べてそこは強みだと思いますよ?」
(まさらっき)「新しいUIで新しい遊び方を見つければいいんじゃないかな 圧倒的に便利でクールなUIが戻されて激おこなんですよ」
(窓屋)「『便利』っていうのはユーザー視点での価値判断ですよね?なら多くのユーザーが『不便』って感じての今回のロールバックは正しいってことになるのでは。あと、開発者がやりたいことを邪魔するなという論理は、ユーザーがやりたいことを邪魔するなという論理と同じレベルです。」
(まさらっき)「そういう状態の時って基本的に運営側がすることが正しいんですよ Webの世界ってそういう論理で動いてるんですよ」
(窓屋)「わかりました。基本的に運営側が正しいとしても、ローンチしてから実際のユーザー動向を見て修正をしていくのがWebの世界だと思っていたので、前提部分から意見が食い違っていたのですね。お互いがどこでズレてるのかわかりました。」
(まさらっき)「修正するのはいいんだよ どうするべきっていうのも全然いいんだよ でも元に戻せという主張は絶対してはいけない種類の主張なんだよ」
(窓屋)「ユーザーは『開発』事情なんて知らないですよ。それに、たとえ『元に戻せ』と言われても、その意見を採用するかどうかは提供者サイドなわけであって、むしろ矛先は『元に戻す』という『愚行』を決定した人に向かうべきではないんですか?」
(まさらっき)「ええ向けてますよ 罵倒しまくってますよ」
(窓屋)「ちなみに今回のUIって内部的には評判よかったんですか?自分のTL見る限り、ほめてたのまさらっきさん1人なんですが」
(まさらっき)「めっちゃ良い」
(窓屋)「あら意外…。なんかそれはそれで、開発陣とユーザーの乖離が激しい気もしますが…」
(まさらっき)「モダンでカッコいいしめっちゃ見やすいし速いし 歴史上こんなに成功したリニューアルなんてそうそうないってレベルの出来だって思ってるよ」
(窓屋)「てことは、『ユーザーも慣れればこれがいいのがわかるはず』的な意見が大勢だったってことなんですかね。じゃあUI自体の問題というより、移行のさせ方が問題だったって感じですか?」
(まさらっき)「いや慣れればどうこうじゃなくて文句無しにすげー良いUIだよ 何でついてこないの?って思う 単純に反射的に拒絶してるんじゃねえの」
(窓屋)「『何でついてこれないの?』を分析するのは開発者サイドの仕事なので、ぜひ検証して今後に生かしてください。というかZEROからGINZAまでの流れをみると既に検証済みだったと思うのですが。検証しないで、ユーザーがついていけない変更続けたらユーザーが離れるだけです」
関連動画
関連静画
問題点の指摘・要望
静画内での指摘部分が静画投稿後に改善・復元されたケースもある。
サムネイル問題
タグ検索ページのサムネイルが残念な状態になってしまった実例。
その他批判・抗議
その他の静画については → 2013年ニコニコ静画リニューアル問題(クリップ)
関連項目
外部リンク
- ニコニコ静画4周年でイラストコーナーがリニューアル、スマホ視聴も可能に | マイナビニュース
- 「ニコニコ静画」4周年でリニューアル 「人気のタグ」「急上昇イラスト」でトレンドわかりやすく - ITmedia ニュース
- 「基本的に運営側がすることが正しいんですよ Webの世界ってそういう論理で動いてるんですよ」理論 - Togetter
- ほとんどのユーザーは「開発者」ではない:窓屋 - ブロマガ
記事中にも出てくるエンコードツール「つんでれんこ」の開発者である「窓屋」氏が、WebサービスやツールのUI変更について書いたブロマガ記事
脚注
http://dic.nicomoba.jp/k/a/2013%E5%B9%B4%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%8B%E3%82%B3%E9%9D%99%E7%94%BB%E3%83%AA%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%83%AB%E5%95%8F%E9%A1%8C
読み:ニセンジュウサンネンニコニコセイガリニューアルモンダイ
初版作成日: 13/11/14 22:16 ◆ 最終更新日: 13/11/17 23:52
編集内容についての説明/コメント: 情報の追加・更新 関連静画の差し替え・追加 ほか加筆・修正数点
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