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<福島市長選新人圧勝>除染市町村任せのツケ

毎日新聞 11月17日(日)23時10分配信

<福島市長選新人圧勝>除染市町村任せのツケ

福島市長選で当選確実となり、万歳して喜ぶ小林香氏(中央)=同市太平寺の事務所で2013年17日午後、山本晋撮影

 任期満了に伴う福島市長選は17日投開票され、東京電力福島第1原発事故に伴う除染の促進などを掲げた無所属新人の元環境省東北地方環境事務所長、小林香氏(54)が、自民、公明などの支援を受けて4選を目指した無所属現職の瀬戸孝則氏(66)に倍以上の票差をつけて初当選した。

【「福島を変えて」草の根の声届く】

 原発事故との闘いが続く福島の県都で、地縁や知名度に乏しい新人の小林氏に現職の瀬戸氏が敗れた福島市長選は、原発周辺以外の除染を国が市町村に任せっきりにしてきた現状に異議を突きつける結果になった。ダブルスコアの票数で表れた福島の怒りを政府・与党は重く受け止めるべきだ。

 国のスキームに基づき、市町村が除染する汚染状況重点調査地域には東北・関東地方の8県で約100市町村が指定された。だが、福島市内の除染の進捗(しんちょく)率(今月1日現在)は、住宅23%▽市道1%▽住宅周辺の森林5%など。多くの市民が放射線への不安を抱える。相次ぐ現職の落選について、瀬戸氏の選対幹部は「原発事故対応は誰も経験がない。特に除染は対応が手探りになり、市民のバッシング対象になった」と吐露する。小林氏陣営の一人は「現職でなければ誰でもいいとの声があったのは事実だ」と打ち明けた。

 選挙戦で小林氏は現市政を批判したが、現状を打開する対案を示せたわけではない。除染などで出る放射性廃棄物を搬入するために国が建設する中間貯蔵施設のめども立っていないのが現実だ。自主避難者の支援や農産物の風評被害対策など課題は山積している。特効薬がない中で住民の期待に応えられるか、真価が問われるのはこれからだ。【蓬田正志】

最終更新:11月18日(月)0時12分

毎日新聞

 
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