トピックス                                           

■第22回 ブループラネット賞(平成25年11月11日)

  お言葉を述べる秋篠宮様
   

       式典の模様
   

あいさつする松野氏
   

あいさつする
スパーリング氏

 公益財団法人旭硝子財団(田中鐵二理事長)は10月30日(水)、皇居を望む東京のパレスホテルを会場に、2013年度(第22回)の地球環境国際賞「ブループラネット賞」を受賞した松野太郎博士(日本)とダニエル・スパーリング博士(米国)の表彰式典を開催した。
 旭硝子財団によると、独立行政法人・海洋研究開発機構地球環境変動領域特任上席研究員の松野博士は現在79歳。気象科学の研究・予測・解明に優れた指導力を発揮し、地球温暖化と気候変動の解明に貢献した。
 カリフォルニア大学デービス校教授のスパーリング博士は62歳。交通輸送が環境に及ぼす影響について車両技術、燃料、人間の行動様式から研究し、都市の環境施策に大きな指針を与えた。
 夫人同伴で出席した松野博士とスパーリング博士の功績を讃える表彰式典は、秋篠宮ご夫妻を迎え、午後3時にホテル2階「葵」で開会した。
 政府関係者、学識経験者、企業関係者、在日大使館関係者ら多数列席の下、最初に主催者側を代表し旭硝子財団の田中理事長が「この青く美しい地球が次の世代に確実に受け継がれることを念願し、ブループラネット賞が少しでもそのお役に立てるよう皆さんのご理解とご協力を賜れば、これに過ぎる喜びはありません」とあいさつした。
 林良博選考委員長(国立科学博物館館長)による選考経過報告の後、受賞者のプロフィルを映像で紹介。次いで壇上で受賞2氏に田中理事長からトロフィーと賞状が贈られた。秋篠宮殿下のお言葉に続き、来賓の内閣総理大臣(代理)、東京大学元総長の有馬朗人氏、駐日米国臨時代理大使のカート・トン氏がそれぞれ祝辞を述べた。
 松野博士とスパーリング博士の受賞あいさつで式典は終了。その後、同じ葵で祝賀パーティーが開かれ、顕彰委員長の吉川弘之氏(科学技術振興機構研究開発戦略センター長)が乾杯の音頭を取った。パーティーは午後5時半に散会した。
 受賞した2氏は表彰式典前日の29日(火)、日本特派員協会主催のプロフェッショナルランチョンに参加。また式典翌日の31日(木)には東京・渋谷の国連大学で記念講演会に臨んだ。
 ブループラネット賞は地球サミットが開催された1992年に旭硝子財団が設立。地球環境問題の解決に貢献した個人または組織を毎年原則2件選定し、受賞者に賞状、トロフィーと副賞金5千万円を贈呈している。


■全硝工連 社会保険対策を協議
 (平成25年11月11日)








説明する国交省の小野氏

   聞き入る遠藤会長(左から2人目)ら

全国板硝子工事協同組合連合会(全硝工連、遠藤浩吉会長)は10月29日(水)、浜町TSKビルの都硝協会議室に国土交通省の担当官を招き、社会保険未加入対策の進捗状況に関する説明会を開催。終了後に開いた全国理事会で、標準見積書運用などこの問題への対応について協議した。
 社会保険に関する説明会は東海工事(9月10日)、関東工事(10月9日)に次ぐもの。全国レベルの今回は関東、東北、東海、関西、北陸、中国、九州各ブロックの理事長と全硝連の担当者が出席し、国交省土地・建設産業局建設市場整備課労働資材対策室の小野健太課長補佐の話を聞いた。
 小野氏は国交省作成の資料「社会保険未加入対策の現状と課題」を基に、まず未加入対策の全体像を説明。それによると、「未加入は建設業界の構造的な問題」と指摘した上で@元請け、下請け、労働者の関係団体による社会保険未加入対策推進協議会の設置と加入促進計画の策定A行政のチェック・指導やダンピング対策の実施B元請け企業による下請け企業への指導C発注者・元請け・下請けを挙げた法定福利費の確保―を総合的に進めるとしている。
 焦点の「法定福利費の確保」では、元請け企業に対し「発注者に対し必要な費用を適正に考慮した金額による見積と契約を行うよう要請すること」や「下請け企業(専門工事業者)に法定福利費が内訳明示された見積書の提出を求める」ことを求めている。
 下請け企業には「法定福利費が内訳明示された標準見積書(専門工事業団体作成)を活用し、元請けに提出する」ことを要請。民間発注者には「必要以上の低価格による発注を避ける。法定福利費が着実に確保されるよう見積・契約の際に配慮する」ことを要請している。
 対策の進め方については、平成29年度に許可業者の100%加入を目標に、(国交省の)建設業担当部局は経営事項審査、許可・更新時の確認・指導と(厚生労働省の)保険担当部局への通報に努める。保険担当部局は「未適用事業所に対する指導、強制加入手続き」を推進し、目標年次には「未加入者は工事現場から排除する」としている。
 国交省の調査によると、企業別未加入率は雇用保険5%、健康保険11%、厚生年金保険11%なのに対し、労働者別未加入率は雇用保険25%、健保39%、厚生年金40%に上っている。
 推進協加盟の全硝工連は既に「平成29年度には協力会社も含めて100%加入を目指す」とした社会保険加入促進計画を公表。今後は「法定福利費を明示した標準見積書運用開始のお知らせとお願い」(仮題)の全硝工連名義の正式文書を作成し、得意先に送付する方針だ。
 同日の理事会で示された素案は「傘下の組合員各社から御見積書を提出させていただく際には、従来のガラス工事等請負代金に加えて法定福利費(事業主負担分)を内訳明示したものを標準見積書として運用開始させていただくことになりました」と得意先に理解を求める内容となっている。
 一方、全硝連と連携し国交省へ申請済みの登録基幹技能者制度導入については、同省の事情で認可が本年度末とみられることから、その間に講習会用のテキストを作成するなど事前準備を進めていくことになった。


機能ガラス普及推進協議会
福井県で機能ガラスPR(平成25年11月11日)










講師を務めた松本(左)と大熊(右)の
両課長
   

機能ガラス推進協議会として「安全・安心ガラス設計施工指針」の手引きについてプレゼン中の秋本課長

 セントラル硝子鰍ヘ、10月26日(土)、27日(日)の二日間の日程で、福井県産業会館1・2号館を会場に開催された「住まいの情報展2013」(主催=(一財)福井県建築住宅センター)初日の26日(日)午前11時より、会場内のプレゼンテーションコーナーで、機能ガラス普及推進協議会の一員(当番幹事)として、『安全・安心ガラス設計施工指針』の手引きを資料に、セントラル硝子関西鞄チ約店第1営業部秋村一夫、大熊雄一両課長が設計・施工のポイントについて説明をおこなった。
 今回のプレゼンテーションは、機能ガラス普及推進協議会が、推進事業活動の一貫として福井県住宅建築課を訪ね「安心・安全ガラス」のPRを行い、また同課を通じて関係諸団体へもPRをして頂いたことから、過日、近日開催予定の「住まいの情報展」でもPRを兼ね同様の説明してもらいたいとの要請で、建築工事実務研修会として同プレゼンテーションコーナーを会場に実施したもの。
 本題の研修会では前半を受け持ち秋村課長が、『安全・安心ガラス設計施工指針』の手引き作成の背景、目的として、ガラスの用途の多様化、建築物の部位に使用されているガラス品種の増加等理由に上げ、(財)日本建築防災協会では平成3年に『ガラスをいた開口部の安全設計指針』(人体衝突時のガラス破壊による事故の未然防止のため)、平成19年に『鉄骨構造物におけるガラススクリーン及びガラス防煙垂れ壁構法の設計・施工ガイドライン』(ガラススクリーンや防煙垂れ壁として使用のガラスの地震時の安全性のため)、平成21年に『防災に必要なガラスのガイドライン』(地震や台風・突風によるガラス破損を防ぎ安全を守るため)をそれぞれ発行してきたが、さらにこれらガラスの安全性について、日頃から地震時、台風時等を含め総合的に考え行く必要があるとして、一冊にまとめたものが、この『安全・安心ガラス設計施工指針』手引きであると説明。
 この後、映像で自然災害によるガラスの被災事例を示しながら、ガラスの種類(フロート、網入り、強化、合わせ、倍強化ガラスなど)によって破損性状(形状)が大きく異なるとして、種類ごとの注意点や対策について、手引きを紐解きながら解説した。
 後半を大熊課長が受け持ち、構法については大別して、はめ込み構法、ガラススクリーン構法、SSG構法、床・エレベータ・エスカレータ・間仕切・トップライト等の特殊構法などがある説明し、それぞれの構法における台風圧設計や耐震設計、手すり構法における荷重条件、床板ガラスの設計、施工時の強度やたわみの応力計算(集中荷重)など、構法ごとの注意点について詳しく解説し、プレゼンテーション(実務研修会)を終了した。


 

第48回セントラル硝子国際建築設計競技 最優秀賞赤塚健・井上岳の両氏
 (平成25年11月4日)








公開審査会では委員らによる討論が行われた

 第48回「セントラル硝子国際建築設計競技」(主催・セントラル硝子梶jの公開審査会が、10月19日(土)午後1時半より、東京国際フォーラムD7ホールで開催された。厳正な審査の結果、栄えある最優秀賞には赤塚健・井上岳(いずれも慶應義塾大学大学院所属)の両氏の作品が選ばれ、賞金200万円と記念品及び賞状が贈られた。
 今回の競技の課題は「都市環境を引き込む建築」。応募総数は312点(国内・205点、海外・107点)にも上った。
 これより先、8月23日に一次審査が行われ、審査の結果、今回の公開二次審査へ進出できたのは、7組の入賞者。その他佳作に10組が選ばれた。審査会の冒頭、主催者を代表してセントラル硝子・皿澤修一社長が次のようにあいさつ(要旨)した。
 「アベノミクスや東京オリンピック開催の決定などで今年は経済環境が明るくなってきた。こういった環境の中でセントラル硝子国際建築設計競技は今回で48回を迎えることができた。
 今回のテーマである『都市環境を引き込む建築』には国内外より多数の応募をいただいた。今回は海外21カ国、107点の作品を含む312点もの応募があった。まさに国際建築設計競技に相応しい応募内容となった。
 8月23日に一次審査会が行われ、私もその様子を見学させていただいたが、先生方も7点に絞るのに大変苦労されている様子だった。『都市環境を引き込む建築』というテーマを見ますと、都市環境という抽象的な概念を建築で具体化するという難しさがあると思いました。このテーマが決まった時にはオリンピックの開催は決まっていなかったが、時代にマッチしたテーマだと再認識した。
 本日はこれから第一次審査を通過した7組の方にプレゼンテーヨンをしていただき、引き続き公開審査を行い、最優秀賞1点、優秀賞2点、入選4点を選ばせていただきます。
 公開審査方式に変えて今年で8回目となります。審査委員の先生方は著名な建築家の方ばかりです。本日は先生方の考え方や生の声に触れるまたとないチャンスです。皆様方の今後の活動に大変参考になると思う。残念なことですが今回で櫻井先生が審査委員を退任することになりました。11年の長きにわたり当設計競技の審査委員を務めていただいた。ここで感謝の意を申し上げる。
 今回の入選作では2点が海外のもの、佳作にはイタリアの作品も含まれており、設計コンペとしては非常に充実した内容となっている。また女性の参加も多くなってきており、今後一層の活躍を期待したい」
 その後、二次審査を通過した7組のプレゼンテーションが約2時間に渡って行われ、各自自分の主張を懸命にアピール。さらに各審査員の間で公開審査が行われた。
 公開審査では、審査委員同士、また、審査委員と入賞者とも激論が戦われ、その結果、最優秀賞には赤塚健・井上岳(いずれも慶應義塾大学大学院所属)の作品が、優秀賞にはオランダのヤン・シーさんの作品とアメリカのギョンシク・キムさんの作品2点が受賞した。
 表彰式の後、審査委員長の講評として山本氏が「何度が話題にも出ましたが、誰が作るのか、誰のために作るのかを我々はいつも問われている。お金を出す人のために作るのではなく、私たちの責任は、私たちが建築したものが地域社会に貢献しているかどうかである」と締めくくった。
 なお、その他の入賞者は次の通り(敬称略)。
 ▽森川啓介(フリーランス)▽冬野達也(渇Y野設計)▽荻野克眞・佐藤康平(以上芝浦工業大学大学院)・江森湖輝(芝浦工業大学)▽吉田智大(一次審査の時点で前橋工科大学、公開審査の際は横浜国立大学大学院)。
 ☆審査員(敬称略)
 ▽審査委員長=山本理顕(山本理顕設計工場)
 ▽審査委員=櫻井潔(櫻井潔建築設計事務所・ETHNOS)、芦原太郎(芦原太郎建築事務所)、小林照雄(大林組)、内藤廣(内藤廣建築設計事務所)、隅研吾(隅研吾建築都市設計事務所)、長濱隆(セントラル硝子常務執行役員)
 ▽コーディネーター-=馬場璋造(建築情報システム研究所)


(一社)日本エネルギーパス協会代表理事 今泉氏に聞く
 ドイツに学ぶ住宅事情(平成25年10月28日)








   今泉太爾氏

エネルギーパスとは、EU全土で義務化されている「家の燃費」を表示する証明書。そのエネルギーパスを広く一般に普及し、持続可能なまちづくりを目指すことを目的に活動しているのが一般社団法人日本エネルギーパス協会(所在地=東京都港区、マンフレッド・ランシエン会長)である。過日、東京・新橋にある同協会の事務所を訪問。代表理事でドイツの環境政策に精通している今泉太爾氏(竃セ和地所・代表取締役)にドイツのエネルギー戦略やそこから日本が学ぶべきことは何かを聞いた。今泉氏は現在潟}テックス(本社=東京都、松本浩志社長)が運営する「窓のコンシェルジュ」http://www.madocon.jp/)でコラムを連載中だ。

――なぜドイツに学ぶことになるのですか。
 「まず、日本とドイツの主要な経済指標を比べてみると、ドイツの国民一人当たりのGDPは日本が4.6万ドル、ドイツが4.5万ドルとほぼ同程度、つまり国民一人当たりの個人能力はほぼ同程度です。しかし直近10年間の平均経済成長率は日本0.47%/年、ドイツ 2.73%/年。そして一人当たり政府借金額は、日本9.5万ドル/人、ドイツ4.1万ドル/年と二倍以上の差となっています。これで個人能力はほぼ同程度なのですが、集団になるとそのパフォーマンスに歴然とした差が出てきているのがわかります。
 日本とドイツの差は国民の能力差ではなく、国家の運営システムの差といえます。世界でも制度を作るのがトップクラスで巧いドイツと、どちらかといえば巧い方ではない日本、という制度設計力の差が見て取れます。
 日本人とドイツ人は気質が似ているので、上手くドイツ人の制度設計能力を参考にすると日本も環境負荷低減が上手くいくのではないかということで、いろんなところから注目されています。例えば太陽光パネルですが、ドイツの制度を採用した結果、昨年度は世界で一番設置した国がドイツを抜いて日本になるのではないかと言われています。こういうようにドイツの制度設計ノウハウを日本が採り入れると一気に変わることがあります。
 少子高齢化の進み具合がドイツは日本より10年早いのです。2000年ぐらいから始まっていますので、成熟化社会において持続可能なモデルを作っておくということにおいては、ドイツは非常に参考になるということになります。ドイツというより先進国として課題が先に進んでいる国として勉強しましょうということで、ドイツが注目されています。その中でも環境政策が特に優れています。
 ドイツでは京都議定書の規準年である1990比で、2009年段階で既に25%のCO2削減を実現し、2020年には40%削減を予定、さらに、2050年には95%の削減を決めております。つまりあと40年で化石燃料をほぼ使わない社会を作り上げようとしています。特に凄いのは10年スパンで目標値が決められており、この産業でどこの分野でどれくらい削減するかという制度にまで落とし込んだ具体的な目標数字なのです。
 結果としてドイツは経済成長をしながらCO2の排出量を着実に下げている。逆にCO2削減が経済成長を加速させる要因になると考えられています。

――住宅に関するところをお話下さい。
 「住宅に関するところでお話をすると、新築に対しては、2020年以降はCO2排出量がゼロエミッションの住宅以外は建てることができなくなる。しかし、これだけでは目標は達成しない。というのはドイツの新築住宅着工戸数は年間15万戸ぐらいしかないからです。
 ドイツのストック住宅は4000万戸あります。それで既存住宅を省エネ化していこうという動きがあります。しかもこれを年間3%、120万戸を断熱改修していくことを目標にしている。現状は1%、40万戸なので、このペースでいくと100年かかる。それでスピードを3倍にして30年で終わらそうとしています。2050年に全ての住宅の高断熱化を完了することによって、1次エネルギーを約80%削減していく。これが2050年にCO2を95%削減するための住宅プランであり、その中心となるのがエネルギーパス制度ということです」

――エネルギーパスとは?
 「既存住宅の省エネ化のために作られたのが『家の燃費』という概念、すなわち『エネルギーパス』です。ドイツでは30年以上も前からエネルギー計算、断熱性能の義務化がなされています。そういう意味では日本は制度設計的にみてドイツから30年以上も遅れているとも言えるかもしれません。
 さらに、その断熱義務基準が数年ごとに段階的に厳しくなっています。そして、義務というのは最低の基準です。民間の普及レベルはその義務レベルより数割性能が良い。インセンティブや家の燃費という概念を活用して、政策的に誘導しながら民間のレベルが上がってくると、また義務基準もあげています。これにより高性能な建材や工法が普及し、さらに性能が高まり数年後にまた義務基準が上がる。そうすることによって2020年にはゼロエミッションを目指すということになっています。一方日本では断熱性能やエネルギー消費量に規制がなく、2020年に平成11年基準がようやく義務化されようとしている。結果として日本の住宅ではドイツ住宅と比較して数倍ものエネルギーを消費しています。しかも、日本では間欠冷暖房暑さ寒さに耐えながらの生活、ドイツでは全館暖房で24時間快適な生活をしているにもかかわらず。我々専門家としてはなぜこれだけ差がでるのかということを真剣に検討しなければならないですね。
 日本とドイツでは建物の断熱性能差が大きい。例えば今ドイツの義務基準U値は1・3で近々に1・0になる予定です。日本ではご存じのとおり規制がありません。大半の新築住宅はアルミサッシに複層ガラスですから、ほとんどが4・65という値です。主に金属サッシを使っているのは先進国では日本ぐらいではないでしょうか。
 なぜ建築物だけにこれだけの差がでてしまうのか。国交省がまとめている資料があるのですが、「日本は暖かいからドイツのように断熱の必要ない。」そう勘違いしている方が非常に多いようですが、実は冬の月平均気温を比較してみても日本とドイツの差はありません。ドイツの冬は長野か北関東ぐらいの感じです。世界地図を見て緯度だけで日本よりドイツの冬は厳しいと勘違いされています。ドイツの冬が暖かいのではなく、日本の冬が世界レベルで見ても十分寒いというのが現実なのです。

――先ほどの話でドイツの新築住宅着工戸数が15万戸というお話がありました。日本とは相当違いますね。
 「ドイツの場合、需要と供給のバランス合わせるために、都市計画等で住宅の供給量をしっかりコントロールしています。2009年現在の世帯数4019万世帯に対して、住宅のストック数は4,018万戸。基本的に住宅は余っていません、というよりも余らないように行政によってコントロールされています。新築住宅は必要な場所だけに建設させる、つまり人口動態を確認しながら、世帯数と人口が増加している地域でのみ新築させるようにしています。
 この考え方だと、国が成熟化してきて、住宅が足りてしまうと、建設雇用が大幅に減少してしまいます。そこで、ドイツでは建設雇用への影響を考えて、新築住宅を減少させるタイミングと合わせて、リフォーム需要を上げていくような政策が同時に行っています。例えば2000年前半ぐらい間ぐらいからは、新築住宅に対しては補助金や金利優遇、金利免除などの支援策はほぼ廃止されています。非常に省エネ性能が良い住宅にだけ、ほんの僅かな利子免除があるだけです。
 一方、リフォームの場合は補助金も行き免除も金利優遇も非常に手厚くなっています。リフォームの場合も省エネ性能が上がるほど、補助金や利子免除が増加します。しかも新築よりも、リフォームローンの方が金利も低くなっています。
 ドイツの住宅政策は、古典経済学的にはマーシャル的調整というモデル。つまり、世帯数と住宅ストック数のバランスとることによって、その地域の不動産価値を安定化させているのです。価値が安定化していると、住宅の所有者は自らの資産価値をさらに向上させるため、リフォームに対する意欲が非常に高まります。その結果、ドイツと日本の2010年度の建設投資額を比較してみると、日本よりも人数も世帯数も少ないドイツの方が、投資額が大きくなっています。残念ながら日本で現在行われている住宅政策はその反対で、供給量をとにかく伸ばす政策、人工減少期に入り、住宅が余っている時代に供給量を絞らないと、供給過剰な地域の不動産価格は市場原理によって下落し続けます。古典経済学的にはワルラス的調整というモデル。地域の不動産価値を安定させ、同時に建設投資額を増加させるには、現在のような新築中心の高度経済成長モデルから、ドイツのようなリフォームを中心とした先進国モデルへの転換が急務となっています。
 また、ドイツでは、リフォーム需要を創造するために、海外に流出していた化石燃料を原資として、省エネリフォーム市場を拡大させる政策を重点的に行っています。化石燃料を年間27兆円も購入している日本でも十分実現可能な環境経済政策です」

 ーーお話を聞くと日本とドイツも同じような状況であるというようなことがわかりました。また国の制度から方向性を見直さないといけないこともわかりました。ありがとうございます。



関信越卸 災害に「合わせガラス」
 越谷市 竜巻被害を調査(平成25年10月14日)








  説明する浅沼氏

     協議会のもよう

 関東甲信越板硝子卸商業組合(松本巌理事長)は10月3日(木)、東京の中央区立総合スポーツセンター会議室を会場に全員協議会を開催し、板硝子協会の浅沼光一調査役から北関東を襲った竜巻の被災状況とリフォーム補助事業の応募状況について話を聞いた。
 竜巻は9月2日、埼玉県越谷市や千葉県野田市周辺で発生。板硝子協会は翌3日、被害実態を把握するため浅沼氏ら担当職員を越谷市の被災現場に派遣し、戸建て住宅、マンション、学校など建築物の窓ガラスの破損具合を中心に調査した。
 気象庁によると、今回の竜巻のルートは、さいたま市のさいたまスタジアム付近から茨城県坂東市のゴルフ場まで長さ約19`に及んだ。幅は100〜200b。竜巻の強さは国際基準「藤田スケール」の6段階中、上から4番目となる「F2」だった。
 秒速50〜69bに達するというF2に巻き込まれると
 浅沼氏らがまとめた板硝子協会「越谷市竜巻災害被害調査」(速報)によると、市立北陽中学校体育館ではフロートガラスが全て破損。屋根材も吹き飛び、ガラスの破片が近辺に散乱していた。この体育館では合わせガラス、強化ガラスなどの安全ガラスは使われていなかった。「災害時には避難所ともなるべき場所がこれでは…」と浅沼氏。安全ガラスが入っていない近くの給食センターでもガラスが破損・貫通し、機能不全に陥った。
 市立桜井南小学校近くのマンションでは「窓 が全滅」。一方、近隣の新築住宅では、複層ガラスの外側が破損しているものの、室内側(合わせガラスかどうかは不明)は壊れていない事例がみられた。下間久里地区では被害が住宅街全体に及び、しかも「在来工法の多い地域の窓は全滅」(浅沼氏)。特に「2階のガラスが複数枚破損したため、室内圧の上昇により屋根が吹き飛ぶようなケースが多い」。また周辺では瓦、スレート、金属折板など屋根材が「飛来物」となっている例が多かったという。
 災害被害調査は「まとめ」として@本来避難施設としての機能が求められる校舎や体育館がフロートガラスの破損・脱落で当面、使用不可となっているA日本建築防災協会「安全・安心ガラス設計施工指針」や京都大学防災研「ミサイルテスト試験結果報告」が言及しているように、合わせガラスを使用していればガラス破損による2次災害を防止できた可能性がある―などと指摘。
 その上で「自然災害の猛威に備える一つの手段として、防災ガラス=合わせガラスの普及活動を積極的に全国展開する必要性を改めて痛感する」と提言している。
 浅沼氏は「その後、内閣府から呼び出しがあり、今回のわれわれの調査結果について聞かれた。行政も学校など公共施設の防災化に強い関心を示している。現在、機能ガラス普及推進協議会が中心となって全国の自治体に安全・安心ガラスのPR活動を行っている。今後も専門機関のリポートや今回の資料を積極的に活用し、合わせガラスの有効性を訴えていきたい」と話した。
 一方、経済産業省が主導し8月から公募を始めたリフォーム補助事業「既存住宅における高性能建材導入促進事業」について浅沼氏は「9月末現在の申請件数は約170件。うち10数件はマンションの大規模改修で、予算規模2億円。残る約160件、計1億円の70%が戸建ての全体改修、30%がマンションとなっている。事業全体の予算総額は36億円なのでまだ余裕はある。しかし、申請期限が11月29日と短いので注意して欲しい」などと説明した。
 この事業についてはその後の質疑で「せっかくの制度なのに、手続きが煩雑で対応できない」、「申請窓口である環境共創イニシアチブの対応が極めて悪い」、「かつての住宅エコポイントのような制度が理想的」、「講習会をやって皆が利用できるように」といった批判や意見が相次いだ。
 浅沼氏は「制度を大胆に簡略化する必要がある。来年度以降も継続される見込みなので、板硝子協会として国に要望していきたい」と述べた。
   ◇
 全員協議会には組合員約40人が出席。会議終了後、同じ会場を使い、元フリーアナウンサーでジャーナリストの橋本テツヤ氏が「読んで声出す『脳の若返り術』〜生涯現役!いつまでもイキイキと仕事をするために〜」と題し講演した。


■CEATEC JAPAN 2013
 日本電気硝子 「見えないガラス」の製品紹介
 (平成25年10月14日)








   日本電気硝子展示ブース

見えないガラスの展示に集まる見学者

 日本電気硝子梶i本社=滋賀県大津市、有岡雅行社長)は、10月1日(火)〜5日(土)まで幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された、アジア最大級の最先端IT・エレクトロニクス総合展“CEATEC JAPAN 2013”に出展した。
 「Wonder of Glass power―ガラスの力で暮らしを進化」をテーマに、日常の暮らしの中にある同社製品の最先端技術を展示した。
 「ゼロ/低膨張マテリアル」コーナーではゼロ膨張の結晶化ガラス「ZERO」を用いたデモンストレーションを行ったほか、モバイル端末カバー用の化学強化専用ガラス「T2X」や35ナノメートル厚超薄板ガラス、ガラスと樹脂の積層体、極薄のガラスリボン、IR吸収ガラス、有機EL照明の効率を上げる高屈折率ガラスなどを展示。
 特に「見えないガラス」の展示は来場者の目を引いており、間近に近づいて目を凝らす姿が見られた。また、その発展製品として「見えないガラス+AG for ディスプレイ」も展示、液晶などのパネルの上に、超薄板AGガラスを貼り、その上に、見えないガラスの特殊コーティングを施したもので、光沢パネルと同等の見栄えを確保しつつ、ほとんど外光反射のないディスプレイを実現できるとしており、移動して使うノートPCだけでなく、大型液晶TVなど据え置き機器にも有効とのことである。
 なお、今年で14回目を数える同展は、次世代映像技術やスマートハウス(次世代環境住宅)、ITと連携した自動車の新サービスのほか、先端機器などに搭載される電子部品やデバイス、システム等を展示し、出展社数は昨年より37社減少し587社。完成品メーカーの出展が伸び悩んだものの、半導体や電子部品メーカーが増えている。



■エコメッセ 2013 in ちば
 AGC・エコ窓普及促進会 が出展
 (平成25年10月14日)







      AGC硝子建材

ソーケングループ&エコ窓普及促進会

 千葉最大の環境活動見本市「エコメッセ2013inちば」(主催=エコメッセちば実行委員会)が9月28日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催、行政やNPO法人、大学などのほか、AGC硝子建材鰍竏ョ硝子叶逞t工場が出展、ソーケングループとエコ窓普及促進会もコラボ出展した。
 エコメッセは、市民・企業・行政の三者協働による対等なパートナーシップのもと、地球人みんなのエコロジーフェスティバルとして1996年より開催されており、2012年からは、企業や市民団体、行政など団体同士の連携・協働による取組を推進するため、新たに「協働創造市」も開催している。
 地球温暖化防止、環境に配慮したモノづくり、循環型社会、生物多様性、環境教育・環境学習、その他の分野で約130社・団体が出展し、協働のきっかけをつくる交流の場として、積極的な活動を行っていた。
 このほか、エコカーの展示・試乗会やクイズラリー、缶つぶし大会なども行われ、一般来場者も含め、会場は熱気に包まれていた。
 主な出展企業・団体のブース内容は次の通り。
 ▽AGC硝子建材
 AGCグラスプロダクツのオフィスビル向け窓改修用商品「ATTOCH(アトッチ)」や、一般家庭向けの「PairPlus(ペアプラス)」を展示。リフォームに関心のある来場者が足を止め、興味深そうに説明に聞き入る場面が見られた。BtoBが中心の同社としては、生活者に直接アピールする機会が少ないので、こういったイベントを有効に活用したいとのこと。
 ▽旭硝子叶逞t工場
 アンケートに答えると、重曹クレンザー「ピカキレイ」がもらえるため、多くの来場者が詰めかけた。午前中に配布予定だった数量が、1時間ほどでなくなる盛況ぶりだった。このほかにも、環境に配慮した同工場の製品が世界各地、様々な場所で使用されていることを紹介するパネル展示が行われていた。
 ▽ソーケングループ&エコ窓普及促進会(マテックス梶j
 来場した子どもが、カラスパネル(パネル枠には間伐材を使用)にクレヨンで絵を描き、そのガラス越しで写真を撮れるパネル展示や、クイズ形式でエコ窓の機能を学べる展示を行った。来場する子どもをターゲットに、分かりやすく説明できるよう、マテックス鰍フインターン生が工夫を凝らした展示には、多くの子どもとその親が集まり、活気に満ちていた。


■東海ひのまる会 窓サポート倶楽部 名古屋大交流祭(平成25年10月7日)









「現場の声で商品も変わる」と話す齋藤氏

  齋藤泉氏

 立木彰一会長

 柳瀬知之支店長

「消費税には基本にもどることで対応」と水野氏

 東海ひのまる会(立木彰一会長、宮吉硝子社長)と日本板硝子ビルディングプロダクツ株式会社(名古屋市中区)は9月26日、「窓サポート倶楽部 名古屋大交流祭」を開いた。講師に日本レストランエンタプライズの齋藤泉氏、共立総合研究所経営コンサルティング部の水野浩里氏を講師に迎えた。
 冒頭、立木会長は「仕事は増えているが、思ったよりも消費増税駆け込み需要は少ない。先日の災害では合わせガラスによる被害はなかったという。外部に面するところは合わせガラスをとユーザーにアピールしていきたい。業界を取り巻く問題には社会保険加入の問題もある。一人親方なども多い業界なので、加入を勧めたい。工事価格の提示については、業界は今変化の只中にある。景気回復の波に乗って他業界よりも良い目をみられるよう願っている」とあいさつした。
 齋藤泉氏は「チャンスは無限大」の標題で約1時間半の講演を行った。山形新幹線つばさでの現役車内販売員で、きめ細かいサービス乗客のニーズを敏感に察知する判断力で車内販売の記録を作った。「出会い」や「想像力」が販売には不可欠などをポイントに、「現場の力で業績は大きく変わる」などと話した。
 水野浩里氏は「経営はキャッシュフローが重要」「売掛金とキャッシュフローの関係」などと話し、「黒字倒産の原因」について話した。更に、消費増税について、「基本に忠実に、原理原則に則った経営が重要」と話した。
 引き続き、「新省エネ基準の最新情報と補助金制度について」「東海ひのまる会からの連絡」があった。
 日本板硝子ビルディングプロダクツ株式会社名古屋支店の柳瀬知之支店長は「リフォームは潜在的需要があると注目されているが、下請けではなく、元請けになっていただきたい。リフォームはまず水回りがメーンだ。総合的なリフォームができるようになるが、リフォームセンターなどと手を組んでいくことが必要になる。窓改修にまでつなげていただきたい。参入のスピード感、提案力があれば成功できる。窓サポート倶楽部は総力を挙げて支援するつもりだ」と述べた。
 講演会終了後、懇親会が開かれた。

 齋藤泉氏の講演(要旨)
 21年前に山形新幹線が開業した。東北新幹線から伸び、一部は在来線を使うミニ新幹線だ。片道3時間半、往復7時間から8時間が勝負だ。
 車内にはビジネス、帰省、冠婚葬祭など目的が違う客がいる。そのため、@今日の乗客のニーズの予測A予測に合わせたサービスと考えた準備B予測との整合性、確認C実態に合わせた修正?一日を振り返った反省…の五つが必要だ。
 更に、少し言葉を添えるだけでサービスと客が受け取り、売り上げ増加に反映できることがある。同じ冷え方のビールを客に渡す時、「こちらの方が冷えていますよ」と替えてあげる。それだけで客は感謝して、駅の売店よりも少し高額のビールに満足する。
 人間が売るのだから自動販売機のようではいけない。「どうせ昨日と同様の客」と決めつけると販売は伸びない。

 水野浩里氏の講演(要旨)
 販売が好調でも現金がいくら手元にあるかが重要だ。黒字なのに倒産するのは手元資金の不足が原因である。営業は販売に集中して、回収は事務が行うという会社は少なくないが、売掛金の回収とその現金化をしないと資金不足に陥る。キャッシュフローを意識することが重要だ。最近の決算の評価でキャッシュフローに注目されるのもそのためだ。
 消費税が来年4月から現在の5%から8%に増税される見込みだ。駆け込み需要後の市場の冷え込みが予想されるが、客数を増やす、新規開拓、税率が上がっても欲しいものを作るという基本に忠実が動きが重要だ。


旭硝子財団アンケート環境危機時計9時19分(平成25年9月23日)









 解説する森嶌氏

あいさつする田中理事長

公益財団法人旭硝子財団(田中鐵二理事長)は9月5日(木)、東京の経団連会館で記者会見し、第22回「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」の調査結果を発表。指標となる環境危機時計の2013年度の平均時刻は、依然「極めて不安」の領域に入る9時19分を示し、回答者の大多数は時刻を決める際に「気候変動」を一番に選択した。
 危機時計に加え本年度に焦点を当てた「都市と環境問題」では、行政機関に望む施策として「規制や基準」を挙げた回答が最多だった。
 このアンケートは地球サミットが開かれた1992年以降、旭硝子財団が各国の有識者を対象に毎年実施。本年度は56カ国の1364人から回答を得た。記者会見では田中理事長のあいさつの後、安田哲朗事務局長が概要を報告。 監修した地球環境戦略研究機関特別研究顧問の森嶌昭夫氏が結果について解説した。(要旨別掲)
 調査結果によると、今回の危機時刻9時19分は昨年度世界平均の9時23分とほぼ同じレベルだが、海外だけでみると9時30分と昨年度より3分進行。これに対し日本の回答者の時刻は9時5分と9分後退した。
 森嶌氏によると、回答者の41%余りを占める日本が全体の環境危機時計の針を4分引き戻す結果となった。
 地域別にみると、北米は10時16分で昨年度に比べ22分進行。西欧は9時40分で15分後退した。以下、日本を除くアジアは9時12分(9分進行)、中南米9時46分(14分後退)、アフリカ9時42分(22分後退)、オセアニア10時1分(13分後退)、東欧・旧ソ連9時48分(36分進行)、中東が9時8分(30分後退)となっている。
 環境時刻を決める際に識者が念頭に置いた項目で一番多かったのは「気候変動」で20%。次いで「環境汚染」(14%)、「水資源」(12%)、「人口」(9%)、「生物多様性」(8%)の順。ほとんどの地域で気候変動が1位を占めたが、中国は「環境汚染」、インドと東欧・旧ソ連は「水資源」がそれぞれトップを占めた。
 危機時刻を項目別にみると、「生物多様性」が9時45分と抜きんでて高く、「温暖化対策」の9時22分、「ライフスタイル」の9時21分と続く。
 一方、都市と環境問題では、「都市環境を改善していく上で重要な施策」として「都市インフラの整備」が全体の26%とトップ。次いで「マルチステークホルダー(利害関係者)の積極的な参画や協力」(23%)、「教育や問題意識の共有化」(20%)など。
 「環境負荷低減のために行政機関が行う措置や対策」としては、「規制や基準」が36%と最も多く、続いて「インフラ」(27%)、「自然の利用」(19%)、「その他の施策」(14%)。
 「持続可能な都市を実現するための技術、製品、システムで重要な点」との設問には「循環社会指向」が最多で45%。 「電気・電力」と「交通システム」がそれぞれ19%で続いいている。

森嶌昭夫氏の解説 気候変動政策先送り(平成25年9月23日)

森嶌昭夫氏の解説の要旨は次の通り。
【環境危機時計】日本の危機時刻が海外よりも遅れたのはなぜか。日本政府は国際的には、気候変動枠組み条約締約国会議(COP)17で京都議定書第2約束期間にコミットしないことを明らかにし、また国内的には、2020年に向けて温室効果ガス削減目標を策定していない。温暖化対策も定まっていない。
 現時点では、アベノミクスの下で眼前の経済対策に追われて気候変動政策は先送りされている。こうした政治状況や経済状況が環境専門家といわれる人々の間にも影響を及ぼし、気候変動などは喫緊の課題と受け止められなくなっているのだろうか。
 西欧地域も財政・経済問題に直面しており、本年度の危機時刻は15分後退している。それでも全体の時刻は9時40分。気候変動は9時31分を示している。
【都市と環境問題】都市環境を改善するのに重要な項目として「ステークホルダーの参加」や「問題認識の共有化」が重視されていることに注目したい。(ただし)「ステークホルダー」や「参加」の意味が専門家によって異なりうることに注意する必要がある。
 環境負荷低減で行政が行う措置・対策については、例えば、大気汚染や水質汚濁が深刻な中国の回答者は規制基準の厳格化やインフラの改善を選択し、他方でコンパクトシティなどを議論してきた北米は自然を利用した都市設計や交通情報システムの最適化を選択するなど、それぞれが属する地域の都市の状況を前提に回答している。単純に比較してはあまり意味がない。
 技術に関する問いでも全ての回答者が、同様な技術を想定しているとは思われない。例えば「再生可能エネルギー技術」というのは、太陽光パネルなのか、風力なのか、バイオ発電なのか、化石燃料でなければ原子力でもよいのか。そして「公共交通網」とは、路面電車なのか、高速鉄道なのか、バスなのか。持続可能な都市を実現する技術や製品、システムは(今回の)この問いに上げられているものにとどまらないであろう。
 アンケートの数値の意味は一義的ではない。一つの傾向を現しているものと見ていただきたい。



■AGC「ラコベル」生産開始
 (平成25年9月9日)








    欧州の住宅でのカラーガラス使用例

        市原湖畔美術館

 AGC旭硝子梶i本社=東京都千代田区、石村和彦社長)は、欧州カラーガラスシェアNo.1のブランド「ラコベル」の生産を鹿島工場(茨城県神栖市)で開始し、10月より販売を開始する旨発表した。
 欧州ならではの色彩センスと発色により、これまで日本では実現できなかったカラーや質感、素材感を具現化し、クリエイターのニーズに応える全16色をラインナップした。
 ガラスならではの硬質感と反射性に色彩を付加することで、インテリアに彩りと深みを与えるカラーガラスは、日本の30倍の市場があると言われる欧州においては、落書きしても簡単に消せるボードとしてリビングで使用されるなど、店舗やオフィスだけでなく、住宅などへも用途が拡大している。
 同社では、欧州で色彩デザイナーと提携しながら「今年の色」を選定、塗料を開発し、ガラスの相性を追求したヴィヴィッドでピュアな発色により、これからの空間デザインの可能性を切り開きたいとしている。
 メーカー希望参考設計価格は、5ミリのもので 14000円/u(税別)から。
 なお、「ラコベル」は8月3日にリニューアルオープンした「市原湖畔美術館」(千葉県市原市)のエントランスとミュージアムショップに採用されており、ミュージアムショップでは壁面だけでなく、イタリアの高級家具ブランド「カッシーナ」と共同制作した物販什器等にも鮮やかなレッドのカラーガラスが用いられている。


■国土交通省 住宅リフォーム支援状況 HPで検索可能(平成25年9月9日)

 国土交通省住宅局住宅生産課は、同省のホームページにおいて、「【平成25年度】地方公共団体における住宅リフォームに係る支援状況調査の結果」を発表している。
 同調査は、平成24年3月に策定された中古住宅・リフォームトータルプランにおいて「地方公共団体が実施しているリフォーム助成制度等の支援制度について、一元的な情報の収集・提供」が位置づけられていることから、リフォーム支援の状況について全国の地方公共団体に調査を実施したもの。
 調査結果の概要(集計結果)は、リフォーム支援制度は、全国47都道府県1742市区町村のうち1519市区町村が有しており、リフォーム支援制度数は計7240件(融資、利子補給、ポイント発行等も含む)。リフォーム支援の分類は、@耐震化(耐震改修、耐震診断等)が2387件、Aバリアフリー化(高齢者対応リフォーム、障害者対応リフォーム等)1391件、B省エネルギー化(エコリフォーム、エコ設備設置等)1360件、Cリフォーム促進(地域材利用促進、地場工務店振興、リフォーム市場活性化等)626件、D災害予防(アスベスト対策、火災報知器設置、雪対策等)286件Eその他1190件となっている。
 なお、各地方公共団体におけるリフォーム支援制度の概要は、国土交通省「住まいのあんしん総合支援サイト」(http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/index.html)で公表しているほか、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の住宅リフォームに関する支援制度検索サイト(http://www.j-reform.com/reform-support)でも検索することができる。





インタビュー 省エネ改修補助金制度(平成25年9月9日)










且O好商会 中尾幹夫
部長

神硝協 宮代茂理事長
 

 既報の通り、千葉県柏市の「柏市エコハウス促進補助金」や東京都世田谷区の「世田谷区環境配慮型住宅リノベーション推進事業」、新潟県長岡市の「長岡市省エネルギー・新エネルギー設備等導入補助事業」など、市区町村レベルにおける省エネ改修補助金制度が整備されつつある。5月に開催された「機能ガラス普及推進協議会」においても、柏市の補助金を成功事例として、業界側から各自治体へ安全・安心をPRする旨の採択がなされている。
 こうした中、横浜市に対して働きかけを進め、好感触を得たという神奈川県板硝子商工業協同組合の宮代茂理事長(港南硝子梶@本社=横浜市南区共進町1‐29)と、且O好商会(本社=横浜市西区)の硝子事業部営業課中尾幹夫担当部長に、経緯から今後の動きまでのお話を伺った。

――よろしくお願いします。さっそくですが、どういった部署にアプローチされたのでしょうか?
 中尾部長 7月12日に、宮代理事長と二人で、神奈川県と横浜市の両方に対して働きかけを行いました。神奈川県の方は感触的に今一つかなという感じでした。感触が良かったのは横浜市温暖化対策統括本部企画調整部環境未来都市推進課の西城裕之担当係長。部署的にも一番目の向いてらっしゃる方に巡り合えました。
 実は理事長と行く前に、一度どこの窓口が良いのか調べに行ったのですが、窓の開口部を担当という方は、いらっしゃらない。太陽光の色々なことについては部署が決まっているが、開口部のエコ改修といったことに「はい」と手を挙げてくれる部署がない中で、西城係長が積極的に話を聞いてくれました。
 西城係長がおっしゃるには、「ガラスだけ単独で、柏市のように取り上げるのは難しいが、温暖化対策における諸々の改修のセットメニューの中の一つとして、ガラス・開口部を考えることは可能でしょう。ガラスだけで取り上げて、横浜市で動くというのは難しいですね」とのことでした。
 宮代理事長 ただ、非常に関心は持っていただいています。温暖化対策には、普通のガラスでは駄目で、機能ガラスに変えなければ効果がないという事を、まず西城係長に理解してもらって、そこから広がっていけばと思っています。

――機能ガラスのどのような内容をご説明されたのでしょうか?
 宮代理事長 以前、経済産業省の副大臣のところへ、機能ガラスのPRのために持って行った資料が手元にあったので、それをもとに説明をしました。ただ、横浜市の方でも、機能ガラスが良いというのは分かっていても、どのくらい良くなるのかという点や、具体的な数値などは認知していないようでした。ですから、資料があるならば歓迎したいとのことでした。
 中尾部長 宮代理事長は、温暖化という面だけではなく健康面、結露などでカビが発生して健康を害するケースなども防げるので、最終的には健康保険の削減につながる、といったこともアピールされていました。

――今後、他の市町村を回るご予定は?
 中尾部長 神奈川県には、横浜市以外にも横須賀市や平塚市、川崎市など色々あるので、そういったところにもアピールしていきたい。ただ、私と宮代理事長だけでやるのではなく、みんなの広がりを持てれば一番良いと思っています。
 まだ、具体的に何時いつに、どこを、という事はうかがっていませんが、そういうような考え方で行きたいと、理事長にもお願いしているところです。
 宮代理事長 他に、横浜市南区の危機管理担当にお願いして、南区の区民祭りのイベントに機能ガラスのPRブースを出展する形でアプローチを行いましたが、準備期間等の問題もあって、今回は実現しませんでした。今後、こういったイベントなどにも参加していきたいと考えています。
 中尾部長 皆さんが、こういった動きをやっていただければ、大きな力になると思います。普通、一般のガラス屋さんは役所に行くことなどないので、こういったところで自分達にもメリットがあると言う事になれば、商売だけでなく、全体的に良くなっていくと思うので、広めていきたいと考えています。

――本日は、お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました



■LIXILショールーム新設
 大阪・うめきたに旗艦店(平成25年9月2日)









LIXILショールーム大阪
河内信二館長

川島織物セルコン
中西正夫社長

LIXILジャパンカンパニー白井春雄社長

SAMOSU(サーモスU)の展示

川島織物セルコンショールーム
正面のサッシはLIXIL製品

 LIXILグループの鰍kIXIL(本社=東京都、藤森義明社長)は、大阪・うめきたの注目スポット「グランフロント大阪」(大阪市北区)に旗艦ショールームとなる「LIXILショールーム大阪」(タワーA11階、延べ床面積約2330u)を新設した。また、同グループの叶島織物セルコン(本社=京都市、中西正夫社長)も、大阪市北区中之島に開設していた「大阪ショールーム」を同所12階(同約600u)に移転・リニューアルし、共に8月25日にオープンするこれに先掛け、21日午前10時30分から内覧会を開催した。
 当日は、LIXILジャパンカンパニーの白井春雄社長、川島織物セルコンの中西正夫社長が登壇、挨拶の後、「LIXILショールーム大阪」の河内信二館長と川島織物セルコンのインテリア営業本部西日本営業部第1グループリーダー近藤広典氏がそれぞれのショールームの概要を説明した。
 「LIXILショールーム大阪」は“住まいを楽しむ”をコンセプトとした新しい形の都市型総合ショールームで、住まいに関する豊富な商品・サービスを提供し、来場者に“いい住まい、いい暮らし”を体験してもらうとともに、アクセスの良さを活かして、リフォームニーズにきめ細かく対応するとしている。ウィンドウショッピングのように商品をぐるりと見て回れる設計で、随所に空間展示を配置し、実際の家づくりをイメージしながら見学できるほか、同社ショールームでは初の試みとなるスマートフォン等を活用した展示案内の採用や、大型モニターやシミュレーターの設置により、楽しみながら情報収集できる事が特長となっており、同社では年間4万組の来場者を目標としている。
 一方、川島織物セルコン「大阪ショールーム」は、家庭用から商用空間向けの業務用まで、幅広い商材を揃え、トータルコーディネート対応を強化するほか、同時オープンの「LIXILショールーム大阪」の商材とのコーディネートも充実させ、多彩な商品を一度に提案できる環境を整えている。
 また、当日はショールームと同時にリニューアルオープンした「LIXILギャラリー(大阪)」(同所12階、床面積約115u)について、LIXIL広報部文化企画グループの後藤泰男リーダーから説明がなされ、その後見学会が行われた。1984年INAXショールーム(現LIXIL四ツ橋ビル、大阪市中央区四ツ橋)内にオープン後、2006年に大阪市中央区本町に移転し、これまで145回の企画展を開催していたが、今回、「LIXILショールーム大阪」、川島織物セルコン「大阪ショールーム」のオープンに伴い、同所に移転オープンしたもの。8月25日(土)から企画展の「ヴィクトリア時代の室内装飾女性たちのユートピア」展が開催される。会期は11月19日(火)まで、開館時間は午前10時〜午後5時、入場は無料で、休館日は水曜日。
 本展では、ヴィクトリアン・インテリアの再現コーナーをはじめ、当時の室内装飾の様子を窺い知る様々な実物資料をとおし、ヴィクトリアン・インテリアの興隆を支えた女性たちが求めた理想の家庭像を浮き彫りにする。
 鰍kIXILジャパンカンパニー白井春雄社長の挨拶の要旨。
 大阪ショールームは立地が良く多くの生活者の方に見てもらえる。当社の掲げる@住まいへの総合的な取組みA生涯活動の実現B自然環境との共生の3つのビジョンを具体的に生活者に伝える事が出来る。また、今回オープンする大阪ショールームのほかに、車で来て頂きゆっくり見ていただける大型総合ショールームのLIXILショールーム南港と、エクステリアを中心としたLIXILショールーム箕面の3つのショールームがそれぞれの役割を果たすことで、大阪エリアの色々な生活者のニーズに応えることができるようになる。また、12階に「大阪ショールーム」という事で川島織物セルコン社がカーテンを中心とした大きなショールームをオープンするので、シナジー効果を十分に発揮していきたい

 叶島織物セルコン中西正夫社長の挨拶の要旨。
 当社は、今年創業170年を迎える。ちょうど2年前にLIXLIグループに入り、西日本の旗艦ショールームとなる「LIXILショールーム大阪」がオープンするのを機に、中之島からこちらに移ってきた。両ショールームが一体運営、コラボレーションすることで、よりお客様満足度の高い商品展開と対応をすると同時に、トータルの室内提案に注力していきたい



■ウィンドウシステム 新たな加工機導入(平成25年9月2日)









今回新たに導入された幅広面取り機

 「Human Harmony」を企業理念に掲げる叶ホ崎本店(本社=広島市安芸区矢野新町1丁目2番15号、石崎信三社長)のグループ企業で、中国地方の複層ガラス製造やガラス切断部門を併設した板ガラスの供給基地の役割を果たす潟Eインドウシステム(本社の所在地は石崎本店と同じ、井上純一社長)。同社は石ア本店との連携活動によりユーザー直結型の窓ガラス製造会社として活動している。今回は、新たなガラス加工機を導入したと聞き、同社を訪問。設備投資の目的と今後の動向について井上社長にお話を伺った。

――まず、御社の事業内容についてお聞かせ下さい。
 井上社長 @複層ガラスの製造A各種板ガラスの切断加工Bフィルム施工Cサッシアッセンブリーなど4つの事業を柱にして事業を行っています。
 複層ガラスの製造では「WSエコ」の商品名でオリジナル品も発売しています。「既築住宅における高性能建材促進事業」の補助対象商品にも申請しています。

 ――地域的にはどのあたりまでカバーしているのですか。
 井上社長 広島を中心に岡山、山口、島根、鳥取まで中国地方全般に活動しています。

――今回新たな加工機を導入したというお話を業界で耳にしました。どのような加工機を導入されたのですか。
 井上社長 今回導入した機械は、研磨機2台(幅広面取り機、傾斜コバ磨き機)、孔あけ機、それに洗浄機1台です。研磨機はイタリア製「ADELIOLATTUADA」(アデリオ ラトゥーダ)というメーカーの機械です。メンテナンスが良いということで、このメーカーに決めました。

――導入の目的は。
 井上社長 当社はLow―Eはもちろんガス入りの複層ガラスの製造もやっておりますが、最近は強化ガラス、超強化ガラス、合わせガラスなどの複層化も進んでいます。そういう中で、店舗や店装関係では、エッジ加工の仕事もして欲しいとか、お客様よりいろいろなご要望をいただいております。
 いままでは、唯一エッジ加工だけはできなかったのですが、今回でそれも可能となりました。

――いつごろからご検討されていたのですか。
 井上社長 平成22年の半ばあたりから検討していました。

――これで加工の内製化率はどれくらいになるのですか。
 井上社長 今年の7月に導入したばかりなんです。鏡などのエッジ加工の依頼も増えているのですが、できる限りのことは対応していきたいと考えています。
 
――エッジ加工の仕事が増えてきたのか。
 井上社長 特に最近増加したということではありません。以前から仕事の依頼はありました。石崎本店が日本板硝子から買い取って平成9年に当社を設立しましたが、そういう中で、仕事の幅を広げていかなければならないということで、フィルムの施工とか住宅向けのサッシのアッセンブリも始めました。サッシのアッセンブリについては、省人化を図るため、サッシ組立ラインの設備も導入しました。このラインは私が設計しました。

――今回の投資はどれくらいで回収ができる見込みですか。
 井上社長 2〜3年で回収できればと考えています。

――今後の展開については。
 井上社長 今後の位置づけとしては、石崎本店は施工、ものづくりの会社となり、ウインドウシステムは地域のガラス製品の供給会社になろうとしています。私たちは日本板硝子の時代から中国地方にネットワークを持っています。そういうものを活用しながら、非常に短い納期で、複層ガラスの製造や配送もできます。
 ですから、メーカー枠を超えた中国地区のガラス供給拠点になることを目指しています。
 今の時代、これから先のことを考えると、各々の企業がそれぞれ拠点を設けて設備投資し配送するよりも、私たちのようなところを活用していただいたほうが、より効率的と言えるのではないでしょうか。

――お忙しいところどうもありがとうございました。今後のご活躍を期待しています。

記者の目 井上社長とのインンタビューを終えてから、工場の中を見させていただいた。サッシの組立ラインといい、板ガラスを粉砕する機械といいこれまであまり目にすることのない機械がたくさん並んでいた。工場の天井には省エネ塗料が塗られており、また、大型扇風機も導入され、工場内は比較的涼しい感じがした。さらに石崎本店の工場の屋根には太陽光発電パネルが1344枚敷き詰められ、今年の3月より売電事業も始めているという。日本の地方都市において、今後同社のような企業がガラス製造・加工の拠点となり、地域ブロックごとに登場するようになるのではないかと思いながら、工場を後にした。



まねきや硝子 伊賀工場を増設
 機能ガラスの販売を強化
 (平成25年8月26日)







同社伊賀工場の概要を説明する奥山専務

新たに導入した伊製の複層ガラスライン

 板ガラス及び建材の卸売、さらには合わせガラスや強化ガラスの加工や施工まで一気通貫で行うセントラル硝子の特約店・まねきや硝子梶i本社=大阪府東大阪市吉原2―1―13、?072―963―6061、奥山寛一社長)。同社が生産する強化、合わせ、さらには防火ガラスの販売を強化するため、三重県伊賀市にある伊賀工場を増設、新たに複層ガラスのラインを導入、2020年省エネ基準の義務化に対応するため、着実にその準備を進めている。今回は同工場を訪問し、まねきや硝子・奥山喜茂専務取締役に導入目的などを伺った。

――複層ガラスの設備は過剰ぎみという声がある中で、今、なぜ、新たに設備投資されたのですか。
 奥山 確かに住宅用の複層ガラスラインは、過剰な状態かもしれませんが、私どもが目標にしているのは、競争が激化している住宅用のほうではなく、ビル用の大板の複層ガラスです。2020年に省エネ基準が義務化されれば、ビル用にも複層化が進みます。当社は強化ガラスや合わせガラス、防火ガラスも生産していますが、今後これらのガラスも複層化していく流れが見えています。そういう流れに対応するため、今回設備投資を行いました。

 ――今回導入した機械の特徴を教えてください。
 奥山 イタリアの「FOREL社」のものです。日本では初めての採用と聞いています。最大で厚み65_、6000×3200_の大きさものが加工できます。生産中にガラスのキズを発見する検査機能が付いていますし、二次シールもシリコンとチョーコールの切り替えも短時間で可能です。
 もちろん、3層の複層ガラスの生産も可能ですし、アルゴンガスやクリプトンガスの注入も可能となっており、新しい需要にも対応できるようにしています。

 ――投資金額はどれくらいですか。
 奥山 皆さんが想像されているところの半分ぐらいだと思って下さい。それほど大きなものにはなっていません。今後の8年間で回収できればと考えています。その頃には今の売上の50%アップぐらいになっていると思っています。

 ――生産量の目標は
 奥山 最終的には、月産1万平方bを目標に置いています。

 ――やはり東京方面が多いのですか。
 奥山 そうですね。多い時にはここの生産量の半分以上が東京方面ということもあります。

 ――JISは。
 奥山 本年5月31日に取得しました。認証番号はJQ0413001です。

 ――第一号はどちらに納品されましたか。
 奥山 近くのマンション用に納入しました。

 ――新たな切断機もあるようですが。
 奥山 これも大板化に対応できるようイタリア「MACOTEC社」のものを導入しました。最大で6000_×3200_のものが切断・加工できます。Low―Eの膜取り機能も付いています。

 ――お忙しいところありがとうございました。

 ▼増設した工場の概要
 @所在地=三重県伊賀市川東267
 A伊賀工場全体の敷地面積=18、251平方b
 B増設した工場の建屋面積=1,920平方b(縦60b×横32b)
 C構造=鉄骨造、平屋
 D増設した工場の設備=複層ガラスライン及び切断機1台、2.5t用天井クレーン2台
 E設計・施工=奥村組

 記者の目 同社の強みは自社製品の販売ルートが確立されていること。作ったものは自販できる能力がある。既存の設備もみさせてもらったが、機能ガラスを生産するという点では『卸店が機能ガラスの生産もやっている』というレベルではない、どちらかと言えば『二次加工メーカーが卸もやっている』という感じで、ここに他の二次加工メーカーや卸店との違いを感じる。


杉村商事 杉村社長に聞く 厳しさを維持していく確実な企業活動を(平成25年8月26日)









   杉村亨氏

 5月、杉村商事株式会社の新社長に就任した杉村亨氏。杉村茂樹会長から引き継いだ。1969(昭和44)年2月生まれ、44歳。趣味はゴルフ、釣り、フットサルだという。景況感、商品への見方、会社の将来像などについて聞いた。

‐アベノミクスの効果が一部で出ているというが、景況をどうみているか。
 杉村 景気は不透明感が強いが昨年末に安倍政権になったことや消費増税による駆け込み需要などで一時的に良くなるだろう。多少はその波に乗れるだろうと考えている。
 当社は北海道から沖縄まで取り引きがある。東日本大震災以後は北関東・東北地域が活発で、全体のけん引役となった。半面、西日本は良いとは言えない。

‐多能工が増えたことで、専門職人が減少している。影響があるのか。
 杉村 影響は少なからずあると言える。だが、この問題以上に、専門工具を作る職人、メーカーが減少している。
 我々の仕事は良い道具・工具を見つけ、広く市場に提供することだ。こういった高度な道具・工具作りも日本の伝統技術だ。良い道具・工具の提供をするために、良い商品が必要と考えている。

‐杉村商事は全国的に知られており、歴史と実績のある企業に成長したが、どう発展させるのか。
 杉村 欧州では工程ごとに道具が違うが日本は道具・工具の数が少ない。当社の会長が商売を始めた頃はガラス切り、ヤットコ、定規の三つが売り上げを作った。
 時代が進み、アルミサッシが増えるとアルミカット用のもの、物流が発展すると自動車馬が必要になる。業界の変遷とともに取り扱い商品が多様になったが、対応し、実績を作ってきた。
 当社は長年の信用で成り立っている。会長から引き継いだ訳だが、この「信用」は変えてはならない。
 道具・工具は安い輸入品が増えている。全てが良くないとは言わないが、ホームセンターのプライベートブランドなどを購入する若い職人が増えている。確かに低価格だが、だからといって当社がそういった商品を扱うことは現状、考えていない。日欧米の道具・工具は品質・信頼性に優れている。良い商品の提供。これは当社が守っていかなくてはいけないことだ。
 厳しい目で商品を選んでいく姿勢は不変だ。責任をもって売っていく。

‐品質を維持する「杉村の基準」とは何か。
 杉村 商品を常に丁寧に点検することだ。例えば、マイナーチェンジした場合、変更点の通知が来るとは限らない。
 メーカーが売り込みに来る。アジアのメーカーは「杉村と商売をしている」という実績をかかげて欧米企業に売り込みに行くという。日本市場は欧米中国に比べると規模が小さいのだが、品質への目が厳しいから、日本企業との取引きの有無を重視する。これはすなわち、当社への信用の表れだと解釈している。
 また、欧米のメーカーからは「日本だけが厳しい要求をしてくる」と言われるが、この厳しさを維持しなくてはならない。

‐将来的にはどう発展させていくのか。
 杉村 新しい事にチャレンジしたいと思う時は来ると思うが、今は違う。健全な会社として現状を維持するだけでも苦労するだろう。社員の生活を守ることが重要だ。大阪を拠点に確実な企業活動を行うつもりだ。


■機能ガラス普及推進協代表者会議 「PRで訴える」吉川会長強調
 エコガラスは健康面にも貢献(平成25年8月5日)








  吉川恵治会長

経産省の小谷野氏

機能ガラス普及推進協議会(吉川恵治会長)は7月23日(火)、東京・日本橋浜町の都硝協本部会議室で平成25年度代表者会議を開催し、「防犯・防災・省エネを3本柱に、特に省エネ基準義務化に向けての活動に注力する」ことを基本方針とする新年度活動計画案を承認した。
 基本方針に断熱・遮熱性能に優れた複層機能ガラス(エコガラス)は「健康面にも貢献する」との要素を加味することでも合意。吉川会長(板硝子協会会長)は冒頭のあいさつで「住環境は健康にも大きく関係する」と指摘し、エコガラスのPRでは健康面も訴える姿勢を示した。(要旨別掲)
 新活動計画は、省エネ関連では省エネ体験デモ機や展示パネルを活用し、各地で開かれる省エネイベントへの各団体の参加を支援するとともに若手メンバーの活動を開始することをうたった。
 防犯ガラス関連では地元推進協が主体となり、各県警本部と連携してイベントに参加。安全・安心ガラス関連では「学校ゼロエネルギー化」のパンフレットを活用し、各自治体に採用を促す活動を展開。省エネ補助金制度の予算化も要請するとしている。
 業界内の活動では、省エネ・リフォーム補助金などに関する情報を逐次ホームページ「ガラスタウン」に掲載。また講習会や説明会を実施することを重点項目に掲げた。
 同日の代表者会議には会員団体や企業の代表者ら30人が出席。松浦公成推進協事務局長(板硝子協会調査役)の司会で議事が進められた。終了後、来賓の経産省住宅産業窯業建材課総括補佐の古谷野義之氏が「支援ツールが中小企業の末端まで伝わっていくような活動を」とあいさつした。
 機能ガラス普及推進協は板硝子協会、全国板硝子商工協同組合連合会、全国板硝子卸商業組合連合会、全国板硝子工事協同組合連合会、全日本鏡連合会、全国安全硝子工業会、全国複層硝子工業会の正会員とガーディアン・ジャパン・リミテッド、デュポン、ソルーシア・ジャパンなどの賛助会員で構成している。

 吉川会長の挨拶要旨

 東日本大震災以降、電力問題を機に新エネルギー技術の促進や断熱性の向上などさまざまな取り組みが官民挙げて行われている。こうした中で、ガラスが果たせる役割は非常に大きい。特に省エネ性能の高いエコガラスの普及促進が重要な役割を持っていると考えている。
 これまでの活動により新築戸建て住宅ではエコガラスの普及率は高いものになっている。制度面においても改正省エネ基準が今年より施行され、断熱基準は上がっていく。
 一方、5000万戸といわれる既存住宅の大半は断熱性能に関しては低い水準のままだ。結露によるカビの発生、寒さによる体力の消耗や病気の誘発など住環境は健康にも大きく関係している。最近では住宅と健康に関する研究も多く行われ、その内容が学会やシンポジウムで発表されている。
 地域の行政においては、省エネ改修に関する補助金制度が見受けられる。国レベルでも「既築住宅における高性能建材導入促進事業」が八月から公募を開始した。このようなインセンティブを活用し、より良い商品の提供とエコガラスの普及促進を一層進めていきたいと思う。
 また、7月から日本建築防災協会発行の「安全・安心ガラス設計施工指針」を基に、各地区の行政へ機能ガラスのPR活動を開始した。併せて学校へのゼロエネルギー化のPRも行っている。
 当協議会として取り組む内容は多岐にわたるが、見方を変えればビジネスチャンスに恵まれていると思う。


■LIXILプロダクツカンパニー内に9つのビジネスユニット新設
 (平成25年7月15日)









川本プロダクツカンパニー社長(右から5人目)と9人のBU責任者

 鰍kIXIL(本社=東京都、藤森義明社長)は、本年4月に組織変更を行い、新たにプロダクツカンパニーを設置し、その中に9つのBU(ビジネスユニット)を新設した。今回は、LIXIL資料館(旧トステム本社)で川本隆一プロダクツカンパニー社長以下9つのBUの責任者の出席の下、記者懇談会を開催。BUの設立目的や事業戦略について説明した。川本氏は「LIXILにしかできないお客様価値の追究を行う」と力強く述べた。当日説明のあったプロダクツカンパニーの経営方針は次の通り。
 (1)プロダクツカンパニーの設立について
 今年4月に金属・建材カンパニー(金属系製品)と住設・建材カンパニー(水回り系製品)を統合し、LIXIL商品の研究・開発・生産を担うプロダクツカンパニーを設立した。今回はそのカンパニーの中に9つ(@サッシ・ドアAエクステリアB外壁・構造体CインテリアDトイレ・洗面E浴室FキッチンGデバイスH総エネ)の顧客・市場から見た適切な戦略的ビジネスユニットを設けた。
 (2)発足の狙い
 T.戦略的ビジネスユニット(SBU)の再編
 @顧客・市場から見た適切なSBUヘの再編
 ASBUオーナーシップ制(業績責任)
 Bマーケティング戦略の2面化(BUマーケティングと統合マーケティング)
 2.プロダクツカンパニー組織構築(金属。住設統合)
 @統合マーケティング機能の強化
 Aマトリクス組織体制(事業軸と機能軸)
 Bシンプルな組織(重複機能の集約)
 3.意思決定の迅速化
 @お客様の声に対する迅速な対応とサービスの提供
 A市場変化への迅速な対応
 (3)経営方針〜目指す姿〜
 世界中のお客様から信頼され、期待され、尊敬されるプロダクツカンパニーへ
 ☆経営ビジョン
 「世界を変えるイノベーション力」と「市場をリードするマーケティング力」を発揮して、グローバル視点で、競争力NO1、顧客価値NO1のモノづくりカンパニーとなる。
 (4)経営方針〜中期戦略〜
 LIXILの経営計画に基づき強い現場力を発揮する。
 ・生産=業界ダントツのQDCのモノづくり
 ・商品=リーダーシップ商品、市場創造型商品の創出
 ・品質=シックス・シグマでダントツの顧客満足を構築
 (5)中期商品戦略
 お客様から信頼され期待されるモノづくりの追究〜LIXILにしかできないお客様価値の追究〜
 @BU専門分野の更なる強化
 A暮らしを育てる(一棟まるごと商材提案) 
 B新商材(成長事業)の統合
 +ロングバリュー、イノベーション、グローバル。
 この後、各ビジネスユニットの事業内容と責任者が紹介された(各事業内容及び責任者については紙面の都合上次号で紹介)。



尾畑長硝子社長尾畑雄二郎氏に聞く(平成25年7月15日)









  尾畑雄二郎社長

 尾畑長硝子株式会社(名古屋市中区栄)の尾畑雄二郎社長。東海地区の状況や今後の見通しなどについて話を聞いた。
‐名古屋駅前は高層ビルの建築ラッシュだが、ガラス流通業に恩恵はあるのか。
 尾畑 今、駅前に3棟、高層ビルが建築中だ。来年、早ければ今年の下半期にも職人不足が懸念される事態になるだろう。こういう観点からみると、高層ビルが多く建設されるからといって、手放しで喜べる話ではない。
 我々は高層ビル建設そのものから受ける恩恵は少ないが、相乗効果への期待はできる。
 ミッドランドスクエア(豊田・毎日ビルディング)が2007年に開業したが、ビルが出来たことから、回りの再開発も進んだ。新たな店舗だけでなく改装も多い。そこになら、我々も手を出せる。そういった需要に期待したい。
 大名古屋ビルヂングが今年から解体が始まった。15年に開業予定だが、周囲の再開発が進んでいない。老朽化した建物が多く存在する。ミッドランドスクエアの時と同様に改装・改築や、中小規模のビルの建て替えなど、期待が膨らむ状況だ。

‐重要の増加とは裏腹に課題も多く存在するが。
 尾畑 高層ビルが増えても、入居者が十分いるのだろうか。閑散とした状態になれば、かえって景気に対してあまりよくない影響を与えかねない。東京のように外国人ビジネスマンが多く流入してくる状況ではないからだ。
 一方、2027年に中央新幹線(リニアモーター)が開業する。東京と名古屋がわずか40分で結ばれる。名古屋から岐阜に在来線で行くのと、変わらない。チケットの価格の問題はあるが、時間的には日帰りどころか、午後だけの予定で東京での仕事に対応できる。名古屋の企業が無理に東京に事務所を構える必要がなくなるし、そうなれば東京への移転も減るかもしれない。

‐業績は順調のようだが。今後、要点と考えるのはどのような点か。
 尾畑 当社の業績は順調に推移していると言って良いと思う。特に、中小クラスのものやビルの改装工事が比較的多い。改装は余分な手間や経費がかかるが、今後、改装に期待するしかないという厳しい現状もある。
 大事なのはコスト削減だ。例えば8月になれば学校関係で窓ガラスの工事の仕事が入る。だが、一定に期間にやらなくてはならないなどの制約が多く、それがコスト高の要因になりかねない。しかし、コスト管理をきっちりやれば利益は確実に出る。
 建築業界は過去、儲かっていた時代が長く続いた。だが、その頃の慣習がここ20年、通用しなくなり、今の状態になった。ガラス店、工事業、関係なく言えることだ。
 工夫すればコスト削減できる。ある工務店が住宅の引き渡しの際、入居者に新築祝いとして簡単な補修用品のセットを渡したという。「いずれ補修が必要ですから」と言葉を添えて渡すと、クレームがほとんど来なかった。クレーム対応だけでもコスト換算すると莫大になりかねないが、補修セットを渡したことで、客は「住宅は修理がつきもので、自分でやるのが基本なのだ」と納得したという。この工務店はこの物件に関して、通常起こるようなクレームにかかるコストがなくなり、その分すべて利益になった。
 現状と同じ売り上げでも、知恵を使えばコストが下がり、その分が利益になる。
「建築はクレームがつきものだ」と考えているうちは、それに伴うコストは永久になくならないだろう。
 サッシの動きが悪いと言われれば、どの業者も直しにいくが、お金はもらえない。でも、コストは確実にかかっている。
 ガラス業界は川上から川下まで時代の変化に対応し、自らが変化しなければならない。


旭硝子が恒例の記者懇談会開く 新3層Low−Eペアガラス開発(平成25年7月8日)









 説明する石村社長

 旭硝子(AGC、本社=東京都、石村和彦社長)は、6月28日(金)午後12時より東京會舘11階ゴールドルームにおいて、石村社長、西見有二副社長、田村良明専務、藤野隆取締役常務ら役員らの出席の下、恒例の記者懇談会を開催した。今回はガラスカンパニーから現在開発中の軽量で高断熱な新3層LowーEペアガラス、また、電子カンパニーからはこのほど発売となった超低熱収縮ディスプレイ用ガラス基板「AN Wizus(エイエヌ ウィザス)」など「各事業における最近の取り組み〜成長基盤の強化・定着に向けて〜」をテーマに石村社長が説明した。
 今年はいつもと違うパターンで懇談会は進行、石村社長から今年注力している新商品を中心にプレゼンテーションが行われた。冒頭に石村社長は次のように話した。
 ☆各事業の最近の取り組みから
(1)ガラスカンパニー
 @新商品の販売を推進
 現場施工型後付けLowーEガラス「アトッチ」
 「問い合わせは毎月100件以上頂いており、引き合いも120件以上になった。具体的な採用例も増えており、北海道庁にも採用された」
 A軽量で高断熱な新3層LowーEペアガラスを開発
 「中央部のガラスの厚みは1・3_で中空層にはクリプトンガスが注入されている。従来の3層LowーEペアガラスに比べ2割軽量化された。また、LowーE複層ガラス標準タイプに比べ6割断熱性を向上した」
 また、ドラゴントレイルを応用した新しい3層複層ガラスも開発中との説明があった。
 BUVベールPremiumシリーズの販売を推進
 車内を快適にするフロントドア用ガラスで世界初の紫外線を99%カットするガラス。現在、このシリーズが24車種で採用されている。最近では日産の自動車にも採用が決まっている。子育て世代を中心にした小型車や軽自動車にも採用されている。
(2)電子カンパニー
 @ドラゴントレイルの採用がさらに増加
 ドラゴントレイルは発売以来好評で30ブランドに採用され、機種でいうとスマートフォン・タブレットPC関係で100機種以上に採用されている。
 A圧倒的な性能を持つ新製品「エイエヌ ウィザス」を投入(今5月に発表のあったリリースから)
 同社は、スマートフォンやタブレットPCなどの高精細ディスプレイ用パネルに最適な、世界最高の超低熱収縮特性を有するガラス基板「AN Wizus(エイエヌ  ウィザス)」を発売した。
 スマートフォンやタブレットPCでは、低温ポリシリコン(LTPS)液晶や有機ELなどの高精細パネルの採用が拡大している。これらの高精細パネルでは、製造工程における高温での熱処理によるガラス基板の収縮が、パネルの品質や生産性に大きく影響する。そのため、高精細パネルに用いるガラス基板は熱処理による収縮が小さいことが求められている。
 同社のガラス基板は、長い徐冷工程により低熱収縮ガラスの生産に適したフロート法で生産されており、現行製品のAN100は業界トップレベルの低熱収縮ディスプレイ用ガラス基板として多くのお客様に採用されている。同社は、高精細パネルの品質や生産性のさらなる向上のため、熱収縮がより小さいガラス基板の開発を進めてきた。
 今回販売を開始した「エイエヌ ウィザス」はフロート法での生産に加え、ガラス組成を改善することで、熱収縮をAN100と比べ約5分の1に抑えた圧倒的な低熱収縮を実現しており、高精細パネルの品質や生産性の改善が期待できる。
 この他にも、「エイエヌウイザス」は高精細パネルに適した特性を備えている。
 B光学接合用樹脂カバーガラスを投入
 ディスプレイをくっきり鮮やかにする直貼加工の工場を大幅に簡素化する樹脂付きカバーガラスを今年5月に投入した。従来の接合方法による表示品質とは大きく異なり、従来とくらべはっきり、くっきりと表示されていた。
(3)化学品カンパニー
 @今年3月にインドネシアの電解能力増強が完了
 東南アジアの旺盛な需要に対応し苛性ソーダ生産能力を30%増強した。
 Aフッ素樹脂フィルムの大型スタジアムへの採用が拡大
 フッ素樹脂フィルムが採用されたFIFAワールドカップ会場が今年5月に歓声した。
(4)AGCセラミックス
 ・道路舗装向けセラミックス材料の販売を推進
 カラー滑り止め材「タフバーン」や遮熱舗装用硬化材「タフクーレ」など道路舗装向けセラミックス材料の販売を推進
 ☆オールAGCの取り組み
 @化学強化ガラスレオフレックスを高速鉄道の窓に展開
 高速鉄道の窓にレオフレックスを使用した調光ガラスを提案。従来比20%の軽量化も可能にする。
 A伸びゆく東南アジアのインフラ需要を取り込み
 強固な基盤を持つ東南アジアでの活動強化を目的に今年7月シンガポールに東南アジア統括拠点を設置した。
 BFIFAコンフェデレーションズカップ選手用ベンチ向けにAGC製品の強みを活かしたガラスルーフを納入
 執行役員・ガラスカンパニー日本アジア事業本部長の市川公一氏の話によると「アトッチ」については当初古い中低層オフィスビルでの使用を想定していたが、実際は店舗など大きな開口部に「アトッチ」をつけて欲しいという要望があるようだ。例えばコンビニなど24時間営業しているところなど、部屋内側からは施工ができない場合もある。それで外側からも工事ができるようなタイプも開発しているとのことだった。


■旭硝子財団 ブループラネット賞受賞
 松野博士とスパーリング博士
 (平成25年7月1日)







   田中理事長

 スパーリング博士

    松野博士

公益財団法人旭硝子財団(田中鐵二理事長)は6月18日(火)、東京の経団連会館で記者会見し、地球環境問題の解決に寄与した個人や組織に贈る「ブループラネット賞」2013年度(第22回)受賞者に、日本人の松野太郎博士と米国人のダニエル・スパーリング博士の2氏を選出したと発表した。
 独立行政法人海洋研究開発機構地球環境変動領域特任上席研究員の松野博士は、気象科学の研究・予測・解明に優れた指導力を発揮。特にスーパーコンピューター「地球シミュレーター」を用いた温暖化と気候変化予測では、わが国の研究プロジェクトの推進役となり、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に成果を発信するなど気候変動の重大な影響について各国政府の認識を深めるのに貢献した。
 米カリフォルニア大学デービス校教授のスパーリング博士は、交通輸送が環境に与える影響について車両技術、燃料、人間の行動様式の観点から研究。高効率で低炭素そして環境面で優位性のある輸送システム構築の新たな実践研究分野を開拓した。また日本を含む世界の自動車メーカーに影響を与え、カリフォルニア州の気候変動・大気汚染政策立案にも主体的な役割を果たした。
 発表会見では田中理事長のあいさつに続いて、林良博選考委員長(国立科学博物館館長、山階鳥類研究所所長)が選考経過と受賞者の業績を紹介した。
 表彰式典は10月30日(水)に東京・千代田区のパレスホテルで。受賞業績1件に対し賞状、トロフィーと副賞金5000万円が贈られる。翌31日(木)に東京・渋谷区の国連大学で受賞者による記念講演会が開催される予定。
 受賞者のプロフィルは次の通り。
 【松野太郎博士】1934年生まれ。62年、東京大学理学部助手。69〜70年、米プリンストン大学地球流体力学プログラム客員研究員。84年、米国立大気研究センター教授。91年、東京大学気候システム研究センター教授。94年、北海道大学大学院教授。2009年から現職
 【ダニエル・スパーリング博士】1951年生まれ。73年、コーネル大学卒業。82年、カリフォルニア大学バークレー校で博士号(輸送工学)取得。同大学デービス校土木工学と環境科学及び政策学教授。現在も兼務。2006年、同校エネルギー効率センターを創設。12年、同校環境・経済政策研究所を創設

■「第15回板ガラスフォーラム」を開催(平成25年6月24日)

安倍政権による成長戦略に期待が寄せられる中、板ガラス業界8団体による恒例の板ガラスフォーラムが6月14日(金)、東京・高輪の品川プリンスホテルで盛大に開かれた。15回目となるフォーラムには約350人が参加。今回は1日のみの開催だったが、記念講演や合同懇親会パーティーを通して相互に交流し、高機能ガラスの普及・促進や窓リフォーム需要の開拓など業界の総意結集に努めた。  
 フォーラムに先立ち、主催者側である全国板硝子商工協同組合連合会、全国板硝子工事協同組合連合会、全国板硝子卸商業組合連合会、全日本鏡連合会、全国安全硝子工業会、全国複層硝子工業会、機能ガラス普及推進協議会と板硝子協会の8団体は同日、それぞれ個別に年次総会や協議会などを開催した。
 フォーラムはアネックスタワープリンスホールを会場に午後3時半に開会。冒頭、主催者側を代表し全国卸組合の松本巌会長があいさつした。
 松本会長は業界の動向について「先行きに明るい兆しも見えるが、業界の現状はいま一歩」と指摘した上で「しかし、国によるリフォーム推進事業や省エネ改修推進事業などが実施に移され、地方自治体でもいろいろな住宅リフォーム支援制度を用意している。こうした『フォローの風』を利用し、なんとかリフォーム需要を伸ばしていきたい」と述べた。
 松本氏はさらに「全国には膨大な量の既築住宅がある。窓の主役はガラスだ。やり方次第ではガラス業界がリフォーム市場の主役になることもできる。お互いがそれぞれの分野で努力し、リフォーム市場でのパイの拡大に努めていきたい」とリフォーム市場への積極的な参入を呼びかけた。
 板硝子協会の新会長に就任した吉川恵治氏(機能ガラス普及推進協議会会長、日本板硝子社長)は合同懇親パーティーであいさつし、業界の業況については「昨年度は新設住宅着工戸数が3年連続で増加するなど明るい兆しはある。円安はメーカーとしては厳しいが、業界全体としては今後の経済成長に期待したい」との見解を示した。
 今後の展開については安部政権の成長戦略やグリーン投資減税などを引き合いに「国の行政施策を利用して機能ガラスの回復に注力し、リフォーム市場についても試行錯誤しながらチャンスを生かし、社会に貢献していきたい」と述べた。
 記念講演では、最初に経済産業省製造産業局住宅産業窯業建材課長の三橋敏宏氏が「『これからの住宅を取り巻く環境整備等に関する研究会』のとりまとめについて」と題し報告。次に国土交通省住宅局住宅生産課住宅ストック活用・リフォーム推進官の松野秀生氏が「住宅・建築行政をめぐる最近の話題〜住宅・建築物の性能とリフォーム〜」をテーマに話した。
 国交省によると、わが国の住宅投資に占めるリフォームの割合は2010年時点で28%と欧米諸国と比べると小さい。英国とフランスは57%、ドイツは76%に上る。
 また既存住宅ストックの省エネ基準適合率は五%(2012年時点、1999年基準)にすぎない。
 こうした背景の下で国交省は「リフォームトータルプラン」として、2020年までに中古住宅市場やリフォーム市場の規模を20兆円に倍増する目標を掲げ、各種補助事業を展開している。
 一方、地方公共団体によるリフォーム支援制度も相次ぎ登場。昨年度は全国で7240件にも上った。47全都道府県と1519市区町村が実施。補助事業が九割近くを占めている。
            ◇          ◇          ◇   
 懇親パーティーでは吉川氏に続いて国交省・松野氏と経産省大臣官房審議官の渡邊宏氏があいさつ。全国安全硝子工業会の下岡嵩会長の乾杯の発声で懇談、全硝連の永島光男会長の中締めで華やかなうちに散会した。


全硝工連第29回通常総会遠藤会長の続投決まる(平成25年6月24日)








続投が決まった遠藤会長

全国板硝子工事協同組合連合会(全硝工連)は6月14日(金)、東京のTKP品川カンファレンスセンターで第29回通常総会を開催し、「財政逼迫の折、的を絞った効率の良い活動を目指す」とした平成25年度事業計画案を承認。役員改選では遠藤浩吉会長の続投を決めた。
 遠藤氏はあいさつで「登録硝子工事基幹技能者制度導入や社会保険未加入問題など懸案事項の行く末をきちんとしたい。あと2年やらせていただく」と抱負を述べた。
 遠藤氏は続けて今後を展望し「ガラス工事は相当なノウハウとハイレベルな技術が要求される難しい仕事になっている。他からの参入は困難だろう。従って、環境や安全に配慮しながらスキルを伸ばし、『工事は全硝工連にまかせてくれ』とアピールできるようにしていきたい。目線を一つにステップアップし、力を合わせて仕事を展開していきたい」と述べた。
 新年度事業計画は、前年度から取り組んできた基幹技能者制度について「全国板硝子商工協同組合連合会(全硝連)との共同作業を継続しながら、本年度の早い段階での認可取得を目指す」とした。社会保険未加入問題では「関係団体とも連携し加入者数の増加を目指す」とうたっている。
 流通問題については「ガラス・サッシメーカーによる完成品の直販などの動きに対しては全国卸、全硝連などと連携し、信頼関係構築のための異議申し立てを行っていく」との方針を掲げた。
 新役員は次の通り。(敬称略)
 ▽会長遠藤浩吉(関東、遠藤硝子)▽副会長渡邊聡雄(関西、渡邊硝子工事)▽同石井喜一(東北、石井硝子)▽同田代憲司郎(九州、田代硝子店)▽同河村輝義(東海、河村硝子)▽同橋本和明(中国、橋本硝子店)▽同室野吉雄(新、北陸、室野硝子)▽専務理事希代章(関東、田代硝子工業)▽常務理事鈴木幹安(関東、サンクスコーポレーション)
 ▽理事柴崎正義(関東、タナチョー)▽同山田宏(新、関東、大山硝子)▽同山田圭一(新、関東、山田商店)▽同清水英彦(新、関西、清水産業)▽同五十嵐勇次(東北、竹原屋本店)▽同堀江克尚(九州、イデム・ホリエ)▽本田英修(東海、伊藤硝子)▽同出雲明博(中国、出雲金蔵本店)▽同桑原三喜夫(北陸、武善)
 ▽監事田中敏也(関東、田中ガラス) ▽同池永龍彦(関西、山田商店) ▽同木村実(新、東海、木村硝子店)


■AGC旭硝子 FIFAにガラスルーフ提供
 (平成25年6月17日)







石村和彦社長CEO

ゲストのラモス瑠偉さんと

「競技者用ベンチ向けガラスルーフ」

全6会場でベンチの屋根に採用

「アフレックス」を外装側面全体に使用

 AGC旭硝子株式会社はサッカースタジアムで使うベンチ向けガラスルーフをFIFA(国際サッカー連盟)の依頼を受けて製作した。6月15日からブラジルで開催されている「FIFAコンフェデレーションズカップ2013」の6会場すべてで使われる。一つの会場につき5台ずつ計30台を提供。更に、高機能フッ素樹脂フィルムを外装に使ったスタジアムが完成した。6月6日、東京都千代田区丸の内のJPタワー、アトリウムで元日本代表サッカー選手のラモス瑠偉さんを招き、発表会を開いた。
 このガラスルーフはスマートフォンやタブレットPC、テレビなどのカバーガラスとして広く使われている。同社の化学強化用特殊ガラス「Dragontrail」を使って開発した。強く、しなやかで、傷に強い特長があり、これを3層合わせにすることで強靭、大型化を実現した。屋外での使用にも変形・変色・劣化せず長期にわたってクリアな視界を保てる。
 昨年10月、同社はコンフェデレーションカップと14年開催の「ワールドカップブラジル大会」の「FIFA公式認定ガラスルーフの提供に関するブランドライセンス権」を取得した。これまでFIFAのライセンスはすべてBtoCであったが、これは初めてのBtoB契約。
 既存の競技者用ベンチ向けルーフはすべて樹脂製だった。しかし、耐候性、透明性、強じん性などでガラスに劣ることから、FIFAがガラス製ベンチルーフの採用を決定、「世界的な実績があるAGCに発注したい」とFIFAから依頼があったという。同社は建築用、自動車用、電子・ディスプレー用のそれぞれの領域で培ったガラス技術を結集。「世界初の強く、しなやかで、大サイズのガラス製ルーフを生み出すことに成功した」と同社。
 ガラスルーフはこれまでどのスタジアムにも無かったため、FIFAにもガラスルーフの基準は存在しなかった。同社とFIFAは打ち合わせを繰り返し、耐久性と軽量化、透明性を確保。ストライカーがボールを蹴り込んだり、スタンドから物が投げ入れられたりしても壊れない耐久性がある。スタジアムは多目的のため、サッカーの試合以外ではベンチを移動させる必要があり、そのために十分な軽量化が必要だった。「FIFAの要求をすべてクリアできた」という。コンフェデレーションズカップの実績を基に今後、改良を重ね、来年のワールドカップ仕様のガラスルーフに進化させる。

アフレックス使用のスタジアムで日本が試合
 高機能フッ素樹脂製フィルム「アフレックス」を使用したサッカースタジアム「アリーナ・ペルナンブコ」がブラジル・レシフェ市に完成した。16日に行われたコンフェデレーションカップ「スペイン・ウルグアイ戦」、19日に行われる「日本・イタリア戦」の会場で、来年のワールドカップの本戦会場の一つ。
 アリーナ・ペルナンブコには厚さ0.25oのアフレックスが側面部全体に25,000u使用されており、軽量で柔軟なフッ素樹脂製フィルムの特性によって曲線的で美しいスタジアムとなっている。フィルムは光の拡散性に優れているため、夜間はライトアップをより効果的に演出できる。長寿命性や耐候性に優れており、非粘着性で汚れが付きにくい。
 アフレックスはすでにドイツのバイエルン・ミュンヘンのホームスタジアムのアリアンツ・アリーナでも使われている。
 石村和彦社長CEOは「FIFAの高い要求水準をすべてクリアし、世界初の競技者向けガラスルーフの開発に成功したことを嬉しく思う。最先端のガラスを結集し、ガラスという素材の進化と未来に向けた可能性を全世界の人々に直接伝えたい」と話した。
 FIFAのブランド力を背景に今後のブラジル事業の加速化が期待できる。

発表会でラモス瑠偉さんとトークショー
 6月6日に「FIFAコンフェデレーションズカップの選手用ベンチ向けガラスルーフ及び、ブラジルのスタジアムへの製品提供」に関する発表会を開き、石村和彦社長が製品の概要などについて説明した。サッカー元日本代表のラモス瑠偉さんと石村和彦社長によるトークショーを行った。


■全国板硝子3団体 メーカー6社に要望書(平成25年6月10日)

全国板硝子卸商業組合連合会(松本巖会長)、全国板硝子工事協同組合連合会(遠藤浩吉会長)、全国板硝子商工協同組合連合会(永島光男会長)の業界3団体は、5月30日(木)と31日(金)の2日間、国内板ガラス3メーカー(旭硝子、日本板硝子、セントラル硝子)と国内サッシメーカー3社(LIXIL,YKK AP、三協立山)を訪問し、板ガラス(窓)及び防火戸の完成品について、業界の総意としてつぎのようなお願いの文章を直接それぞれの責任者に手渡した。申し入れをした流通側は、メーカー側の反応を踏まえて今後の対応策を検討したいとしている。今回それぞれのメーカー側に提出した文章の内容は次の通り(全文を掲載)。

板ガラス(窓)及び防火戸の完成品出荷について(お願い)

 拝啓 時下ますますご清祥の段お慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、私ども3団体は建築における開口部に関わる流通団体として、それぞれ商売を行っております。特に、東日本大震災や新潟県中越地震の時など災害時の板ガラス(窓)等の補修作業は、私ども流通が中心となって行って参りました。
 しかしながら、昨今の「板ガラス(窓)業界」の内情をみますと、製造メーカー様からの直販という形での商品の供給にシフトしてきているように見受けられます。これは私ども流通業界にとっては商権の侵害であり、特に伝統的な三位一体の流れを自ら崩壊せられるのは時代の流れとは申せ、天に唾する如くゆゆしき事態と考え、業界の総意として今回のお願いとなりました。
 国の施策や一般消費者の省エネ意識の高まりから「窓から省エネ」という認知度が高まったことは私どもにとって、またとないビジネスチャンスであります。この機会を捉え、省エネ等の低炭素社会を推進するためにも御社には更なる品質を備えた商品の開発及びより良い商品の製造と提供をお願いいたしたく、流通部門はわれわれ流通団体におまかせください。一般消費者を始めとする顧客先へ、より適切で高機能な商品の販売に邁進いたします。
 業界それぞれが自社の分野で力を尽くすことが、板ガラス(窓)業界の更なる発展と地位向上のために必要不可欠なことと考えますので、何卒ご配慮のほどよろしくお願い申し上げます。
 最後になりましたが、御社のますますのご発展をお祈り申し上げますとともに、今後も変わらぬご支援ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。    敬具

 なおメーカー側の出席者は次の通り(敬称略)。
 ▽旭硝子=日本・アジア事業本部ビルディング事業部長・相武弘明、同部営業部長・足立敏一
 ▽日本板硝子=建築ガラス事業部門アジア事業部日本統括部営業部長 青山尚昭、日本板硝子ビルディングプロダクツ営業本部東京支店支店長・鈴木卓、同営業本部担当部長・坪田敏
 ▽セントラル硝子=硝子販売部長・設楽正義 同部硝子販売課課長・井之口奨
 ▽LIXIL=LIXILジャパンカンパニー社長取締役副社長執行役員・白井春雄、同常務執行役員サッシルート統括部統括部長・大坪一彦 同サッシルート統括部              サッシルート代理店部長 後藤啓介
 ▽YKK AP=執行役員営業本部長・神波秀一、営業本部WS営業統括部硝子卸店営業部担当部長・大竹寿
 ▽三協立山=三協アルミ社上席事業役員直需推進担当・賀東隆。同上席事業役員関東住宅建材支店支店長大森義雅


日本板硝子建築ガラス事業部門 アジア事業部日本統括部営業部長 青山尚昭氏に聞く
 (平成25年5月27日)








インタビューに応じる青山氏

「円安」「株高」が進む中で、安倍政権の経済政策「アベノミクス」への期待から企業心理が改善し、輸出も回復の傾向をしめしている。これらの要因を背景に「建設」「製造」などの業種の景気動向も大幅に改善し、明るい動きが顕著になってきた。このような中、昨年の10月1日付けで、日本板硝子梶i本社=東京都、吉川恵冶社長)の建築ガラス事業部門アジア事業部日本統括部営業部長に就任した青山尚明氏。今回は、東京都港区浜松町同社に青山氏を訪ね、日本統括部の営業部長として、業界をどのような方向性に進めていくか、足元の数字からこれからの需要期に対する動きも含め、同氏にお話を伺った。

――まず、足元の動きからお話をお聞かせください。
 青山 新政権が発足してから、世の中の予想を上回るスピードで円安が進展し、株価が急騰するなどして、輸出産業を中心に国内景気は回復傾向を強めつつあります。しかし建築業界についてはまだまだ様子見をしている状況と言えるのではないでしょうか。
 そうは申しましてもGWでの住宅展示場への来場者は前年をはるかに上回ったと聞いておりますし、マンション業界も今年の供給に関して非常に強気の見方をされているとの情報も多く聞くところですので、今年は建築関係の需要についてもかなり上向くとの私どもの見方は、そう大きく外れてはいないと思っていますただ、足元の状況はどうかと聞かれますと、世間で言われている回復傾向の波が十分に波及してきているとは言い難い状況にあります。

――他の建材メーカーでもお話がでたのですが、国が発表している新築の着工戸数を見るともっと出荷があってもおかしくないのに、どういうわけかそういう指標の数字と連動していない感じがするということを幾度が耳にしています。
 青山 確かに各指標と荷動きの状況の間に乖離が大きくなっている様に感じています。ただ、いずれかの時点では実際の需要として顕在化してくるものと考えていますが、この乖離の原因が、昨今よく耳にする建築技術者の不足によるものだとすれば、私どもの出荷にも大きな影響を受けることとなり大変危惧しております。

――現状は指標とのギャップを感じている。その要因が人手不足だったらいつまでたっても終わらないから、危機感を感じているということですね。夏以降それが積みあがった段階で出荷が増えたら、加工ガラスの生産のほうの対応はどうなりますか。
 青山 国内景気回復の期待による需要の増加は新築だけでなくリフォーム分野でも、動きが出てくるものと思われます。これに消費税の税率引き上げ前の駆け込みで潜在需要が表明化してくることで、今年度の需要は前年を大きく上回ってくるものと予測しています。
 私どもが予想している範囲では既に対策に着手し、お客様にご迷惑をお掛けしない様に準備を進めておりますが、極めて短い期間に需要が集中するなどの事態は、出来れば起こらないで欲しいというのが、正直なところです。

――他のガラスメーカーさんの話ではある程度製造設備に余力を持って走るつもりでいるということを聞いています。
 青山 弊社は、一部で設備増強も行いますが、基本的には今の生産体制をタイムリーにフル操業できる様にするために、必要な人員配置や設備の効率的稼動を追及してゆくことにしています。

――その、夏以降に増える状態の期間ですが、どれくらい続くと見ておられますか。すぐに終わると見ておられますか。
 青山 新設住宅着工戸数や非居住建物着工面積は対前年比を大きく上回っているものの、出荷に結びついていないということになれば、そのギャップ分だけ需要が保留されている状態になっているものと考えられます。従って、夏以降もある程度の期間は前年増の状態が続くのではないかと期待しています。

――2014年度まで続くと見ている方もいらっしゃいます。
 青山 建築技術者不足によって、需要をこなしきれないという状況が考えられます。こうなると消費税率引き上げ前の請負契約案件が、どこまで引っ張られるのかということになります。また、そうこうしているうちに次の消費税引き上げ(2015年10月に10%)のタイミングが近づいてきます。この二回目の消費税増税が実施されるかどうかによっても、建築需要の状況は大きく変わってくるものと思われます。

――地域的な差は出てきていますか。
 青山 東北地方復興需要の出かた次第かと思われますが、公共物件を中心に動きは良い様です。関東以西でも徐々に荷動きはよくなってきていると感じていますが、まだまだ本格的に景気回復の波にのるところまでは到っていない状況です。

――値上げはどうですか。
 青山 建築分野では加工ガラスの比重が大きくなっていますが、加工ガラスについては、リーマンショック以降、国内の需要が供給を上回るまでに回復していない状況ですので、なかなか難しい状況にあると考えます。しかし一方で、今後製造に必要な材料価格が上昇し、私どものコストダウン努力が及ばない程の状況になれば、そのような動きが出てくるかもしれません。現時点では、確実に増加すると考えられる需要に対して万全の対策を取り、お客様が安心してご発注いただける体制を構築して行くことを一生懸命に考えているところです。

――このように業界としても明るい方向にあるわけですが、営業部長として、ガラス業界をどういう方向に向けていきたいと考えておられますか。
 青山 現在わが国で住宅や建物に使用されているガラスが先進国のファサードとしてふさわしいかというと、必ずしもそうではない場合が多いように思います。
 我々ガラスメーカーとしての社会的使命は、わが国にふさわしいガラスを建物に使用してもらうことであり、そのためにやらなければならないことたくさんあると考えます。高機能・高付加価値のガラスを、流通の皆さんと一緒になって、広く世の中で使っていただけるような活動をしていかなければならないと思っています。

――お忙しいところありがとうございました。今後のご活躍を期待しています。

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青山尚(あおやまなおあき)氏の経歴。

1960年兵庫県生まれ。53歳。神戸大 学経営学部卒。1983年日本板硝子に入社。名古屋、東京、大阪の各支店・特需部等の営業畑を中心に担当。2012年6月より日本地区の営業を統括し同年10月に営業部長となり現在に至る。2男1女の5人家族で現在は単身赴任中。趣味は読書。「誠実」という言葉を大事にしているという。



■AGCグラスプロダクツ伊東社長に聞く(平成25年5月13日)









インタビューに応える伊東社長

建築用ガラスの加工・販売で旭硝子グループの一翼を担うAGCグラスプロダクツ梶i本社=東京都、伊東弘之社長)。今回は昨年12月に前任の武田社長の後、同社社長に就任した伊東弘之社長に社長就任の抱負や今後の同社の方向性などを聞いた。

――私たちから見ると突然に武田社長からバトンを引き継がれた感じがします。
 伊東 私も同感です。去年は脱却を最優先にして動いてきました。しかし、去年の9月頃から一時的に販売が停滞した時期の影響もあって、もう一息のところで黒字化という目標はわずかのところで達せられませんでした。
 私の方針は、基本的にこれまで武田前社長が進めてきた路線を継承し、「黒字になるまできっちりやり遂げる」ということでここまで動いております。

――社長としての思いは。
 伊東 弊社はいろいろな組織、会社が集まってできた会社です。決して現在がバラバラであると思いませんが、本当の意味での一体感、シナジー効果をもっと出せたら良いと思っています。旭硝子にはダイバシティ(企業で、国籍・人種・性・年齢を問わず人材を活用する)という価値観がありますが、そういう価値観に根ざした一体運営をしていきたいと思っています。

――社員に期待することは。
 伊東 (インタビュー4月30日時点で※5月1日がGP発足日)発足6年目の現在、830名の社員がいます。今は世界中で多くの変化が起こっていますが、そういう変化を怖がらないで欲しい。変化に対応して自らを変える努力をして欲しいところです。

――お客様には。
 伊東 お客様にも、その先のお客様の動きを見ていただき、変化する必要があれば勇気をもって変わる方向に動いていただければと思っています。

――現状の動きは。
 伊東 1―3月の動きはというと、この時期は業界にとっては、需要期ではないのですが、昨年と比べると改善していまして、そういう意味では、武田前社長が打たれた施策が効果を発揮しつつあると考えています。コストも下がってきたし効率も上がってきたので、いい方向に走っていると評価しています。

――武田前社長はエリア単位で製販一体事業運営を進めるという方針がありました。
 伊東 エリアのそれぞれのマネージャーが工場の稼働を含めたところまで考えて、自分たちの地域をどのように活性化していくかということを真剣に考えてくれています。特に、西日本で業績が改善しています。いい方向性に向かっていると先ほど申し上げましたが、これらのエリアが貢献してくれています。

――東北の方は。
 伊東 住宅着工の数字は堅調ですが、まだ、実際のモノの流れとリンクしていないような気がします。仙台とか盛岡とか都会のほうに人が流れてきているような感じで、そういうところはマンションとかアパートとか集合住宅が動きはじめており、疎らな感じです。

――LIXILとの統合後は。
 伊東 一昨年の統合後は現場でいろいろあって、思い通りにならず、苦労したところがありました。去年の後半ぐらいからは、かなり落ち着いてきまして、以前のように供給するだけで精一杯ということはなくなってきました。数量的にも安定してきましたし、業績の改善という点でもかなり進んできました。

――拠点数は。
 伊東 今は23拠点です。昨年、LIXILさんからいただいた新潟工場、私どもの高岡工場、それから大阪にあった大東工場を集約しました。

――さらにこれを集約する予定は。
 伊東 いまのところ予定はありません。というのは、今年の後半については結構な量がくるのではないかと感じています。今の段階では、どのくらいの量がくるのかわからないし、もしかしたら、短期間に集中するのではないかとも感じています。昨年の後半から住宅着工の数字と実際の出荷に乖離がでてきているような気がします。夏から秋にかけて着工が伸びて、一気にこれらが乗っかってくるのではないかという感じがしています。したがって、生産性が上がってくれば集約することも考えなければならないのですが、少しそういう問題がはっきりするまでは、いましばらく様子を見ようというところです。

――需要の波が一気に来た場合の対応も考えて様子を見ようということですね。
 伊東 今はできるだけ生産性を高め、能力をつけておいて、大きな波がきてもきちっとやりましょうという対応をとっています。

――このままいけば、黒字化という目標は達成しそうですか。
 伊東 新商品で「アトッチ」という製品を出しましたが、この商品の動向によっては、数字が大きく変わる可能性もありますので、今の段階では、数字がどうなるかとははっきり申し上げられません。

――どういうことですか。
 伊東 おかげさまで「アトッチ」の反響はものすごいものがあります。ところが、例えば、店舗等から大きな開口部に「アトッチ」をつけて欲しいといった要望もあり、当初私共が想定していた古い中低層オフィスビルとは違った需要も出はじめております。そういうところにも対応できるように動いておりますので、本格的に動き出すのは夏以降になりそうです。
 この4―6月間で、ある程度今年の数字が見えてくるのではないかと思いますが、とにかく今年の目標は黒字になるのが第一です。

――今年の建築業界の動きはどのように見ていますか。
 伊東 基本的に今年は悪くないと思っています。しかし、パワービルダーといわれるところがものすごい勢いで伸びているように、昔とは流通の構造が変わってきています。当社としてもどのようにして、その流れに追いつくことができるか、考えていかなければならないと思っています。

――値上げは。
 伊東 値上げについては需給バランスも重要なポイントです。燃料価格や電気代が高騰したからといって、こちら側の論だけで決められるものではありません。また、値上げをするからにはきちっと浸透させたいという思いがあります。ですから今の段階で単純にコストがあがったから値上げをするということは難しいことではないでしょうか。

――今後の動きは。
 伊東 Low―E化率は毎年、着実に伸びています。今年に入りガス入りとか3層のガラスとか次の世代の複層ガラスが動きはじめています。これからはさらに付加価値を上げる方向性に向かっていると思います。

――流通の皆さんからは今年後半に大きな波がきても「間に合わない」ということがないようにお願いしたいと聞いています。
 伊東 わかりました。

伊東社長の略歴

1957年千葉県に生まれる。現在55歳。慶応大学法学部卒。1981年旭硝子入社。入社後船橋工場の総務を経て、営業として大阪支店〜関東支店〜福岡支店に赴任。その後本社に戻って営業部門の構造改革を担当。2000年に営業センターの初代リーダーに就任。2006年から2010年までタイで海外勤務も経験。帰国後AGC硝子建材の社長を2年間担当し現在に至る。好きな言葉は「一期一会」趣味は旅行と写真。現在家族3人で、東京で暮す。


■春の叙勲 青森協組前理事長大杉氏、新潟硝連・田代氏に瑞宝単光章(平成25年5月13日)
 全国板硝子商工協同組合連合会(永島光男会長)の発表によると、平成25年春の叙勲受章者として、青森県板硝子商工協同組合の前理事長・大杉眞一氏(許辺地ガラス)が厚生労働省関係(技能検定功労)からの申請分として瑞宝単光章を、また、新潟県板硝子商工組合連合会・田代明雄氏(資田代建硝)が同じく厚生労働省関係(技能検定功労)からの申請分として瑞宝単光章を受章したと発表した。本当におめでとうございます。

■タナチョー田中社長に聞く 年後半、建材の需給ひっ迫?(平成25年5月6日)

 快適な都市づくりと住まいづくりに取り組む総合建材商社・タナチョーグループ(本社=東京都中央区、田中廣代表)。今年開催された同グループ企業の潟^ナチョー兵庫(本社=兵庫県、田中廣社長)の新春例会のあいさつの中で、田中社長は今年後半に建材の需給がひっ迫する可能性を示唆した。そこで今回は東京にある潟^ナチョーの本社ビルを訪ね、田中社長に発言の真意のほどを聞いてみた。

――今年2月初めにあったタナチョー会冒頭のあいさつで今年後半に需給がひっ迫するかもわからないので、決まった物件があれば早めに手当てをしておいて欲しい旨をお話されました。関西では実感がわかないという声をたくさん聞いております。この間の発言には何か理由があるのでしょうか。
 田中 去年の後半いやはじめぐらいから躯体系の職人さんが不足する、そういう事態が始まっています。
 基本にある話は、失われた20年の間にかなり需要が落ち込みました。新築住宅の着工戸数が70万戸台になったりしました。その間に古い建物の機能更新をしなければならなかったのにやらなかったという経緯があります。高度成長期の遺物をリニューアルしなければならなかった。今でも建築基準法改正前(昭和56年6月に改正)の建物が半分以上残っています。現にいまだに単板の住宅が9割もあり、これらを機能更新していかなければなりません。
 東京都下では、専門家の間で、アーバンニューディールといって都市機能を再生していかなければならないという話が、1985年頃から出ていました。
 ※アーバンニューディール政策とは
 細分化された土地を大きく集約し、建物を高層化すると同時に広いオープン・スペースも確保する。安全で環境に配慮された効率の高い都市構造へ転換を図ろうとする政策。都心居住を推進することで通勤時間を短縮し、豊かな都市生活の実現をうたっている。

※  ※  ※

結局バブル期間中もそういう建物はそのままになってしまった。逆に郊外にビルを造るとか新しい工場を造るとかそういうことをやってしまった。
 そこからまたさらに20年経ってしまっているが、もうさすがに限界に達している。建物も設備もみんな耐用年数をはるかに超えて我慢して使ってきたが、その我慢もついに限界にきたということです。
 さらに単純な更新ではなく高機能更新をしなければなりません。省エネ・環境・防災・耐震・バリアフリーなどすべて昔のままにやってきました。
 人によって意見は異なると思いますが、私は3・11の前から都心を中心に回複が始まって来たと思います。
 これまでがベースの話で、これに3・11の復興需要が動きはじめます。これから建物とか都市基盤の整備が本格的に始まってくる。これに消費税の駆け込み需要が加わると当然資材・職人がタイトになってくるというか、すでになっています。
 さらに3・11で東北地域ではスマートシティとかいろいろ新しい構想が話題になってきているが、それが後押しとなって、東京や大阪などの大都市圏においてもそういう動きがある。
 ベースが限界にきていて更新投資しなければならない時期にきているという問題に加え、復興支援の件、さらには消費税の話も加わるから需給バランスにタイト感がでてくるという話になります。

――そういう話がかさなると一気に大きな波が押し寄せるかも知れませんね。
 田中 私はできればゆっくり来て欲しいと考えるのですが……。国交省は住宅減税等で、その波をなだらかにしようとしているのですが、やっぱり建築関係者の中には走り出す方もでてきています。

――ガラスやサッシが不足している感じはあるのですか。少数ですが、ガラスの供給に遅れがあるという話も耳にしました。
 田中 現状ではそういうことはありませんし、メーカーさんは供給のほうは大丈夫だと言っています。

――今、鉄骨や材木などいろんなものが値上げとなってきています。私が聞いた話では他の資材の値上げ分をガラス・サッシのほうに押しつけて逆に値下げを要請されているお店の話も耳にします。このような中でガラスやサッシの値段が上がると間に挟まった流通は非常に困るという話も耳にしました。
 田中 その通りだと思います。メーカーさんには供給責任を果たしてもらうとともに値上げなしで頑張っていただきたいと思います。


■YKK AP TDYグリーンリモデルフェア(平成25年5月6日)










TDYの3社の社長(前列)と出展企業7社で
記念写真

 YKK AP(本社=東京都、堀秀充社長)はTOTO、DAIKENの両社と出展協賛企業によるグリーンリモデルフェアを4月から全国4会場(東京・名古屋・大阪・福岡)で共同開催している。今回は4月19日と20日に東京ビッグサイトで開催された同フェアの模様を取材した。
 開催初日、朝9時すぎより同会場でオープニングセレモニーが開催され、冒頭に主催者を代表してTOTOの張本邦雄社長が「昨年2月に10周年を迎えた。2年置きに一回ずつ開催し、今回で5回目。東日本大震災があって東京会場は急遽中止したため4年振りとなる。最初は3社だからできる空間展示ということでスタートした。2008年にグリーンリモデルということで環境にやさしいリフォームを目指して、コンセプトが進化した。
 TDY3社だけではリフォームの7割ぐらいしかカバーできないということで残り3割は協賛企業の方にご参加していただくことによってカバーできるようになったのではないか。フローからストックへということでストック住宅の強化になっており、リフォームの市場は大きなものになっている。リモデル市場は国内では数少ない成長分野だと思っている。やっとこの成果を皆さんと分かち合える時代になった」とあいさつした。
 その後、リモデルクラブ店を代表して金子産商・金子兼士社長が「リモデル業という生業に私はやりがいと誇りと持っている」。さらにパートーナを代表してジャパン建材の小川明範社長が「餅は餅屋ということでそれぞれのトップメーカーが集まった。リモデルを提案するということで日本最強の提案ができる」とあいさつし華を添えた。さらにテープカットも行われ、展示会がスタート。セレモニー終了後、会場を移してTDY「グリーンリモデルフェア2013」について、3社長共同記者説明会も行われた。
 今回のフェアのテーマは、『家がワカると、家がカワる。暮らし快適・新発見』。来場者数の目標は4会場で約6万人。東京会場だけでは2万3千人。工務店・販売店とエンドユーザーの比率はほぼ半分ずつ。
 会場では関東各地より大型バスで多くの方が来場。ガラスメーカーや組合の関係者も多く来場していた。共同展示コーナーでは@コンセプトAリモデル提案B体験展示Cお役立ちの各コーナーが設けられていた。YKK AP社のブースでは、玄関とエクステリア商品がきれいにカラーコーディネイトされたコーナーがあり、来場者の注目するところとなった。
 なお協賛企業の7社は次の通り。旭ファイバーグラス、コロナ、サンゲツ、ダイキン工業、立川ブラインド工業、トーソー、ノーリツ(順不同)。


■柏市「エコ窓補助」出足好調(平成25年4月22日)

既報のとおり、4月よりエコ窓改修工事費用としてその4分の1を補助する「柏市エコハウス促進補助金」制度を設けた千葉県柏市役所(秋山浩保市長)。4月1日にこの制度がスタートしたばかりだが、先日の取材(15日)時点ですでに15件の申請が届いているというほどの人気ぶりだ。そこで今回はこの制度設計から携わった同市環境部環境保全課環境保全担当・原田圭介主査を訪問、「柏市エコハウス促進制度」を設けることになった経緯から今後の動きまでお話をうかがった。

――先日この制度の記事を掲載したところ、読者の方から他の市町村でもやってもらえないか。また、どこに行けば役所の方に耳を傾けてもらえるのかという問い合わせもいただいております。まず「柏市エコハウス促進制度」を設けるきっかけをお聞かせください。
 原田 平成18年度から柏市では「地球温暖化対策補助制度」というものを設けておりました。これは他の自治体同様、電気自動車や太陽光発電システムの導入などに対して補助を行うというものでしたが、柏市民の声として国の補助制度との重複や特定の市民や特定機器に限定された制度であるのではないか、さらには売電もできる、利殖も生むという話もでてきて、結果、事業仕分けの対象となり、平成23年3月末にこの制度が廃止となりました。
 ただ、千葉県内にある他の自治体においては温暖化防止対策の補助金制度はなんらかの形でやっています。逆に言えばやっていないところはほとんどありません。
 「環境未来都市」を謳う柏市としては、この制度がないというのはどうかということで、改めて検討することになりました。
 しかし、一度事業仕分けで廃止になったものをまったく同じもので復活させるのは理由がたたないということで、そのメニューの見直しというものをやっておりました。
 そうした中で費用対効果というものが検証材料として上がってまいりまして、どれくらいの費用でどれくらい二酸化炭素が削減できるのかということで、いろいろなところのバックデータを用いながら検証しました。
 その中で断熱改修における「窓」というものが上がってきて、おおよそ1カ所40万円くらいで改修ができるのではないか、太陽光や電気自動車と比べると比較的低廉な価格で改修でき、しかも、このパンフレットにも書いておりますが、削減効果も大きいということで、メニューの一つにあがりました。
 ただ、限られた予算の中で、あれもこれも広く浅くやりますということになれば、ほんの一部の人たちだけが対象となり、また、インパクトにも欠ける、実は、これは秋山市長の方針でもあったのですが、一本化しようということで、費用対効果の大きい「窓」に絞られたわけです。
 それと、「窓」に特化した補助金制度は、他の自治体ではあまりないのではないかということでそのイメージ効果も考え、それで導入したということになります。

――「窓」に注目されたのは、どなたか「窓」に詳しい方がご担当の中にいたのですか
 原田 我々がかつてやっていなかったものの中に、住宅の断熱改修というものがありました。その中に「窓」というものがあったということです。

――ということは、制度を設計するにあたって業界団体から何か働き掛けがあったということではなかったのですね。
 原田 そうですね。そういう意味ではなかったですね。でも、制度を設計するにあたっては、まったく初めてゼロからスタートしたものですから大変でした。

※  ※  ※

☆柏市エコハウス促進補助金制度とは
 エコ窓改修工事費用としてその4分の1を補助しようというもの。期間は4月1日から10月31日まで(ただし期間中でも予算額に達した場合は受付を終了する)。
 対象となる工事は@内窓設置Aガラス交換Bサッシ・ガラスの交換のいずれか。エコ窓の判定基準は次世代省エネ基準規定の断熱性能に適合する改修が条件(ガラスの中央部の熱貫流率が4・00W/平方b・K以下)。エコ窓の設置基準は対象となる室内全ての窓の改修が条件。
 制度の概要として、対象者は柏市民であること等が条件。対象住宅は市内の既築住宅で戸建て住宅もしくは共同住宅の住戸部分。施工業者は市内の施工業者。補助額は費用の4分の1で1戸当たり最大で10万円。国が行う補助金制度と併用可能となっている。問い合わせ先は柏市役所環境部環境保全課。電話04―7167―1695まで。また、同市役所のホームページアドレスはhttp://www.ecosite.jp/ecomado

  ※  ※  ※

――パンフレットなどを見るとかなり詳しく書かれています。
 原田 制度設計にあたっては「エコ窓普及促進会(ホームページ http://www.ecomado.org)」さんにアドバイザーとしてご尽力をいただきました。エコ窓普及促進会さんとの関係は、2011年に事務局の方が、柏市としてイベントがあれば参加させてくれませんかということで環境部にやって来られたのがきっかけです。ちょうど柏市として「かしわエコサイト」のホームページを立ち上げるタイミングでもありその中で「エコ窓」の項目も候補に挙がり、こちらからお願いし、逆にご提案をいただいたりしました。
 一私企業であればなかなかお付き合いも難しいのですが、この会はニュートラルな立場の方なので助かり、結果、我々も「エコ窓」を理解していくようになりました。

――総予算額は。
 原田 900万円です。1件あたり10万円で90世帯ぐらいを想定しています。柏市民40万人、16万世帯からすると少ないのかもしれませんが、これを契機にリフォーム需要が増えれば、街の活性化にもつながりいいのかなと考えています。施工業者を柏市の業者に限定したのもそのためです。

――現状ではどんな進捗具合ですか。
 原田 1日からスタートして今日も5件申請があるなどすでに15件申請をいただいております。一般紙に掲載、JR柏駅のポスターや駅前の大画面でも広報活動を行っております。

――どちらかというとこの閑散期にそれだけの申請があるのはすごいと思います。今後については。
 原田 これがうまくいけば次年度も設けるつもりです。今度は家全体の断熱改修に挑戦しようと考えています。そのため今回の制度の名称を「エコハウス促進」というものにしました。

――ありがとうございました。全国の地方自治体からも問い合わせがあるかも知れません。その時はよろしくお願いいたします。


省エネ補助金活用 全国卸・松本会長に聞く 「流通自ら自治体へ働きかけを」(平成25年4月15日)

 既報のとおり、省エネ建築に向けた支援制度が経産省で検討されており「住宅・ビルの革新的省エネ技術導入促進事業補助金」(110億円)、「スマートマンション導入加速化推進事業」(130億円)などを予算要求。住宅の耐震改修などリフォーム工事では、所得税や固定資産税の減免措置など特例措置を拡充するとしている。さらに地方自治体レベルでも省エネに対してさまざまな助成制度を講じる動きがあり、例えば東京都墨田区の地球温暖化防止設備導入助成や千葉県柏市のエコハウス促進補助金制度などで、我々ガラス業界にはフォローの風が吹いている。そこで今回は流通を代表して、全国板硝子卸商業組合連合会の松本巌会長(マテックス会長)にご登場をお願いし、流通としてこの追風をいかに活用していくか、お話を伺った。
 ――先日行われた機能ガラス普及推進協議会の会合でも話がでていましたが、省エネは社会的なニーズであるとし、国だけでなく地方自治体への積極的な働き掛けも必要という声がでています。
 松本 東京の場合、墨田区だけでなく葛飾区や品川区、港区などでも導入されています。それで卸・工事・小売と一体になって自治体へのPRに努めているところです。

――ところで、そういう自治体への働き掛けは、流通の仕事ではなく、メーカーの仕事ではないかという声も流通の中で聞こえてきます。
 松本 なんでもメーカーにお願いするからおかしなことになるのです。まず言えるのは、地域に一番密着しているのは地元の業者だということです。メーカーの担当者は、商品の説明はできても人間関係は薄い。その点、市長・市会議員などの知り合いの多い地元業者なら紹介も得られやすい。
 それと、以前のように住宅がいっぱい建って忙しい状態であるならば良いが、少子高齢化の中、今は待っていては仕事が回ってこない時代です。特にリフォーム分野は、こちらから働きかけないと動かないケースが多い。だから自分たちで動かないとダメなのです。

 ――自治体に行っても窓口や担当者がだれかはっきりわからず、結局、名刺やチラシを置いてくるだけに終わって効果が少ないように思うという話も耳にします。
 松本 ただ、窓口を訪問し「よろしくおねがいします」だけでは、効果はありません。常日頃から自治体の担当者と親しくなる必要があります。
 それで、当社マテックスやその取引先の販売店さんでは地元の自治体が主催する「エコフェア」などの展示会や講演会などに積極的に参加し協力しています。コストも比較的安く出展できます。常日頃から窓口の方と親しくなるようにしています。そうなれば担当者が誰かを聞くまでもなく、先方からきてくれるようになります。興味ある人にチラシを配れば「エコガラス」の認知度も上がってきます。

――ただ単に地方自治体に訪問し、おねがいだけして帰ってくるようではダメだということですね。地元が開催するイベントに積極的に参加・協力しアピールすることも必要だということですね。
  松本 それと、もうPRだけでなく、そろそろ刈り取りもしなければならない時期にきていると思います。
 同じイベントに何度もでていれば、注文もいただけるようになるでしょう。実際の実需に大きく繋がってきた販売店さんの話も聞きます。さらに、自治体として補助金制度を設けていただいた例もあります。
 マテックスでは、今までの経験を活かし、過去のデータを収集、どこにどれだけチラシをどういうようにまけば効果がでるとかそういう動きも調査しています。
 とにかく、消費者相手に商売しようとすると言葉づかいなど基本的なことから学ばないといけません。

――今後については。
 松本 
東京だけでなく、全国の地方自治体に 働きかけるような動きにしたいです。メーカー・卸・小売・工事とガラス業界全体が一体となってアピールしていきたい。そうすればまだまだ「エコガラス」の需要は増えてくると考えています。


■ハードグラス工業 空港第2工場を建設(平成25年4月8日)

強化ガラスドアの国内シェアナンバー1を占める安全ガラス(強化・合わせ)製造・販売のハードグラス工業梶i本社=伊丹市北伊丹7―79、下岡嵩社長)は、伊丹市内にある伊丹シティーホテルにおいて社員ら約200名が出席する中、今4月から始まる同社の第44期キックオフセレモニーを開催した。下岡社長はその中で、今期の業績について説明、「売上高は前年度の105%、経常利益は3・5%だった。売上のほうは大阪北ヤードの仕事が貢献した」と説明した。さらに、昨年完成した空港第1工場前の220坪の倉庫を取得、今秋にはさらに800坪、合計約1000坪の土地取得計画も明らかにし、空港第1工場に続く、第2工場の建設を表明した。
 下岡社長はセレモニー終了後に記者会見に応じ、先月に空港第1工場2階部分に設置した複層ガラスラインについて次のように説明した。
 「現在JIS認定の申請をしているところで、今年9月までには取得できる予定です」と語り、「工場増設にあたり、新しく20人を採用しました。昨年のカッティングライン増設時の増員と合わせると約30人の採用になります。新年度には、新たな設備投資を行います。よって44期の売上高は前期の25%アップの40億円。経常利益率6%以上を目指す」と力強く語った。
 また、空港第2工場の設立目的については「合わせや強化ガラスのラインを強化します。3000_×6000_のものでもできるようにする予定です。さらにLow―Eの膜取りと合わせガラスも切断できるカッティングマシンの導入も計画している」と語った。
 この後、空港第1工場の複層ガラスラインを見学した。
 このIGラインはイタリア・Botero社製。今回日本で初めての導入となった。ラインの長さは約50b。クリーンルーム33bも併設されている。
 ラインの特徴として最大2500_×5000_、厚み60_までの複層ガラスを生産することができるとし、同時にガス注入もできる。さらに3層の複層ガラスの生産も可能だ。複層ガラスラインには20名を配置する予定。
 下岡社長は「今回の複層ガラスラインの導入は非住宅用、ビル用として大きな複層ガラスを生産できるように導入した。中低層用サッシのユニタイズも視野に入れながら計画を進めている。
 今この厳しい時期になぜこれだけの投資を行うのかという声をよく耳にするが、厳しい時期にこそ投資をやらないと他社との競争には勝てないと考える。
 円高の時に機械を導入することができたしタイミング的には良かったと思っている。来年度に50億円、再来年度に60億円、経常利益率10%を目指して頑張っていきたい」と胸を張った。


■24年度後期ガラス施工技能検定合格者(平成24年3月25日)

 平成24年度後期ガラス施工の技能検定結果が全国都道府県職業能力開発協会から3月15日に発表された。 今年の結果は1級受検者が319人(昨年は249人)で、合格者が141人(同130人)合格率は44%(同52%)となっている。また、2級の受検者は104人(昨年度は109人)で、合格者が56人(同75名)、合格率は54%(同69%)となっている。なお女性の合格者は1級・2級とも今回はゼロだった。
 総受検者数はで昨年の358人より65人増加の423人。総合格者数は昨年度の205人から 197人と8人下回った。しかし、総受検者数は一昨年の505人と比較すると82人減少しており、まだ減少傾向に歯止めがかかったかどうかは判断できない。
 1級の合格率が100%のところは山形、富山、石川、鳥取、佐賀の5県(昨年は神奈川、三重、石川、兵庫、岡山、佐賀の6県)でいずれも受検者は一ケタ台。
 一方、1級・2級とも技能検定そのものが行われなかった県は山梨、滋賀、奈良、香川、長崎の5県となり昨年の岩手、秋田、群馬、岐阜、福井、滋賀、和歌山、香川、高知、長崎、宮崎の昨年の11県からは多少回復しているが、ここ数年検定そのものが行われない県が固定化されているのが気になる。
 今年は、政府の景気浮揚策で公共工事が増えたり、東北の震災からの復興需要が本格的に動き出したり、消費税増税による駆け込み需要が見込めたりと職人不足が懸念されている。特に若い人たちの職人不足がどの業界でも指摘されている。逆に言えば、資格を持っている人はそれだけ重用されるはず。ガラス工事に携わっておられる人ならもっとチャレンジして欲しい。

 
平成24年度後期ガラス施工技能検定合格者(本紙調べ)%はコンマ以下四捨五入
都道府県 一    級 二    級
申請 合格 申請 合格
北海道 16 4 25 7 3 43
青 森 7 3 43 4 4 100
岩 手 11 5 45 3 1 33
宮 城 12 6 50 7 3 43
秋 田 4 1 25 1 0 0
山 形 5 5 100 1 1 100
 福 島  3 2 67 2 2 100
茨 城 10 3 30 6 2 33
栃 木 10 3 30 4 2 50
群 馬 3 1 33 1 1 100
埼 玉 12 4 33 3 2 67
千 葉 13 5 38 0 0 0
神奈川 2 0 0 4 1 25
山 梨 - - - - - -
長 野 6 4 67 0 0 0
新 潟 7 2 29 6 2 33
東 京 25 16 64 3 2 67
静 岡 18 2 11 0 0 0
愛 知 23 6 26 11 0 0
岐 阜 0 0 0 1 1 100
三 重 8 4 50 3 3 100
富 山 6 6 100 1 1 100
石 川 2 2 100 1 1 100
福 井 3 0 0 0 0 0
滋 賀 - - - - - -
京 都 2 1 50 2 2 100
大 阪 12 5 42 3 3 100
奈 良 - - - - - -
和歌山 5 1 20 0 0 0
兵 庫 1 0 0 0 0 0
岡 山 5 1 20 1 1 100
鳥 取 5 5 100 2 0 0
広 島 7 6 86 15 10 67
島 根 7 2 29 2 2 100
山 口 9 2 22 1 1 100
徳 島 7 2 29 0 0 0
香 川 - - - - - -
愛 媛 4 2 50 0 0 0
高 知 2 0 0 0 0 0
福 岡 18 14 78 1 1 100
佐 賀 1 1 100 4 1 25
長 崎 - - - - - -
熊 本 9 7 78 0 0 0
大 分 2 0 0 0 0 0
宮 崎 4 2 50 0 0 0
鹿児島 8 3 38 4 3 75
沖 縄 5 3 60 0 0 0
合 計 319 141 44 104 56 54



機能ガラス普及推進協新年度活動計画を協議
 自治体へのPR強化(平成25年3月11日)








        打ち合わせ会合の様子

ガラス関連八団体で組織する機能ガラス普及推進協議会(石村和彦会長)は3月1日(金)、事務局を置く東京・高輪の板硝子協会会議室で平成25年度活動計画を協議する打ち合わせ会合を開催し、建築分野における省エネ基準義務化の流れを「追い風」と捉え、地方公共団体への働きかけなどLowE複層ガラス(エコガラス)を核とする機能ガラスの普及に業界一体となって取り組んでいく方針を確認した。
 今回の会合は、2020年に義務化される予定の省エネ基準改定、省エネ事業への各種補助金交付、学校など公共建築物の耐震改修など東日本大震災後に顕著となった一連の動きを業界としていかに需要に結び付けていくかとの共通認識の下に開かれた。
 会合には板硝子協会(板協)牧有二専務、全国板硝子商工協同組合連合会(全硝連)永島光男会長、全国板硝子卸商業組合連合会(全国卸)松本巌会長、全国板硝子工事協同組合連合会(全硝工連)遠藤浩吉会長ら約30名が出席。推進協事務局長の岡野敏彦氏(板硝子協会調査役)が司会を務めた。
 岡野氏は最初にグリーン投資減税、省エネ基準改定の方向性や省エネ住宅の推進について国の動きを中心に報告した。
 業界の関心事である省エネ基準は、現行の1999年度(平成11年度)基準が2015年度まで有効。現在、改定作業が進められているが、板協の木原幹夫調査役は「入れ物が決まっただけ。中の引き出しはこれから」と説明した。
 経済産業省によると、基準改定では単一の省エネ基準で引き上げを図るのではなく、建築主など関係者全員が満足すべきベースとなる基準と、省エネ性能向上を誘導すべき基準の二つの段階を設けて推進するのが合理的としている。
 ベース基準確保面では規模に応じて段階的に義務化を推進し、中小工務店向けには省エネ施工技術向上へ講習会を開催。性能向上誘導面では誘導基準から「より高いレベルの基準」(ゼロエネルギー住宅)を達成するために各種補助金制度で支援する段取りとなっている。
 省エネ建築に向けた支援制度では経産省は「住宅・ビルの革新的省エネ技術導入促進事業補助金」(110億円)、「スマートマンション導入加速化推進事業」(130億円)などを予算要求。住宅の耐震改修などリフォーム工事では、所得税や固定資産税の減免など特例措置を拡充する方針だ。
 一方、地方自治体レベルでも省エネに対しさまざまな助成制度を講じる動きが常態化しつつある。会合では事務局が首都圏の事例として@地球温暖化防止設備導入助成(墨田区)A住宅用エコ助成金(葛飾区)B住宅改善工事助成事業(品川区)C地球温暖化対策助成金(港区)D新エネルギー及び省エネルギー機器等導入助成を紹介した。
 討議では「省エネは全社会的ニーズ。自治体への積極的な働きかけが必要」(板協・牧氏)、「東京の場合、各区ともいろいろやっている。業界として動かないと」(全国卸・松本氏)といった意見表明が相次いだ。
 会合では、地方公共団体への今後の活動計画について@安全・安心ガラス設計施工指針のPRA学校ゼロエネルギー化に向け各地教育委員会へのPRB省エネ補助金制度設立の要請の3点を承認。@Aについてはメーカー3社がそれぞれ約140カ所を訪問することになった。
 Bの補助金については卸・小売り・工事団体を中心に各県で最低5市町村を訪問するとした。PR活動で得た情報は板硝子協会に集約し、各団体が閲覧できるようにするとしている。
 参会者は打ち合わせ会合終了後、懇親会を開き交流を深めた。


■「HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION」 LIXILとYKK AP出展(平成25年3月11日)

 鰍kIXIL(本社=東京都、藤森義明社長)、YKK AP梶i本社=東京都、堀秀充社長)の両社は、東京・江東区青海で3月2日(土)から24日(日)まで開催される、「HOUSE VISION2013 TOKYO EXHIBITION」に出展した。
 HOUSEVISION事務局が開催に先駆け、3月1日に報道関係を対象にプレスカンファレンスを開催。発起人で当展覧会のディレクター原研哉氏と、会場構成を担当した隈研吾氏が参加した。
 原氏は「自分はデザイナーだが潜在している日本の美意識を世界に向け可視化していくのも役割。日本のリーディング企業と建築家が一対一で取り組んだ具体案をぜひ見てください」。また隈氏は「この展覧会は住宅展示場とは全く違います、世界に誇れる繊細で美しいパッケージを見ていただける」とあいさつした。
 今回初の開催となる展覧会は「新しい常識で家をつくろう」というテーマのもと、これまでの成果を共有し発展させ、諸分野を横断する大きな産業ヴィジョンを目に見える展示として具体化し、来場者の意識の覚醒を目指す。企業と建築家やアーティストが協働し、7つの展示ハウスを通じて新しい住まいのあり方を提案。期間中約6万人の来場者を見込んでいる。
 ☆LIXIL
 建築家の伊東豊雄氏とともに、これからの日本の新しい住まい・暮らし方を提案した。「住の先へ」をテーマに、内と外を明確に切り分ける従来型のアプローチから脱却した自然に開かれた快適な新しい住まいをLIXILの多様な商品・要素技術の組み合わせで実現する。
 ☆YKK AP
 TOTOと出展。新進気鋭の建築家ユニット、成瀬・猪熊建築設計事務所が展示空間デザインを担当。東信氏のディレクションでサントリーミドリエ社が壁面緑化をプロデュース、さらにビクターエンタテインメント社の最新鋭のハイレゾ音源を使用した空間音響デザイン「KOONE(クーネ)」を採用。日常を忘れた時間を過ごせるひとりのための空間、「極上の間」を展示。


■第27回技能グランプリ競技
 ガラス施工金賞に増山氏(増山硝子店)(平成25年3月4日)








             競技前に全員で記念写真

 厚生労働省や中央職業能力開発協会、(社)全国技能士会連合会が主催する第27回技能グランプリ競技が2月23日(土)〜24日(日)までの2日間、千葉県にある幕張メッセ国際展示場9・10ホールで盛大に開催された。競技には全部で28職種が参加。今回は4年振りにガラス施工もその職種の一つとして参加した。
 ガラス施工の競技には、一級技能士の6名が参加し、慎重に審査した結果、栃木県から参加した増山和晃氏(拒搦R硝子店)がみごと厚生労働大臣賞(第一位・金賞)に輝いた。全硝連の教育情報・技能検定委員長・施向昌之氏(広島県)は「選手の方々の技能レベルは毎回伯仲しており、総合得点は小差であった」と審査結果を振り返った。
 競技開始前には全硝連の永島光男会長(大会副会長)が「あせらず普段の自分のペースで、けがの無いように頑張って下さい」と競技者を激励。その後、運営委員を代表して施向氏が、競技委員を代表して上田耕一氏(福井県)がそれぞれ競技内容や注意事項などを説明、午前9時半から競技はスタートした。
 競技課題は、制限時間内(標準時間6時間、打ち切り7時間)に、用意された架台の面に、図面にしたがってガラスを切断し、家の形にしながらガラスを嵌めこんでいくもの。競技者は真剣な面持ちで作業に取り組んでいた。
 大阪など関東圏以外の地区からも運営委員やその補佐のため、競技前日から現地に赴き、会場を準備。ガラス業界全体で競技を盛り上げており、その努力をする役員らの姿には頭が下がる思いだ。
 また、競技初日には板硝子協会の牧有二専務理事も朝早くから応援に駆け付けた。このほか、各競技者の大応援団も会場を訪れ、黄色い声援が飛び交う中、懸命に競技に集中していた。
 なお、当日の結果は次の通り(敬称略)。
 ☆個人賞
 ▽厚生労働大臣賞・第一位=金賞(全硝連順位優勝)増山和晃(拒搦R硝子店)=栃木県
 ▽第二位=銀賞(全硝連順位・準優勝)大杉輝昭(許辺地ガラス)=青森県
 ▽第三位=銅賞(全硝連順位・第三位)菅原久俊(山三建硝梶j=宮城県
 ▽(全硝連順位)優秀賞・森貞健二(新津硝子梶∴、媛県、今村智一(今村ガラス)=東京都、石渡康一(泣Cシワタ建硝)=東京都。
 ☆選手団賞
 ▽最優秀選手団賞(厚生労働大臣賞)東京都選手団
 ▽優秀技能選手団賞(厚生労働省職業能力開発局長賞)兵庫県、大阪府、三重県の各選手団
 選手団とは都道府県ごとに組織された全競技職種(28種類)の選手の方々。


■AGC 新中期経営計画を策定(平成25年2月25日)

 AGC(旭硝子梶A本社=東京都、石村和彦社長)は、2月7日(木)午後3時より東京都千代田区にある大手町サンケイプラザ4Fホールにおいて、2012年12月期決算説明会を開催した。当日の登壇者は石村社長と取締役兼常務執行役員社長室長・藤野隆氏の二人。発表によると、売上高は前期比2・0%減の1兆1899億円。営業利益は同43・9%減の929億円。経常利益は48・0%減・866億円。当期純利益は54・0%減の437億円の減収減益だった。
 概ね全ての事業で出荷は増加するも、電子関連製品の価格下落、欧州建築用ガラスの不振がその要因。さらにエネルギー価格の上昇により損益を圧迫した。
 なお、2013年12月期の連結業績予想(平成25年1月〜12月)は、通期で売上高1兆3000億円(半期=6000億円)、営業利益1000億円(同400億円)、経常利益900億円(同300億円)、当期純利益500億円(同200億円)を見込んでいる。
 セグメント別ではガラス事業にスポットをあてて見てみると、通期では前年同期と比べ102億円増の5646億円だったが営業利益は同139億円減収の40億円の損失を計上した。建築用においては、日本は震災の影響を受け出荷増となったものの、欧州・北米が低調だった。自動車用については、欧州は生産台数が減少するも同社の出荷は前年と同水準。日本・アジア・北米は堅調。ソーラー用ガラスは市場の鈍化や競争環境の激化などにより出荷は減少した。なお、電子事業は減収減益、また、化学品は増収減益だった。
 2013年通期業績のポイントとして、事業環境としては、@世界経済は緩やかな成長を持続A西欧は景気低迷が続き、中・東欧へのマイナス影響を懸念B北米の景気は緩やかに回復C新興国の成長は持続するも、そのペースは以前より緩やかD日本は小幅ながらも景気回復基調が続くEエネルギー価格は高止まりの6つを上げ、ガラス事業のポイントとしては、建築用において日本・アジアは堅調に推移、北米は緩やかに回復、欧州は景気低迷により軟調するとしている。また、自動車用については、新興市場での堅調な需要が牽引し出荷は増加、ソーラー用については競争環境の激化が継続し出荷が低調となる懸念があるとしている。
 この後、石村社長より2013年から2015年までの新中期経営計画 “Grow Beyond―2015” を策定。 様々な環境変化に打ち克つ真に強いAGCグループを実現し、業績を反転させ成長軌道に戻すことを最大の目標とすると発表した。
 この中で、経営方針における事業ドメインの変更をあげ、これまでの建築・住宅、自動車、エレクトロニクス、エネルギーの4業界に対する「開口」「表示」「エレクトロニクス&エネルギー」の3つの部材事業ドメインから「快適な生活・空間領域」「クリアな映像・通信領域」「クリーン&グリーンなエネルギー領域」に変更するとし、この新しい事業ドメインにおいて、顧客との関係をさらに強め、業界を超えたさまざまな事業にグループの総合力を活かして価値を提供していくとしている。

■恒例「タナチョー会」盛大に(平成25年2月25日)

 潟^ナチョー兵庫(本社=兵庫県加古郡、田中廣社長)は、2月8日、神戸市内にあるチサンホテル神戸にて、同社との取引店など約40名が集まる中、恒例の2012年タナチョー会(新春例会)を盛大に開催した。
 例会の冒頭に寺田孝タナチョー会会長(寺田硝子代表)が「世間では景気の良い話も聞こえてくるが、我々の段階ではまだまだ厳しい。国の方ではいろいろ補助金政策を打ち出してくれているが、我々のところまでなかなかおりてこない。これからは若い人と一緒になって勉強しながら、異業種に負けないよう頑張っていきたい」とあいさつ。
 さらに田中社長が回復傾向にある日本経済の現況を説明した後、建築業界について「我々のまわりにある建物は昔のまま。これらをリニューアルしていかなければならない。これまでは今あるものを切り詰めて使ってきたので、高機能等の更新が遅れている。さすがにここにきてやり直さなければならない状況にきた。新築については、4000万戸ある建物を50年間持たそうとすれば、年間80万戸の新築が必要ということで、ある一定の数は必要だ。ということで今年は90万戸台になるともいわれている。ビッグビルダーは不動産を買い集めている動きがあるので、そちらとお付き合いのある方は仕事がでてくることが予想され、一般工務店にもそれが波及してくると思われる。
 リフォームについては、建て替えるにはお金がかかるので、それなりに頑張ろうということでじわじわと増えつつあり、チラシやHP、フリーダイヤルの効果で成果をあげているお店もでてきた。
 国交省や経産省でエコポイントに変わる補助制度の動きがでている」とあいさつ。最後に「これから東北の復興が本格的に動き出す。さらに消費税のからみで前倒しの動きもでてくる恐れもある。ぼちぼち需要も上がりかけているところもあるので、今年後半に需給がひっ迫することがおこるかもわからない。事前に手当てをしていただければ幸いです」と纏めた。
 引き続き、来賓を代表して鰍kIXIL関西支社姫路支店古市進也支店長が「今年の新築着工は消費税の駆け込みの動きもあり、97万戸ぐらいと言われている」。また、日本板硝子ビルディングプロダクツ椛蜊緕x店・谷原敏博課長は「省エネは我々にとっても大きなキーワードとなる。これをもとにビジネスチャンスを求めていきたい」とあいさつし、同会に華を添えた。
 その後、勉強会へと移行し、日本板硝子ビルディングプロダクツ梶E小宮良介氏がリフォーム実践塾のすすめについて説明。さらに鰍kIXIL関西支社・森園亨氏と三協立山且O協アルミ社・濱口尚紀氏が商品紹介を行った。また、懇談会では三協立山叶_戸支店・横本保男支店長が元気よく乾杯の発生を行い、例会は午後8時前に終了した。

■関東工事組合 全員懇談会を開催(平成25年2月25日)









   全員懇談会であいさつする遠藤氏

 関東板硝子工事協同組合(遠藤浩吉理事長)は2月13日(水)午後3時半から、東京・日本橋浜町のTSKビル会議室で全員懇談会を開催し、全国的に導入を進めている登録硝子工事基幹技能者制度と社会保険未加入問題について協議した。
 懇談会には関東工事以外に東京板硝子施工組合の小林紀次理事長ら、また基幹技能者で連携している全国板硝子商工協同組合連合会(全硝連、永島光男会長)の武田陽子事務局長や都硝協の佐藤事務局長も出席。総勢約80名が問題点や取り組みについて関東工事担当者の説明を聞いた。
 冒頭、遠藤理事長は「ハードルは高いが、皆さんと一緒になって考えていきたい」とあいさつ。次いで基幹技能者担当の田中敏也氏が「業界の地位向上と人材確保に資するこの制度を組合主導で立ち上げようと動いている。現在、所管の国土交通省に本申請すべく最後の擦り合わせを行っている」とし、今後の展開について説明した。
 登録基幹技能者制度推進協議会によると、建設関係では現在27職種の約3万2000名余が有資格者として登録されている。各団体のアンケートによると、板ガラス関連組合関係では全国工事400名、施工260名、全硝連520名の総計約1300名が有資格者の候補に挙がっている。
 田中氏によると、認定後速やかに実施計画に基づき計2回、延べ10時間に及ぶ講習会を実施。受講資格は@施工現場10年以上の実務経験者A職長・安全衛生責任者講習終了後3年以上の実務経験者B一級か二級建築施工管理技士、建設マスター、一級ガラス施工技能士など。
 講義は技能一般とガラス工事で、教材は現在人選を進めている講習委員会が作成。講義終了後に修了試験を実施する。
 社会保険未加入問題については担当の鈴木幹安氏が、国交省、厚労省の施策や建設関連産業で組織する「社会保険未加入対策推進協議会」の動向について説明した。
 国交省によると、建設業界では社会保険未加入の企業が多い。その結果、労働者の公的保障がないがしろにされ、また法定福利費を負担している企業ほど競争上不利となり、公平な環境が阻害されているとしている。
 国交省は打開策として昨年11月1日から、建設業許可・更新の申請時に保険加入状況を記載した書面を添付させる制度を開始。未加入企業には文書指導する一方、従わないケースは厚労省担当部局に通報。それでも改善されない場合は強制加入手続きや建設業法に基づき指導・監督処分を行うとしている。
 対策推進協議会には日本建設業連合会、日本空調衛生工事業協会、日本塗装工業会、全国鉄筋工事業協会、日本シャッター・ドア協会など75団体が登録。板ガラス関係では全国板硝子工事協同組合連合会(遠藤浩吉会長)が参加している。

日本板硝子材料工学助成会藤本理事長あいさつ
 第30回研究成果発表会(平成25年2月11日)









     研究成果発表会の模様

あいさつする藤本理事長

公益財団法人(公財)日本板硝子材料工学助成会(藤本勝司理事長)は128日(月)午後、東京・霞が関ビルの東海大学校友会で「第30回無機材料に関する最近の研究成果発表会」を開催した。「材料研究に新しい風を」をテーマに、平成21年度に同助成会が助成金を贈呈した40件の研究の中から5件を選び、講演を聴いた。
 発表会は(公社)応用物理学会、(公社)日本化学会、(公社)日本セラミックス協会、(一社)ニューガラスフォーラムが協賛。企業・学術関係者ら約60名が出席した。
 藤本理事長は冒頭のあいさつで「東日本大震災から1年と10ヶ月が過ぎようとしているが、まだまだ復興には程遠い状況だ。被災者の皆さんが1日も早く普段の生活に戻れるよう期待していきたい」と述べた後、iPS細胞でノーベル賞を受賞した山中伸也京大教授について「久々の明るいニュース。山中先生をはじめとする日本のトップの研究者には私どもの助成金を受けられ、基礎的な研究を継続されている先生方が多数いる。私どもも微力ながら技術立国のために役立っていることを喜んでいる。日本発の技術で世界に、人類に貢献することが、これからの日本の進む道と信じている」と指摘した。
 藤本氏は、5件の講演については「無機材料にかかわる独創的な研究成果であり、いずれも大きな研究・開発プロジェクトへと発展している。また実用化への研究に取り組まれているので、産業への応用も間近と確信している」と説明するとともに、選考委員の努力に謝辞を述べた。
 新年度の助成金贈呈については「今回も200件近い応募をいただき、現在、選考作業を進めている。贈呈式は423日を予定している」と述べた。
 材料工学助成会によると、平成24年度までの総計では4036件の申請があり、その中から997件を選考して総額136100万円の助成金を贈呈している。
 ガラス、セラミックス、半導体、金属など無機材料を広く研究助成の対象としているが、近年は無機化学と有機化学の境界領域での材料研究やナオ技術を駆使した高機能材料研究に対する助成が増加しているという。
 講演会終了後、同校友会で懇親会が開かれた。
 講演内容と講師は次の通り。(敬称略)
 @「可溶性有機ケイ素高分子の新展開:酸素や水に極めて安定な紫外・可視発光材料化と熱分解法による結晶シリコンへの物質転換」=奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科教授藤木道也
 A「電気二重層トランジスタを用いた酸化物半導体上の超伝導制御」=東京大学大学院総合文化研究科准教授上野和紀
 B「次世代半導体基板の超精密加工プロセスに関する研究」=熊本大学大学院自然科学研究科准教授久保田章亀
 C「量子切断現象を示すガラス・セラミックス材料」=京都大学大学院人間・環境学研究科教授田部勢津久
 D「ナトリウムイオン蓄電池への応用を目的とする遷移金属酸化物正極材料の創製」=東京理科大学理学部第一部応用化学科准教授駒場慎一

国交省 住宅・建築物の省エネ・バリアフリー改修支援 補正予算に50億円盛り込む(平成25年2月11日)

国土交通省は平成24年度の補正予算の中に盛り込まれた「住宅・建築物省エネ改修等緊急推進事業」(国費50億円)について25日に次の通り公募内容について情報を提供した。なお、本事業については、平成24年度補正予算成立後に内容を確定し、公募を行う予定としている。事業説明会については、東京は28日、大阪については、214日(木)午後3時より4時半まで大阪府豊中市にある「千里サイエンスセンター」において開催された。
 目的は住宅・建築物の省エネ改修等を促進するためとし、民間等が行う省エネ改修工事・バリアフリー改修工事に対し、国が事業の実施に要する費用の一部を支援する。事業の要件は@躯体(壁・天井等)の省エネ改修を伴いA10%以上の省エネ効果が見込まれることとしている。補助対象費用は@省エネ改修工事に要する費用Aエネルギー計測等に要する費用Bバリアフリー改修工事に要する費用の三つ。補助率は国が3分の1の費用を支援する。建築物は1件あたり上限5000万円(設備部分は2500万円)でバリアフリー改修を行う場合費用の2500万円を加算(ただし省エネ改修の額以下)。住宅は50万円まで。こちらもバリアフリー改修を行う費用として25万円加算できる。たたし建築物同様省エネ改修の額以下とする。
 内容についての問い合わせ先は(独)建築研究所建築物省エネ改修事業担当 住宅・建築物省CO2先導事業評価室(連絡室)内、HPhttp://www.kenken.go.jp/shouenekaishu/index.html 03-3222-6750まで。
 当然この補助事業の中には、開口部の断熱改修工事が含まれるため、今手持ちの物件があるなら、高機能の商品をユーザーさんにお勧めし、喜んでいただけると同時にお店の売上拡大にもつながるので、時間はせまっているが、ぜひこの事業にチャレンジしてもらいたい。


板協合同委員会を開催 改正省エネ基準や安心安全ガラスの普及などに取り組む(平成25年2月4日)









あいさつする石村会長

 板硝子協会(石村和彦会長)は、1月24日に東京・丸の内にある東京会館において、協会役員や各委員会委員長やその委員らの出席の下、板硝子協会合同委員会を開催した。石村会長は冒頭に、「住宅・建築物の省エネを進めるための、改正省エネ基準の普及、安心安全ガラスの普及などに取り組んでいく」(要旨別項)と力強くあいさつした。
 合同委員会では、建築委員会(市川公一委員長=旭)、輸送機材委員会(犀川泰彦委員長=日本板)、規格委員会(加藤勇委員長=セ社)、環境・技術委員会(前田浩一委員長=日本板)、税制委員会(小倉基義委員長=セ社)等の各委員会の委員長より、今抱えている問題や今後の方針を発表した。最後に来賓を代表して経済産業省製造産業局住宅産業窯業建材課・三橋敏宏課長が「個々の企業だけでなく業界全体として政府の取組み・国際的な約束事に取り組んで頂いていることに対しお礼を申し上げたい。業界が一致してきっちり経緯を述べていただくことがみなさんの意見が通る、一番効率的な方法である」と感想を述べた。
 また、合同委員会終了後、場所を12階・ロイヤルルームに移動して平成25年ガラス産業連合会(板硝子協会、硝子繊維協会、電気硝子工業会、?日本硝子製品工業会、日本ガラスびん協会、?ニューガラスフォーラムの六団体が加盟)の新年会も盛大に行われた。
 ▽石村会長のあいさつ
 昨年は「2020年までに省エネ基準の適合義務化」に向けたロードマップの発表があり、また「都市の低炭素化の促進に関する法律」が公布・施行されるなど建築の省エネルギー化に向け大きな進展がありました。その中では窓の高断熱化が必須の項目になっております。また、昨年は従来に比べて非常に大きな南海トラフ地震などの被害想定が発表され、防災・安全への関心が非常に高まってまいりました。
 板ガラス業界では「低炭素・循環型の持続可能な社会の実現」と「安心・安全の確保」という大きな課題に全力で取り組み、エコガラスの普及、薄板化による「省エネ」、原料から廃棄までの「リサイクル」、太陽電池カバーガラスなどによる「創エネ」、合わせガラスによる「防災」など社会的な課題解決に貢献すべく努めてまいりました。
 今年は引き続き、住宅・建築物の省エネを進めるための、改正省エネ基準の普及、安心安全ガラスの普及などに取り組んでまいります。また、自動車の分野につきましてもかねてより主要課題になっておりますが、国際基準整備や基準調和に向けた着実な活動を進めてまいりたいと考えております。
 今日ここに御参席の経済産業省の皆様や、この後に開かれます「ガラス産業連合会 新年会」でご一緒させていただく他団体の皆様、さらには他業界の方々との連携を一層強固にして、着実な取り組みを進めてまいりたいと思います。
 各委員会からの報告については次の通り(平成25年度の課題より)。
 ▽建築委員長・市川公一氏
 ☆本年度のテーマと課題
 @エコガラス/省エネ=《新規》改正省エネ基準の流通への周知活動《継続》改修市場への対応(展示会等への出展および提案資料の作成)、優遇税制のフォロー&支援、
 戸建住宅開口部の断熱改修補助金制度設置への働きかけ、高断熱の誘導基準作成に向けた官公庁等への働きかけ、普及広報用パンフレット(改正省エネ基準、低炭素認定住宅基準、窓と健康・ノンエナジーベネフィット等)、改正省エネ仕様基準作成・性能表示改正(各種委員会・研究会への積極参加)、海外の窓開口部の省エネ手法、基準、評価システム等調査
 A安全・安心=《新規》機能ガラス普及推進協議会との啓蒙協同活動(国交省、文科省関連出先機関等)、既存建築物の非構造部材の耐震診断基準・耐震改修設計指針作成委員会に参加《継続》試験協力、台風災害試験方法改訂、瓦等飛来物に対する安全の板協推奨基準化、防犯/省エネ・防災性能を合わせてPRを実施、防耐火/性能協からの協力要請に基づく試験対応、網入板ガラスJIS改正(防火試験法・外観品質)を規格委員会SC1/WG1と連携、策定する
 B施工・構法=《新規》JASS17(ガラス工事)改訂《継続》公共建築物工事標準仕様書等改訂、JASS8(防水工事)改訂
 ▽輸送機材委員長・犀川泰彦氏
 ☆今後の課題 
 @国際基準調和の採択に向けた支援活動
 1)IWVTAへの協力
 2)アジア諸国等の基準調和活動対応=アジア官民会議、専門家会議、ASEAN諸国の58協定加盟の協力
 ・JASICと協調したアジアの活動支援
 ・諸外国の認証対応
 A国際基準整備と課題対応
 1)UN R43改訂案のフォロー
 2)ISO新規格化、見直しフォロー
 3)プラスチック会議参加、課題の整理と対応
 4)各国規制(ブラジル)ヘの早期対応
 B国内基準整備と課題対応
 1)UN R43の保安基準への導入対応
 2)JIS、道路保安基準等の見直し対応。
 C環境・廃自動車ガラスリサイクルの動向調査 
 1)関係官庁・団体の動向確認と対応
 2)ELV指令 半田鉛フリー化等のフォロー
 ▽規格委員長=加藤勇氏
 ☆今後の活動と課題
 @ISO(国際標準化活動)
 ・既存WGで検討中の規格においては、今後も積極的に国際会議に参加し、日本の不利益とならないように活動を継続する。
 ・SC1に新規設置されたWG9:ビル用太陽光パネルガラス(中国コンビナー)の対応については日本電機工業会と連携し、「台風災害試験法」規格ISO16932の見直しについては京大防災研と連携して、引き続き進める。
 AJIS
 ・網入板ガラスのJIS改正を進める(12月末までにJIS原案を作成予定)
 改正点の主な内容
 1)外観及び網材の規定
 2)公的試験機関採用の防火加熱曲線に変更
 3)防火試験体を実状にあった寸法と取付仕様
 ・複層ガラス、強化ガラス、倍強度ガラスの各規格について、ISO規格との整合性対応を検討する
 Bその他
 ・窓の断熱性能表示に関するJIS及びISO規格について、ガラス部分を引き続きサポートする
 ▽環境・技術委員長・前田浩一氏
 ☆平成25年の課題
 @温暖化対策
 ・『環境自主行動計画フォローアップ』の遂行→計画最終年を迎え、目標値の達成は見えた
 ・京都議定書約束期間後の新たな目標値を決め、実行に導くための『低炭素社会実行計画』の遂行
 A廃棄物対策
 ・現状の最終処分量、リサイクル率のレベルを維持
 BLC―CO2活動
 ・『エコガラスのLCA報告書』を「Window25」版に改定し公開
 Cガラス産業連合会(GIC)環境技術部会との連携
 ・『REACH規制』『CFP(カーボンフットプリント)』等の環境系情報についての情報共有
 D(一社)日本工業炉協会への委員の派遣
 引き続き、ISO/TC244国内対策委員会に参加し、規格案の検討を注視し、国内ガラス製造業の不利益とならないような規格原案を目指す
 ▽税制委員長・小倉基義氏
 ☆平成25年度活動方針
 @平成25年度税制改正項目のフォロー
 ・改正要望で実現した項目のフォロー
 A平成26年度税制改正要望に向けての活動
 ・積み残し要望実現に向けて各種調査や関係団体との情報交換

ガーディアン・ジャパン・リミテッド社長 岡戸 志門氏に聞く(平成25年2月4日)










ガーディアン・ジャパンの岡戸志門社長

 米国のガラスメーカー、ガーディアン・インダストリーズ・コーポレーションの日本法人、ガーディアン・ジャパン・リミテッドの社長に昨年12月、就任した岡戸志門氏。就任に際しての抱負と今後の日本市場に向けてどう取り組むのか。話を聞いた。
 ‐‐これまでは「日本における代表者」であったが、社長に就任した。これまでと違う点はあるか。また、抱負は。
 岡戸 前社長のグレゴリー・ポールソンはアジア・パシフィック地区の責任者なので、縦軸の関係はまったく同じ。社員も私の肩書が変わっただけという印象ではないか。
 ガーディアン・インダストリーズは、日米構造協議が進んだ1980年代に日本に進出。日本法人は19905月に設立した。ローカライズ、つまり現地密着を方針としているが、もともとは加工メーカーだったため、顧客の要望に沿って商品を作るのが当然であった。これが、メーカーとなっても徹底されている。それだけに、顧客との密着度が必要であり、現地密着もそれに基づいている。外資企業の中には、本国の方針を現地法人に押し付ける場合があるが、当社は全く逆だ。
 ニーズをつかみ取り、顧客の要望に応えるメーカーでありたいと思う。日本に進出して20年余、実績を積んできた。まだまた伸びるチャンスはある。

‐‐外資企業として、日本市場をどうみているのか。
 岡戸 日本国内の景気はまだ不透明な状態が続いている。しかし、日本はGDPを中国に抜かれたとはいえ、世界3位の経済大国であり、魅力的な、非常に大きな市場であると、評価できる。
 日本と中国を比べると、日本では機能性ガラスへの評価が高いと感じる。機能の高さを理解してくれる顧客は多く、高く評価してくれる。
 多くの国では、省エネなどの規制や基準が設けられ、それに対応できる機能性ガラスが売れるようになるが、日本では市場が先行して機能性ガラスを高く評価し、導入している。日本の新築住宅の9割がペアガラスを採用し、そのうち5割がLow-Eだ。今後、規制がより整備されるようになると、機能性ガラスの需要が更に伸びるだろう。そこに当社が参入する余地が大きいと感じている。

‐‐社長として目指すところは何か。
 岡戸 基本的には今まで実施してきた内容を更に強化するといったところとなる。東京本社で中央集権的に物事を判断し、実行するのではなく、地域担当者が状況に応じ迅速な対応ができるようにステップアップしていく。
 顧客とコミュニケーションをとりやすい位置にいて、意見交換をできる態勢が重要だ。
 国内では既存メーカーを主力にしている業者が多いと思う。当社を一番目の取引メーカーではなく、三番手、四番手でもかまわない。気軽に連絡をいただきたい。


関信越卸・都硝協合同新年会 技能者確保が業界の課題
 (平成25年1月28日)








      盛大に行われた合同新年会

 関東甲信越板硝子卸商業組合(松本巌理事長)と東京都板硝子商工協同組合(永島光男理事長)は、1月18日、東京・千代田区にあるホテルルポール麹町において、合同の新年賀詞交歓会を開催した。今年で4回目となる合同新年会には、来賓を併せ約130名が参会し、華やかなムードの中で進められた。
 司会を務めた松原嘉一氏(都硝協・常務理事)の開会宣言で新年賀詞交歓会はスタート。まず主催2団体を代表して永島理事長が次のようにあいさつした。
 「国土交通省によると、中古住宅流通・リフォーム市場の規模は、2020年には20兆円と倍増を目指すとの事です。新築に軸足を置いた従来の政策をストック重視へと転換する内容です。ただ問題となるのは、リフォーム市場の担い手である地場の工務店や我々販売店を含めた専門工事業者の存在。大手に比べ経営規模が小さく、技術の継承が進みにくく、情報発信や営業提案力が弱い。加えて職人は高齢化が進み、就業者は減少し、技術者不足に陥る可能性も否定できません。
 私共の話で恐縮ですが、都硝協には、後継者・技能者育成の為の訓練校があります。組合員の減少と建設業の衰退に比例するかのように、この10年、入学する生徒の数は減少を続け、今現在、1年生2人、2年生4人、合わせても6人という状況です。
 今後増えてくるリフォーム市場に必要とされる専門知識を持った技能者が不足すれば、困るのは消費者です。我々の次の次の世代の技能者確保は、ガラス業界全体の問題であり、真剣に考えていかなければなりません。本日ご出席の皆様の会社でも、本校への従業員の派遣を、是非ご検討いただければ幸いです。
 昨年から卸組合さんの機能商品普及委員会の会合に出席させて頂いて、一緒にイベント等で機能商品の普及活動をさせていただいております。エコガラスを含め我々が扱う商品は、消費者認知度がまだまだ低く、地道な普及宣伝活動が必要です。営業努力によって、もっともっと売れる商品です。
 地域とともに歩み、地域を知り尽くした販売店にしかできないことが必ずあります。今回の政権交代をチャンスと捉え、今まで以上に、目立つ営業・地域住民から頼られるガラス店を目指してがんばって行かなければなりません」
 引き続き来賓を代表してAGCグラスプロダクツ鞄兼本関東営業部部長の迫田泰滋氏が「いろんな新年会等の集まりに出席していると思うが、今年は明るい雰囲気が漂っているようだ。業界には省エネ・安全・安心のニーズは高まっており、これらが追風になっているが、他業種の参入も増えている。ぜひ、メーカー・卸・小売の皆様とともにこの果実は業界の中で刈り取りたい。そのためには施工というのは他業種との差別化になる。(技能専門)学校の(生徒)人数が足りないという話も聞くので、ぜひ施工力を付けるため若い方に参加してもらって欲しい。メーカーとして高機能ガラスの認知度を高めるため全力を尽くす」と挨拶し、新年会に華を添えた。乾杯の音頭は松本理事長が担当。しばし歓談を楽しんだ後、日本板硝子ビルディングプロダクツ渇c業本部東京支店長・鈴木卓氏の中締めで終了した。なお、当日の来賓団体・企業は次の通り(敬称略)。
 関東甲信越板硝子卸商業組合(敬称略)
 板硝子協会専務理事牧有二調査役岡野敏彦AGCグラスプロダクツ東日本関東営業部部長迫田泰滋同部長補佐三角圭太朗日本板硝子ビルディングプロダクツ営業本部東京支店長鈴木卓東京支店硝子建材販売グループ課長齋藤淳セントラル硝子東京小倉健ガーディアン・ジャパン・リミテッド代表取締役社長岡戸志門セールスマネージャー江藤史雄インサイドセールス井出美由紀ピー・ジェイ・エル リミテッド代表取締役社長青木勇二
 東京都板硝子商工協同組合
 関東板硝子工事協同組合副理事長希代章全硝連関東甲信越地区本部副本部長小峰梅男東京都鏡商工業協同組合理事長尾崎由雄東京板硝子施工組合 理事長小林紀次東京板硝子鏡加工組合会長岩澤精一日本自動車ガラス販売施工事業協同組合事務局長渡辺紳一東京建具協同組合 副理事長岡田弘一城東労務管理事務所三井田和也


■旭硝子 石村社長が ’13方針 業績を上昇トレンドに(平成25年1月21日)

旭硝子梶i本社=東京都)の石村和彦社長は、年頭のあいさつの中で、2013年度方針説明(要旨)を次のように述べた。
 2013年は、経営方針Grow Beyondの下、新たな視点や発想で成長・拡大を目指し、業績を上昇トレンドに反転させる1年にしたいと考えています。以下の年度方針に基づき、「コンプライアンスの徹底」と「安全なくして生産なし」を事業活動の前提とし、事業の推進・拡大に取り組みます。
 1.2013年度方針
 (1)体質強化の取組みを拡充する
 ・コストダウン、資産効率の向上
 ・営業力の向上
 ・将来の成長の種となる研究開発テーマの選定と研究の推進
 ・間接部門の生産性向上と専門性強化
 (2)さらなる成長・拡大を目指して、視点や発想を大きく転換する
 ・斬新な発想で、具体的な戦術を考えて実行
 ・「オールAGC」の視点で、新しい事業機会を探索
 (3)グループの総合力を発揮できる仕組みを整備する
 ・部門や地域を横断するプロジェクトの推進
 ・革新的な技術、事業機会創出に向けたスキルマップの活用
 2.2013年度のキーワード
 視点や発想を大きくChangeすることによって「オールAGC」での反転攻勢を強めていく。
 なお、AGCは、今年から中期経営計画“Grow Beyond―2015”をスタートします。詳細内容については本年2月に発表する予定としている。

■AGC 竜巻で被害を受けた栃木県真岡市へ防災ガラス寄贈(平成25年1月21日)










贈呈式の模様(左は井田真岡市長、右は浅沼氏)

 AGC(旭硝子梶A本社=東京、石村和彦社長)は、昨年5月に竜巻による甚大な被害を受けた栃木県真岡市への支援活動として、地震や突風、台風などの自然災害発生時に効果のある防災ガラスを寄贈した。寄贈先である同市指定避難場所の真岡市立真岡小学校(大関馨校長)体育館では、窓ガラス約150u(材料費及び工事費は設計価格で約1,018万円)がすべて防災ガラスに交換され、自然災害時の安全性が高まった。
 防災ガラスは、「合わせガラス」と呼ばれる構造になっており、地震や台風、突風でガラスが割れた際に、破片が飛び散るのを防ぐため、児童や避難者をガラスの破片によるケガ等から守ることができる。学校などの指定避難所において防災ガラスを採用することで、万一の自然災害時にも安全・安心を確保することが可能だ。
 AGCでは全国指定避難場所の安全対策普及を目的として防災ガラスを寄贈する「ガラスパワーキャンペーン」を200510月から実施しており、真岡市への寄贈が33か所目となる。同市への寄贈にあたり、1225日に真岡市役所にて井田隆一真岡市長列席のもと、また、旭硝子からは同社日本・アジア事業本部市場開発室長・浅沼光一氏らが出席し浅沼氏から井田市長に目録が手渡された。その後市長らによる防災ガラスの破壊実験が行われた。
 井田真岡市長は、「5月の竜巻では、西田井小学校で、ガラスが約250枚割れ、その割れたガラスが廊下に刺さったような状態だったが、たまたまその日が日曜日で被害はなかった。もし子どもたちがいたらぞっとする。こうした中で旭硝子に安全なガラスを寄贈していただいてありがたい。欲を申せば全小中学校にこの安全なガラスを使いたい」とあいさつした。
 さらに、真岡小学校にて5年生の皆様(106名)にガラスパワーキャンペーンの安全・防災啓発活動である「ガラスの出張授業」を実施。記念の盾が贈られた後、ガラス破壊実験なども行われた。
 ちなみにガラス交換工事はAGC硝子建材が担当。1210日から22日までの13日間で終了した。

■三芝硝材 イタリア製の加工設備導入 機能ガラス加工の能力が大幅アップ
 (平成25年1月21日)








    ブゼッティ社のダブルエッジャー

 新年にふさわしい明るい話題をひとつ紹介しよう。合わせガラスや強化ガラスなど機能ガラスの製造・販売を行う三芝硝材梶i本社=高岡市岩坪2312、西英夫社長)は、このほど新規加工設備としてイタリア・ブゼッティ社のダブルエッジャーとフォルベット社の四軸同時加工機・キアラを導入したと発表した。
 同社では、これにより小口加工能力が大幅にアップし、既存の設備と併せ、強化・合わせ・複層ガラス等で使用される荒ズリ磨きその他付加加工を含めた納期対応が可能となるとしている。ちなみにキアラの導入は国内初としている。
 同社・松田俊明取締役の説明によると「今回の導入目的は、加工能力の大幅アップを図ることでした。ここ最近では強化ガラス用のエッジ強度の確保や、合わせ・強化ガラスの荒ズリやミガキなどの小口加工品が建築のみならず、産業用薄板などへの対応で増えてきています。
 これまで当社では強化ガラスラインを2式、合わせガラスラインを4式、複層ガラスラインを1式、その他フィルム貼りのラインなどを保有し、いろいろな機能ガラスやデザインガラスへの対応を行ってきました。しかし、加工ラインの設備がこの受注増に追い付かず、ボトルネックの状態になっており、それを解消するために設備投資を行いました」と語る。
 加工設備は同社本社のある岩坪工場に設置され、ダブルエッジャーは既に本格稼働しており、キアラのほうも今月から本格稼働に入るとしている。
 ☆Busetti社製ダブルエッジャーの概要
 (1)加工寸法=3、000×2、200_
 (最大寸法は短辺3、000_まで。長辺は10、000_以上可能。最小寸法は短辺220_×長辺450_)
 (2)加工仕様
 @フラットエッジ(磨き)=1・8_〜25_
 A四五度斜面取り加工(磨き)=〜15_
 Bペンシルエッジ(荒)=1・8〜8_
 Cステップ加工(荒)=〜25_
 ☆フォルベット社製キアラの概要
 (1)加工寸法=2、500×4、300_(最小寸法は400×500_、切断面をまっすぐに仕上げ、磨きをかけて滑らかにするフラットエッジ加工は3〜19_。
 (2)特徴
 四軸を同時に加工できる。また異形形状に対応する(平行四辺形等の異形の小口を四軸加工ツールが同時に加工する)。
 松田取締役は「今回の設備投資でいろいろな形や種類の機能ガラスを短納期で提案、提供できます。ぜひ当社にご用命下さい」と笑顔で語っていた。

■弊社からの提言 「もったいない」「技能者を大事に」の文化を育てよう(平成25年1月21日)

 今年はスタートから、安倍内閣ができて株高、円安ドル高となり、消費税の駆け込み需要も見込めることから、好景気になると予想する人が多く明るい話題も多い。建材メーカーの決算数字を見ても前年同期比でプラスになってきているところも多い。この状態が末端の我々の段階までおりてくるのかどうか、今後はその動向を注視していくことが必要だ。
 さて、我々の業界を見てみると「窓」事業という発想が出てきてから、流通段階でガラスを切る、サッシを組み立てるという作業が減少し、例えばガラスが割れてもガラスを交換するのではなく、建具ごと交換するという「窓」や「ドア」もでてきている。今後「窓」の品種やサイズも減少するとなると、「窓」が既製品化されることも予想され、ガラス・サッシ販売店でなくても大工さんであれ誰であれ、簡単に「窓」を交換することができるようになるのではないかと想像する。
 新築分野では商流の変化などで、既に街のサッシ・ガラス販売店の出番が減っているが、リフォーム分野でもいずれは誰にでも「窓」を交換できる時代がやってくるかもしれない。現状ではいろんなサイズや種類の「窓」が、リフォームしなければならない家にたくさん存在するので、今すぐ街のガラス・サッシ販売店の出番がなくなるとは考えづらいが、自分の子供の世代を考えるとガラス業、サッシ業だけで食べていけるのか不安になる方も多いのではないか。
 記者は、ガラス・サッシ専門店が必要か不要か、その判断を下すのは、一般のユーザーの方ではないかと考える。国民の間に建具ごと交換するのは「もったいない」とか「ガラスを交換する技術者が必要だ」という文化が育てれば、専門店が必要だと考えるからだ。
 国民に「もったいない」「技術者を大事に」という文化を育てる・あるいは根付いてもらうためには、自分たちの存在を世の中にもっと知ってもらう必要があるのではないか。「技術者がいなくなれば。震災のような大事件、大事故が発生した時、誰も修繕できる人がいなくなる」。こういうことを国に訴えていくことも重要だと思うし、いろんなイベントに参加することやテレビ等のマスコミでガラスの特長や我々の存在をアピールすることも大事だと考える。
 弊紙の提言として、今年は業界をあげて、国民に「もったいない」「技術者を大事に」という文化を育てる、そういう年にしたいということを申し上げたい。国の経済政策だけに頼るだけでなく、自分たちでできることは自分たちで行う。そうすれば必ず道は開けると思う。

■旭硝子 自動車ドア用強化ガラス発売(平成24年12月24日)
 旭硝子株式会社(東京都)は2012年12月から、紫外線を約99%カットしながら、日射しによる暑さや「ジリジリ感」の原因となる赤外線をカットする自動車ドア用強化ガラス「UVベール Premium Cool on」の販売を始めた。「紫外線を99%カットしながら赤外線をカットするのは世界初」だという。
 女性ドライバーにとって、自動車の窓回りの最大の悩みは日焼けやしみ。その原因となるのは紫外線である。同社は2010年に紫外線を約99%以上カットする「UVベール Premium」を発売し、すでに十五車種に広がっている。しかし、「車内が暑い」「運転中に腕がジリジリする」などの赤外線が原因の不快感の解消も求められるようになっている。今回の新商品は赤外線カットの要望にも応えた。
 この高機能ガラスは「快適なドライブ環境を実現し、暑さを和らげることで弱めのエアコン設定を可能にする」という。環境負荷低減にも貢献する商品となっている。
 同社のガラス材料技術、コーティング技術、化学技術を融合したもの。紫外線、赤外線をともにカットするだけでなく、ドアガラスの昇降時に傷が付きにくい新材料や、高品質コーティング技術により製品化に成功した。
 この製品は12月5日に発売されたトヨタ自動車の「ヴィッツ 特別仕様車」に「IRカット機能付きスーパーUVカットガラス」として採用されている。


10月の新設住宅着工戸数 8万戸を突破 前年同月比25.2%増(平成24年12月10日)

国土交通省が1130日に発表した本年10月の新設住宅着工戸数は、 持家、貸家、分譲住宅ともに増加したため、前年比25.2%増の84251戸となり、2カ月連続の増加となった。季節調整済み年率換算は978000戸だった。持家は前年比13.0%増で2カ月連続の増加、貸家は同48.2%増2カ月連続の増加、分譲住宅は同14.2%増で2カ月連続の増加となった。近畿圏の分譲の数値以外はすべての分野において前年度を上回る結果となっている。消費税増税の影響がでてきているかもしれない。
 発表の概要は次の通り。
  1.総戸数
  ▽新設住宅着工戸数は 84,251戸。
 ・前年同月比25.2%増。2か月連続の増加。
  ▽新設住宅着工床面積は7,305千u。
 ・前年同月比20.1%増。2か月連続の増加。
  ▽季節調整済年率換算値では978,000戸。
 2.利用関係別戸数
  @持家
  ▽持家は28,894戸(前年同月比13.0%増。2か月連続の増加)
  ・民間資金による持家は25,103戸(同14.9%増。2か月連続の増加)
  ・公的資金による持家は3,791戸(同1.3%増。14か月ぶりの増加)
  民間資金による持家が増加し公的資金による持家も増加したため持家全体で増加となった。
  A貸家
  ▽貸家は33,939戸(前年同月比48.2%増、2か月連続の増加)
  ・民間資金による貸家は30,141戸(同 48.3%増、2か月連続の増加)
  ・公的資金による貸家は3,798戸(同47.3%増、5か月ぶりの増加)
  民間資金による貸家が増加し公的資金による貸家も増加したため貸家全体で増加となった。
  B分譲住宅
  分譲住宅は21,064戸(前年同月比14.2%増、2か月連続の増加)
  ・マンションは10,334戸(同17.8%増、2か月連続の増加)
  ・一戸建住宅は 10,656戸(同11.8%増、2か月連続の増加)
  マンションが増加し, 一戸建住宅も増加したため分譲住宅全体で増加となった。
 3.地域別戸数
  ▽首都圏
  総戸数=28,075(前年同月比25.1%増)
  持家=6,164(同 8.3%増)
  貸家=11,144(同 36.2%増)
  分譲住宅=2,364(同 26.2%増)
  ▽中部圏
  総戸数=10,070(前年同月比24.2%増)
  持家=4,541(同 13.8%増)
  貸家=3,126(同 29.3%増)
  分譲住宅=2,364(同 40.4%増)
  ▽近畿圏
  総戸数=12,429(前年同月比12.2%増)
  持家=3,539(同 15.6%増)
  貸家=4,616(同 32.9%増)
  分譲住宅=4,263(同 5.7%減)
  ▽その他地域
  総戸数=33,677(前年同月比31.3%増)
  持家=14,650(同 14.1%増)
  貸家=15,053(同 70.5%増),
  分譲住宅=3,806(同 0.3%減)
 4.その他
  ○建築工法別
  ・プレハブは, 12,546戸(前年同月比 21.3%増、2か月連続の増加)
  ・ツーバイフォーは, 11,157戸(前年同月比44.4%増、2か月連続の増加)


■藤原工業社長 松井均氏 インタビュー(平成24年12月10日)









   松井均社長

 強化ガラス・強化ガラスドア・合わせガラスの加工・製造・販売を行う藤原工業梶i本社=大阪府大阪市、松井均社長)は、829日に前社長で父親の故松井清氏の死去に伴い、代表取締役社長に松井均氏が就任した。今回は、この業界の荒波の中をどのように航海していくのか、松井社長ご自身にご登場をお願いし、お話を伺った。松井社長は「藤原工業は昭和2年に電熱処理で曲げガラス加工をもって創業してもうすぐ90年を迎えます。独自の技術で零戦の風防やミゼットのフロントガラスをダイハツに納入していた長い歴史があります。機能ガラスの二次メーカーの老舗としてのプライドを強く持って、前社長の方針と基盤を守りながらも時代に合った新製品を開発し供給していきたい」とその抱負を語った。

 ――社長のこれまで歩んでこられた道程を教えてください。
 松井 昭和37年東大阪市で生まれ、ずっと関西に住み、関西以外に住んだ事はありません。ご存知の通り、藤原工業の創業者が私の祖父の藤原加年治で、もの心付いた頃から藤原工業を知っていましたし、父の関係でよく、社員の方々が家によく遊びに来ていました。子供のころから、非常に父(当時専務)の影響を受けました。
 このような環境下でしたので必然的に大学卒業後、昭和61年に藤原工業に入社しました。
 入社当時は受注窓口等の自動車ガラスデリバリー業務でしたが、その後、営業課長→業務部長→製造部長→総務経理部長と部門を移りました。品質管理部だけはしていませんが、各部門を経験することにより、非常に部門内の苦労がわかり、今の仕事に大きく役立っています。
 平成17年に常務取締役になり、その後、専務取締役を経て今年の829日に父、前社長が亡くなり、当日に代表取締役社長に就任しました。

――現在の社員数は
 松井 役員を含めて74人です。

――住まいは
 松井 神戸市須磨区で通勤に1時間半掛かっていますが、環境の良い場所なので休みの日はリフレッシュできて、非常に気に入っています。家族は3人家族です。家内と子供1人です。家族に支えられています。
 ――趣味は。
 松井 写真とサッカー観戦です。休日は家内と神戸の自然や街を歩きに行き、写真を撮っています。地元サッカークラブをスタジアムまで観戦に行きますが、残念ながら先週降格しました。

――社長がモットーとされていることは。
 松井 「お客様に感謝し、お客様から感謝される商品つくり」と「社員は家族」です。我々は取引きしてもらっているお客様や仕入業者様に支えられて生きているので、絶えず「有難うございます」という感謝の気持ちを持って仕事させてもらっています。お客様に感謝し、そのお返しにお客様から感謝される製品で応える。又、従業員は家族だと思っていますので、極力従業員全員と対話を普段からするようにしています。会えるアイドル、AKBではないですが、社長と社員とが普段から会話ができる関係を大切にしようと考えています。

 ――社長の抱負・基本理念をお聞かせください。
 松井 藤原工業は昭和2年に電熱処理で曲げガラス加工をもって創業してもうすぐ90年を迎えます。独自の技術で零戦の風防やミゼットのフロントガラスをダイハツに納入していた長い歴史があります。機能ガラスの二次メーカーの老舗としてのプライドを強く持っています。
 社長は私で5代目になるのですが、何にしても前社長に比べられるというプレッシャーはありますが、父の葬儀にあれだけの方々が来ていただいて、あらためて父の偉大さを実感しました。父と同じことは私にはできませんが、父の遺志を継ぎながらも父とは違う私の感性で色を出して行きたく思います。
 前社長の方針と基盤を継承しながらも時代に合った製品を供給できる絶えず、新商品を開発して市場に送り出せる会社にしたく思います。新生藤原工業として来年以降、少しずつ変えて行くつもりです。
 それとやはり、我々の規模の企業にはニッチ市場に積極的に対応できる商品開発する事が大切です。まだまだ探せば機能ガラスのニッチ市場はあります。大手企業と同じような商品展開だけでは中小企業ではとても勝ち残っては行けません。
 特定ユーザーや少数ニーズにも応える商品作りを進めていきたく思います。また、業界も若返りしていますので、同年代の経営者の方々と今後のニーズや業界の方向性など時間を掛けて話し合いたくも思います。

――今後の動きについては。
 松井 自動車、建築、産業用と絶えず、世の中のニーズを調査しながら時代に合う商品開発に力を入れていきたいです。今後も藤原ブランド「ピュアシリーズ」を出し続けていきたい。今年は大型ドア「ピュア・グレートドア」やマンション向け合わせガラス「ピュア・ラウム」と出しましたがなど、来年も多くの新商品を世に出して行く予定です。長年の経験を生かしながらも、全く従来とは違う発想を持ち、会社自体を大きく変えたく思っています。具体的にはまだ言えませんが従来に発想だけでは生き残って行けません。
 大きな変革ができるかできないかがこの業界で生き延びることができるかどうかの鍵だと思います。

――次の世代にうまく引き継げるかどうか。私たちの年代の人間が頑張らないといけません。お互いに頑張っていきましょう。

1212日(水)夜7時〜854分 TBS “特大がっちりマンデー”にガラス新聞社が登場(平成24年12月12日)

 業界新聞No.1ニュース大賞2012
この番組にガラス新聞が登場します。
予定では1番目に登場します。ぜひご覧ください。

■板協が第10回ガラスシンポ(平成24年12月3日)









    ファサードの設計など学んだ
 板硝子協会が、ジャパンホーム&ビルディングショー最終日の11月16日、東京ビッグサイト会議棟605号室で「ガラスシンポジウム2012」を開き、業界関係者など約130人が集まった。宇都宮大学の郡公子准教授と株式会社日建設計主管の水出喜太郎氏が「最近のガラスファサードの設計法とその性能」の表題で、独立行政法人建築研究所主任研究員の喜々津仁密氏が「竜巻による建築物被害とその軽減に資する取り組み」の表題で講演を行った。
 シンポジウムの冒頭、板硝子協会建築委員長の市川公一氏は「ガラスシンポジウムは設計、施工に携わっている板硝子に関するさまざまな情報に出会える。今回は10回目の節目である。近年、ガラスに社会的要求が増えた。複層化、遮熱・断熱、防犯、防災など高度なガラスへの要望が増えている。今後も開発、普及・促進しなくてはならない」などと、主催者を代表してあいさつした。
 【高機能ファサードの最新性能を考える】
 郡博士は「地球環境時代となり、ガラス建築は環境的に高性能でなければ存在が許されなくなっている。ガラスファサードを熱的に高性能化する手法にエアフローウインドウ、エアバリア窓、ダブルスキンなどの高性能窓システムがある」とし、それぞれの仕組みを説明。竣工年による高性能窓システムの採用件数などを示した。更に、ダブルスキン、AFWの熱性能算定式や実用計算法なども示した。すべて屋外排気するAFW、窓排気の一部を空調機に戻すAFW、自然換気を行うダブルスキンの熱性能など、図を交えながら説明した。
 水出主管は「ファサードは外部環境と内部空間との境界を形成し、サスティナビリティ、コミュニケーション、快適性などの今日的テーマと関わりが深く建築空間を豊かにするための重要な要素だ」と話し、「高性能ファサードの設計法と具体例」として、「福山市まなびの館ローズコム」「スーパーコンピュータ 京(けい)」を例に挙げて説明した。
 福山市まなびの館ローズコムは、旧福山藩校「誠之館」の跡地に市民学習と交流の拠点として計画された。図書閲覧室などの建築物の回りに道三川を利用した水盤を広げ、外気との温度差で館内の空気を冷却し循環できる。自然換気併用の空調システムとなっている。
 スーパーコンピュータ 京の施設である研究棟は日射遮蔽と海風の影響を防ぐ断熱性強化のダブルスキン外装。研究棟と計算機棟の間にアトリウムを設置し、これを利用した自然換気システムを構築している。
【竜巻による建築物被害とその軽減に資する取り組み】
 喜々津博士は「建築物の竜巻被害の概要」「竜巻再現実験の展開」「竜巻被害の軽減に向けできること」の3点に分けて話した。今年56日に発生した竜巻被害について、木造建築物の転倒、倒壊、飛散、移動について現地の写真を示しながら解説。木造小屋組の破壊、鉄骨造の残留変形、転倒、RC造建築物の開口部などの損壊などについても説明した。
 更に、「飛来物による被害が大きかった」ことに言及し、中には鋼板製屋根材が電線に引っ掛かった例もあった。
 竜巻発生を再現することで風力や方向などについても検証している。つくば市の被害状況と実験結果の対応関係についても言及した。
 竜巻被害の軽減について、@建築基準法では竜巻によって生ずる荷重・外力は想定されていないA人命・財産・機能保護の観点で被災後の影響が大きい建築物については竜巻に脆弱な部位に対する設計の考え方の整備が求められる――などと指摘。通常の耐風設計の延長線上で竜巻に対して脆弱な部位(屋根・開口部)に、合わせガラスの採用など、プラスアルファの性能を持つ仕様を採用する。米国の重要施設を対象にした対竜巻設計の考え方を参考にする――などと提言している。


■ハードグラス工業 空港第一工場(伊丹)
 盛大にお披露目(平成24年12月3日)








           盛大に鏡開きも行われた

    下岡社長

強化ガラスドアの国内シェアナンバー1を占める安全ガラス(強化・合わせ)製造・販売のハードグラス工業梶i本社=伊丹市北伊丹779、下岡嵩社長)は、既報の通りかねてより建設中だった同社空港第一工場(所在地・兵庫県伊丹市口酒井3丁目330号)がこのほど竣工し、その披露宴が1121日(水)の大安の日に、旭硝子など取引関係者ら約100名が集まる中、盛大に行われた。
 会場となった空港第一工場では、下岡社長を始め多くの同社役員・社員らがお出迎え、宴会場となった2階入り口にはたくさんの胡蝶蘭がならぶなど終始華やいだ雰囲気の中で行われた。
 宴の冒頭に、主催者を代表して下岡社長が次のようにあいさつした。
 「当社は大阪万博のあった1970年に、先代の藤原健壹社長が大阪市東淀川区鳥飼のほうで会社を設立した。今年で丸43年を迎えていますが、順風満帆という時ばかりではなく、逆風に追われていた時の方が多かったと思います。今の経済状況を見ても、円高・ヨーロッパの財政危機・中国経済の台頭などなど、じっとこのまま座して待っているだけでは、急な坂道を転げ落ちるのではないか。そのような危機感を感じて、また、時代の要請も感じまして、新たな製品、機械の設備投資を考え新工場の建築に至った。
 このような厳しい時期に投資の決断をできたのも、AGCグループでは東大阪でガラスの切断事業を行っていたが、その事業を譲り受けた。そして技術指導はもちろん品質指導から始まってすべての面でご指導を受けた。
 この新工場の設立、設備投資ということについては当社として大変迷った時期もあったが、伊丹の藤原保幸市長、AGCグループの皆様方のバックアップをいただいて、おもいきり、この工場設備の投資に踏み切る事ができた。
 また、AGCグループの皆様方のご協力に応えるため我々社員は迷うことなく全力で走ってまいりたいと思っています」
 引き続いて来賓代表のあいさつが行われ、まず始めに藤原保幸伊丹市長が「伊丹市では産業政策に力を入れて、街づくりの大きな柱にしている。市民生活を考える上で働く場がなければならないし、福祉にしろ、教育にしろ、いろいろな策を進めるにあたって、地域経済が頑張らないと何事もできないという問題がある。伊丹氏は活力と賑わいのある街を目指してやってきた。なんとか伊丹の企業の方がこの地で操業をしていただけるように、伊丹市は企業立地支援条例を作って市内で事業を発展させる企業を応援するしくみを整えてきた。そしてこのハードグラス工業様はその適用11例目です。おかげさまで日本は人口が減少傾向にあるがこの伊丹市は微増傾向で20万一歩手前まできた」とあいさつ。
 続いて、AGCグラスプロダクツ椛纒\取締役社長執行役員武田雅宏氏が次のように祝辞を述べた。
 「私どもとの関わりを紹介すると1974年にガラスの素板をお買い上げいただくお客様としてお付き合いがはじまった。1987年に旭硝子のブランドであるところの強化ガラスドア、テンパライトドア、強化ガラスのテンパライトの製造をお願いしたところからますますパイプが太くなった。それ以後、AGCグループとして長いお付き合いをしていただいている。このたび1階で切断をされていますが、今回その仕事もお願いすることとなった。私自身は1992年に大阪の特需にいて大手ハウスメーカーのお仕事をハードグラスさんと一緒にさせていただいた。いつも正確に誠実に動いていただいたことが良い思い出になっている。ハードグラスさんがおやりになる安全ガラスや省エネガラスについては、これから大きなマーケットがそこにある。中国に比べても安全ガラスの使用量はまだまだで、中国では多くの人が集まるところでは、強化ガラスや合わせガラスを使わなければならないとし極めて厳格に守られている。そういう意味においては、日本はまだまだです。そういう意味では皆さんと一緒になってビジネスを大きくしていきたい」
 その後、ナブテスコ・理事住環境カンパニー商品企画部長・上仲宏二氏が「厳しい中でも未来に向かってハードグラスさんは飛躍することを確信している」。さらに大林組・常務執行役員大阪支店建築副事業部長・山本博敏氏が「今回は特命で仕事をいただいた。今後第二・第三工場の工事もいただけることを期待している」とあいさつ。
 また、乾杯の発声はAGC硝子建材の伊東弘之社長が行い、披露宴に華を添えた。その後は下岡社長らを囲んでしばし歓談を楽しんだ。
 披露宴の前に内覧会も行われ、1階部分に設けられたカッティングラインを見学、切断ラインそれに面取機はすでに稼働しており、参加者は熱心に見学していた。
 ▼新工場の概要
 @名称=空港第一工場
 A所在地=兵庫県伊丹市口酒井3丁目330
 B敷地面積=約5000平方b
 C延べ床面積=約6000平方b(建ぺい率60%)
 D建物=ALC鉄骨2階建て
 E着工=20124
 F投資金額=約11億円
 G設備=複層ガラス製造ライン、切断機4機、セラミック印刷機1台、クレーン5
 H目的=ガラスの(鏡、カラーガラスも含む)切断・加工・面取り(以上1階部分)ビル用の複層ガラス製造、インジェクトによるガラス印刷、中低層カーテンウォールユニットの組立
 I建設会社=大林組


全硝連 国交相に陳情書手渡す
 サッシ業界への行政指導要請
 (平成24年11月26日)








羽田大臣(中央)と記念撮影、左は武田事務局長(いずれも全硝連提供)

 面談する左から羽田大臣と永島、中村、宮代の各氏

全国板硝子商工協同組合連合会(全硝連、永島光男会長)は1112日(月)、羽田雄一郎国土交通大臣に対し、住宅エコポイント制度復活、省エネ基準の明確化とサッシ問題の改善を求める陳情書を提出した。板ガラス業界では流通短絡化や異業種参入を背景に、近年、特に末端の小売部門が苦況に立たされている。
 国の政策面での支援を要請した今回の陳情書は、永島会長と中村勉・関東甲信越地区本部長(新潟県板硝子商工組合連合会会長)の連名で出され、板硝子協会の要望事項も添えられた。
 「板ガラス業界として今後の施策に関するお願いの件」と題する陳情書(別掲)では第一に、暫時廃止となったエコポイントについて「増改築に限って再度、実施してほしい」としている。
 全硝連は、省エネ意識の高まりや東日本大震災など大規模災害の発生で一般消費者の関心が新築より「窓の改修」を中心にリフォームに向かっていると指摘。板硝子協会も「住宅エコポイント制度の継続的な実施」を要望している。
 国交省のまとめによると、住宅エコポイントの申請状況は、平成249月末時点で、累計で1627611戸(新築882519戸、リフォーム745092戸)に達している。2回にわたるエコポイントの利用率はいずれも100%だった。
 要望の第二はサッシ問題で、「アルミ樹脂複合サッシの防火性能問題で、われわれ小売事業者や中小工務店が被害を受けないようサッシメーカーに指導願いたい」と、競合関係に陥りやすいサッシ業界に対し行政の指導を求めている。
 要望の第三は省エネ基準関係で、「制度改定にあたり、われわれにもわかりやすい基準仕様の設定をお願いしたい」と訴えている。
 板硝子協会も「省エネ基準義務化の早期実現(大規模は即時実施)」と「省エネ基準の引き上げ」を要請。その理由として@日本の省エネ基準は義務化されていないA日本の省エネ基準は国際的に見劣りするB開口部の性能を上げるとエネルギー消費が削減される3点を挙げている。
 今回の陳情書提出に先立ち、永島会長と宮代茂・専務理事(神奈川県板硝子商工業協同組合理事長)、中村氏、武田陽子・全硝連事務局長の四氏は、1030日(火)午後4時から国交省大臣室で羽田大臣と約15分間面談し、事前に口頭で同様の趣旨の要望を伝えていた。中村氏の仲介で面会が実現した。
 事務局によると、羽田氏は「国交省はエネルギーを使う省庁。これからも(省エネに)取り組んでいく」と前向きに対応。秘書官の「文書で」との発言を受け、陳情書提出の運びとなった。

平成241112
国土交通大臣
羽田 雄一郎 殿

全国板硝子商工協同組合連合会
会 長 永島 光男 
全硝連関東甲信越地区本部
本部長 中村  勉 

 板ガラス業界として今後の施策に関するお願いの件


 拝啓 時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、先日は大変お忙しいなか、面談の機会を頂戴し、誠にありがとうございました。
 私ども全国板硝子商工協同組合連合会(以下、全硝連)は、全国2,000社の事業所が加盟する組合で、一般消費者に一番近い場所で商売を行っている、いわゆる町のガラス屋を主とする集団です。
 ガラスの割れ替え修理、大工・工務店へのガラスとサッシを組み立てた「窓」としての販売など、最も消費者に近いところで商売をしております。東日本大震災や中越地震の時など災害時のガラスの補修作業は、私どもが中心となって行って参りました。
 過去2回「住宅エコポイント制度」を導入いただいたことは、私ども業界にとって、大変有意義な結果となりました。一般消費者が「窓」に目を向けるようになり、「窓から省エネ」という認知度が高まったことは私どもにとって、またとないビジネスチャンスでもあります。この場をお借りいたしまして御礼申し上げます。
 この機会を捉え、更なる省エネを推進するために、板ガラスを主取扱い品目とするガラス業界の地位向上と関連して、下記のことを陳情申し上げます。

                                         敬具

                     記

1.住宅エコポイントを増改築に限って、再度、実施のお願い
 理由
 ・過去2回のエコポイント制度で、窓の改修に消費者が目を向けるように
  なってきた。
 ・総予算の約2割、60万戸の家庭の窓が改修された。
 ・日本の窓は諸外国と比較して著しく劣っており、省エネを考える上で、
  今後も窓の改修は必要である。
 ・エコポイントでは新築は大手の住宅メーカーが恩恵を受けたのに対して、
  増改築は中小の事業者が手掛けられ、我々にも大きなメリットがあった。
 ・住宅の政策が新築中心から増改築に向かう方向であるので、是非この流れ
  を加速させるためにも、増改築のみのエコポイントを復活してほしい。

2.住宅サッシの防火性能の問題につき、サッシメーカーへの対応のお願い
  理由
 ・アルミ樹脂の複合サッシが、試験の結果、所定の防火性能がなく、現在、
  通則認定より個別認定に切り替えるとのことである。
 ・性能がない物を切り替えるのは当然と思うが、その切り替え方法がサッシ
  メーカーに有利で、我々中小事業者の仕事を法の遵守を名目として、奪う
  ような実施の仕方をしている。
  我々はガラスとサッシを購入して、「窓」という完成品として大工・工務店
  様に販売してきた。
  しかしながら今回の防火用のサッシは、メーカーの完成品を購入するか、
  ガラスとサッシをセットでサッシメーカーから購入せざるを得なくなり、
  完成品を作る機能を奪われるか、ガラスの仕入れ先の自由度がなくなるか
  で死活問題となる。
 ・アルミ樹脂複合サッシに防火性能がなく、切り替えるということは理解で
  きるが、問題になっていないアルミサッシまで廃止し、しかも販売する品
  種が個別認定を受けたアルミ樹脂の複合サッシのみになってしまい、更に
  はコストが現状の2.5倍とのことであるが、このことは法に名を借りた
  便乗値上げではないのか。
 ・また実施の時期が来年の前半には実施されるとのことであり、我々も我々
  の客先である大工・工務店様も施主に説明できず、最悪の場合、持ち出し
  となってしまう恐れがある。
 ・更に疑問に思っておりますのは、一般の戸建住宅に用いられる住宅用サッ
  シに関しては防火用のサッシの切り替えを実施しているが、マンションや
  オフィスビルに使用されるビル用のサッシに関しては、従来仕様のままで
  ある。
  このように自分たちに都合の良いように対応策を実施しており、法令遵守
  に名を借りた中小事業者を排除するための行為であることは明らかである。

3.省エネ基準の改定にあたり、平易な仕様基準設定のお願い
 理由
 ・今回の省エネ基準の改定にあたり、仕様規定(たとえば窓で、W地区なら
 アルミ+A6のペアの組み合わせでOKなど)が無くなり、個別に計算し
  なければならなくなると聞いている。
 ・以前のように、我々中小の事業者や工務店様にも解りやすい基準の設定を
  お願いしたい。
 
                                                以上

社会保険未加入問題 対策推進協議会が第2回会合
 (平成24年11月12日)









あいさつする国交省・佐々木局長

       推進協議会の模様

建設産業における雇用・医療・年金保険の未加入問題に取り組む「社会保険未加入対策推進協議会」の第2回会合が1031日午後2時より、東京・霞が関の国土交通省中央合同庁舎3号館の共用会議室で開かれた。
 会合には、この問題の行政側の窓口である国交省土地・建設産業局と厚生労働省社会保険担当部局の担当官と推進協に登録している建設関連75団体の代表、オブザーバーら計約300名が出席し@各建設業団体による保険加入計画の策定A見積時の法定福利費内訳明示にかかる標準見積書案及び活用の進め方B保険加入促進計画及び標準見積書案にかかる申し合わせ3について協議した。
 その結果、事務当局が用意した「法定福利費の内訳明示にかかる標準見積書及び社会保険加入促進計画を活用した保険未加入対策の更なる推進について」とする「申し合わせ案」(要旨別稿)を採択した。
 会合の冒頭、佐々木基・国交省土地・建設産業局長が「建設関連業界の人材確保といった側面からも社会保険加入は避けて通れない問題となっている。推進協は一つのステップ。皆さんのご理解とご支援を賜りたい」とあいさつした。
 議事では、国交省の担当官が今年5月に開催した全国規模の第1回社会保険未加入対策推進協議会以降の行政と各団体の取り組みや今後の対応、主な建設業団体で構成するワーキンググループの活動状況などを説明し、社会保険加入に協力を求めた。
 国交省の1031日現在の集計によると、推進協登録75団体のうち「促進計画」作成済みは59団体、「標準見積書」作成済みは32団体となっている。
 質疑では、推進協の活動を評価する一方で、「(大手ゼネコンによる)ダンピング受注が横行している中で実行できる状況にない」、「見積書の作成にしても周知徹底しないと無理。時間がかかる」、「(社会保険に加入しない)下請け排除だけでは解決できない問題」、「アウトローが安値で受注している。未加入のアウトロー対策は」などと、国が目指す社会保険100%加入を危惧する意見が相次いだ。
 国交省土地・建設産業局建設市場整備課労働資材対策室によると、建設業界では雇用・医療・年金保険に入っていない企業が多数存在し、労働者の公的保障がないがしろにされている。また法定福利費を負担している企業ほど競争上不利となり、公平な環境が阻害されていることも問題点として指摘されている。
 こうした事態を打開するため国交省は111日から、建設業許可・更新の申請時に保険加入状況を記載した書面を添付させる制度をスタートさせた。また未加入企業に対し文書で指導する一方、従わない場合には厚労省の担当部局に通報。それでも改善されない場合には強制加入手続きや建設業法に基づき指導・監督処分を行うとしている。
 社会保険未加入対策推進協議会には日本建設業連合会、全国建設業協会、日本空調衛生工事業協会、日本塗装工業会、全国鉄筋工事業協会、日本シャッター・ドア協会など建設業関係の75団体が登録。板硝子関係では全国板硝子工事協同組合連合会が参加している。
 全国10ブロックに地方協議会が設けられている。

■盛大に第22回グラステック2012(平成24年11月12日)









      レセプションの模様

ガラス産業のあらゆる分野を捉え、素材としてのガラスの可能性をさまざまな視点から紹介するユニークな展示会「グラステック2012(国際ガラス製造・加工機器展)」が1023日から1026日までの4日間、ドイツ・デュッセルドルフの見本市会場で盛大に開催された。今回で22回目を迎えたこの展示会には、世界53カ国(前回は51カ国)・1162社(同1275社)の企業が出展。4.3万人以上(同4.5万人)の来場者が訪れた。
 日本からの直接出展社は、AGCセラミックス、坂東機工/バンドー貿易、ハイテックエンジニアリング、樋口鐡工所、日本山村硝子、日本精線などの企業が出展した。日本からの来場者としては、板ガラスメーカー、サッシメーカー、二次加工メーカー、加工・機械・機材関係、板ガラス流通業者の代表者、ガラスびん関係者などが主に訪れていた。展示ブース担当者の話では旭硝子の石村社長も訪れていたようだ。
 弊紙・ガラス新聞社後援のグラステックツアーのメンバーも見本市会場で主催者側から大歓迎を受けレセプションも行ってもらった。メッセ・デュッセルドルフ本部統括本部長のB.ホルン氏の話では、ドイツ・ガラス業界でもキーワードになる言葉は「省エネ」だそうで、事実、四層の複層ガラス(Low―Eガラス・アルゴンガス入り)でU値0・3とか0・4という数値の複層ガラスも展示されていた。
 記者の一押しは今回も「glass technology live」のコーナー。ここでは未来のガラスが紹介されており、先ほどの高断熱ガラスやLEDを使ったデザインガラスなどが展示されていた。日本にもこんな「窓」があれば面白いと思ったのが、ガラス壁の中に収まった開き窓(ドレーキップ窓)。大きな複層ガラス壁の中に、開き窓がガラス面と面一(つらいち)に納まっており、見た目も非常に美しい。まるで「窓」が宙に浮いた感じで、とても不思議な印象の窓というかガラス壁だった。この他、ガラスでできた浴槽やガラスの階段、上から吊りあげられた合わせガラスなどユニークなデザインのガラスが一堂に紹介されていた(詳細は次号より連載で紹介していく予定です)。

■第21回ブループラネット賞(平成24年11月12日)











夫人を伴って表彰式典に臨む左から1人おきにリース教授、ワケナゲル博士、ラブジョイ博士

公益財団法人旭硝子財団(田中鐵二理事長)は1031日(水)午後3時より、東京・丸の内の東京会館ローズルームで、2012年度(第21回)「ブループラネット賞」表彰式展を厳かに開催した。
 地球環境問題の解決に貢献した個人や組織に贈るブループラネット賞の本年度の受賞者は、カナダ・スイスと米国の学者の2件・3氏。
 1件目の受賞者はブリティシュ・コロンビア大学のウィリアム・E・リース教授(カナダ)とグローバル・フットプリント・ネットワーク代表のマティス・ワケナゲル博士(スイス)の2氏。
 両氏は、人間がどれだけ自然環境に依存しているかを表した指標「エコロジカルフットプリント」を提唱。世界のほとんどの国が自然資源を過剰消費していることを明らかにし、リスク見直しに貢献した。両氏が共同開発した視覚に訴えるフットプリント(足跡)の概念は現在、持続可能性を知るうえの尺度となっている。
 もう1件の受賞者は、ジョージ・メイソン大学環境科学・政策専攻教授のトーマス・E・ラブジョイ博士(米国)。
 博士は、南米アマゾンの熱帯雨林での実地調査などを通し、人間の活動が生物多様性を損ね、地球環境の危機に至ることを学術的に解明し、「種の絶滅予測」を発表した。
 表彰式典では、地球環境にかかわるオープニング映像を観賞した後、主催者側を代表し田中理事長があいさつ。ブループラネット賞選考委員長による選考経過説明の後、受賞3氏の業績が映像で紹介された。続いて田中理事長から3氏に賞状、トロフィーが贈られた。
 来賓として式典に臨席した秋篠宮殿下、野田総理大臣(代理)、カナダ、スイス両大使と米大使館公使がそれぞれ祝辞を贈った後、夫人を伴った受賞者が1人ずつ登壇しスピーチした。
 式典終了後の午後4時半より、東京会館12階のロイヤルルームを会場に、華やかな祝賀パーティーが開かれた。秋篠宮ご夫妻も出席された。
 受賞3氏は翌111日(木)、東京・渋谷の国連大学ウ・タント国際会議場で開かれた記念講演会に臨み、それぞれの業績について講演した。


■真空ガラス「スペーシア」のTVCMの放送を開始(平成24年11月12日)

【放映予定期間】
11
12日(月)〜125日(水):テレビ朝日(関東地区)
11
12日(月)〜127日(金):TBSテレビ(関東地区)
11
12日(月)〜1122日(木):朝日放送、毎日放送(関西地区)
※テレビ局の番組編成の都合により、放映期間が変更になる場合があります。

TVCMの内容はつぎのURLからご覧ください。 http://glass-wonderland.jp/movie/spacia.html


 
■セントラル硝子 国際建築設計競技 最優秀賞にジョーフィ・ソン氏
 (平成24年11月5日)








あいさつする皿澤社長

 第47回「セントラル硝子国際建築設計競技」(主催・セントラル硝子梶jの公開審査会が、928日(水)午後1時半より、東京国際フォーラムD7ホールで開催された。厳正な審査の結果、栄えある最優秀賞には韓国のジョーフィ・ソンさんの作品が選ばれ、賞金200万円と記念品及び賞状を獲得した。
 今回の競技の課題は「地域に生きるタウンホール」。応募総数は428点(国内・294点、海外・134点)にも上った
 これより先、822日に一次審査が行われ、審査の結果、今回の公開二次審査へ進出できたのは、7組の入賞者。その他佳作に10組が選ばれた。
 審査会の冒頭、主催者を代表してセントラル硝子・皿澤修一社長が次のようにあいさつ(要旨)した。
 「今回は海外26カ国の作品を含む428点もの応募があった。まさに国際建築設計競技に相応しい応募内容となった。今年は久々に国内が健闘し、全体の7割弱を占めた。海外組はアジアを中心に92点と全体の2割を占めている。全体の9割でアジア勢が占めて、アジアの力強さを感じた。
 822日に一次審査会が行われ、私もその様子を見学させていただいたが、先生方も7点に絞るのに大変苦労されている様子だった。私自身『地域に生きるタウンホール』というテーマを耳にした時、タウンホールは市役所とか公会堂というイメージだったのですが、応募作品を拝見するとタウンホールという言葉のイメージが世代によって随分変わってきているなあと思った。しかし、タウンホールは災害時における情報発信基地となるほか避難場所となる一面も持ち合わせている。そういった点からも本日の入選者からのご提案をいただくアイデアがどのような角度から見たタウンホールなのか今から期待と興味でいっぱいである。
 本日はこれから第一次審査を通過した7組の方にプレゼンテーションをしていただき、引き続き公開審査を行い、最優秀賞1点、優秀賞2点、入選4点を選ばせていただきます。
 公開審査方式に変えて今年で7回目となります。審査委員の先生方は著名な建築家の方ばかりです。本日は先生方の考えや生の声に触れるまたとないチャンスです。皆様方の今後の活動に大変参考になると思う。
 当国際建築設計競技は世界中の若手の建築家や明日の建築界の糧となり、ひいてはそれが日本の復興のために微力ながら貢献できるものとなるよう今後とも努めてまいりたい」
 その後、二次審査を通過した7組のプレゼンテーションが約2時間に渡って行われ、各自自分の主張を懸命にアピール。さらに各審査員の間で公開審査が行われた。
 公開審査では、最優秀賞はすぐに決まったが、優秀賞2点で評価がわかれた。激論が戦われた結果、最優秀賞にはジョーフィ・ソンさんの作品が、優秀賞には   藤村将史・中原拓海(九州大学大学院)の両氏と越後海氏(横浜国立大学大学院)の作品2点が受賞した。
 表彰式の後、審査委員長の講評として山本氏が「現在、パブリックとプレイベートの境界線があいまいになっている。パブリックとは本来何なのかを考えてもらいたい」と締めくくった。
 なお、その他の入賞者は次の通り(敬称略)。
 ▽トニー・レオン(香港大学SPACE非常勤講師)、アルリック・リー(香港大学)▽羽鳥敏彦、増田康治、坂本圭一(工学院大学大学院)▽佐藤太輝、小野加愛(日本大学大学院、田中麻未也(フリーランス)▽井上岳、赤塚健(九州大学大学院)の以上4組が入賞。
 ☆審査員(敬称略)
 ▽審査委員長=山本理顕(山本理顕設計工場)
 ▽審査委員=櫻井潔(日建設計)、芦原太郎(芦原太郎建築事務所)、小林照雄(大林組)、内藤廣(内藤廣建築設計事務所)、隅研吾(隅研吾建築都市設計事務所)、長濱隆(セントラル硝子常務執行役員)
 ▽コーディネーター-=馬場璋造(建築情報システム研究所)


■AGC 銀三層コーティング 省エネ性能最高(同社比)エコガラス開発(平成24年11月5日)

AGC(旭硝子梶A本社=東京、社長=石村和彦氏)は、国内生産として初めてとなる銀三層コーティングを施した、同社製品の中で最も省エネ性能が高いエコガラス「サンバランス トリプルクール」を開発した。
 室内の明るさ確保と日射熱の大幅削減を同時に実現した新製品であり、鹿島工場に今春導入した最新鋭の設備にて生産し今月より順次発売する。
 昨今の電力事情の影響による節電ニーズの高まりや環境負荷低減の観点から、建物の省エネ性能向上に対する要求は急速に高まっている。中でも空調利用によるエネルギー消費量が多いビルでは1枚ガラスが使われていることが多く、窓からの熱の流出入が依然多いことが省エネ化の課題となっている。
 その解決策として、1年を通じて省エネ効果を得られるエコガラスへの注目が高まっているが、電力需給が逼迫する夏場においては、より高い遮熱性能が求められていた。
 AGCでは、このようなニーズに応えるため、遮熱性能をさらに高めたビル向けエコガラス「サンバランス トリプルクール」を新たに開発した。なお、本製品は遮熱性能が高いことから、ビルのほか暑さ対策が必要な住宅のトップライト等での使用にも適している。
 AGCは、卓越したガラスコーティング技術を用いて、省エネや節電に貢献する高性能のガラスを提供し、環境・エネルギー問題の解決に貢献していく。

■松尾設計室・松尾氏に聞く どう変化する「日本の窓」(平成24年10月22日)








インタビューに応じる松尾氏

「省エネ基準の義務化」について、政府は2020年に新築住宅・建築物の省エネ基準の適合義務化を目指しており、それを踏まえて国交省と経産省が省エネ基準を見直す合同会議が開催されている。会議の内容では、現行基準(平成11年基準、次世代省エネ基準と呼ばれているもの)では、外壁や開口部といった外皮のみが対象だった住宅の省エネ基準を、空調・換気・給湯・照明・昇降機など設備機器の基準も合わせた「一次エネルギー消費量」に変更するとしている。それに伴い今後日本の「窓(ガラス・サッシ)」というものがどのように変化していくのか大いに関心のあるところだ。今回の住宅特集では板硝子メーカー3社と設計事務所の先生にご登場をお願いし、それぞれの立場からご意見を伺った。さらにサッシメーカー3社には今後のリフォーム市場への対応についてお話を聞いた。
 今回ご登場していただくのは前回の板ガラスフォーラムで「省エネ(高断熱)住宅はガラス・開口部の進化に期待する」で講演をされた居シ尾設計室(本社=兵庫県明石市)代表取締役・松尾和也氏。

――この間の板ガラスフォーラムで先生の講演を聞きました。かなり開口部に興味を持たれている設計士の先生だなと思いましたが。
 「私が興味をもっているのは断熱・省エネ全般です。私は学生時代に九州大学で建築学科の熱環境の研究室にいたからです。ご存知のとおり断熱の大きなウエイトを占めるのが窓です。窓を無視しては断熱も何もないということになります。だから、窓に関心が高いと思われたのでしょう」

――先生が思っておられる日本の窓のあるべき姿とはどのような窓になりますか。
 「日本の窓の場合、変遷があるわけですが、ガラスは単板から空気層6_さらに12_、Low―Eガラスがでてきて、フレームは樹脂+アルミとか樹脂がでてきました。このように、ガラスとサッシは別々に進化してきました。
 熱貫流率(U値、単位はW/u・K)の変化でいうと、単板ガラスのアルミサッシ使用で6・5ぐらいのU値になり、6_の複層ガラスで4・65ぐらいになりました。それが、枠が樹脂+アルミの登場で3・49になり、さらにガラスをLow―Eにすると2・91というものになりました。今の大手ハウスメーカーの値はこれくらいのところが主流になっていると思います。
 その2・91の上が出てきたのが完全に樹脂サッシ+Low―Eガラスの使用で2・33という窓です。これが今、日本国がいうところのトップランナー基準というものになっています。もう一歩がんばってLow―Eガラスにアルゴンガスを注入すると1・9になります。そこまでは今の日本でも常識的な価格の範囲のなかでできます」

――そこから先はどうなりますか。
 「日本の場合そこから先がなかなかできない状況にあります。この間の講演でもお話しましたが、ドイツでは現状で国の最低基準が1・3以下なのですが、来年に実質1以下になるわけです。ドイツでは三層の複層ガラスで、ダブルでLow―Eガラスを使い、アルゴンガス注入でフレームが樹脂もしくは木製サッシ。これがドイツでの最低基準になります。U値1・3のサッシは、来年以降ドイツでは使用禁止になるのです。
 なのに、日本は2020年に省エネ基準が義務化になるといってもほぼ今の基準で決まることになるので、W地域で言うと4・65という値でも許されることになります。本当にこれでいいのかと思うわけです。
 先日ある大手サッシメーカーの方とお話をする機会がありました。日本のサッシの売れ筋の70%がこのレベルだということでした。
 彼らの社会的使命を聞いたらこの売れ筋の7割のサッシを3・49に持っていきたいと言うのが内なる想いなんだそうです」

――これで良いわけがない。
 「外皮の主役に来るのは絶対に窓なんですね。それで私は森みわさん(ドイツ・バーデンヴュルテンベルク州公認建築士)と一緒になって、サッシメーカーさんに大いに発破をかけているところです。今サッシメーカーさんから多くの講演依頼を受けていますが、そのたびごとにがんがん発破をかけています」

――窓の見込みが大きくなるのでは。
 「樹脂サッシが普及すればそんなに心配はないし、そもそも枠の見込みが大きくなっても問題はないと思います」

――日本の住宅は狭いので枠見込みが大きくなるとさらに居住空間が狭くなるのでないかと思ったものですから。
 「国があまり難しい基準であれば誰もついてこなくなるというのであれば、窓に最低基準を設ければよいのです。
 窓が家の性能に大きな影響を及ぼすのは間違いないことです。電器メーカーにできるだけ白熱電球を作るなということができているわけですから、同じようにサッシメーカーに対しても、性能の良くないものは作るなと指示できるはずです。ガラスメーカーも住宅用の単板ガラスの販売は自主的にやめるとか何か手は打てるはずです。やはり国は最低基準を設けてそれ以下のものは売ってはいけないということにしなければならないと考えます。
 韓国や中国でも最低基準というものがあります。それが日本にはないのです。規制を設けることは簡単なんですがね」

――樹脂サッシは防火についての対応はどうなんでしょうか。
 「戸建ての大半は防火を求められない地域なのでほとんどの地域では問題はないと思っています」

――お忙しいところどうもありがとうございました。今後のご活躍を期待しています。


■NEDO・東大 新光触媒材料を開発(平成24年10月22日)

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と東京大学先端科学技術研究センターは1011日(木)、東京・霞が関のNEDO分室で記者会見し、「新しい可視光応答型光触媒材料を開発した」と発表した。
 この新材料は、抗菌と抗ウイルス効果に威力を発揮。NEDO、東大と日本板硝子など開発プロジェクトに参画した民間企業各社が空港や病院で実施した実証試験にも成功した。今後、環境対応型の素材を要求される住宅・医療関連を中心に早期事業化を進める方針だ。
 このプロジェクトは、NEDOの「循環社会構築型光触媒創成事業」の助成を基に、東大先端研の橋本和仁教授がリーダーとなり開発を進めた。研究チームには民間から素材開発グループとして昭和タイタニウムと三井化学、環境浄化グループとして日本板硝子、パナソニック電工、TOTO、三菱樹脂、積水樹脂技術研究所、ホクエイ、盛和工業の各社が参加。共同実施グループには神奈川科学アカデミー、産総研、中部大が参画した。
 プロジェクトチームは可視光では十分な活性が得られなかった光触媒について新しい原理に基づいて開発を実施。その結果、銅系化合物酸化チタン材料で従来よりも優れた抗菌効果に加え、これまでは実現困難とされていた抗ウイルス性能にも秀でた新しい光触媒材料を開発した。
 記者会見した橋本教授の説明によると、新材料は光が当たらない暗所でも抗ウイルス効果を発揮し、感染力のあるウイルスの数は1時間で4桁減少した。換言すると、99.99%のウイルスを不活性化することに成功したという。可視光(白色蛍光灯)を照射した場合では、1時間で7桁以上のウイルスを不活性化することを確認した。
 また大腸菌、黄色ブドウ球菌などの抗菌効果も大きく促進されることがわかったという。
 チームは、この新材料を適用した各種試材を人の出入りが多く感染症のリスクが高い空港と病院に配置。年間を通した実証試験を実施した結果、新可視光応答型光触媒は実際の日常空間でも抗菌・抗ウイルス効果を発揮した。
 プロジェクトチームによると、今後、銅系化合物酸化チタン材料については昭和タイタニウムが量産化を検討。新材料を適用した製品化については盛和工業(空気浄化システム)、積水樹脂技術研究所(内装材)、TOTO(タイル、塗料)、日本板硝子(ガラス)、パナソニック(フィルム材)、太陽工業(テント材)の各社が実用化を目指す。
 プロジェクトリーダーの橋本教授は「日本オリジナルの光触媒技術を国際競争力のある産業に育成したい。市場規模は当面、2兆円を見込んでいる」と話している。

 日本板もプロジェクト参画 年内の製品化目指す










日本板硝子が開発した
光触媒ガラス

日本板硝子(吉川恵治代表執行役社長兼CEO)は1011日、ガラス表面についた細菌やウイルスの増殖を抑制する抗菌・抗ウイルス性光触媒ガラスの開発に成功したと発表した。NEDOのプロジェクトの一環として取り組んでいた。
 新製品は酸化チタン光触媒に、さらにスパッタリング製法により銅系化合物を形成させて複合化した膜をコーティングしたガラス。ウイルスを100%近く低減する効果と、室内光でも光触媒効果を発揮する「可視光応答型」が特長。細菌や黒かびに対しても効果があるという。
 可視光透過率や反射率は一般のガラスとほとんど変わらないという。同社は公共施設、医療・介護施設などの窓ガラスや内装材へ展開できるとしている。今年12月の製品化を目指す。


■AGC高砂工場の屋根にメガソーラー重量半分、超軽量パネル(平成24年10月8日)

AGC(旭硝子梶A本社=東京、石村和彦社長)は、高砂工場の屋根を活用して発電容量約5メガワットのメガソーラーを建設し、来年3 月に稼働開始すると発表した。このメガソーラーでは、同社の薄くて強いガラス“Leoflex(注)”を搭載した超軽量ソーラーパネルを一部に採用することで、従来型のソーラーパネルでは設置が難しいスペースも有効活用し、屋根に設置する発電システムとしては国内最大規模を実現している。
 本年7月の再生可能エネルギーの固定価格買取制度の施行によるメガソーラーの導入増加に伴い、設置に適した土地の賃料上昇など、発電のための広い土地を確保することが難しくなっている。このため、ソーラーパネルの設置場所として、工場や倉庫、公共施設など広い面積を持つ屋根の有効活用が進んでいる。AGCは、自社工場の屋根を活用したメガソーラーについて検討し、屋根面積が最も広く確保できる高砂工場への設置を決定した。同工場には、従来型のソーラーパネル(約12`c/平方b)が荷重制限のために設置できない箇所もあったが、同社の“Leo flex”の搭載により、重量を半分以下とした超軽量ソーラーパネル(6`c弱/平方b)を採用し、補強工事することなく設置が可能となった。この結果、同工場の太陽光パネルの設置面積は、従来型のパネルのみで構成した場合に比べ、約2割に拡大している。
 ▽高砂工場のメガソーラーの概要
@所在地=兵庫県高砂市梅井5丁目6番1号
A設置面積=約七万平方b(“Leo flex”搭載の超軽量ソーラーパネル:1.3万平方b)
B発電容量 5MW(一般家庭の約1500戸分の使用電力に相当)
C年間発電量 約5,300MWh/年
D稼働開始=20133月(予定)
 AGCは、化学強化特殊ガラス“Leo flex”の特徴を活かし、住宅・ソーラーなど様々な用途における薄型化、軽量化のニーズに応えるソリューションを提供していくとしている。
(注)“Leo flex”は、通常のソーダライムガラスよりも高い強度が得られ、薄くしても割れにくいことから、太陽光発電パネルなどの大幅な軽量化を可能にするガラスだ。


新光硝子工業・新海社長に聞く来年創業60年、更なる挑戦(平成24年10月8日)








   新海社長

「曲げガラス」加工で来年60年を迎える実績を持ち、「樹脂合わせガラス」とともにオンリーワンの企業を目指す新光硝子工業梶i本社=富山県砺波市、新海伸治社長)は、今年の622日に行われた株主総会で新海伸治社長が新しく就任した。交代目的は前社長の稲船幸夫氏が定年を迎えたことから若返りを図った。そこで今回は砺波市にある同社本社工場を訪ね、新海社長の人となりに迫ってみた。

――社長がここまで歩んでこられた道程を簡単に紹介して下さい。
「私は昭和36年、横浜で生まれました。初めてガラスを扱う仕事に携わったのは、私の叔父が勤めていた関係で、昭和51年に旭陽硝子(神奈川県・横浜市)に就職したからです。当時の家庭環境から夜間学校に通いながら仕事をしていましたので、この業界に入って今年で36年。来年の214日で52歳になります。当時は自動車硝子を担当していましたが、学校卒業後に同社を退職し、昭和55年の12月に他のガラス加工会社(神奈川県横浜市)に転職しました。そこでは、営業から加工・配送・現場作業までいろんな仕事に携わりました。その時期にガラスの全般的な知識を得る事が出来ました」

――現在の会社に入社されたのは。
「もうここにきて22年になります。平成2年に新光硝子工業の東京支店に入社することになりました。きっかけはある人との出会いがあり、曲げガラス加工のトップ企業である新光硝子で自分を試したいとの思いから、営業職として入社させて頂きました。都内、神奈川を中心としたガラスメーカーさんや問屋さん、工事店さんを主に担当していました」

――平成2年といえば大変忙しかったのでは。
「そうですね。ちょうどバブルがはじけた時期と重なっている頃でしたが、大変忙しく営業活動と言うより毎日が採寸業務に追われ、納期調整に大変苦労していました。その後36歳で営業課長に、平成16年の44歳の時に営業部長兼東京支店長になり、翌年の平成17年に取締役に任命されました」

――一サラリーマンから今度社長になられたわけですが。
「非常に重責を感じております。しかし弊社はオーナー企業ではありません。会長 常務 工場長と全役員が一枚岩になり私を支えてくれると確信しております。」

――ご自身でどうして社長になることができたと思われますか。
「どうして?その辺りは良くわかりませんが、上杉貞雄名誉会長や、各上司に教えられてきた事、指示された事を素直に受け止め、明るく前向きな姿勢で努め参りました。また、あまり束縛もなく自由なスタイルで仕事をさせて頂きましたが、報連相は欠かさない様に心掛けていました」

――社員は。
「役員を入れて68名です。仮にそれぞれの家庭が3人家族とすれば、200名以上の新光ファミリーだと感じております」

――お住まいは。
「神奈川県横須賀市に自宅がありますが、今は単身で富山(砺波市)に部屋を借りております。昨年10月に常務職で異動になり、もう1年になりますが、通勤時間が車で約10分と非常に楽になりました。時間のゆとりを実感しております」

――ご家族は。
5人家族です。子供は2人ですが、長男は私同様にガラス業界で働いております」

――趣味は。
「ゴルフが好きです。2ヶ月に1回ぐらいラウンドしています。趣味の範囲です」

――社長のモットーしていることは。
「私は家族、ファミリーを大事にしています。ですから社員とともに一心同体で絆を深めていきたい。時には厳しく、時にはやさしく。私は学生のときからスポーツが好きで、どちらかといえば体育会系の人間だといえますね。」

――社長になられた抱負・基本理念は。
「私の役割は、設立以来59年間の歴史を持つ新光硝子の基盤を今後も受け継で行きながらも、新たなフィールドへ果敢に挑戦し、会社の発展に努める事だと考えております。私の基本理念としては社会に貢献し、曲げガラス技術の世界トップクラスを目指すことを目標として、全社員の幸福を追求して行かなければと考えます」

――今後の動きについては。
「建築用のガラスだけではなく、産業向け(量産品)や、家具インテリア市場へテーブルや椅子、キッチンなど、国内 海外に向けて情報を発信していきたいと思います。
今年も出展しましたが、来年118日〜22日までフランス・パリのノールヴィルパント見本市会場で開催される世界最高峰のインテリア&デザイン関連見本市メゾン・エ・オブジェ2013に出展し、金箔を使った新しいタイプのデザインガラスなどを紹介する予定です」

――ありがとうございました。

全硝連宮城・松島で第28回全国理事長会議(平成24年10月1日)
   
あいさつする永島会長

歓迎の辞を述べる山田氏

   第28回全国理事長会議

懇談会であいさつする牧氏

南相談役の発声で乾杯する参加者

全国板硝子商工協同組合連合会(全硝連、永島光男会長)は923(日)、24(月)の両日、宮城県・松島温泉のホテル「松島一の坊」で第28回全国理事長会議を開催した。初日の全体会議には45名が参加して減少著しい組合の活性化について活発な議論を交わし、翌日は東日本大震災の被災地を視察、復興に向けた支援態勢の在り方について現場サイドで意見交換した。
 日本三景の一つ、松島海岸に臨む松島一の坊・コンベンションホールで午後2時半から始まった全体会議は、宮代茂専務理事(神奈川県理事長)の総合司会で進行。佐々木政吉副会長(秋田県理事長)による開会の辞と物故者並びに東日本大震災の犠牲者に対する黙祷の後、地元を代表し山田一善理事(宮城県理事長)が歓迎の辞を述べた。
 山田氏は被災地の状況について「復興の足取りはまだ見えてこない。津波による地盤沈下で沿岸部では建物・住宅の再建が容易でないし、行政の対応も遅々として進まない。被災者の仮設住宅での生活は限界に近い」と述べ、さらに「こうした中にあって青森、岩手、宮城の被災3県では1社の脱退もなく頑張っている。これからが大変だが、変わらぬご支援をお願いしたい」と話した。
 次いで永島会長があいさつに立ち「震災復興面では地域間格差が生じているようだ。誰もが安心して暮らせるような地域社会の再構築が必要。一刻も早い復興を願っている」と述べ、全硝連として復興に今後も協力していく姿勢を強調した。
 永島氏は全硝連関係では「会員の減少が顕著だ。昨年は全国で約160社が退会した。会員の減少は全国中小企業団体中央会、経産省、国交省などへの影響力という面でもマイナス」と指摘したうえで「現在、中・長期を見据えた組合の発展計画を策定中だ。これに基づき組合運営の基盤を強化していきたい。全国板硝子工事協同組合と一緒に進めている登録基幹技能者制度導入については早急に手続きに入りたい」と述べた。
 来賓の大久保章宏・全国板硝子卸商業組合連合会理事(東北板硝子卸商業組合理事長)は「業界は今後とも大きく変わっていくだろう。東北では昨年、卸・工事・小売が一緒になって東北版ガラスフォーラムを開いた。みんなで手を組んでやっていかないと業界はもたない。東北6県の卸組合では理事が先頭に立って学校の窓ガラス交換を各自治体や学校にPRしている。成功例も出ている。微力ながら少しずつ努力していきたい」とあいさつした。
 来賓では大久保氏のほか南正助相談役(前全硝連会長)と牧有二・板硝子協会専務理事の2氏が会議に参加した。
 議案審議では「登録基幹技能者制度推進」について武田陽子事務局長が「制度導入については先に開いた臨時総会で全員の意思を確認した。皆さんから承認されたので晴れて参加したい。工事組合と打ち合わせをした上で手続きを進めていく。導入まで約1年かかる見通し」と説明した。
 報告事項では@生命共済制度について平成2541日より現在の第一生命保険の「生命共済制度」から東京都中小企業共済協同組合の「生命傷害共済制度」に移行するA来年2月に千葉・幕張メッセで開催される技能グランプリにこれまでのところ青森、宮城、東京、愛媛から計5名がエントリーしている、との報告があった。
 自由討議の全体懇談会は辻良明企画調整委員長(大阪府理事長)が司会を務めた。会議に先立って執行部や地方組織から要望が出された9項目のテーマを「ガラス販売店の生き残り戦術・組合の存在意義」、「ガラス業界の今後の展望」、「異業種への参入可能な取扱商品模索」の3点に集約し、提案者の説明と参加者の意見を聞いた。
 提案者の1人で宮城県の山田氏は「参加意欲の高揚が私の役割であり第一の目標。それには相互扶助と情報の共有が大事だ。宮城では青年部の会員が年々増えている」と指摘。諸官庁や自治体への対応では「官の押しつけでなく、我々が提案したものを官が取り上げてくれるようにしたい」と述べた。
 山形県の須藤清昭理事長は「山形では3年まえから小中学校のエコ窓改修に取り組み、一定の成果を挙げている。被災地へのエコポイントは7月で終了したが、我々は10月から組合独自のエコポイント事業を展開する」と語った。
 また「技能士の地位向上が欠かせない。職能が頑張らないと組合員は減っていく」(群馬県・須藤實理事長)、「会員激減の打開策を検討したが、結論は出ていない」(北海道・吉村國義理事長)、「ガラス屋のガラス離れが起きている。本来のガラス屋に戻りたい」(山口県・藤村正一理事長)、「ガラスが大型化している。メーカーは重量を明示して欲しい」(宮城県・大友利彦理事)などの意見、要望が披露された。
 全体会議は施向昌之副会長(広島県理事長)の閉会の辞で閉幕した。
 午後6時半から懇親会が開かれ、永島会長のあいさつ続いて板硝子協会の牧専務が「低炭素型まちづくり法が成立した。今後20年はその枠組みで進む。増改築など中古住宅市場にも省エネ基準が織り込まれるだろう。業界のメシの種がたくさんあるということ。各地域に見合った普及活動を推進していきたい」とあいさつした。
 南相談役の乾杯の発声の後、参会者は海の幸に舌鼓を打ちながら懇談、盛況のうちに吉村氏の中締めで散会した。


■震災後、復興支援の宿に松島一の坊支配人講演(平成24年10月1日)









講演する畠山氏

全国理事長会議は全体会議終了後、「東日本大震災当日から現在までの道のり」と題した松島一の坊・畠山光夫支配人の講演を聴いた。
 畠山氏は、昨年311日の大地震と津波で甚大な被害を被った松島海岸一帯の状況をスライドで説明。一の坊はやや高台に位置しているため津波による浸水こそ免れたが、玄関ロビーの大型ガラスは砕け散り、電気・ガス・水道のライフラインが全て停止するなどホテルとしての機能を一瞬にして喪失した。
 身動きがとれない450人ほどの宿泊客には3日間、おにぎりの炊き出しで対応。東京からチャーターしたバスで全員が帰途についたのは14日のことだった。
 以後、一の坊は復興支援の宿として工事関係者の拠点に。「47日の余震の方がダメージは大きかった。ラウンジの大型ガラスが飛んだほどだった」。それでも、ホテルを修理しながら多いときは約700人の作業員を受け入れたという。
 一の坊が実質的に一般客相手に営業を再開したのは、7カ月後の10月中旬になってからだった。

■旭硝子財団アンケート 環境危機時計昨年比平均22分進む(平成24年9月24日)

公益財団法人旭硝子財団(田中鐵二理事長)は910日、韓国・済州島で記者会見し、2012年版(第21回)「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」の結果を発表。全回答者の平均環境危機時刻は「923分」と昨年比22分進んだ。
 環境時計の針は2009年以降3年連続で後退したが、今回09年の「922分」のレベルに戻った。「9時台」は環境面では「極めて不安」の領域に入り、今回はその度合いが久しぶりに高まったといえそうだ。
 調査結果によると、昨年と比べて時計の針が20分以上進んだのは、アフリカ(909分から1004分に)▽中南米(918分から1000分に)▽日本(846分から914分に)▽西欧(928分から955分に)の4地域。
 回答者が時刻を決める上で念頭に置いた項目(第13位選択)では、「気候変動」が最大多数を占め、次いで「水資源」、「環境汚染」、「生物多様性」、「人口」など。第1位選択に絞ると、「気候変動」が42%と抜きんでて多く、次いで「環境汚染」(12%)、「人口」(10%)などの順となった。
 地球環境問題に対する最大の障害(複数回答)では、「経済利益の追求」がトップで82%。次いで「グローバル経済システム」(61%)、「意思決定システムの問題」(48%)、「ガバナンスの問題」(47%)など。
 「経済利益の追求」を選択した回答者に「自国の利益を優先するかどうか」尋ねた項目では、「強く同意」「ある程度同意」を合わせ全体の78%と大多数が「同意」し、「同意できない」は13%にとどまった。
 「企業、団体、地域経済の利益を重視する」との設問には、環境配慮に至らない「同意」が71%と多数を占め、「同意できない」は20%だった。
 「循環経済を指向しない」との問い掛けには、「同意」が84%と「成長一辺倒で持続可能で安定した循環経済に向かっていない」とする見方が大多数を占めた。
 今回のアンケートは例年同様、環境問題に携わる世界各国の政府・自治体、非政府組織(NGO)、大学・研究機関、企業などの有識者を対象に今年4月から6月の間に実施、1101名から回答を得た。
 済州島での記者発表には地球環境戦略研究機関特別研究顧問で旭硝子財団理事の森島昭夫氏、同財団専務理事の鮫島俊一氏らが出席した。


■上原成商事・守山エネルギーセンター セントラル硝子製「ペアレックスソネス ネオ」採用(平成24年9月24日)

守山エネルギーセンターのみなさん。
中央が福井部長、その左が岩見センター長、と右が安田副センター長

            大きなガラス面が特長だ

 エネルギー関連をはじめとして、建築資材、住宅設備、リフォームなど人の暮らしに必要な資源・資材・技術を提供する総合商社・上原成商事梶i本社=京都府京都市中京区御池通烏丸東入仲保利町191番地、?075-212-6000、上原大作社長)は、産業サポート事業において物流の効率化で拠点の統合を推し進めている。その一環として老朽化が目立つ湖南のガス充填工場(滋賀県)を守山油槽所(滋賀県)に集約し、このほど守山エネルギーセンターとしてスタートした。これによりエネルギー物流システムの効率化と更なる保安強化を推進できるとしている。なお、今回の投資額は約48000万円としている。今回は同社取締役物流部長・福井善徳氏にご登場をお願いし、投資の目的などを聞いた。なお、同社はセントラル硝子の特約店・上原硝子梶i本社=京都府京都市、太田邦男社長)の親会社にあたる。

 ――今回の投資目的は。
 「これまで湖南にありましたガスの充填工場が老朽化したということで、ここ守山に集約することにしました。湖南に新しい設備を作るという選択肢もありましたが、守山に集約したほうがよりシステムの効率化を図れるということで今回の決断に至りました」
 ――ここはいつから活用されているのですか。また、今回の工事はいつ着手したのですか。
 「ここは昭和39年から、石油の物流拠点として活用してきました。JR守山駅にも大変近く便利です。この地域はプロパンガスの使用が多く、当社にとって有望な市場といえます。
昨年から工事にかかり、T期で石油施設を、U期で事務所棟を、V期で充填工場の設備工事を行い、このほど完成しました」
 ――ところでこの事務所は大変静かにできていますね。
 「FIX部分の窓ガラスにセントラル硝子さんの新製品で高遮熱防音複層ガラス・ペアレックスソネス ネオを使用しています。以前の事務所と比べるとエアコンの効きも早いですが、なによりも外部の音がまったく入ってきません。このようにとても静かです。おかげさまで快適に仕事をこなすことができます」
 ☆防音断熱複層ガラス・ペアレックスソネス ネオとは
 ペアレックスソネス ネオは、2枚の異なる厚さのガラスで構成され、その中空層に特殊ガスを封入することで、より防音性を高めた。車や工事など外部からの生活騒音を軽減し、室内の音が外に漏れるのを抑える。さらに、1枚ガラスと比べ断熱性に優れている。「防音」と「断熱」の二つを兼ね備えたペアレックスソネス ネオ。生活騒音のストレスから開放し、さらに省エネ効果のある生活環境をつくりだす。
 ・主な特徴
 @防音性能
 ペアレックスソネス ネオはガラスを異厚構成にすること、更に特殊ガスを中間層に封入することにより同厚の複層ガラスよりワンランク上の「静かさ」を実現することが出来る。
 A断熱性能
 1枚ガラスと比較して断熱性能が向上し、省エネルギー効果が得られる。また冬場に見られる結露が軽減される。
 ちなみにこの事務所棟には、Low―E8_+FL6_(ブルー色)、ガス層6_のガラスを10枚使用。大きさはW1220_×H3530_が七枚、W1140_×H3530_三枚となっている。
 ――事務所の大きさは。
 「鉄骨平屋建ての建物でこの事務所だけなら延床面積は250平方bです。工事は大林組が、設計は別所建築設計事務所がそれぞれ担当しました」
 ――ガラス以外で省エネに配慮しているところは。
 「事務所の照明にはすべてLEDを使用し、将来的なことも考慮して屋根に太陽光発電システムを設置できるようにもしています」
――今後については。
 「今事務所に従業員は8名いますが、全員でこの地域の方の信頼を得られるよう頑張っていきたいと思っています」


■旭硝子財団意識調査「政策見直し」32% 「反原発」世界レベル(平成24年9月24日)

旭硝子財団は2012年版「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」で「原子力発電と環境」に焦点を当てた意識調査も実施。その結果、世界レベルで原発に反対する市民が多くなり、政策面では「なんらかの見直しを望む」とする意見が大勢を占めた。
 「福島原発事故以降、あなたの国では原子力発電に対する市民意識に変化が生じたか」との設問では、全体の67%が「反対する市民が多くなった」と回答。日本は97%、韓国でも78%。海外合計では52%に上った。
 これに対し「変化していない」16%、「わからない」は15%だった。
 「福島以降、あなたの国の原子力政策についてどのように感じるか」との設問では、「原子力政策を見直すべき」がトップで32%、次いで「原発依存度を減らすべき」25%、「原発を廃絶すべき」23%と、全体の80%が何らかの見直しが必要と回答した。
 一方、「今までの原発政策に不満はない」は8%、「原発を増強すべき」は4%にとどまった。
 「原子力政策を見直す場合に最も重視する点は」では、「市民の健康・安全」(39%)、「次世代への配慮」(23%)、「地球環境への配慮」(20%)が合わせて82%と大半を占めた。
 「エネルギーの安定供給」や「エネルギーコスト」重視の回答は合計で13%にとどまった。

■社会保険未加入問題 建設業 国・業界で加入推進協 国交省 山野氏に聞く(平成24年9月10日)

弊紙夏季特集号の中で、全国板硝子工事協同組合連合会・遠藤浩吉会長のあいさつや前々号の三面鏡などでも紹介したが、建設業を営む会社の「社会保険未加入問題」に国交省がついにメスを入れはじめた。この件については、ガラス工事業界を中心に少しずつ話題にのぼりつつあるものの、まだ、大きな問題として捉えている企業も少ないのではないだろうか。しかしこのまま何も手を打たないでいるといずれは仕事が回ってこなくなる可能性を含んでいる。そこで今回はこの問題の窓口である国土交通省 土地・建設産業局建設市場整備課労働資材対策室担当・山野美鈴課長補佐になぜ今「社会保険未加入問題」なのか、その背景から対策、さらにはあるべき姿までを聞いてみた。

――なぜ今になって「社会保険未加入問題」を取り沙汰するのですか。その背景には何があるのですか。

 「バブル崩壊以降、建設投資額は減少し、平成23年度見込みでは約42兆円です。これは平成4年のピーク時の50%にまで減少しています。このため、競争参加者が増加し、受注競争が激化しています。
 その一方で建設業における離職状況を調べてみると、若年離職率は4分の1程度と、製造業よりも高率です。また、建設業就業者の年齢構成を見てみると、現在55歳以上が約33%、29歳以下が約12%と、高齢化が進行しており、次世代への技術承継が大きな課題となっています。さらに、建設業における入職状況を見てみると、低下傾向にあり特に24歳以下の若年入職者が減少し、近年は製造業と比較して非常に低い傾向にあります。
 なぜ、このように近年建設業において若年労働者が減少しているのか、『給与が安い』ことも要因として挙げられていますが、その他の大きな理由として『社会保障等福利厚生の未整備』があげられております。これは、雇用、医療、年金保険について、法定福利費を適正に負担しない保険未加入企業が存在し、労働者の医療や年金など、いざというときの公的保証が確保されていないという建設業の現状が表れていると思います。さらにきちっと関係法令を遵守して適正に法定福利費を負担している事業者ほど競争上不利になるなど、不公平な競争環境となっています。
 こうした状況を踏まえ、今回、行政、発注者、元請企業、下請企業、建設労働者などの関係者が一体となって社会保険未加入問題への対策を進めることにしたのです」

 ――背景はわかりましたが、実際どれくらいの方が未加入なのですか。実態はどのような感じですか。

 「公共事業労務費調査における保険加入状況調査の結果をみると、企業別では雇用保険の未加入企業は6%、健康保険の未加入企業は14%、厚生年金保険の未加入企業は14%となっています。
 しかし労働者別では雇用保険の未加入は25%、健康保険の未加入は40%、厚生年金保険の未加入は42%となっています。
 労働者単位での加入状況は、下請企業を中心に保険未加入の割合が大きくなっています。都道府県別では、地方部と比較して、都市部の加入割合が低い傾向にあります」

 ――では、具体的にどのような対策をとられるおつもりですか。

 「対策としては、(1)行政・元請・下請等の関係者が一体となった保険加入の促進(2)行政による制度的チェック・指導(3)建設企業の取組(4)法定福利費の確保などがあります。
(1)については……
 @取組を着実に推進する母体として、行政や建設業者団体などによる社会保険未加入対策推進議会を設置しました。地方ブロック単位でも推進協議会を設置しつつあります。
 A推進協議会に参加する各建設業者団体による保険加入計画の策定、取組の推進を行います。現在、各団体において加入の実態を調査しているところです。
 B行政や関係団体等様々な主体による周知・啓発を行います。
(2)については……
 @建設業許可・更新時に加入状況の確認を行います。
 建設業許可・更新の申請時に保険加入状況を確認し、未加入企業を指導します。
 これについては、本年11月よりスタートします。許可申請書に、保険加入状況を記載した書面の添付が必要になります。
 A建設業担当部局による監督を行います。
 建設業法に基づく立入検査などにより、保険加入状況、元請企業の下請企業指導状況を確認・指導します。指導し、保険担当部局に対する通報をしても、なお保険に加入しない企業に対しては監督処分を行う可能性もあります。
 B経営事項審査の厳格化を行いました
 経営事項審査における保険区分の細分化と減点幅を大きくしました。
 例えば3保険とも未加入の場合現行マイナス60点が、改正後は最大でマイナス120点になります。これは、本年7月からスタートしています。
 C社会保険担当部局(厚生労働省)と連携します。
 未加入企業の社会保険担当部局への通報、社会保険担当部局からの加入指導等を行います。
(3)については……
 @元請企業に下請の指導を行ってもらいます。
 本年11月からは、施工体制台帳等に、保険加入状況の記載が必要となりますので、こうした施工体制台帳、再下請通知書、作業員名簿等により下請企業の保険加入状況を把握し、未加入企業を指導します。 そのためのガイドラインを既に発表しています。
 A元請企業・下請企業による重層下請構造の是正に向けた取組みを進めます。
 元請企業、下請企業(特に一次下請企業)による重層下請の抑制に向けた啓発・指導、また、下請企業における適正な受注先企業の選定、未加入企業との請負契約締結を抑止が重要です。
 B建設企業(特に下請企業)における取組について
 雇用関係にある社員と請負関係にある者の明確化・雇用化の促進が必要です。
 また、雇用関係にある者の保険加入の徹底、業界における見積時の法定福利費の明示などを進めていただきます。
(4)については……
 法定福利費を確保するため、現在、専門こいう事業団体において見積時の法定福利費の明示に向けた取組を進めて頂いていますが、これだけでなく、行政からも発注者や元請に対して働きかけを行います。
 その他、技能労働者の技能の「見える化」の検討、社会保険適用促進に向けた研究も併せて行っています。

――行政として最終的にはどのような形を目指すおつもりですか。

5年後の平成29年度を目途に、企業単位では、許可業者の加入率100%、労働者単位では製造業相当の加入状況を目指します。これにより、技能労働者の処遇の向上や人材の確保、公平な競争環境の構築を図ります」。

 ――背景や目的、その対策などはわかりました。ところで、もし、この3保険とも今現在入ってなくて、新たに入ろうとすると1人あたりどれくらいの額になるのですか。

 「こちらの試算では、事業主負担額の合計は賃金の約15%程度となります。表を見て下さい。例えば日当たり賃金で15,000円、標準月額報酬が34万円とすると、法定福利費の月当たりの事業主負担額は約5万円となり、年間で約60万円の負担となります。」

 ――これだけの負担が新たにでてくるとなると、今の経済状況では、頭の中でわかっていても、実際には行動できないのではないでしょうか。

 「保険加入は、現在の建設業の現状を見れば、非常に困難な取組だと思います。しかし、もう避けては通れませんし、苦しい中でも、きちんと保険に入っている企業が馬鹿を見ない業界にしなければいけません。保険未加入問題は、行政だけでなく業界全体の問題というということで、社会保険未加入対策推進協議会というものをスタートしました。これには建設業関係登録団体の73団体が参加しており、代表的な発注者団体もオブザーバーとして参加しています。
 さらに、国土交通省としても法定福利費の工事への積算を適正化するため、現場管理費率式の見直しを行いました。予定価格への影響は0.8%増ぐらいになるでしょうか。発注者側の取組だけではなく、見積書でも法定福利費を明確にしてもらい、確実に取得してもらいたいのです」

――地方や全国協議会の日程などを教えてください。

「地方協議会は全国10ブロックで、7月から9月まで順次開催しています。また第2回目の全国推進協議会は10月ごろ開催する予定です。そこで、社会保険加入促進計画や法定福利費の標準見積書のとりまとめなどを行う予定です。
 とにかく多くの課題はあるかと思いますが、今、建設業に携わる一人一人がこの状況を変えていかなければ、日本の将来の建設業は成り立たなくなるという強い危機感を共有して、それぞれの立場を超えて、一緒に取り組んでいくことを願っております」

 記者の目 ガラス業界の現場担当の方の話も伺えたが、理屈ではわかっていても、これを本気でやったら工事現場には誰もいなくなるのではという声を聞いた。物件が少なくなる中で、激しい見積競争の結果、元請提示額より金額を下げて物件を取りにいく下請業者もあるという。今回の件でそういう業者だけを排除することができれば良いのだが…。とにかく安ければ良いという風潮を変えていかなければならない。

  


■中島硝子工業関東・東圧工場 素板を自動で切断機投入(平成24年9月3日)

左から勇木社長、秋山取締役、新井工場長

今回増設された工場建屋の外観(第34回
昭和フロントのコンクール第2部で金賞)

工場の内部@(コンピュータ制御でガラスが切断機まで運ばれるその姿は圧巻)

工場の内部A

工場の内部B

工場の内部C

ガラスに、機能、満足を求め、新時代に挑戦する中島硝子工業梶i本社=岡山県井原市、勇木健社長)は、かねてより増設中だった関東・東庄工場の第5期建築工場が今年2月に完成、さらに同建屋内にガントリーシステムの導入も完了、8月より本格稼働に入ったと発表した。そこで今回は、同社東庄工場を訪問、勇木社長に今回の投資目的や今後の展開について聞いた。勇木社長は「関東・東庄の工場はこれまで首都圏を近くにし、より早く、より安く、より良く、をモットーにして、お客様のニーズに応えてきた工場です。今回は、さらにその能力を増強しました。これからも、お客様の要望に応えていきたいです」と力強く語っていた。これにより、切断能力は従来の倍近くのスピードになる模様だ。なお、同工場は昭和フロント鰍ェ主催する第43回ストアフロントコンクールの第2部で金賞を受賞している。
 勇木社長の説明によると第5期工事の概要は次の通り。
 関東・東庄工場は19914月に強化・前処理工程・複層などの第1期工事を進めて以来、第2期にその設備の増強、第3期に合わせラインの設置、第4期に前処理・切断能力の増強と拡大を進め、今回は第5期建築工事が今年2月に完了した。
 今回竣工した第5期の建築面積は2、170平方メートルの鉄骨平屋建ての建物。その建屋にガントリーシステムを導入した。ちなみに、建築工事は岡山のアイサワ工業鰍ェ担当。設計は剛建築設計事務所が担当した。その目的は、今回多種の素板をA台、もしくはL台に置き保管し、そこから自動採板して素板をコンベヤーまで、自動搬送し、切断に素板を供給すること。このシステムの導入により異なる種類の素板を一枚ずつ自動で切断に投入し、切断することが可能になったという。
 期待できる効果については、同社が導入したガントリーシステムが、従来の受注情報システムにリンクしており、広範な受注情報から切断指示プログラムを作動させることにより、切断歩留りの向上が期待されるとのこと。
 また、多種の素板を1枚ずつ自動で切断に投入し切断できることから、短納期対応、受注量拡大も期待できる。
 さらに今回導入した切断機は最新の機種で大型切断機1台(ジャンボライン=6100×3300_)と通常サイズ切断機2台(レギュラーライン=3810×2540_)を組み合わせて稼働することで、さらなる効率的な切断、安定供給を図っていけるとしている。
 勇木社長は「今回の設備投資で建築用でも産業用でも加工ガラスのことならなんでもできる体制が整いました。今後の目標としては第6期の複層ラインの増強、第7期で倉庫の整備、第8期で事務所棟の完成と今後の5年間でこれらのことを成し遂げたい」と抱負を述べた。

※  ※  ※

▽関東・東庄工場の概要
@敷地面積=25,660平方b
A建築面積=14,330平方b(第5期工事分を含む)
B従業員数=100名
C製造製品=大型建築用ガラスから住宅、産業用ガラスまで製造、販売している。製品の種類は、強化、合わせ、複層、セラミックプリント及びソーラーガラス等
D立地の特徴=中島硝子は西に本社工場、東に関東・東庄がある。関東・東庄工場は静岡以東の製品を供給しているが、特に大きい市場である関東圏に位置するため、関東圏への供給が多い
E短納期対応=一つの工場内に強化、合わせ、複層ガラス及びセラミックプリントガラスの製造設備があるため、これらの複合製品の短納期対応が可能。今回のガントリーシステムの導入、また、関東に位置することも、首都圏への短納期対応を可能にしている。
F関東・東庄工場オリジナル商品
 (1)太陽電池セルを封入した合わせガラス(ソーラーガラス)を製造しており、太陽電池セル自動配線装置、性能検査装置も導入している。
 (2)複層ガラスの間に熱線反射フィルムを挿入し、空気層2層からなる高性能の複層ガラス、ヒートミラーを製造している。
Gその他=関東・東庄工場の設備は新しい設備が多く、高精度、高品質が期待されている。

※  ※  ※

最後に勇木社長は「この関東・東庄工場には地震警報(アナウンス)装置が設置されており、昨年の311日に発生した東日本大震災では、地震で揺れる前に作動しアナウンスがあったため、ガラスは倒壊したものの、従業員にはケガもなく全員無事に屋外に避難できました。また幸いにも建屋、設備も無事でした。東海や西日本にも大きな地震がくると言われています。皆さんもぜひこの地震警報装置の設置をお薦めします」と語っていた。

記者の目 コンクールで金賞を受賞したように大変、明るくて立派な工場だった。省エネにも気を使っており、増設した工場にはLED照明が使われていた。設備はまるでグラステックのショーを見学しているようで、大きなガラスが次から次へとコンピューター制御で自動的に切断機のところまで搬入され、また、その切断機のスピードも速かった。同社の今後の動きに注目が集まる。


■日本板硝子BP溝型ガラスプロフィット波型の「ウェーブ」発売(平成24年8月27日)

 ビル・住宅などの建築用ガラスの製造・販売を行うNSGグループ・日本板硝子ビルディングプロダクツ梶i本社=東京都、鈴木隆社長)は、このほど独特な質感と透明感をもつ溝型形状の細長いガラスプロフィリットに新しい仲間「プロフィリット・ウェーブ」が加わり、今月より発売となった。「プロフィリット・ウェーブ」は、波型のフェイスフォルムが連続感のあるデザインと光の演出を実現する。
 ☆「プロフィリット・ウェーブ」の特長
 プロフィリット・ウェーブは、ガラス面に独特な波型形状をもった溝型ガラスだ。上下二辺支持(縦使い)、左右二辺支持(横使い)のみで連続構成が可能。従来のプロフィリットと同様、ファサード全体に独特な空間イメージを創造する。
 @デザイン性
 太陽光の角度によって出現する山部と谷部の陰影が、ガラス面にウェーブ状のシルエットを創り出しファサード全体にリズム感が生まれるとともに、ファサードの角度、季節、天候、時間帯によって建築物の表情が変化し、多彩な印象も与える。
 連続使いの場合は、見る角度によって、ウェーブ自体の陰影がガラスジョイント部の存在をウェーブと同化させ、一体感をもたらす。
 A多機能性・省エネルギー性
 ダブル構成で使用する場合は、シングル構成に比べて断熱性や遮音性が格段に向上する。省エネルギー性に優れ、静かで快適な屋内環境が創造できる。
 B経済性
 方立等がなくてもファサードを構成することができるので経済的なメリットも期待できる。
 Cバリエーション
 プロフィリット・ウェーブ単体で構成することはもちろん、プロフィリットと組み合わせて構成することも可能。また、ダブル構成やボックス型面使い構成の場合、室内外にそれぞれ異なるテクスチャーを採用することで、ファサードに奥行き感が生まれ、新たな空間デザインの可能性を広げることができる。
  プロフィリット・ウェーブの厚みは7_。規格寸法は、W262_×H60_×L3000、4000、5000_の3タイプ。なお、施工は同社指定施工店・日昌グラシス梶i本社=中央区日本橋人形町2丁目14番6号、03-3667-3096、伊地山直紀社長)が担当する。

■日本電気硝子高性能反射防止膜を成膜「見えないガラス」開発(平成24年8月27日)

 日本電気硝子梶i本社=滋賀県、有岡雅行社長)は、ナノメートルレベルの優れた膜厚制御によって生まれるユニークなガラス「見えないガラス」を開発、販売を開始したと発表した。
 同社の販売代理店で電気硝子建材梶i本社=大阪府大阪市、太田貴代表)開発統括部・小嶋俊也統括部長の説明によると、この「見えないガラス」の特長は、一般的なガラスの視感反射率(光が物に当たったとき、光が何%の割合で反射されるかの数値)は約8%以上に対し、「見えないガラス」はわずか0・2〜0・6%。高性能反射防止膜を成膜することで「見えないガラス」は、人の目が感じる波長の光を選択的に反射しないように設計されているという。
 小嶋氏の説明によると、元々はディスプレイ関係用に開発された商品で、今回はこの技術を応用し、新しく多分野にも活用できないかということで、開発・販売となった。
 現在、美術館、博物館、ショーウインドn窓ガラス、ショーケースなど様々な用途より問い合わせが来ているとのことだった。
 「見えないガラス」にはスタンダード(表裏各約5層)とハイグレード(表裏各約15層)の2タイプがあり、スタンダードは、光の透過率が99・4%、対応サイズが1000×1300_、対応最大肉厚は10_となっている。また、ハイグレードは光の透過率99・8%、対応最大サイズ300×600_、最大対応肉厚は10_。納期は約一カ月。生産は同社高月工場。
 今後はもっと大きなサイズのガラスとして使えるよう研究・開発中とのことだった。
 ☆「見えないガラス」とは?
 光を透過する透明な素材「ガラス」。人はガラス表面に反射した光を見ることで、その透明な存在を認識する。ガラス両面に合わせて約10〜30層以上で構成された高性能反射防止膜を成膜することで、光の反射をわずか0・2から0・6%まで抑えた。日本電気硝子の「見えないガラス」は、ナノメートルレベルの優れた膜厚制御によって生まれるユニークなガラスだ。「無いのに在る」という新しい「見る」を体験できるガラスだ。
 この他、開発品として「ガラス―樹脂積層体」がある。
 なお、この商品の問いあわせは同社代理店・電気硝子建材(я蜊縺≠O6―6392―2711、東京=03―3632―7721)まで。

■全硝連 復興支援エコポイント制度 業界挙げ協力(平成24年8月6日)

機能ガラス普及推進協議会(石村和彦会長)では、全国板硝子商工協同組合連合会(永島光男会長)の協力の下、全国の工務店に対し、復興支援エコポイント制度(新築)に関するアンケートを纏めた。これは今後住宅については2020年までに省エネ基準への適合義務化をすることが決まっているが、地域に根ざした工務店にとっては省エネ基準が義務化された場合、営業・設計・施工について容易に対応ができないのではないかという懸念があり、実際のところどうなのか、また、その懸念があった場合にはガラス業界としてどのような解決手段を提供できるのかについて考えたいということで、アンケートを纏めた。今回はそのアンケート提出に協力した全硝連の永島会長にお話を伺った(アンケートの結果は別項参照)。

――この間、機能ガラス普及推進協議会の代表者会議の中で、アンケートに協力した話題がでていました。
 「昨年12月に、全硝連に加盟している全国傘下の組合に対し、日ごろお取引のある工務店様に対し、忌憚のない意見を伺って欲しいということでお願いしました。推進本部からは意見の地域的な偏りを防ぐために全国の都道府県にお願いしました。約1ヵ月間で全国より113件の貴重なご意見をいただきました。中には記名式にすると、どこの販売店さんがどこの工務店さんとお取引があるからとわかってしまうため、無記名でお願いしたいというような話もありましたが、概ね全国の組合の方にご協力していただき、本当にありがたく思っています」

――今後も機能ガラス普及推進協議会から依頼があれば協力していく御考えですか。
 「この他にもガラスおよびサッシの使用状況調査等、いろいろと協力しています。我々もガラスの優れた性能・機能を業界あげて強力にPRしていく必要性があると理解しています。省エネ基準の見直しも推進していきたいと考えています。それでチラシを作成し、それを配布したり、展示会に機能ガラスをPRするため積極的に参加しています。
 私たちもこのように業界を挙げて協力していますが、決してそれだけでは十分といえません。先日も代表者会議で意見を述べましたが、機能ガラス普及推進協議会にしても、もっと予算を集めて、テレビCMなど全国に流していただき、他の業界に負けないようガラスの流通店を応援していただきたいと思います。
 新築でもリフォームにおいても、私たちガラス取扱店が『窓』の主役にならないと更なる高機能ガラスの普及には繋がらないと考えていますので」
 ――ありがとうございました。

アンケート内容の結果については次の通り。
 質問1 貴社の所在地の都道府県をご記入ください(全硝連傘下の全国の組合単組から113件を集計)
 質問2 貴社は前回のエコポイント制度(新築)の申請をされましたか?
 @実施した 58A実施していない=55
 質問3 質問1で「実施していない」に○をつけられた方のみお答えください。その理由は以下のどれかにあてはまりますか?該当するものに○をつけてください。
 @次世代省エネ基準かトップランナー基準を満たした住宅を施工することが困難である=15
 A予算的に基準を満たした住宅を建設するのが難しい=29
 B申請の書類の作成が面倒である=19
 質問4 貴社は省エネ基準が義務化された場合、設計や施工上の対応に問題が出ると思いますか?
 @思う=68 A思わない=45
 以下、質問4で「思う」に○をつけられた方のみお答えください。
 質問5 その理由は以下のどれかにあてはまりますか?該当するものに○をつけてください。
 @設計を設計事務所に依頼することになり、設計・管理費の分だけコストアップして競争力が下がる=23
 A元々省エネ法に対応力がある大手プレハブメーカーやビルダーとの競争が厳しくなる=31
 B建築確認申請や、中間/完成検査への対応が難しくなる=31
 Cその他=6
 質問4で「問題があると」思うとお答えになった工務店様にとって、解決策として有効だと思われるものについて、○をつけてください。(複数に○をつけてもかまいません)
 @お施主様に省エネ法の義務化が説明できるような資料が提供される=39
 Aお施主様自身が省エネ住宅・建材のメリットを体感できるような場所が提供される=21
 B省エネ住宅を営業するために必要な知識を学ぶための講習会が実施される=27
 C省エネ基準に適合する住宅が設計できるような簡単なパソコンソフトが提供される=19
 D窓や断熱材などの建材にどれを使つたら省エネ基準に適合するか具体的に例示される=36
 E窓や断熱材などの建材に省エネ性能がわかるようなシールが貼られる=14
 F省エネ基準に適合する施工とはどのようなものかわかる講習会が実施される=26
 Bお施主様に省エネ住宅に住むメリットがわかるような資料が提供される=23
 他にご意見がございましたらお願いいたします。
  アンケートでは、省エネ基準に厳しい北側ほど「問題がない」という意見が多く、南側ほど「問題あり」という意見が多いという結果になった。


浜屋ガラス小池社長 エコポイント効果と今後の動向を聞く(平成24年8月6日)

 サッシやガラスの窓回りだけではなく、キッチン・バス・トイレなどの住宅設備機器、カーポートやベランダなどのエクステリア、室内建材やサイディングなどトータルでサービスを行う浜屋ガラス(本社=東京都、小池恒平社長)。今回は、予定よりも早く復興支援・住宅エコポイントが終了したことで、これまでの効果やその影響、また2014年の4月から消費税が8%にさらには2015年の10月からは10%に上がることから、業界にどのような影響がでてくるかなどを聞いた。
 
 ――予定より早く復興支援・住宅エコポイントが終了しました。この制度は御社にとってどのような効果がありましたか。
 小池 新築の分野においては部分的に使用していたエコガラスが、すべての部位の窓に使われるようになりました。複層ガラスのLow―E化に拍車がかかりましたね。
 去年のエコポイント効果でエコガラスの比率は50%まで上がり、さらには今回のエコポイントで60%まで進んだのではないかと思います。
 一方、リフォームについては「内窓」が広まりました。前回のエコポイントではまったく知らない人まで「内窓」を周知することができました。今回ではそれが当たり前になったということ。

――ということは、効果はあったということですね。
 小池 先ほども述べましたが、エコガラスの一部使いでの棟数はもともと多かったので棟数のシェアはあがりませんでしたが、一棟丸々使うところも増え、数量では比率が上がったということです。

――エコポイントが終わりました。では今後どのような動きになると思いますか。数量は下がると思いますか。
 小池 少しは減るとは思います。がしかし、価格を下げてまでエコガラス(Low―E)化を進めるつもりはありません。違うところでLow―Eガラスを薦めるということになります。
 仕様を落としてまで安くしたいというところに、仕様をなんとか落とさない方法を考えましょうという労力はあまり向かないと思います。
 今度旭硝子では高性能複層ガラスの新製品「サンバランス アクアグリーン」や「サンバランス ピュアクリア」などを発売します。今Low―Eガラスを使っていただいているお客様に選択枝の一つとしてお薦めできます。
 ですから、そういう新しいものを提案していくことによってもっと良くしたいと思われるお客様には、より良いものを提案していくということになります。

――安いところには無理して良いものを提案しないし、良いものが欲しいところにはさらに良いものを提案していく。要は二極化していくということですね。ところで、住宅エコポイントは「窓リフォーム」の概念は広まりましたが、その反面異業種の参入を招いたと言われています。このことについてどのように思われますか。
 小池 そりゃ魅力があると思ったところには、いろんなところから参入してくるのは当然です。我々も彼らに負けないようにしなければなりません。異業種が同業他社になるまでは多少時間があるでしょうから、その間にサービスの向上、開発をしなければなりません。
 
 ――今度消費税が上がりそうです。駆け込み需要やその後の需要減に対してはどのように対応される計画ですか。
 小池 駆け込み需要は確かにあると思いますが、それほど大きな動きにはならないと見ています。消費税が上がっても、相場のアップダウンのほうが、大きいと思います。どれだけ一般消費者がこれまでの動きを勉強してきたかということにもよりますが・・・・。人間は繰り返すかもわかりませんが。
 世帯数から考えると今後も新築は90万戸前後立つものと考えています。

――消費税が上がった後は一説には50万戸時代が来るかもという話もあります。
 小池 そうなると、中古住宅をリフォームしていかないと不足します。現在5000万戸のストック住宅があるので、これを毎年50万戸リフォームしていっても100年かかる計算です。今の家はどう考えても100年は住めないと思いますから、そんな数字にはならないと思います。

――今後の動きとしては。
 小池 ホームページ(http://www.hamayaglass.co.jp/)を新しくして、そこで新しい情報を出していくようにしています。
 また、建築に携わっている人を集めて、ショールームに連れて行って、勉強会を開催したりするなど、そういう動きは普段から行っています。

――お忙しいところどうもありがとうございました。今後のご活躍を期待しています。


■機能ガラス普及推進協代表者会議 省エネ体験デモ機を作成(平成24年7月23日)

 機能ガラス普及推進協議会(石村和彦会長)は、711日(水)、東京・丸の内にある旭硝子本社会議室で経済産業省や業界8団体の代表者など約30名が集まる中、平成24年度代表者会議を開催した。その中で今年度の活動計画を纏め、基本方針として「防犯」「防災」「省エネ」の三本の柱とし、特に省エネ基準の義務化にむけての活動に注力して業界の活性化を図る@省エネ基準義務化の早期化および省エネ基準の引き上げに向けての活動A地方行政組織への訪問とPR活動B会員間の情報共有化および連携活動の推進の三つに取り組んでいくことで合意した。また、同協議会として省エネ体験デモ機を10セット作成し、各団体に貸与、各地で実施される省エネイベントへの参加を支援することも併せて決定した。
 会議の冒頭、石村会長が「安心、安全、省エネの機運が高まっている。高機能ガラスを普及させていく社会状況ができあがってきている。今こそこの市場に対する行動が我々にとって必要な時期だ」とあいさつした。
 会議では、平成23年度の活動報告や次年度の予算案などを慎重に審議。平成24年度機能ガラス普及推進協議会としての具体的活動計画な活動計画は…
 1.省エネ基準義務化PR活動の推進
 ▽地域イベントの協力
 ・省エネ体験デモ機・展示用パネルを10セット作成し、各団体に貸与し、各地で実施される省エネイベントへの参加を支援する。
 2.地方行政組織への訪問とPR活動
 @防犯ガラス関連
 ・昨年度に引き続き地元推進協窓口が主体となり、各県警に対するイベント等への具体的連携協力を実施する。
 A省エネ関連
 ・「安心・安全ガラス設計指針」の手引き、「学校ゼロエネルギー化に向けて」のパンフレットを活用し都道府県の教育委員会には機会を設けアピール。
 3.会員間の情報共有化および連携活動の推進。   
 @地域イベントの協力↓各団体からの要請により逐次対応していく。
 ・落球試験でも機を新調する。
 ・サンプル提供や破壊デモ機の貸与に積極的に対応する、
 A機能ガラス講習会の協力
 ・今年度予定されている省エネ基準の改定について各団体よりの要望により実施。
 ・ラベリング制度等の検討を実施する。
 ・新たな補助金制度に関しての情報収集と実施の際には講習会の実施および広告グッズの作成。
 4.運営方針
 このように活動の中心は
 @省エネ基準の義務の早期化および基準の引き上げA地方公共団体への安全ガラスのPRおよび学校ゼロエネルギーのPRB講習会の開催、の三つに絞られる。
 来賓あいさつとして経済産業省・土橋秀義企画官が行い総会に華を添えた。その他、連絡事項では、ソルーシアジャパン社の轟隆信氏が「諸外国の安全ガラスの普及について」を講演した。

ガラス産業連合会総会総会・理事会 新会長に岡本氏就任(平成24年7月23日)

 ガラス産業連合会(GIC、山中衛会長)は、76日(金)、東京・丸の内の東京會舘で、平成24年度通常総会兼理事会を開催した。その中で役員改選も行われ、新会長には岡本毅氏(《一社》日本硝子製品工業会会長)が、また、副会長には井筒雄三氏(電気硝子工業会会長)の就任が決定した。その他新理事には硝子繊維協会会長の狐塚章氏と日本ガラスびん協会次期会長(724日の総会で正式に就任する予定)の清水泰行氏がさらにガラス産業連合会技術・運営委員長の新井敦氏の就任が決定した。
 総会では今期の事業計画案の発表もあり、@ガラス産業戦略の再確認と展望Aガラス産業における技術交流と新技術への取り組みBガラス産業周辺への提言と情報発信の3項目を掲げ、@については昨年に引き続きCO2削減自主行動計画の策定と公表を行うとしAについては1025日に北海道大学・学術交流会館で「第8回GICガラス技術シンポジウム」を開催Bについては、ホームページの拡充を掲げ、研究者向けには部会活動成果のタイムリーな発信、一般向けには情報交信型のコンテンツを作成するとしている。
 なお、第3号議案の役員改選では、今年度の役員の顔触れは次のように決定した(敬称略、※は新)。
 ▽会長=※岡本毅▽副会長=※井筒雄三▽理事=石村和彦(板硝子協会会長、ニューガラスフォーラム会長)、※狐塚章(硝子繊維協会会長)、※清水泰行、牧島亮男(北陸先端科学技術大学院大学 シニアプロフェッサー)、※新井敦(ガラス産業連合会技術・運営委員長)▽監事=米村章(板硝子協会総務部長)、▽事務局長=※橋口陽一(《一社》日本硝子製品工業会専務理事)


日本板硝子ビルディングプロダクツ スペーシア全国セールスコンテスト開催(平成24年7月23日)

 日本板硝子ビルディングプロダクツ梶i本社=千葉県、鈴木隆社長)は、このほどスペーシア取扱店を対象に、窓リフォーム需要の更なる取り込みのため、「スペーシア全国セールスコンテスト」を開催すると発表した。
 6月からスペーシア遮熱タイプ「スペーシアクール」の発売をスタートし、また、現在、ユーザーを対象に「スペーシアクール」新発売記念「夏のおうち快適Wプレゼントキャンペーン」を開催しているが、今回は全国のスペーシア取扱店対象にコンテストを企画した。
 コンテストの概要は次の通り。
 @コンテスト名=「スペーシア全国セールスマラソン2012」
 A対象=全国スペーシア取扱店
 Bコンテスト期間=本年81日から1231日まで(5か月間、同社出荷ベース)
 C対象商品=スペーシア全種及びクリアFit
 D内容=スペーシア取扱店対象(取引店は除く)
(T)全国賞
 対象商品の換算点数により、全国120位を表彰する。
(U)地域賞
 対象商品の換算点数により、支店別に13位を表彰する(全国賞と地域賞の重複は可)
 換算点数は以下のとおり。
 ・クリアFit=1点/1平方b
 ・スペーシア、スペーシアクール=3点/1平方b
 ・スペーシア21、スペーシア(クール)守、スペーシア(クール)静=5点/1平方b


■記者懇談会 旭硝子「ありたい姿」(平成24年7月9日)

 旭硝子(AGC、本社=東京都、石村和彦社長)は、628日(火)千代田区丸の内にある丸ビルコンファレンススクエア8階において、石村社長、西見有二副社長、加藤勝久専務、藤野隆常務らの役員の出席の下、記者懇談会を開催した。今回は「新しいガラスで新市場を開拓〜あらゆるところにガラスのソリューションを〜」テーマに石村社長が説明した。
 まず、世界に広がるAGCグループとして「従業員数約5万人、およそ30の国や地域でグローバルに事業を展開、売上高12147億円となっている」と述べた後、現在世界市場でナンバー1を占めている事業分野には@「建築用ガラス」A「自動車用ガラス」B「有機ELディスプレイ用ガラス基板(アクティブマトリックス型)C「高画質ディスプレイ用ガラス基板」(低温ポリシリコン型)Dタッチパネル用ガラス基板(投影型静電容量方式)EPDP用ガラス基板Fフッ素樹脂(ETFE)があると現状を説明した。
 2020年のAGCグループのありたい姿は「持続可能な社会に貢献している企業」として
 ・差別化された強い技術力を持ち、
 ・製品のみならず、生産工程・事業活動全般に亘って環境に配慮し、
 ・新興地域の発展にも寄与する、
 高収益・高成長のグローバル企業でありたい。
とありたい姿を目指し、次の三つの視点で成長基盤を構築すると述べた。
 @第二のグローバリゼーション
 A環境・エネルギー問題に技術力で貢献
 Bガラス技術立社
 今回の発表ではBのガラス技術立社(新しいガラスで新市場を開拓)に的を絞って説明が行われた。石村社長の説明では、ガラス技術立社を目指すために「ガラス材料・製造技術」「コーティング技術」「光・電子関連技術」「セラミックス材料技術」「フッ素・化学技術」「共通基盤技術」、これらのコア技術で事業を差別化していくと語っていた。
 その後にコア技術を活かした製品事例の紹介が行われ、先日でも発表のあったLow―E複層ガラス「サンバランス アクアグリーン」「サンバランス ピュアクリア」、UVカット率約九九%のドアガラス「UVベールPremium」、照明用LEDパッケージ向けガラスセラミック基板「GCEP」、抗菌ガラス「アンチバクテリアガラス」(ガラス表層に銀成分を分散、高い抗菌性能を発揮する)を紹介した。
 さらに、コア技術で用途拡大を進める化学強化用特殊ガラスとして、電子機器向け化学強化用特殊ガラス「ドラゴントレイル」と多用途向け化学強化特殊ガラスとして「レオフレックス」を紹介した。  
 「ドラゴントレイル」はスマートフォンやタブレットPC用途では、日本、韓国、中国、台湾、米国の10社以上に採用され、「レオフレック」は既に薄型ソーラーパネルに採用。パネル1枚当たりの重量は約50%軽量化したとの説明があった。
 さらに化学強化用特殊ガラスの用途拡大には加工技術の進化が鍵とし、レーザーでガラスを切断する新技術の紹介やそれにより大サイズの化学強化済みガラスがお客様のところで切断が可能となるなどそのメリットを紹介した。
 さらなる化学強化用特殊ガラスの用途拡大に向けて、コア技術とさまざまな業界における経験を結集させていくと纏めた。
 コア技術で将来の実用化を目指す超薄板ガラス(フロート法による世界初の0.1_超薄板ガラス)の説明もあり、実用化に向けた取り組みとして、超薄板ガラスを搬送用のキャリアガラスに接着する技術や微細孔開け加工技術の紹介も行われた。最後に、あらゆるところにガラスのソリューションをということで車を例にあげながらビデオでの紹介も行われた。
 第2部として記者との懇談会が行われ、次の役員らが出席、記者との情報交換に努めた。
 ◎出席した役員(敬称略)
 ▽社長執行役員(CEO) 石村和彦▽副社長執行役員(経営全般補佐) 西見 有二▽専務執行役員(経営全般補佐) 加藤勝久▽常務執行役員(経営全般補佐兼社長室長) 藤野 隆▽副社長執行役員(ガラスカンパニープレジデント) 遠藤明男▽執行役員(ガラスカンパニーバイスプレジデント《オート担当》) 岡本喜八郎▽
執行役員 (ガラスカンパニー日本・アジア事業本部長) 市川公一▽常務執行役員(電子カンパニープレジデント) 田村良明▽執行役員(電子カンパニー電子ガラス事業本部長) 井上滋邦▽執行役員 (電子カンパニーエレクトロニクス事業本部長) 小林善則▽執行役員 (化学品カンパニープレジデント) 島村琢哉▽執行役員 (ACCセラミックス株式会社社長) 島尾明伸▽常務執行役員(経理・財務室長) 梅本周吉▽執行役員 (CSR室長) 松尾 時雄▽執行役員 (事業開拓室長) 平井良典 以上15

■旭硝子 鹿島工場見学会 フロートガラスライン、新コーティング設備(平成24年7月9日)

 旭硝子は72日(月)マスコミ向けに、同社鹿島工場(所在地=茨城県神栖市東和田25)の見学会を開催した。午前11時に東京駅前をマイクロバスで出発した一行は、午後2時に鹿島工場に到着した。平岡正司工場長より同工場の概要説明を受けた後、早速フロートガラスラインと新コーティング設備を見学した。
 ☆鹿島工場の概要
 ・敷地面積=約83万平方b
 ・従業員=約600
 ・生産品目
 @板ガラス部門
 板ガラス、熱線反射ガラス、鏡、複層ガラス、建築用強化ガラス、建築用合わせガラス
 A化学品部門
 カセイソーダ、塩素、次亜塩素酸ソーダ、プロピレンオキサイド、プロピレングリコール。フッ素化学品、ファイン重曹、ウレタン製品、サイトップ
 ☆フロートライン
 原料投入口から切断まで全長約600メートル
 ラインは原料投入口〜溶解槽(約1600度以上)〜清澄槽(約11001300度)〜フロートバス〜徐冷ライン〜切断から構成されており、最大採板103b
 ☆新コーティング設備
 世界最大・最新鋭の製造設備。本年5月より稼働開始。生産能力は680万平方bで既存設備と合わせると1300万平方bを誇る。新コーティング設備の登場で、より複雑で多層なコーティングが可能となる。
 この後、AGCグラスプロダクツの武田雅宏社長よりビル開口部リフォーム用Low―Eペアガラス「アトッチ」の説明が行われた。
 ☆当日の発表資料から
 AGC(旭硝子梶A本社=東京、社長=石村和彦氏)は、オフィスビルや店舗の省エネ窓リフォームに最適なエコガラス「アトッチ」を10月より発売する。
 この商品は室内側からLowーEガラスを接着することで既に施工されている窓ガラスをエコガラスにするもので、これまでエコガラスへの交換が難しかったオフィスビルなどでも省エネ性能の大幅な向上が可能になる。
 昨年発生した東日本大震災の影響により電力事情がひっ迫したことを受け、節電を目的とした省エネ窓リフォームのニーズが急速に高まっている。住宅では省エネ性能の高いエコガラスへの交換や二重窓の設置が数多く採用される一方、開閉できないFIX(はめ殺し)窓が多いオフィスビルや店舗では、ガラス交換工事が足場を組んだ大規模なものになる、二重窓を設置するスペースがない、などの理由から、現在は遮熱フィルムをガラスに貼る方法が大半をしめている。
 しかし遮熱フィルムの多くは夏の暑さ対策に一定の効果があるものの、冬の寒さ対策には効果がないことから、「簡易な方法で、既存のガラスを通年で高い省エネ効果を発揮するエコガラスにできないか」との声がオフィスビルのオーナー及びテナントなどから数多くある。
 これらのニーズに応えるため、AGCは既存の窓ガラスに室内からLowーEガラスを貼りつけることで省エネ性能の高いエコガラスにする製品「アトッチ」を開発した。この製品の特徴は次の通り。
 ・夏の暑さ対策だけでなく冬の寒さ対策も実現し、年間を通じて高い省エネ効果を発揮。施工後は空調エネルギー使用量を約30%、空調エネルギーコストを約61万円/年削減
 ・足場の設置が不要なため、施工費用を圧縮
 ・施工は一窓あたり30分〜1時間で完了
 ・既存のガラスをそのまま使うため、廃棄が不要
 AGCは、今後もエコガラスの様々な新商品上市を継続することで、環境・エネルギー問題の解決に貢献していく。
 新しいビル開口部用改修商品で同社が考えるビル開口部用改修商品のコンセプトは…
 @FIX窓に対応できる商品であること 
 A施工が容易であること
 ・足場不要で、内側からの施工ができるようにする。
 ・現状のガラスも利用したい(廃棄不要)。
 B遮熱と断熱と採光のバランスに優れていること
 ・夏場対策だけでなく、冬場の寒さ対策もできる。
 ・採光量は可能な限り維持できる。
 ということで、「アトッチ」が開発された。
 現在同社本社のある新丸の内ビルディング30階から34階に施工されている。責任施工をともなうため認定店制度を検討中とのこと。販売目標はリフォーム商品全体で2015年に35億円を目指すとしている。

■盛大に全国ひのまる会(日本板硝子)総会(平成24年7月2日)









 日本板・吉川社長

 日本板硝子の取引店で構成される全国ひのまる会の定時総会(平成24年度)が、616日に、東京・品川にあるホテルラフォーレ東京で約100名の会員が集まる中、盛大に開催された。来賓として日本板硝子の吉川恵治社長やクレメンス・ミラー副社長も出席し、総会に華を添えた。その後は記念講演も行われ、慶応義塾大学経済学部教授・金子勝氏を講師に迎え、「日本経済のゆくえ」をテーマに約1時間半行われた。
 総会では、冒頭、松本会長(マテックス)が、最近の業界の動向を説明した後、次のようにあいさつした。「注力すべき分野は『リフォーム市場』。
 その中でも我々の業界は専門知識が豊富な『窓リフォーム』を中心に取り組むことが適切。窓を断熱リフォームすることで、CO2削減、節電、そして住環境改善が大いに期待できる。今年は、原子力発電所の停止に伴い、節電は日本全国の重要な課題だ。『窓リフォーム』が節電に寄与できることを、広く一般の方々に強く、分かりやすく訴える必要がある。
 窓の主役はガラスだ。窓リフォームについても我々の業界が主役として担っていかなければならない。そのためには、窓の専門店として、地域と消費者に信頼されるガラス屋さんの育成が重要課題。窓の専門店は、みずから情報発信をすることで存在感をもち、豊富な知識と経験を駆使しながら一般消費者の方を相手にきちんとした商談・商売ができるお店だ。こういう店が増えれば我々の業界が、窓リフォームビジネスの主役として社会に貢献することができる。
 我々『ひのまる会』=屋の熱意で、やる気のある販売店を成功に導き、自らの手で我々の業界を主役にすえようではありませんか」
 総会終了後、来賓を代表して吉川社長があいさつ。自己紹介の後、新経営陣と責任範囲、前期決算の要点と今期の業績についてなどを説明、その中で「我々新経営陣の喫緊の課題は収益性の改善である」と述べ、日本国内については「省エネ義務化、窓リフォーム拡大で、今後も成長する需要分野が多い国内市場には、皆様と一緒に積極的にフォローしてゆきたい」と強調した。また、ミラー副社長も自己紹介を行い、「ひのまる会のように長きにわたってご協力頂いているお客さまの組織は、その数と規模からいっても、世界中どこにも見当たらない。弊社は今後も高い品質の商品・サービスを提供し、会員と弊社の双方の事業の発展になるように努力してゆく」とあいさつ。この後、質疑応答のコーナーでは、吉川社長が会員からの質問に丁寧に受け答えしていた。
 講演会では金子講師が「今の原発事故対応は、かつての銀行の不良債権処理と構図は同じ」「責任者が責任を取らない無責任体制の中、情報を小出しにして大胆な処理を行わない状況を続けるなら、解決は長引くばかり」などと歯に衣着せぬ物言いで、今日の日本の抱える問題点について明快に解説した。
 また、日本経済の競争力復活の為には、エネルギー転換の波を契機に、集中大量生産型を続けるのではなく、地域分散型がネットワークで結びつくシステムへの転換が必要と提唱した。その後の懇親会では同会副会長の石ア信三氏(石ア本店)が乾杯の発声で開会。会員各社は大いに情報交換を行い、明日のガラス業界を語り合っていた。最後は、同会副会長の立木彰一氏(宮吉硝子)の発声で、元気よく締められ、閉会した。

■AGC 日本初銅使用量ゼロの鏡開発(平成24年7月2日))

 AGC(旭硝子梶A本社=東京、石村和彦社長)は、鏡の新製品「サンミラーG」を、今月より販売したと発表した。
 この「サンミラーG」は、日本で生産される鏡として初めて原料に銅を全く使用しないことに成功した製品で、省資源に貢献する上、従来品に比べ塗料膜の耐久性及び強度を高めている。
 一般に、鏡はガラスの裏に銀による反射面を形成している。その銀は外気により劣化する性質を持つので、これを防ぐため銅によるメッキ及び塗料によるコーティングを施している。
 今般、AGCは銅を使用しなくても耐久性を高めることができる、新たなコーティング技術による新製品「サンミラーG」を今月より販売することとした。
 この製品の主な特長は次の通り。
 ・塗料膜の耐久性向上により、銅メッキなしでも銀の劣化による変色を抑制(同社従来品との比較)
 ・塗料膜の強度向上により、取扱い時の破損・損傷リスクを減少(同社従来品との比較)
 ・製造工程で銅を全く使用しないため、省資源に貢献
 ・塗料からホルムアルデヒドの放散がなく、また欧州など主要国の各種規制物質条例により、適合する環境配慮製品
 AGCは今後も建物の内装・外装向けに様々なガラス製品を提供することで、明るく豊かな生活空間の実現に貢献していく。


■盛大に板ガラスフォーラム再開
(平成24年6月25日)







業界7団体の代表、左から石村、尾崎、佐藤、坂本、
松本、永島、遠藤の各氏

  盛大に行われた第14回板ガラス
  フォーラム

 昨年の東日本大震災で中止になった「板ガラスフォーラム」が今年再開した。板ガラス業界7団体(全国板硝子商工協同組合連合会、全国板硝子工事協同組合連合会、全国板硝子卸商業組合、全日本鏡連合会、全国安全硝子工業会、全国複層硝子工業会、板硝子協会)共催による「第14回板ガラスフォーラム」が61516日の2日間、東京都港区にある品川プリンスホテルに於いて盛大に開催された。今回の参加者は約三百名。初日の記念講演では三菱総合研究所の理事長であり、プラチナ構想ネットワークの会長でもある小宮山宏氏を講師に招き「日本『再創造』―プラチナ社会の実現に向けて」をテーマに約1時間を講演、さらには「経産省講演」として同省製造産業局住宅産業窯業建材課の土橋秀義企画官が「住宅・建築物省エネ化に向けて」をテーマに説明した。また2日目は、同会場で「省エネ(高断熱)住宅はガラス・開口部の進化に期待する」(講師・松尾設計室代表取締役・松尾和也氏)と板硝子協会より先月発生した「茨城県つくば市の竜巻被害によるガラス被害の状況報告」(講師・板硝子協会調査役・俵田忠明氏)、「安全・安心ガラス設計施工指針について」(講師板硝子協会調査役・岡野敏彦氏)の講演も併せて行われた。
 初日は冒頭に、開会挨拶とし全国卸・松本巌会長(マテックス)が「電力需要がひっ迫しているということで窓に対する関心が高まっている。業界としていかにアピールし取り組んでいくかが大事。窓の主役はガラスである。業界の人たちがそれぞれの分野で前を向いて活動していけば、必ず膨大な事業を取りこめることができる」とあいさつ。その後参加者全員で講演を聞いた後、午後6時からは合同懇親パーティを開催。その中で主催者を代表し板硝子協会・石村和彦会長(旭硝子社長)が昨今の電力需給の厳しさを述べた後次のようにあいさつした。
 「省エネの分野においては明るいニュースがあった。住宅エコポイントが復興支援住宅エコポイントとして継続していただいたこと。新築のエコガラスの普及率も増加、既存住宅のエコガラスによる断熱改修の増加もこの効果が大きい。この延長は経産省、国交省、関係団体の尽力の賜物といえる。エコガラスは節電にも効果のあるガラスだと自負している。さらにこの普及を業界一丸となって進めていきたい。また、今日の講演でもあったように、住宅の断熱性をあげていくと省エネ効果だけでなく健康に非常に良いという話も聞いた。これからは健康エコガラスとしてPRしていきたい。我々は政府の中期・長期の施策を正しく理解し、皆様と一緒になってエコガラスの普及に努めたい。さらに地震・台風・竜巻などの自然の脅威によるガラスの被害を少しでも少なくするためにガラスができることを引き続き調査・研究をしていきたい」
 引き続いて経産省製造産業局・川上景一氏がさらには国交省住宅局・橋本公博氏があいさつし、フォーラムに華を添えた。なお、乾杯の音頭は全国安全硝子工業会の坂本善正会長(阪神硝子工業)がまた締めのあいさつは全硝連の永島光男会長(ナガシマ)がそれぞれ行った。

■全硝連第55回総会 永島会長ら留任決まる
 (平成24年6月25日)








         新理事長のみなさん

 全国板硝子商工協同組合連合会(略称・全硝連、永島光男会長)は、615日午後12時より東京都港区にあるTKPガーデンシティ品川「アネモネ」において、会員ら約50名が集まる中、第55回通常総会を開催した。その中で役員改選も行われ、永島会長(東京)の留任が決定した。その他の役員は別項参照のこと。
 総会は関東甲信越ブロック・本部長を務める中村勉氏(新潟)の司会で進められ、開会の辞を副会長の施向昌之氏(広島)が、さらに歓迎のあいさつを都硝協・副理事長の河村修二氏が行った。業界関係者の物故者に対して黙祷を捧げた後、永島会長が「昨年は国家の危機にみまわれるなど、激動の1年であった。またデフレ下で会員にとっても厳しい状況が続いている。このため昨年の退会者は歯止めがかからず、約150社が退会し大変なことになっている(加盟組合員数は1819名)。昨年の総会の時にも増強運動を行ったりしたが、東京でも多摩地区が辞めてしまった。数は力なりというが2000社を切ってしまったら、意見も通らない」とあいさつ。さらに、組合の活動では購買事業がメリットのある事業だと考えるとか、エコガラスの政府への働きかけ、省エネデモ機の活用、登録基幹技能者制度の活用、さらにはオリックス自動車のリースの活用など、それぞれの項目に対して具体例をあげながら、組合加盟のメリットや枯渇しかけている活動資金の獲得に全硝連本部として努めていると訴えた。
 この後、永島会長を議長に総会は進められ、昨年の事業報告や本年度の収支予算書など各議案は原案どおり可決した。第六号議案の生命共済制度移行に関する件については、全硝連の事業費収入を少しでも増やそうということで、現行の制度から東京都中小企業共済協同組合が行う「生命傷害共済」に変更することとなった。
 また、第7号議案の理事・監事選挙の件については次のように決定した(敬称略)。
 @常任理事(※は新任)
 ▽会長=永島光男(東京都)▽副会長=施向昌之(広島)、佐々木政吉(秋田)▽専務理事=※宮代茂(神奈川)▽常務理事=※辻良明(大阪)
 A理事(17名)
 ▽北海道・東北地区=吉村國義(北海道)、佐々木政吉(秋田)▽関東甲信越地区=中村勉(新潟)、小峰梅男(埼玉)、宮代茂(神奈川)▽東京地区=永島光男、河村修二、野本和一郎▽東海。北陸地区=水野洋太郎(福井)▽近畿地区=川瀬隆一(京都)、尾下一雄(奈良)、辻良明(大阪)▽中国四国地区=藤村正一(山口)▽九州沖縄地区=三原宏(熊本)、徳重初男(鹿児島)▽推選理事=山田一善(宮城)、施向昌之(広島)
 B監事(3名)
 ▽関東甲信越地区=尾花重利(栃木)▽東海・北陸地区=岡田守浩(愛知)▽員外監事=内藤眞宏
 また、本年度の全国理事長会議については、予算がないということで取りやめる話もでたが、東北地区を励まそうということで、開催する方向で決まった。

グラステック2012視察ツアー紹介 2012年10月24日(水)〜31日(月)までの8日間 ドイツ・イタリア【PDF】
    (平成24年6月13日)
「平成24年度(第二回)家庭の省エネエキスパート検定の手引き」を発表【PDF】(平成24年6月12日)
■AGC 超薄板ガラス積層技術を開発(平成24年6月11日)

AGC(旭硝子梶A本社=東京、社長=石村和彦氏)は、超薄板ガラスを顧客の製造工程で搬送するためのキャリアガラスへ貼り合わせる積層技術の開発に成功したと発表した。この技術により、顧客の設備を変更することなく超薄板ガラスを取り扱うことが可能となるため、超薄板ガラスの利用が期待される次世代ディスプレイなどの様々なアプリケーションの実用化に大きく近づくとしている。
 昨年同社が開発に成功した厚さ0.1_の超薄板ガラスは、透明性、耐熱性、電気絶縁性などのガラスの優れた特長に加え、非常に薄く、フレキシブルであることを活かし、次世代のディスプレイや照明、タッチパネルなどへの応用が期待されている。
 現在、その実用化に向け、ロールに巻き取った超薄板ガラスを帯状のまま連続的に製造工程で取り扱うロール・トゥ・ロール方式などの開発が進められているが、既存設備の大幅な変更を伴うことが課題となっている。
 同社は、超薄板ガラスの実用化を加速するため、厚さ0.5_程度のキャリアガラスに超薄板ガラスを貼り合せる積層技術を開発した。この技術で作られた積層基板は、通常のシート状のガラスと同様に1枚ずつ扱うことができるため(シート・トゥ・シート方式)、顧客の設備を変更することなく超薄板ガラスに回路形成などの処理が行える。
 また、キャリアガラスと超薄板ガラスは特別な吸着層で貼り合わされており、製造工程における過熱や化学処理に対する耐久性がある一方、工程で処理された後にキャリアガラスを容易に剥離することができる。さらに、キャリアガラス上の超薄板ガラスは、工程設備に直接触れないため、傷の発生を抑える効果も期待できる。
 なお、この積層基板サンプルは、64日より、ボストンで開催された展示会“Society for information Display(SID)”の同社ブースに展示した。
※超薄板ガラス積層基板の外観、超薄板ガラスを利用したお客様の製造工程についてはこちらの【PDF】をご覧ください。
 
 一方同社は、化学強化された特殊ガラスの新製品「Leoflex」を今月より発売した「Leoflex」は通常のソーダライムガラスよりも高い強度が得られ、薄くしても割れにくいことから、ガラスの大幅な軽量化が可能。今後、ガラスの軽量化のニーズに応える製品として、ガラスのサイズや用途を問わず、太陽光パネルや建築、照明などに幅広く展開することを目指していくとしている。
 さらに同社は、2004年より自社のニーズやシーズに基づいたテーマについて、公募方式により大学または公的研究機関等と共同研究を行う制度(AGC旭硝子リサーチコラボレーション制度)を導入しているが、2011年も第8回目として、ガラス、フッ素化学および環境・エネルギー関連分野から4課題を制定して公募を行い、35件の応募の中から「構成材料の界面を制御し、新機能発現を目指す研究」に関する共同研究テーマ一件を採択した。さらに、共同研究テーマに採択されなかった案件の中から4件を研究支援テーマに選定した。
 1.共同研究テーマ
 豊橋技術科学大学電気・電子情報系 准教授 武藤浩行氏
 「静電相互作用を利用した複合粒子プロセスによる新機能複合材料の開発」
 共同研究テーマに対しては、同社が研究材料と年間約2000万円の研究費を最長3年間支給する。
 2.研究支援
 共同研究テーマに採択されなかった応募案件の中から、別途研究支援テーマを選定した。研究支援の内容と応募者の所属組織は次の通り。
 ・研究資金の支給(奨学寄付金として1100〜〜200万円。別途研究材料を提供する場合がある。) 山形大学、東北大学、大阪大学、神戸大学
 同社は、共同研究により得られた成果を社内で積極的に活用し、継続的に新事業・新商品を創出する。今後も産学連携による価値創造を幅広く推進するために、2012年度も引き続き本制度を実施する予定。



■三星ダイヤモンド工業 新本社ビルに移転
 (平成24年6月11日)






        新本社ビル

     本社社員食堂

FPD・板ガラス・太陽電池・LED・セラミック他の製造装置および切断・加工工具の開発・製造・販売を行う三星ダイヤモンド工業梶i本社=大阪府、三宅泰明社長)は、既報のとおり、本年57日に、現在数ヵ所に点在している本社等の拠点を一ヵ所に集約統合し、お客様への対応力向上と業務効率化を図るため新社屋に移転した。新社屋は、大阪府摂津市香露園にあり、以前同社の本社のあった場所のすぐ近くに完成、また昨年できたばかりの阪急京都線・摂津市駅が徒歩4分圏内にあり、交通の便利なところに位置する。今回はその完成したばかりの新社屋に三宅社長を訪ね、新社屋建設の狙い、今後の目標などを聞いた。
 ――まず、この場所を選定した理由をお聞かせ下さい。以前ここにご本社があったからですか。
 三宅 いや、そうではありません。まったくの偶然です。計画を立てたのは今から3年前です。それまでいろいろ探しておりました。
 というのは、今までの拠点が五つに分かれておりまして、この非効率さというのは大変なものでした。会議する部屋も少なくて、そのために社員がぞろぞろと別の場所に移動していたこともありました。
 大阪・江坂の時でも2回かわっているのですが、どんどん人も増え、業態も大きくなっていきまして、そうなると業務効率化とコミュニケーション強化の必要性が更に高まってまいりました。
 私は、個人的には本社などは古くても構わないと思っており、中にいる人間と設備さえ整っていればそれで良いと考えています。そのかわり工場だけは良いものを作ろうと考えてきました。
 1972年に長野県に建設した飯田工場は、2009年に同市内に移転、「飯田新工場」として生まれ変わりました。また、1999年には長野県茅野市に「蓼科工場」を設立しています。そちらは装置を作っています。その後は、韓国、台湾、中国、ドイツに拠点や工場を設立しました。
 最後に、複数に点在している本社がこのままでいいのかということになり、今後のグローバル対応を考えた時に、迅速な対応の為の集約化が急務となり、合理化を図らなければならなくなりました。現在 周辺国の仕事が85%ぐらいになって、スピードがないと競争に勝てなくなってきた。
 また、業界を取り巻く厳しい環境、次々に発生する課題を乗り越えるためにも従業員同士のより一層のコミュニケーションが求められます。そこで、今回の新本社建築による複数拠点の統合、グループ全体に導入したテレビ会議システム等によりハード面を強化し、更に対応力を上げて行こうと考えております。

※  ※  ※

新社屋は地下1階地上4階からなり、地下は駐車場、4階部分には社員専用の食堂を有する。食堂のメニューをみるとカロリー表示もしてあり、社員の健康にも気をつけているのがわかる。4階部分にはウッドデッキや専用庭もあり社員の憩いの場となっている。1から3階部分は、事務所、会議室、実験室等からなり、会議室にはプロジェクターやテレビ会議用のモニターなど最新の設備が施されている。セキュリティーも万全でエレベータに乗るのもカードキーが必要となる。
 その他、雨水利用システムによる屋上の緑化、事務所フロアのLED照明採用、ソーラーパネル発電による電力供給など地球環境にも配慮した設計となっている。ガラスは当然エコガラスが採用されており、省エネだけでなく、室音もたいへん静かだ。記者が驚いたのは、英会話教室が常設されていること。これだけみても国際色豊かな企業であることがわかる。敷地面積は4,900u,延床面積は11,906u。建設は戸田建設が担当した。

※  ※  ※

――要は効率化とスピード化が目的ですね。
 三宅 意思決定のスピード化は何よりも必要です。それと、セキュリティー体制も万全です。ユーザー側から預けられた資料が盗まれたり紛失したりしたら企業の信用問題にかかわってきます。
 ――社員のほうに何か変化は感じられますか。
 三宅 それは、新しいところに移動したわけですから、やる気満々です。
 ――ここには何名の社員が。
 三宅 約310名の社員がここで働いています。
 ――ここは本社機能を有しているわけですが、今後もっと有効利用しようというお考えがあれば。
 三宅 ここは、物作り以外は自己完結できるようになっています。だから、営業部門や海外の現地法人からのニーズを吸い上げます。その上で、開発設計を行う。ここには研究所の設備も一緒に入っているので、シーズ(企業が新しく開発、提供する特別の技術や材料のこと。新製品の開発では、ニーズとシーズのバランスが重要となる)から生まれてきたものとお客様からのニーズをうまく調和させる事が出来ます。
 でもそれだけでは不十分で、顧客からみてどういうものが良いのかというポイントを加味した上で、開発計画を立てます。
 ここでは、開発からプロトタイプ(試作モデル)の製作までを行います。その後、顧客評価を経て、量産になれば海外の子会社や協力会社にお願いをします。
 ――海外からのお客様のお出迎えもここで行うわけですよね。
 三宅 役員室やVIPルームも設けています。また、デモルームを用途別、お客様別に設けていますし、逆に関係のない方はこの中には絶対にお入れしないことも徹底しています。
 ――上場の目標は。
 三宅 私自身にはそういう考えはまったくありません。当面は、社内の対応力強化が急務であると考えております。

■全国卸 第27回総会開く 役員改選松本会長は留任(関信越も)(平成24年6月4日)








留任が決定した松本全国卸会長

 全国板硝子卸商業組合連合会(松本巌会長)は、525日(金)に東京都港区にあるメルパルク東京にて、第27回通常総会を開催。今期の事業計画案や収支予算案、などを審議、原案通り承認した。また役員改選も行われ、会長に松本巌氏(関信越)の留任が決定した(その他の役員については別項参照のこと)。
 総会終了後、経済産業省・土橋秀義企画官らとの懇談も行われ、その中で土橋氏は、低炭素社会の実現に向けた住宅・建築物における取り組みについても説明。住宅性能表示基準、省エネルギー基準の改正を含んだ、低炭素社会に向けた住まいと住まい方の推進に関する工程表(案=弊紙ホームページに掲載中)を披露した。その内容を見ると、省エネルギー基準の改正については、非住宅については2012年度中に、また、住宅については2012年度以降早期施行となっている(弊紙ではその内容が決定次第紙面にて紹介する予定です)。また、義務化については、見直し後の省エネ基準を基本に設定するとし、最終的には2020年度までには義務化をしていく方向性であると説明した。このような「住宅・建築物でゼロ・エネルギー化の実現」までのロードマップができたことは、ガラス業界にとって明るい話題と言えよう。
 懇談終了後の懇親会では松本会長が「先ほど総会で全国の状況を聞いたがおしなべて悪いという話であった。そのような中で、考えられるのは既築住宅のリフォームである。リフォームに注力し事業を掘り起こすことが大切で、そういう目も出てきている。今いろいろな業界で専門店の威勢が良いという話も聞く。窓というのはガラスが主役。ガラスの専門店・業界が窓リフォームという事業を受け止めて進めていくべきだ」と力強くあいさつした。さらに、来賓のあいさつは土橋企画官が、また、乾杯の音頭は板硝子協会・牧有二専務理事が行った。

なお来賓出席者は次の通り(敬称略)。
  ☆官庁関係▽経済産業省製造産業局住宅産業窯業建材課企画官・土橋秀義理、課長補佐・松本麻子、ガラス・工業用窯業製品係長・宮内光弘☆板硝子メーカー関係▽板硝子協会専務理事・牧有二▽旭硝子ガラスカンパニービルディング事業部営業本部長・木本哲二▽日本板硝子建築硝子事業部門日本統括部・機能硝子部長・鈴木隆▽セントラル硝子販売部硝子販売課課長・井之口奨▽ガーディアン・ジャパン・リミテッド営業統括部長・岡戸志門▽ピー・ジェイ・エルリミテッド社長・青木勇二

☆平成24年度新役員の顔触れ(敬称略)
 ▽会長=松本巌(関信越・マテックス)▽副会長=岩崎慎二(関信越・岩崎建商)、林実(東海・中部硝子)、杉山洋一(関西・杉山硝子)▽理事=大久保章宏(東北・大久保硝子店)、野島信(北陸・堀江硝子)、伊藤彰英(中国・備南建材社)、香川亮(四国・香川硝子卸店)、堤浩一(九州・亀屋硝子)▽監事=池田和夫(関信越・イケダガラス)、村島靖一郎(関西・村島硝子商事)

 これより先、5月22日(火)に同会場で関東甲信越板硝卸商業組合(松本巌理事長)の第27回通常総会が開催され、その中で、役員改選も行われ、新理事長には松本巌氏の留任が決定、また、副理事長には新しく岩崎慎二氏の就任と池田和夫氏の留任が決まった。
 総会終了後に行われた板硝子協会との懇談では岡野敏彦調査役が「省エネ基準の改正に関する件、建材トップランナー制度に関する件、第14回板ガラスフォーラム等について」を説明した。さらに先日茨城県などで発生した竜巻現場の状況などを説明した。懇親会では松本新理事長のあいさつに続いて、セントラル硝子東京の玉田保浩社長が来賓を代表して「低炭素社会の実現に向けては、Low―Eガラスの役割は非常に大きいものがある。ガラス業界にとっては、LowーEガラスの普及促進という世の中の役に立ちながら業界も潤っていける」とあいさつ。乾杯の音頭はAGCグラスプロダクツの迫田泰滋部長が行い、総会に華を添えた。なお、当日の来賓者は次の通り(敬称略)。

▽板硝子協会調査役・岡野敏彦▽AGCグラスプロダクツ東日本関東営業部部長・迫田泰滋▽日本板硝子ビルディングプロダクツ取締役東京支店支店長・山本哲也▽セントラル硝子東京代表取締役社長・玉田保浩


■日本板硝子 遮熱タイプ「スペーシア クール」発売(平成24年5月28日)

 日本板硝子(本社=東京都、吉川恵治社長)は、本年61日より、遮熱タイプの真空ガラス「スペーシア クール」を発売し、製品ラインアップの拡充を図るとともに製品最大寸法の拡大を行うと発表した。今回新製品の説明を行っていただいたのは、日本板硝子ビルディングプロダクツ(本社=千葉県、鈴木隆社長)事業統括本部商品企画グループグループリーダー・一級建築士、坪田敏氏。
 坪田氏の説明によると、「今回の発表にはポイントが三つあります。一つ目は、スペーシア製品のラインアップの拡充を図るため、遮熱タイプの『スペーシア クール』を発売したことです」
 「二つ目は真空ガラス標準品の商品名を61日より『スペーシアSTU』から『スペーシア』に変更することとしました。これは消費者の皆様により親しんでいただくために、基幹商品の呼称をシンプルに変更いたしました」
 「三つ目は市場のニーズに対応するため新設備を導入し、真空ガラス『スペーシア』の製品最大寸法を3b×2bに拡大することにしました」これらが今回のポイントです。

※  ※  ※

 真空ガラス「スペーシア」は、同社が世界で初めて実用化した高断熱窓ガラスだ。2枚のガラスの間に0・2_の真空層を閉じ込めることによって、1枚ガラスの約4倍、一般的な複層ガラスの約2倍の断熱性能を実現した製品で、199710月発売以来、好評の商品だ。
 「復興支援・住宅エコポイント制度」の促進効果もあり、省エネ・節電意識が一層高まり、窓リフォーム市場は急速に拡大するとともに、消費者のニーズは多様化している。こうした市場のニーズに応えるため、遮熱タイプの「スペーシア クール」を発売し製品ラインアップの拡充を図るとともに製品最大寸法の拡大を行なうこととした。
 本年61日より遮熱タイプの真空ガラス「スペーシア クール」「スペーシア クール守」「スペーシア クール静」を発売します。
 昨年に引き続き電力不足が懸念されている今夏も、「遮熱」は窓リフォームの重要な機能としてクローズアップされている。
 今回発売する「スペーシア クール」シリーズは、「スペーシア」本来の優れた断熱性能に、さらに遮熱性能をはじめ、防犯や遮音性能を付加した製品だ。
 窓から侵入する日射熱を約51%もカットする遮熱性能が、特に夏の節電、暑さ対策に効果を発揮し、年間を通した冷暖房費を約40%削減することが可能だ。
 厚さ6.2_という薄型設計のため、既存の1枚ガラス用サッシにそのまま取り替えることが可能なので、戸建住宅・マンション・中低層ビルなどの省エネ用途として、窓ガラス交換に最適な製品だ(新製品ラインアップについては別表参照)。
 (2)市場のニーズに対応するため新設備を導入し、真空ガラス「スペーシア」の製品最大寸法を3b×2bに拡大する予定(呼び厚さ10.2_品)。また、この新設備の導入によって、年間生産能力は現状の約2倍に拡大予定。
 NSGグループは、ガラス製品の製造・販売を通じ、建築物が直面する環境問題の解決に今後も貢献していきたいと考えています。

    ※  ※ 

 以下は坪田氏との一問一答。
――今回の「スペーシア クール」の開発背景は。
 坪田 消費者の省エネ・節電意識の高まりで窓リフォームは拡大しましたが、夏の節電ニーズにもさらに対応する必要性があると判断いたしました。遮熱という面では窓フィルムの需要も先行していると思いますが、フィルムは遮熱効果があっても、結露軽減効果という面では解決していません。その点「スペーシア クール」ではこの二つの問題を解決することができます。
――今回の製品ラインアップの拡充で量的にはどれくらいの目標を考えていますか。
 坪田 おかげさまで、住宅エコポイント効果で「スペーシア」はここ2年で2倍ぐらいの伸びを示しました。今回の拡充でここ12年でさらに2倍の販売量を目標にしています。
 ――告知方法や、キャンペーンなどの予定は。
 坪田 新聞、雑誌、チラシでのPRの他、「スペーシア クール」新発売記念として「夏のおうち快適Wプレゼントキャンペーン」を61日から831日まで実施します。合計130名の皆様にパナソニックのホームベーカリー「ゴパン」などの豪華賞品が当たります。
 ※キャンペーンの案内はこちらのPDFをご覧ください。

※  ※  ※

 期間中に窓ガラスをスペーシアに交換すると、抽選で「おうち快適グッズ」が当たる。
・対象商品=真空ガラススペーシア全種類・薄型断熱ガラスクリアFit
・応募締切=9月末日
・抽選=10月初旬
・発送=10月下旬
・応募条件=キャンペーン対象期間中に対象商品を購入されたお客様
・賞品=ホームベーカリー「ゴパン」、ポータブルワンセグTV、ハイブリッド方式除湿乾燥機を各10名様に、さらに抽選で外れた方の中から100名様に電動歯磨き「ドルツ」をプレゼント。いずれも商品はパナソニック社製。

   ※  ※

――名称の変更は。
 坪田 「スペーシアSTU」のSTはスタンダードという意味で命名していましたが、今回はよりシンプルな呼称でわかりやすくするために、商品名を変更しました。
――新設備はどこの工場に設置しますか。
 坪田 竜ヶ崎工場です。
一ライン設備を増強する予定です。
――寸法の拡大のねらいは。
 坪田 住宅だけでなく、ビルや店舗での採用も増加しています。省エネ効果や結露が大幅に改善されるということで、「すき家」や「はま寿司」などに採用されています。新規店舗ははじめからスペーシアが採用されています。


■セントラル硝子 盛大に第5回特約店研修会 サッカー前監督山本氏の講演も
 (平成24年5月28日)







あいさつする皿澤社長

 セントラル硝子(本社=東京都、皿澤修一社長)は、518日(金)午後2時より、東京都文京区にある椿山荘において、「セントラル硝子特約店研修会」を開催した。同会は全国のセントラル会のメンバーが一堂に集まり研修や情報交換を行おうという趣旨の下で開催されるもの。今回で5回目となる。全国の特約店の代表者やその役員、さらには同社社員など約120名が参集し盛大に行われた。
 第1部の研修会は、同社硝子販売部・硝子販売課長・井之口奨氏の司会で進められ。冒頭に皿澤社長が次のようにあいさつ(要旨)した。
 「第5回セントラル硝子特約店研修会にご参加いただきありがとうございます。もう一年経過したのかなという感じで信じられない気持ちでいます。一年振りにお会いする方もたくさんおられまして、この日を楽しみにしておりました。この一年を振り返ると相当大変な一年だった。そのような中で、先日前期決算の発表を行いましたが、若干収益は落ちましたが、この環境の中で皆さんに支えられてまずまずの結果ではなかったかと思っています。来年度はもう少し良くなりたいと思っています」  
 「利益を出せるところはもうガラス以外にありません。ここにおられる皆様方と一緒になってぜひ頑張っていきたいと思っています。2007年の決算発表以来、これまでずっとガラス部門は赤字になっていましたが、前期の第4四半期は若干浮上した。この勢いでずっと浮上していきたい。簡単ではないがぜひ達成したい」
 「今期については、全体的に見ると売上も相当伸ばすつもりでいるが、ほとんどの売上は海外と化学部門だ。そういった中で建築用のガラスはどうするのだというご意見もあるが、やはり皆様と一緒になって頑張っていきたい。今年は堺工場のNO3のスパッタのラインが稼働する。これでLow―Eガラスも皆さんにご迷惑をおかけすることもない」
 「環境も楽観視できるような状況ではない。石油も上がってくるだろうし、円も高くなっている。株も下がっている。どのようになるかわからないが頑張って行きたい。今まで皆さんにはサバイバルゲームと言ってきたが、これからはサスティナブル、維持して行かなければならない時代になる。これ以上良くなることはないし、国内の需要が増えることはない。こういった環境の中でも維持していくことが大事。サバイバルからサスティナブルという時代になる。ガラス事業もしっかりと維持し利益を出して行きたい」とあいさつした。
 この後、サッカー解説者で2004年アテネ五輪サッカーの日本代表監督を務めた山本昌邦監督(同氏の経歴は別項参照)を講師に迎え、「心をつかむ人材育成術」をテーマに約1時間半講演が行われた。
 講演内容の要旨は次の通り。
 @リーダーシップ・人材育成〜心をつかむ人材育成術〜
 人材育成において最も重要で不可欠なのが、「人の心を育てる力」です。
 育成というのは人の心をどれだけつかむのか、つまり人の心を育てるということだと思います。人のこころを育て強い個を育成し、強い組織をつくり上げていくということ、これこそが人材育成の本質ではないでしょうか。強烈な個性とプライドを持った日本代表選手たちの無限な可能性を引き出し、組織の中で最大限のパフォーマンスを発揮できる環境をつくりあげてきた背景をじっくりと伝えた。
 Aモチベーションアップ〜一流選手から学ぶ目標達成へのプロセス〜
 どのような分野においても、一流になるには、常に高い目標意識を持ち、目標に向けた並々ならぬ努力を継続していくことが不可欠です。これまでの指導経験で出会った数々の一流選手たちが、どのような姿勢を心がけ、気持ちを維持してきたかなど、目標達成へのプロセス・思考法を話した。
 山本氏が間近で指導してきた中田英寿氏・中山雅史選手・川口能活選手など、サッカー界の一流選手たちのエピソードを交えながら、選手として、ビジネスマンとして飛躍していくためのヒントを伝えた。
 講演の中で、特に印象に残った話は、「一流選手の条件は@負けず嫌いA素直さ、人の話を聞くことができ、自分で気づくことB高い目標を持っていること」。これらは、我々ビジネスマンでも同じことだ。さらに「最後まであきらめずに努力すること」。諦めずに努力をすれば報われると話していた。
 この後懇親会も行われ、製造部門の担当者を紹介。取締役常務執行役員・加藤勇氏と堺製造所長・菊地辰夫氏の両名が紹介された。さらに、全国セントラル連合会(イケダガラス且ミ長)の池田和夫会長が乾杯の発声を行い、「我々は車の両輪のようにメーカーと一緒になってLow―Eガラスの販売に努めたい。懇親を深めて意見交換をしていただきたい」とあいさつ。また、中締めのあいさつは、近畿・中四国セントラル会の綾部欽一会長が「今回の講演会と懇親会は、少しでも皆さんのお役に立っていただけたでしょうか」とあいさつし、同会に華を添えた。
 ▽山本昌邦氏の略歴
 195844日生まれ、静岡県沼津市出身。1977年、日本大学三島高等学校卒業。1981年、国士舘大学卒業。現役時代にはディフェンダーとして、ユース代表、ユニバーシアード代表、日本代表とそれぞれの世代で、日本代表選手として活躍。また、ヤマハ発動機潟Tッカー部では、二部リーグ優勝、天皇杯優勝を一度ずつ経験。1987年に、惜しまれながら、現役を引退。その後、指導者として、フィリップ・トルシエ氏やジーコ氏を支え、2004年のアテネ五輪では、日本代表監督を務めた。
 数々の日本代表選手を育成・指導し、豊富な国際大会での実績と経験は日本人指導者としては特質すべき存在であり、指導者としての揺るぎない地位を確立した。現在は、NHKサッカー解説をはじめとして幅広い活動を展開している。


日本板硝子材料工学助成会第34回助成金贈呈式 今年度は43件、4490万円(平成24年5月14日)

  藤本理事長

    助成金贈呈式の模様
 公益財団法人日本板硝子材料工学助成会(藤本勝司理事長、東京都港区三田)は4月26日、東京都港区六本木の泉ガーデンタワー住友会館で「平成24年度研究助成金贈呈式(第34回)」を開いた。
 冒頭、藤本理事長は「当助成会は無機材料の基礎研究、応用研究をうたい設立34年。公益財団法人となって4年。国内での無機材料への助成は当会の柱である。これまでに998件の応募があり、13億円余の助成金の実績となった。84の研究機関から211件の応募があった。うち8つが初めての応募だった。今年度は、昨年12月から時間を費やし厳正な審査を行い、43件で、4490万円の研究助成となった。経済情勢の影響で財団の財政も厳しいが、我が国において経済克服は技術開発以外にないと思う。新しい成果を研究者各位にお願いしたい。政府のファーストプログラムは研究助成である。世界のトップ研究者としてのまい進を期待したい」とあいさつで述べた。


■全硝連関信越地区本部総会 新本部長に中村氏(平成24年5月14日)

  中村新本部長

    永島氏

     須藤氏

        ブロック会議の模様

全硝連関東甲信越地区本部は426日(木)午後、東京・浜町TSKビル会議室で平成24年度通常総会を開催し、新本部長に中村勉氏(新潟県板硝子商工組合連合会会長)を、副本部長に小峰梅男氏(埼玉県板硝子商工協同組合専務理事)をそれぞれ選出した。
 監事には宮代茂氏(神奈川県板硝子商工業協同組合理事長)と宮沢芳宏氏(長野県ガラス・サッシ組合連合会会長)の二氏が就任。会計担当は後日、新潟県から選ぶ予定。昨年9月のブロック会議以降、暫定地区本部長を務めた須藤實氏(群馬県ガラス・サッシ組合連合会会長)は退任した。
 全国板硝子商工協同組合連合会(全硝連)の役員は中村、小峰、宮代の三氏が担当する。


■セ社がリチウム空気電池共同開発チーム参加 I BM発表(平成24年5月7日)
 IBM(NYSE:IBM)は2012年4月20日(現地時間)、業界のリーダー的企業である旭化成梶i本社:東京都、社長:藤原健嗣氏)とセントラル硝子梶i本社:東京都千代田区、社長:皿澤修一氏)の2社がIBMのBattery500プロジェクト・チームに加わり、自動車の主要エネルギー源をガソリンから電気へ加速的に転換させる可能性をもつ遠大な研究に共同で取り組む、と発表。
 2009年、IBMリサーチは、ファミリー・サイズの電気自動車が1回の充電で約500マイル(800 )走行することを可能にするリチウム空気電池の開発を行う、新しい持続可能なモビリティー・プロジェクトを立ち上げた。
 旭化成及びセントラル硝子は、Battery500プロジェクトのパートナーとして、各社が長年にわたって培ってきた自動車業界向けの材料のイノベーションを同プロジェクトに持ち寄る。実用化までには壮絶な科学面・エンジニアリング面のハードルが立ちはだかっている。その成功の可能性を高めるためには、二社は同プロジェクトの研究範囲を拡大して、複数の科学的分野の探求を並行して推進する。
 ◎日本を代表する科学メーカーの一社であり、リチウムイオン電池用セパレータで高いシェアを有する旭化成は、これまで培ってきた膜開発技術を生かし、リチウム空気電池の重要な構成要素部品を開発する。
 ◎自動車用リチウムイオン電池向け電解液を世界市場に向け生産しているセントラル硝子は、同分野における科学的知見を生かし、リチウム空気電池の性能を向上させることを主眼におき、新種の電解液および高性能添加剤を開発する。
 リチウムイオン電池を搭載した今日の電気自動車の大半は、一回の充電で走行可能な距離は約100マイル(160 )であり、電気自動車普及の大きな障壁となっている。手頃な価格で軽量、コンパクト、そして典型的なファミリー向け自動車が、一回の充電で数百マイル走行するだけの電気容量を蓄えられる新しいバッテリー技術の開発が求められている。
 今日のリチウムイオン電池を搭載した電気自動車が、燃料を満タンにしたガソリン自動車に匹敵するだけの距離を走行可能にするには、非常に大きなバッテリーが必要となるが、そうすると自動車の重量は増し、多大なスペースを占有してしまう。リチウム空気電気は、その軽量な陰極と大気中にある酸素を主燃料とする構造により、リチウムイオン電池に比べてより高いエネルギー密度を有している。電気自動車を広く普及させるには、既存のリチウムイオンバッテリーの十倍以上のエネルギー密度が必要とされており、今回の新しいパートナーのBattery500プロジェクトへの参加は、リチウム電池技術をその目標達成に向け推進する大きな力添えになる。
 なお、同研究は、米国カリフォルニア州サンノゼにあるIBMアルマデン研究所で行われる。
 ◇The Bttery500 Projectについて
 自動車の主要エネルギー源をガソリンから電気へ転換することは、21世紀前半における最も重要な技術転換の一つとなるだろう。このニーズを認識したIBMアルマデン研究所の研究員は、2009年、1回の充電で500マイルの走行を可能にするリチウム空気電池の開発を行うBattery500プロジェクトを立ち上げた。IBMアルマデン研究所及びIBMチューリッヒ研究所双方で行っている化学、物理、ナノテクノロジー、スーパーコンピューティング・モデリングといった科学技術全域におけるIBMのリーダーシップを活用し、国立研究機関を含む他の共同研究協力者と連携して、本Battery500プロジェクトは推進される。
■盛大に「チャイナグラス2012」上海(平成24年4月23日)

開発途上国の急速な経済発展
により、自動車ガラスの市場は
拡大している
防弾性能が要求される国・地域
の要求に対応

より利便性の利くハンドツール。
多くの出展者が小間を並べた

高技術だけでなくローコストの
実現が来場者のニーズ

 第23回中国国際ガラス工業技術展(チャイナグラス2012、中国セラミックス協会主催)が4月2日〜5日、上海新国際展覧センターで開かれた。ガラス、建材、加工機、道具・工具やサービスなどの最新情報を求めて世界各国からバイヤーや関係者が多数参加した。
 ソリューション、テクノロジー、ガラス産業に関連する既存とこれからの動向を知ることができる。共催、支援団体として上海セラミックス協会、中国国際輸入公社、建築資材連盟、中国科学技術連盟、中国建築材料工業協会、イタリア貿易委員会、GIMVI、VDMA、ドイツ連邦経済技術省など。
 来場者は90を超える国と地域から建築、ゼネコン、デベロッパー、自動車メーカーや関連業者、ガラスメーカー、中間流通業者、ガラスの機械や部品、インテリアデザイナー、自動車部品販売店など。展示規模は8万平方メートル。
 建材、特殊ガラス、機器、原材料、副資材、ガラス生産設備や計測器、機械、コンピューター、自動制御システムなど850余の企業・団体がショーに出展した。海外出展者は日本、イタリア、ドイツ、米国、ベルギー、英国、フランス、フィンランド、オランダ、スイス、スウェーデン、チェコ、オーストリア、イスラエル、韓国、トルコ、ベトナム、イランなど、28カ国から249社・団体に至った。
 主催者は、今年は中国政府による第12次5カ年計画の2年目であり、この計画達成のためには重要な年であると見ている。大気・水・土壌といった国土・環境の健全化と健全さを伴った発展でなくてはならないとしており、建築・ガラスの分野でも環境を守りながら発展できる新しい技術の開発と素材が求められている。その達成に貢献する商品や技術の展示を行ったとしている。


■旭硝子「サンバランス」の新商品発表(平成24年4月23日)

 旭硝子(本社=東京都、石村和彦社長)とAGCグラスプロダクツ(本社=東京都、武田雅宏社長)は、413日(金)に東京・帝国ホテルにおいて、約90名の同社取引先などが参加する中、盛大に2012年度ガラスカンパニーお客様懇談会を開催した。
 懇談会の冒頭に旭硝子・ガラスカンパニー日本・アジア事業本部長・市川公一氏が「今年は、方針としてモノ作り、人作りを掲げている」とあいさつ。さらに石村社長があいさつに立ち、事業方針や今後の施策として徹底的な体質強化策や経営基盤の構築の加速などを説明した
  併せて新商品の発表も行われ、AGCグラスプロダクツ・取締役ビルディング事業部長の塩井英喜氏より、節電に貢献するエコガラスの新商品「サンバランスアクアグリーン」「サンバランスピュアクリア」を説明した。なお、当日の発表内容は次の通り。
 同社は、省エネ性能の高いエコガラス(Low―E複層ガラス)「サンバランス」の新製品「サンバランスアクアグリーン」「サンバランスピュアクリア」など四種類を、本年5月から稼働を開始する同社鹿島工場(茨城県神栖市)の世界最大級コーティング設備で生産し、6月以降順次発売する。
 これらの新製品は、従来の「サンバランス」に比べ、より高い省エネ性能の実現による冷暖房負荷の削減と、可視光線をより多く取り入れることによる照明負荷低減により、節電に貢献する。
 近年、快適や健康への関心の高まりや、昨今の電力事情の影響による節電のニーズから、建物の省エネ性能に対する要求は急速に高まっており、省エネ効果に優れたガラスが注目されている。新築の一戸建てや集合住宅、商業ビルでは高い省エネ効果が得られるエコガラスの需要が急増しており、今後も更なる需要の拡大が見込まれる。またエコガラスの普及に伴い、より高い断熱性・遮熱性の追求、省エネ性能と明るさの両立、様々なシーンに合わせた豊富なカラーバリエーション等、性能向上とラインナップの拡大がユーザーから求められている。これらのニーズに応えるため、AGCは「サンバランス」のラインナップに、次の製品を新たに加えることとした。ともに、標準タイプと、より断熱性能を高めた高性能タイプ(Eシリーズ・アルゴンガス入り)を用意している。
 (1)サンバランスアクアグリーンE(高性能タイプ)/アクアグリーン(標準タイプ)=626日発売開始予定
 ・暑さを防ぐ遮熱効果と寒さを防ぐ断熱効果の両方に優れた、年間を通じて極めて高い省エネ性能を発揮する、関東以西の地域の窓に適した製品
 ・通常の複層ガラスと比べ、遮熱性能は約2倍、断熱性能は約2.5
 (アクアグリーンEとガラス厚3_・空気層12_の複層ガラスとの比較)
 ・同社従来品(グリーン)と比べ、ガラスによる反射色を抑えたことで、建物外観の調和に貢献
 (2)サンバランスピュアクリアE(高性能タイプ)/ピュアクリア(標準タイプ=81日発売開始予定
 ・寒さを防ぐ断熱効果と室内を明るくする可視光線透過率に優れた、寒冷地や北向きの窓に適した製品
 ・同社従来品(シルバー)と比べ、断熱性能と明るさが約10%向上
 ・同社従来品(シルバー)と比べ、より透明色に近づけたことで、建物外観の調和に貢献



■日本板硝子社長に吉川氏 ネイラー氏は退任早期の収益改善へ(平成24年4月23日)







 既報のとおり、日本板硝子は、吉川惠治取締役代表執行役副社長が同日付けで社長兼最高経営責任者(CEO)に就任した人事を発表した。同社では前社長クレイグ・ネイラーの辞任を受けて任命したとしている。
 社長兼CEOとなる吉川氏は、グループ全体の事業の執行責任者として、グループの収益、事業の成績及び発展に関する全般的な責任を持つ。また、クレメンス・ミラーは代表執行役副社長兼COOに任命され、グループの全事業の日常経営について直接の責任を持つとしている。
 また、マーク・ライオンズは代表執行役に就任し、CFOとしての現職務を継続するとしている。以下は取締役会議長兼会長藤本勝司氏のコメント。
 「クレイグ・ネイラー氏は、取締役会との間に戦略に関して意見の不一致があり、このたび社長兼CEOの職を辞任することになりました。残念ではございますが、当社としては、過去2年間にわたるネイラー氏の貢献に感謝し、同氏の今後のご健勝を祈念いたします。当社は、今後ともグループの発展に総力を挙げて取り組んでゆきたいと考えます」
  交代の理由として、同社は、20106月のクレイグ・ネイラー氏の社長兼CEO就任以来、2006年策定の「長期ビジョン」に基づき、3年間の戦略的経営計画(SMP)を策定・推進してきた。その後、想定を越える経営環境悪化に対応すべく、本年2月発表の「収益改善施策」に既に着手している。この路線に変更はないが、更にスピードを速め早期業績回復を目指し、経営体制の変更を行うとしている。
  当日の記者会見で、藤本会長は「クレイグ・ネイラー氏の本人の辞任によるもので、解任ではない」と強調。記者との一問一答では、「コミュニケーションによるギャップはなかった。毎回数回にわたって議論を重ねてきた」「オリンパスにあったような事実は当社にはない」などと語っていた。
 また、日本人社長としての意気込みを聞かれた吉川社長は「ミラー氏とライオンズ氏の2人には絶対に助けてもらいたいと思っている。3人合せてグローバルだと思っている」と語っていた。
  ▽吉川惠治氏の略歴
 (1)出身地=静岡県
 (2)最終学歴=1973年静岡大学工学部機械工学科卒(工学士)
 (3)略歴
 19734月=同社入社
 20034月=情報電子カンパニー情報通信デバイス事業部長
 20046月=執行役員情報電子カンパニー情報通信デバイス事業部長
 20066月=執行役員情報電子カンパニープレジデント兼企画室長
 20074月=執行役員IT事業本部長兼企画室長
 20086月=取締役執行役機能性ガラス材料事業部門長
 20122月=取締役代表執行役副社長兼CPMO
 20124月=取締役代表執行役社長兼CEO(現)
 所有株式数=58,000


■旭硝子で入社式 石村社長があいさつ(平成24年4月9日)









   石村社長
 旭硝子梶i本社=東京都、石村和彦社長)は、4月2日(月)午前9時15分より東京・丸の内にある東京商工会議所国際会議場において、新入社員131名が参加して、入社式を行った。その時の石村社長のあいさつ(要旨)は次の通り。

 1.歓迎の言葉
 本日131名の新進気鋭の皆さんが、社会人として第一歩を踏み出されたことに、おめでとうと申し上げる。「旭硝子に入社しておめでとう」という言葉は、AGC旭硝子の成長に貢献すべく力を発揮され、「AGC旭硝子に入社して良かった」と思うその時まで、とっておきたいと思う。

2.新入社員の皆さんに期待すること
 経営方針GrowBeyondの中で「人は力なり」を掲げている。“人が全てのベース”である。組織の成長と人の成長が好循環となって高め合っていく、そのような企業を目指す。その上で、皆さんには次のことを期待する。
 (1)勉強してください
 ・学生時代に勉強して得た知識は今後の仕事の基礎にはなるが、それだけでは不十分。 これからも常に勉強し必要な知識を身につけて仕事に活かして欲しい。自ら勉強し続け、 アウトプットを生み出すことで、皆さん自身が成長し、充実した人生となるであろう。
 (2)健康第一
 ・体力あっての知力。健康に留意して日々研鑽に励んで欲しい。これから皆さんが過ごす人生の中で、圧倒的に大きなウエイトを占めるのは仕事。その仕事を通じて成長することが、皆さんの人生をきっと充実したものにする。心の底から満足できる仕事をするために、弛まぬ努力をして欲しい。AGCの一員として、皆さんの成長と飛躍を期待している。「We are AGC!


23年度後期ガラス施工技能検定合格者を発表 1、2級合わせ205名(平成24年4月2日)

 平成23年度後期ガラス施工の技能検定結果が全国都道府県職業能力開発協会から313日に発表された。

今年の結果は一級受検者が249名(昨年は283名)で、合格者が130名(同136名)合格率は52%(同48%)となっている。また、2級の受検者は109名(昨年度は117名)で、合格者が75名(同74名)、合格率は69%(同63%)となっている。なお女性の合格者は1級に1名が合格した。

 総受検者数は358名で昨年の400名より42名減少。総合格者も昨年度の210名から205名と5名下回った。総受検者数は一昨年と比較すると147名も減少している。

 1級の合格率が100%のところは神奈川、三重、石川、兵庫、岡山、佐賀の5県(昨年度は群馬、山梨、富山、福岡、宮崎の五県)でいずれも受検者は1ケタ台。兵庫県は昨年の0%から一気に6名全員合格となった。

 また、1級・2級とも技能検定そのものが行われなかった県が、岩手、秋田、群馬、岐阜、福井、滋賀、和歌山、香川、高知、長崎、宮崎の11県と昨年の6県(岩手、埼玉、奈良、香川、高知、佐賀)、一昨年の3県(奈良県、香川県、佐賀県)と今回は試験を行われなかった県が一気に増加した。このままでは、若い熟練技能者が不足し技能の伝承がうまくいかなくなることも懸念される。


■LIXIL 住宅リフォーム事業再編 チェーン(FC)とネット(VC)スタート
 異業種参入で営業C大竹社長 プロとして負けられぬ(平成24年4月2日)

 鰍kIXIL(本社=東京都、藤森義明氏)は322日(木)午後2時より東京・大手町サンケイプラザ三階会議室において大竹俊夫営業カンパニー社長、THリフォーム推進統括部長・田口和敏氏、同推進部長・小島規和氏の出席の下、「リフォーム市場における今後の営業戦略について」の記者説明会を開催した。この中で大竹カンパニー社長は「リフォームの市場にはいろいろな業種が参入してきている。プロとして負けるわけにはいかない」と力強くあいさつした。

当日の説明は次の通り。
 同社は、現在全国で展開している住宅リフォームの二つのフランチャイズ(以下FC)と四つのボランタリーチェーン(以下VC、自発的連鎖店の意)を再編し、新しく「LIXILリフォームチェーン(FC)」を七月から、「LIXILリフォームネット(VC)」を今月からスタートした。
 今回スタートしたLIXILの住宅リフォームFC、VCは、410店(外売工事高480億円)の「LIXILリフォームチェーン」の加盟店と9400店の「LIXILリフォームネット」の加盟店からなる国内最大級の規模となる(2015年には目標としてFC店を600店、外売工事高を1000億円に、さらに、VC店を1万店にする)。
 国内の新設住宅着工が低迷する中、リフォームの需要は国が掲げている新成長戦略においても2020年までに市場規模を約6兆円から12兆円に倍増する計画となっており、今後の需要拡大が見込まれる。その中で同社は、リフォーム向け商品の拡充ならびに、エンドユーザーが安心してリフォームを頼める環境整備を進めている。今回の「LIXILリフォームチェーン」、「LIXILリフォームネット」は、これからリフォームを考えているエンドユーザーの地域の窓口として、本部のLIXILと加盟店が一体となり運営していく。
「LIXILリフォームチェーン」は、新築時の性能・機能を上回るリーズナブルな全面リフォームを提供する「住まいプロホームウェル」と、リフォームコンシェルジュ(LIXIL認定の専門員)が、ライフスタイルに合わせた最適な提案を行う身近なリフォームショップ「住まいコンシェルLIFA」で構成し、多様化するエンドユーザーのリフォームニーズに対応していく。
「LIXILリフォームネット」は、加盟店向けに「水まわり」「窓まわり」「エクステリア」の分野で専門性をアピールできるマイスター認定制度をスタートし、エンドユーザーが安心してリフォームを依頼できるネットワークを構築していく。
 LIXILでは、今回スタートする約1万店のリフォームネットワーク加盟店と共に、地域に密着したリフォーム営業を展開し、お客様に安心で質の高いリフォームを提供していく。

(1)「LIXILリフォームチェーン」
「トステムホームウェル」「INAXリフォームLIFA」を再編し、「LIXILリフォームチェーン」として本年7月よりスタートする。

@「住まいプロ ホームウェル」
【ビジネスモデル】一級建築士などの住まいのプロが、地域密着でお客様と住まいのライフサイクルにあわせたきめ細かい提案をしながら住宅性能を熟知し、全面リフォームのパッケージ商品「新築二世」を提供する。
 ・コンセプト=新築時の性能・機能を上回るリーズナブルな全面リフォームを提供
 ・パートナー=提案力・技術力のある全面改装リフォーム事業を目指すビルダー
 ・提供サービス=中古住宅の大規模リフォームのパッケージ商品「新築二世」

A「住まいコンシェル LIFA」
【ビジネスモデル】リフォームコンシェルジュ(LIXIL認定の専門員)が、ライフスタイルに合わせた最適な提案を行い、住まいと暮らしの質を向上させる満足度の高い「コトリフォーム」を提供する。
 ・コンセプト=ライフスタイルに合わせた最適な提案を行う身近なリフォームショップ
 ・パートナー=地域密着でLIXIL商品を活用し、リフォーム市場においてリフォーム事業の確立を目指す事業者
 ・提供サービス=住まいへのこだわりや価値観、「本当にしたい暮らし」のイメージを探し出す「ライフスタイルコンパス」による満足度の高いプランニング

(2)「LIXILリフォームネット」
「トステムリフォームマジック」「INAXリフォームネットワーク」「TOEX自然浴deくらす」「サンウエーブリフォームショップR&B」を再編し、「LIXILリフォームネット」として、本年4月よりスタート。地域毎の活動を中心に、ユーザーが安心してリフォームを依頼できるネットワークをLIXILと共に目指す。
 ・活動内容=価格明示のリフォームパッケージの活用促進、リフォーム品質向上の講習、リフォーム新商品の講習、リフォーム商談会、イベント開催など
 ・教育支援=「水まわり」「窓まわり」「エクステリア」の分野で専門性をアピールできるマイスター認定制度を用意。リフォーム提案力の向上
 ・支援ツール=リフォームの活動ステップにあわせたツールを用意
 会見では、iPadの端末を使って顧客とやりとりしながら、ライフスタイルや予算などに応じた間取りの提案を行うなど新しい提案方法を披露していた。
 また記者との質疑応答の中で、大竹氏は「住生活グループ全体の前年度のリフォーム事業売り上げは2500億円。2015年度の国内の総売上高目標は2兆円で、現在のほぼ倍を狙っている。リフォーム事業も同様に倍増させたい」としている。

■潟Kラス新聞社 社長交代のお知らせ 野口義夫の後任に野口幸則就任(平成24年4月2日)

 社長交代のお知らせ

 このほど開催の弊社取締役会において株式会社ガラス新聞社の代表取締役社長を辞任し取締役会長に就任いたしました。社長在任中は多年にわたり一方ならぬご懇情を賜り有難く厚くお礼申し上げます。後任の代表取締役には野口幸則が就任いたしましたので、よろしくご支援を賜りますようお願い申し上げます。

平成244月吉日
株式会社ガラス新聞社
取締役会長 野口 義夫

 このほど野口義夫の後任として代表取締役社長に就任いたすことになりました。はなはだ微力ながら、この大任をお受けいたしましたうえは、一意専心、社業の発展に努力いたす所存でございます。何とぞ、前任者同様ご指導ご支援のほどお願い申し上げます。紙面をお借りしてご挨拶とさせていただきます。

平成244月吉日
株式会社ガラス新聞社
代表取締役社長 野口 幸則

■全国卸・松本会長が強調 窓リフォーム市場まだ始まったばかり(平成24年3月26日)









   松本会長
 住宅市場は平成20年のリーマン・ショック以降、落ち込み低迷が続く中、政府の経済支援である住宅エコポイントや日銀の金融緩和、ゼロ金利政策による住宅ローンの引き下げによって、市場復調の兆しも見えている。しかし年間に新築住宅が100万戸以上建つような時代はもう来ないと見る向きは多い。そんな中注目されているのがリフォーム市場で、政府の後押しなどもあり平成32年には20兆円規模の市場になると政府では見込んでいる。そこで今回も流通を代表して、全国板硝子卸商業組合連合会の松本巌会長(マテックス)にご登場をお願いし、今後の「窓リフォーム市場はまだまだ始まったばかりでその歴史は浅い。窓リフォーム市場を開拓する方法はいくらでもあるので、諦めずにチャレンジして欲しい」とインタビューに応じてくれた。

―――住宅リフォーム市場は拡大しつつあるものの、「窓だけをリフォームする」というユーザーは、住宅エコポイントが終われば少なくなるのではないかという声が聞かれますが、これについてどのように思われますか。
 松本 窓リフォーム市場の歴史は浅く、まだ始まったばかりです。窓リフォーム市場を開拓する方法はいくらでもあります。一番問題なのは自分たちが汗をかかないでなんとかなるという考え方で、こんなことではいつまでたっても埒は開かないです。
 COを削減するということであれば、一番お金をかけずに効果があるのは「窓リフォーム」です。水廻りのリフォームの話などは別次元の話で、CO削減効果はものすごくあるということも数字で表されているわけで、ガラス業界をあげてさらにアピールしなければならないと思っています。
 国は、民生部門(業務部門・家庭部門)のエネルギー消費量は、総エネルギー消費量の3割以上を占め、過去からの増加が顕著であり、住宅・建築物の省エネルギー対策強化が必要だと言っており、そのため住宅・建築物の省エネ基準の見直しや義務化を行おうとしています。
 新築だけでなく中古住宅についても、なんらかの対策が求められてくると思うので、その場合、国からの補助金や助成制度も考えられる。だから住宅エコポイント制度が終わっても「窓リフォーム」が少なくなるとは考えられません。
 私はガラス販売店にとって、「窓リフォーム」に特化するのが大事だと思っているし正攻法だと思っています。それが深化してさらに幅広くやっていくというのであれば、別に問題はないと思います。
 要するに、ガラス販売店にとっては、消費者からの信頼を得るということが一番大切であるということで、そのためには相当の労力が必要だと思います。
 現に「窓リフォーム」をやっていて成果をあげている人が出てきています。元請け型でやるのか、ビルダーさんと共にやるのかは、それはお店によって異なると思います。大工さんと一緒にやろうといっても大工さん自身相当数が減っているので、それを頼りにしてもいいのかという疑問も残る。
 基本的な考え方は都会でも地方でも同じだと思うが、やり方は地域によってそれぞれ異なると思います。

―――情報量の少ないガラス販売店が異業種に負けているような気がします。
 松本 これだけ市場が小さくなると卸も卸業だけで成り立つところが少なくなり、川下に降りて商売をやっているところもある。販売店様の面倒をみる余裕がなくなってきているところがあるかも知れません。
 とにかく今のまま商売していたのでは、業界はしぼんでいくだけです。なんとしても自分たちで潜在需要を発掘していかないと生きていけなくなります。

―――ホームセンターや家電量販店はPRするのがとても上手です。
 松本 ガラス店はガラスのプロなんで、こちらからいろんな提案をしていくべきです。内窓だけが窓リフォームではありません。「家」という物は千差万別で規格品というものがありません。内窓にもいろいろな製品があるし、そこに使われるガラスもいろいろあります。そういう提案ができれば、ホームセンターに負けることはありません。
 それとマテックスでもアンケートを採っているが、ガラス屋さんを知っているという人は少ないです。そこにマイナス面があると思います。私は何度もお話をしていますが、一般消費者に対するガラス屋さんの知名度が低すぎます。金のかかることはできないので、幟を立てたり、チラシを撒いたりして自分たちで汗をかくというのが大事です。
 そういうことをやりながら、成功事例が増えてきた段階で、もう一段上を目指していけば良いのではないでしょうか。

―――やる気のない販売店様が多いとは思っていません。ただ一生懸命やっても空回りしているのではないかと思っています。メーカーなり卸店なり情報量の多いところがうまく業界をリードしていけば、窓リフォーム市場も増えてくると思っています。どうもありがとうございました。

■永島理事長らに聞く 諸問題抱え苦闘する全硝連
  (平成24年3月12日)







全硝連のみなさん(左から黒崎、永島、武田、
伊藤の各氏)
 昨年発生した東日本大震災以降、日本国民の「省エネ」「安全」「安心」に対する意識が大きく変わってきた。さらに復興支援・住宅エコポイントをはじめ、国の施策などの後押しもあり、高機能商品を有する我々ガラス業界にとっては、大きな追い風となっている。しかしながら、新設住宅着工戸数は、80万戸前後で推移しており、まだまだ先の見えない厳しい状況が続いている。このような中、ガラス流通市場では、社員の高齢化、窓の性能表示、完成品出荷……、業界内で抱える問題は非常に多い。そこで今回は、全国板硝子商工協同組合連合会の永島光男会長と黒崎誠一専務理事、さらには事務局の皆さんにも登場していただき、これらの問題に対し、全硝連として現在どのように取り組んでいるかを聞いてみた。

 ――全硝連として今回の復興支援・住宅エコポイントの取り組みについてお聞かせください。
 永島 今回のものは前回と違って震災からの復興という意味があり、我々も協力していかなければならないと思っています。そのため全硝連としてもチラシを作成し、全硝連のホームページでも住宅エコポイントを積極的にアピールしています。
 さらに、今回は住宅瑕疵保険のJIO(日本住宅保証検査機構)さんの協力も得て、住宅エコポイントの受付窓口業務を行っています。すでに組合員さんから数件の業務を受け付けております。
 先日、私も参加してきたのですが、東京・練馬区に練馬区地球温暖化対策地域協議会というものがあり、そこの主催で「省エネライフ2012」という展示会&講演会が行われました。会場では、盛んに窓からの省エネ対策等をアピールしていました。東京の組合員もここで「窓からの省エネ対策」をアピールしていました。こういう環境省公認の地域協議会というものは全国各地域に存在しています。
 地域の会員の皆さんもこういうところとコラボレーションを行い、商売に繋げていってもらいたいと思っています。

――先日もマテックスさんが調査していましたが、今回の「住宅エコポイント」も四人に一人が知らないということになっています。私たちが思っている以上に、消費者の方達は何にも知らないのかも知れません。やはりPRが大事ということになりますね。それと住宅エコポイントが始まって以来、「窓」リフォームの分野に異業種の参入が目立つようになってきました。これについてどのような感想を持っておられますか。
 永島 ヤマダ電機等のいわゆる家電量販店やホームセンターのチラシを見ているとかなり進出しているなと思います。我々も異業種に負けないよう、もっと前面に出てアピールしていかなければならないと思います。先ほども言いましたが、全硝連としてチラシを十万枚印刷しました。しかし、まだ、8万枚しか出ていません。会員の皆さんにはぜひご活用していただきたいと思います。
 武田 本当に熱心なお店は組合経由ではなく直接、お店からご注文をいただいています。前回の時も同じお店の方でしたが、注文のタイミングも早いです。本当にお安くなっていますので、必要なお店の方はぜひお電話下さい。
 永島 何回もお話していますが、チラシというものは1回だけでなく何回も繰り返してまかないと効果は出てきません。1回だけでは、ほとんど反応はないです。
 黒崎 お店の前に住宅エコポイント対象商品取扱店として「窓ガラスのプロここにいます」というポスターも貼っていますが……。
 永島 そういうお店はまだまだ少ないのでしょうね。ガラス屋さんがここにいるということをもっとPRしなければなりません。
 武田 ガラスでエコができるということ自体、知らない方が多いと思います。
 永島 板ガラスメーカーさんにもTV等でエコガラスの存在を全国的にもっとPRして欲しいと思いますが、これと同時に、地域でのPR活動は我々自身がやらなければならないと思います。
 黒崎 全硝連では一級、二級の施工技能士に対して技能士カードを作成していますが、これも身に付けている人が少ない。せっかく取ったのに環境マイスターのバッジをつけている人も少ないです。自分たちのことをもっとアピールしなければならないですね。

――板ガラスメーカーさんでもサッシメーカーさんでもやる気のある販売店様に対しては、当然応援させていただきますと言っています。
 永島 そうですね。先日の展示会でも板ガラスメーカーさんやサッシメーカーさんの担当者の方がブースに駆け付けて、応援していました。

――チラシやホームページ以外にも何か販促ツールを考えておられませんか。
 永島 先日の展示会では、単板、複層、エコ、真空ガラスと4種類のガラスで水槽を作り、その中に氷を入れて、結露するガラスとそうでないガラスがひと目でわかるような販促ツールが置いてありました。また、携帯型の温度センサーで温度が数字でわかるように作られていました。全硝連としても、こういう販促ツールをいくつか持っていてもいいのではないかと考えています。
 武田 全硝連として、消費者向けに勉強会を開催したことがないので、そういうのもいいかなと思っています。会員の皆さんにもご意見を聞いてみたいですね。

――板硝子協会から引き継いだガラスタウンはどうなっていますか。
 武田 住所の変更とか、何軒か問い合わせが来ています。全硝連として会員さんのためにホームページを作れたら良いのではないかと考えています。こちらは、これからですね。 

――組合員の増強については。
 永島 組合員の数が2000名を切ってしまいました。全硝連として組合員の増強月間のチラシをつくりましたが、まだまだです。今度5月に東北独自の板ガラスフォーラムが行われますが、そこに福島の組合員の方に参加してもらい、全硝連にも加盟してもらったらと考えています。異業種のからの加盟は難しいですね。ただ、異業種例えば木耐協(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合)とのコラボレーションは、興味のあるところです。
 それと、全硝連の総会を615日(金)午後12時より東京・品川駅前にあるTKPガーデンシティ品川で開催します。この後板ガラスフォーラムも行われます。翌日も面白いイベントを行いますのでぜひ参加してもらいたいです。

――最後に最近の市場の動きについてお聞かせ下さい。
 永島 私の仲間の話ですが、最近大きなビルのガラス工事を、ガラス・サッシ込みでサッシメーカーに二棟分とられてしまったそうです。こういう話が全国で出てくるようであれば、私も黙っているわけにはいきません。現在どういう状況なのか、全国からの声を聞いて調査してみたいと思っています。

――どうもありがとうございました。
 記者の目 少ない予算の中でなんとかやりくりしている全硝連役員の姿を見ることができた。いろいろ手を打っているようだが、なかなか目で見えるような成果に繋がっていないのが辛いところだ。会員の皆さんも建設的な意見でもって全硝連を応援してあげてもらいたい。


■AGCグラスプロダクツ 武田新社長に聞く 「今日より明日が良くなる業界に」
 (平成24年3月5日)








   武田社長
 建築用板ガラスで世界トップの地位を占めるAGCグループの日本・アジア地域において、中心的な役割を担っている企業・AGCグラスプロダクツ梶i本社=東京都台東区東上野4−24−11NBF上野ビル4F、5F)。同社は昨年11月に原田伸一前社長から武田雅宏新社長にバトンタッチし新たなスタートを切った。そこで今回は、本社に武田新社長を訪ね、新社長としての抱負などガラス系新聞社2紙で共同取材を試みた。取材に対し武田社長はこれまで培ってきた経験を活かしながら「明るく、楽しく、前向きにということをモットーに今日より明日の方が絶対に良くなる業界にするんだ」と力強く語ってくれた。現在同社の営業拠点は全国に5ヵ所、製造拠点はLIXILからの引継ぎもあり26ヵ所、従業員は約1,100名(平成24年2月現在)を数える。社内体制は、営業本部長は武田社長が兼務し、製造本部長は前社長の原田伸一取締役が担当する。以下は武田社長との一問一答。
 
――社長に就任された感想は。また、モットーとされていることは。
 武田社長 建築の仕事を前線で担当していくのは、特需を担当して以来のことです。2002年からの4年間は企画を担当していました。久しぶりに日本の建築用ガラスを担当できることは本当にうれしく思っています。なぜならば、やることがいっぱいあるからなんです。
 中国(2006年から約4年間勤務)の方は、どんなに貧乏だろうがどんなに金持ちだろうが、今日より明日のほうが良くなると思って頑張っています。そういう方が13億人もいるから元気があるのです。
 ところが今の日本はどうですか、そういうことが思えますか。これは日本の政治の問題だけでなく、業界の問題であるとも言えます。
 それで私は「今日より明日の方が良くなると思える業界にしよう」ということを心にして仕事を進めています。
 客観的にみたら、「省エネ」「防犯」「防災」「断熱・遮熱」だってガラスがその機能を持っています。このことをどうやってビジネスに繋げていくかという仕組みを考えていけば、「今日より明日が悪いというはずはない」と強く思います。ポジティブに物事を考えて行くということが大事だと思っています。
 今回社長になり、そういうことができるチャンスだと私は思っています。

――昨年の業績、今年の見通しは。
 武田社長 ご存知のとおり201141日より、旭硝子ならびにLIXILとの合弁事業に伴い、 新たに9工場が弊社工場として運営を開始致しました。その結果売上高は400億円と増収にはなりましたが、そのオペレーションに不手際があり、昨年は赤字になってしまいました。営業赤字として20億円ぐらいです。社内的には私の仕事としてこれをなんとかしなければならない。
 今年の見通しとしては、LIXILさんとの合弁も期の途中であったし、Low―Eガラスの売上も増やしていこうということもあり、440億円と10%の増収を見込んでいます。利益については黒字化を目標にしています。

――ここ最近の住宅エコポイント対象商品の動きはどうですか。
 武田社長 前回の住宅エコポイントの時と比較すると、現状、出荷量としては減少していますが、住宅エコポイントが始まる前と比較すると着実に増加しています。今回の復興支援エコポイントでどこまで上乗せできるかなというところです。2012年は2011年と比べて全体のマーケットとしては落ちるかもわかりませんが、弊社としては出荷を増やすつもりでいます。

――社内体制については。
 武田社長 昨年の12月に組織体制を一部変更しました。目的は、シンプルな組織で速い意志決定。ラインスタッフの峻別と個々の役割の明確化。エリア単位での「製販一体」での収益向上、物流購買部門の強化です。
 収支を改善するために、エリアでみていくことにしました。営業は北海道を除いて五つの地域営業部に分けています。また、製造も一部と二部に分け、一部が東北、関東を二部が中部、関西、九州・四国を担当します。これで地域営業部と製造がリンクします。エリアで収支をみていこう、エリアの収支を極大化していくために、営業と製造が一体となりがんばろうということです。責任者としては、営業本部長は私が兼務し製造本部長は前社長の原田伸一取締役が担当します。

――LIXILとの関係については。
 武田社長 そもそもは石村社長と潮田会長の二人が意気投合したことから始まったことです。将来の新しい「窓」を考えた時にガラスとサッシを別々に考えてもしょうがないでしょうというところからはじまりました。
 その目的を達成するためにAGC―LIXILウインドウテクノロジー鰍設立しました。
 では現場で何が起こったかということをお話すると、LIXILさんは複層ガラスの生産をおやめになった。それで我々がLIXILさんの9工場をお引き受けすることになった。纏めて生産したほうがコストは下がるということではじめました。
 それで我々がLIXILさんのOEMの商品を作っているということです。我々はあくまで「LIXILブランド」の商品をOEMで生産し供給しているということです。
 私たちのAGCブランドのものを買っていただいているわけではありません。ここのあたりがどうもうまく伝わらず、誤解されているようなので、全国のお客様のところに回ってご説明しているところです。
 独禁法にかかわることですので、営業情報は交換していません。してはいけないのです。LIXILさんへの複層ガラスの値段がいくらなのかは当社の営業担当は知りません。知っているのは、私だけです。
 LIXILさんのOEM複層ガラスと当社の複層ガラスではスペックも違います。複層ガラスの販売においては、LIXLIさんはライバルでもあるのです
 LIXILさんの「サーモス」についても誤解されているようですが、我々は複層ガラスというサーモスの一部品を供給しているだけです。
 こういう話は担当レベルでは難しいと思い、社長として私が全国を回ってご説明しているところです。納得してもらうのは難しいかもわかりませんが、少なくとも理解はしてくださいね、何をやっているのかはわかってくださいね、というところをお話しています。
 私たちは、LIXILさんに対する供給責任がありますし、お客様全体に対しては、それによるコストの削減とサービスの向上に努めなければならないと思っています。

――窓化についてはどう思われますか。
 武田社長 「窓化」には三つの話があると思います。一つは窓としての性能表示の問題。二つ目は、価格は窓として表示するという問題。三つ目は物流の問題。窓として完成品で出荷するということです。
 性能表示の問題は、今はトーンダウンしていますが、お施主様のことを考えれば、将来的には進まざるを得ない問題だろうと思います。
 完成品の話ですが、完成品出荷の目的はそれが「合理的である」と考えるからです。そう考えると私はサッシメーカーさんが全ての窓を完成品で全国津々浦々配送するなんて絶対に考えていないと思います。
 性能表示問題についてはいずれなるだろうと思いますし、窓の完成品出荷についてはすべてそうなるとは思えません。この問題はわけて考えないといけませんし、まだ始まったばかりです。
 今後の動向をよく見ていかなければなりません。

――お忙しいところどうもありがとうございました。
 ☆武田雅宏社長のプロフィール=1958年(昭和33年)生まれの53歳。大阪府出身。  大阪大学卒業後、1928年(昭和57年)旭硝子に入社。仙台エリア担当後、インドネシア、中国など海外勤務を経験。現在は奥さんと猫と生活。趣味は音楽の演奏。「ローグス」というバンドに所属。ボーカリスト兼ビブラフォンを担当している。
 記者の目 たいへんわかりやすく、かつ、明るくお話をしていただいた。非常に前向きで、一緒にお話していてこちらまで明るい気分になった。営業から製造まで、さらに海外とあらゆる部署を経験しており、社長として大いに力を発揮されるのではないか。武田社長の今後の動きに注目していきたい。


                                                                        
■関西卸・綾部理事長に聞く 住宅市場流通の変化が大きな影響(平成24年2月20/27日)









   綾部理事長
 震災を機に、日本人の「省エネ」「省電力」への意識が高まってきている。さらに「復興支援・住宅エコポイント制度」の再開により、我々の業界には追い風が吹いてくるなど明るい話題も見えだした。しかしその一方で、新築住宅においては、大手ハウスメーカーやビルダーの寡占化に伴い、商物流が大きく変化、また、リフォーム分野においては、異業種が参入し競争が激化するなど、流通段階では、依然として厳しい状態が続いている。そこで今回は関西板硝子卸商業組合の綾部欽一理事長(鰍`DF・アヤベ代表取締役)にご登場をお願いし、関西地域が抱える現状の問題点や対策などを聞いてみた。

 ――再開した「復興支援・住宅エコポイント制度」の動きはいかがですか。
 綾部 前回の「住宅エコポイント」の時は、組合員の皆さんのお話を聞いても、お客様は多かったようですが、今回の制度については、今のところ動きはちょっと鈍いように感じます。
 前回の時は我々業界にとってもお客様にとっても初めてということもあったし、交換できる商品の選択肢も多かったので、PRにも力が入っていたと思います。
 それと、頑張っているところとそうでないところの企業間の格差が広がってきているのではないでしょうか。取り組み方により、お店の差が大きくなっていると思います。
 これはエコポイントだけでなく商売に対する考え方の違いがでてきていると言えるのではないでしょうか。今の時代を何とか変えて行かなければならないという考え方は皆さん同じなんですが、そこで具体的に手を打っているお店とそうでないお店との差が広がってきていると思います。

 ――御社を例にあげるとどうなりますか。新築とリフォームではどのような状態になっていますか。また、サッシメーカーによる窓の完成品化の問題についてはどのような考え方を持っておられますか。
 綾部 弊社はガラスを中心、卸業務を中心にやっておりますので、住宅サッシの直販は少なく参考にはならないと思いますが……。
 関西では、サッシメーカーの完成品問題が取り上げられたりしており、このまま行けば、流通の仕事が無くなるかもわからないとかも言われております。我々卸店も住宅用ペアガラスが売れなくなるなど将来的に見て不安となる問題は出てくると思いますが、現状では特に大きな問題にはなっていないです。
 窓の完成品問題の以前に、住宅市場の流通の変化が我々に大きな影響をもたらせていると思います。
 新築住宅の着工戸数そのものも減少していますが、さらに、その減少した数の住宅を建てているのは誰か。大手ハウスメーカーや地元のパワービルダーと呼ばれているところに集まってきており、個人の大工さんのところには少ししかありません。
 それらの大手に対してメーカーが安値受注を繰り返し、儲からない業態にしている。そちらのほうにこそ問題があると思っています。
 とは言え、このような流通が確立されてきている以上、我々がやるべき事は、その中で、ビルダーであれ、エンドユーザーであれ新しい必要とされるものを情報発信し新築やリフォームにつなげて行くことが求められていると思います。
 とにかく利益をあげて行こうと思ったらこれまでのようなサッシメーカーの代納仕事に頼っているだけでは難しいと思います。

――リフォーム分野については異業種の参入が目立ちます。こちらについてはどのように思われますか。
 綾部 家電量販店やホームセンターなどが、窓のリフォーム事業に参入してきています。これは我々の業界に魅力があるから参入してきているということなので、我々も彼らに負けないよう頑張らないといけません。
  弊社にも住宅だけでなく、病院やマンションなどビル関係からも窓リフォームの問い合わせがきたり、実際に工事をしたりしています。今後はこちらにも期待が持てます。
 窓リフォームについては、エコポイントが終わっても省エネ、節電、安全、安心の問題もあり一時的なブームでは終わらないと思っています。その為にも現在のエコポント制度を一つの契機として、チラシの作成やホームページなどでPRを行い、可能性をもっと広げ、異業種にも負けないよう頑張っていきたいと思っています。

――お忙しいところどうもありがとうございました。

日本電気硝子 カラーガラスブロック 優雅な彩り金箔シリーズ発売(平成24年2月20/27日)
 日本電気硝子梶i本社=滋賀県、有岡雅行社長)は、カラーガラスブロックシリーズに、金箔シリーズを追加発売すると発表した。
 同社・販売代理店の電気硝子建材梶i本社=大阪府、大工信隆社長)国内統括副本部長の松井篤氏と開発副本部長の小嶋俊也氏の説明によると、「これまでのカラーガラスのラインアップに金箔シリーズを付け加えました。金箔の華やかで繊細な表情を楽しむガラスブロックでジャパネスク風からモダンインテリアまで、空間に優雅な彩を添えます。
 この金箔は、金沢の金箔工芸の老舗『箔一』さんのものを使用しています。『箔一』さんと言えば、同社が提供した金箔のガラスパネルで装飾された『ヤマハ銀座ビル』が有名です。
 ガラスブロックのパターンはプレーンとたまゆらの2タイプ。種類は本金箔フレーク、本金箔貫入、シャンパンゴールドフレーク、アルミ箔貫入の4種類です。大きさは190_角。基本的には内装に使っていただきたい商品です。高級感のあるレストランやブティックなどの店舗をターゲットにしていきたいと考えています。事前に設計事務所などを回ってみたのですが、良い感触を得ています」と笑顔で語ってくれた。
 価格的には金の品種・数量によって異なり、u当たり30万〜50万になるとのこと。納期は受注生産品なので要相談。初年度の販売目標は5000万円。


マテックス 最優秀家庭エコ賞受賞(平成24年2月20/27日)

 218日、19日の2日間、東京ビッグサイト会議棟で「低炭素杯2012」(主催・低炭素杯2012実行委員会、後援・環境省)が盛大に開催された。今回、ガラス業界からは企業活動部門として、マテックス梶i本社=東京都豊島区上池袋2-14-11、松本浩志社長)が参加。現在の取組として、既存住宅の窓の断熱リフォームによる「CO2の削減」を紹介。見事と協賛協力企業賞として最優秀家庭エコ活動賞を受賞した。なお、環境大臣賞グランプリには栃木農業高等学校地域おこしプロジェクト班が獲得した。
 低炭素杯は、未来に向けて低炭素な社会をつくるために、全国で様々な草の根の活動が展開されている。各地で活動する学校・有志・NPO・企業などが、その優れた活動のプレゼンテーションを通じて、発信し、様々な方々と交流を深め、学び合い、連携の輪を広げていくのが、低炭素杯だ。全国からエントリーされた多くの団体のうち、厳しい審査を経て選ばれた41団体から日本一を決定するもの。
 表彰式では松本浩志社長が壇上に立ち、鰍kIXILの常務執行役員・松村はるみ氏から表彰状などが贈られた。
 松本社長は、「CSR大賞2010で特別賞をいただいたのに続いてこれで2回目となります。今回の発表でまた新たな課題が見つかりました。これからも住宅の省エネやCO2削減など環境保全に社員をはじめ地域の取引先と一丸となって取り組んでいきたいです」と笑顔で語っていた(なお、18日の発表の模様は次号で紹介予定)。


日本板硝子材料工学助成会 第29回学術講演会開く(平成24年2月6日)









あいさつする藤本理事長
 公益財団法人(公益)日本板硝子材料工学助成会(藤本勝司理事長)は1月23日(月)午後、東京・霞が関ビル35階の東海大学校友会で「第29回学術講演会・無機材料に関する最近の研究成果発表会」を開催した。例年と同様に「材料研究の最前線から」をテーマに、平成20年度に助成金を贈呈した46件の研究の中から5件を選び講演を聴いた。
 講演会は(公社)応用物理学会、(公社)日本化学会、(公社)日本セラミックス協会、(1社)ニューガラスフォーラムが協賛。 企業・学術関係者ら約60名が出席した。
 冒頭、藤本理事長が登壇し、昨年3月の東日本大震災に関連し「震災から間もなく1年。生き生きとした生活が取り戻せるよう1日も早い復興がなされることを祈る。このような未曽有の困難な時であるからこそ、日本が技術立国としてその存在感を世界に示し、復活劇を成し遂げたいものだ。そのためには、これからますます萌芽的な研究に力を注ぎ、粘り強く続けていくべきだと思っている」とあいさつした。
 藤本氏は5件の講演については「無機材料にかかわる独創的な研究成果であり、いずれも大きな研究・開発プロジェクトへと発展。また実用化への研究に取り組まれており、産業への応用も間近と確信している」と解説するとともに、選考委員に謝辞を述べた。
 昨年度、大震災のため中止した助成金贈呈式については「今年4月下旬に開催する。今回も211件と多数の応募をいただいた。現在、選考委員の手で選考作業が進行している」と述べた。
 藤本氏によると、日本板硝子材料工学助成会は昭和54年に設立し、大学などの先生への研究助成を事業の柱に運営している。平成23年度までの総計で3825件の申請があり、その中から955件を選考、総額131228万円を贈呈している。ガラス、セラミックス、半導体、金属など無機材料を広く対象としているが、近年は無機化学と有機化学の境界領域での材料研究やナオ技術を駆使した高機能材料研究に対する助成が増加しているという。
 講演会終了後、同校友会で懇親会が開かれた。
 講演内容と講師は次の通り。(敬称略)

@「鋳型繊維を用いた極細金属あるいは金属酸化物チューブの調整とその電力貯蔵デバイスへの応用」=山口大学大学院医学系研究科(工学系)教授堤宏守

A「無容器法により合成した超高屈折率ガラスの特性と構造」=東京大学生産技術研究所助教増野敦信

B「酸化物担持金属触媒の局所構造・電荷状態の制御による反応活性の創出」=大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻教授福井賢一

C「表面濡れ性に関する最新研究の現状〜超撥水性表面上での流体の挙動と二酸化チタン光触媒の親水性の新規利用概念〜」=神奈川科学技術アカデミー重点研究室光触媒グループ常勤研究員酒井宗寿

D「狭帯域レーザープラズマ軟X線の発生と無機材料のマイクロ・ナノ加工」=筑波大学数理物質系物理工学域准教授牧村哲也


■吉田硝子工業 創業100周年祝う 吉田社長挨拶「更なるチャレンジ」(平成24年2月6日)








  吉田彰社長
 顧客の求めるより安全で快適な商業施設空間、住宅空間作りに的確に応え提供することを企業使命とする吉田硝子工業梶i本社=大阪市西区南堀江1丁目24番10号、吉田彰社長)の創立100周年記念式が、1月27日(金)午後4時より大阪市浪速区にあるホテルモントレグラスミア大阪23階ウィンダミアホールにおいて、旭硝子を始め同社の取引先・業界関係者ら約200名が集まる中盛大に開催された。

 同社は、大正元年(2012年)に先々代・吉田規短治氏が大阪市南区大宝寺において鏡業を創設、平成24年(2012年)の今年創業100周年を迎えた。
 昭和9年(1934年)に旭硝子鰍ニ特約店契約を締結。昭和43年(1968年)にサンミラー鰍フ特約店、昭和50年(1975年)に旭硝子鰍フAIS店となった。現在、従業員は26名で、営業品目として各種板ガラス、鏡、内外装建材、アクリライト他、各種プラスチック卸販売、店舗設計施工と関連什器設計施工を取り扱っており、大阪本社他、南堀江西事業所、桜川営業所、東京営業所に事業所を設けている。
 100周年記念式典には、旭硝子他、鏡、板ガラス流通、二次加工メーカー、硝子加工等々多くのガラス・鏡業界関係者が参席し、同社の100周年を心から祝っていた。
 記念パーティーの冒頭、吉田彰社長は少し緊張な面持ちで参席者にお礼を述べた後あいさつし、今後については「感謝の気持ちを忘れることなく未来に向かってチャレンジしていきたい」と力強く述べた(要旨別項)。
 この後来賓を代表して、AGCグラスプロダクツ且キ行役員副社長・太田勝也氏が先代社長の吉田一夫氏が社業だけでなく業界発展のためにも尽くされ、勲五等双光旭日章を受章されたことを披露した後、「現、彰社長は経営体質強化を何も怖がることなく進められた」。さらには、吉本製鏡且ミ長で現大阪府鏡工業組合・理事長の渕田博彦社長が「吉田硝子工業様は常に新しいことにチャレンジする気持ちをお持ちである」とあいさつし、記念式典に華を添えた。
 乾杯の音頭の後、ピアンやバイオリンの生演奏、それに同社のこれまでの歩みを綴った映像、さらには橋本硝子加工梶E橋本浩一社長のユーモアたっぷりのお祝いの言葉など和気藹々とした雰囲気の中で宴は進められ、最後に吉田浩専務の中締めで終了した。
 ▼吉田社長の挨拶
 大正元年に私の祖父の吉田規短治が22才の若さで鏡業を創業したと聞いています。その前は吉本製鏡様で商売の道を学ばせていただいたそうです。吉本製鏡様の先代社長であります吉本由雄様は大阪鏡工業協同組合の初代理事長を務めておられました。
 昭和9年に、旭硝子と特約店契約を結ばせていただいた。鏡製造販売を主な仕事として商売をしていました。太平洋戦争で一時中断しましたが、私の父である吉田一夫が復帰を果たし、今日の基盤を築きあげてきました。
 昭和42年に弊社として一大変革期がありました。その42年を相前後して板ガラスメーカー3社がメーカーミラーを製造・販売されるようになった。当然、町場の製品がメーカー品に太刀打ちできるすべもなく、商売の大半は消滅しました。今想像しましても、大変な状況であったと思います。その時の経営陣は強靭なる精神力の持ち主のコンビだったと思います。それは私の父親と専務の父親です。
 旭硝子さんの支援もあり、また万博から高度成長という時代背景もあり、何とか乗り切ってまいりました。もしこの時に乗り切っていなければ今日の吉田硝子工業は存在しておりませんでした。本当に感謝に堪えません。この万博当時に鏡の施工技術を研鑚して、今日の吉田硝子工業の業態に結び付いてきたと思っています。
 昭和48年に私が入社し、昭和49年に第一次オイルショックがありました。その後34年間厳しい状態が続いた。そして平成3年にバブルが崩壊しその後も大変な状態が続きましたが、そういう中で、平成7年に私は社長に就任しました。
 私が社長になってから本当に厳しい経験をしましたのは、平成20年のリーマンショックの後の平成21年でございます。この時日本経済全体が縮小し、弊社も大幅な売上減となりました。どうしてこの状況を乗り切っていこうかと思い悩んでいる時に、福岡の経営改善支援センターの戸敷先生の話を聞きました。確か演題は「5S活動取組による組織活性化」という話でありました。この話を聞いた時にチャレンジしてみようと思い、戸敷先生に指導をお願いしました。
 『5S活動』というのは、整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字のSを5Sと称しています。ただ単に会社がきれいになり、雰囲気も良くなったという活動のことではなく、その目的は自ら考え、自ら行動し、改善に取り組んでいく、自立型の人材育成教育と全社一丸緊張感を持って会社存続のために必要な限界利益を稼ぎ出して行くことです。
 当初私も社員も戸惑いがありましたが、2年経過して社員も成長していき、会社も徐々に良くなってきています。まだ道半ばですが、これからも精進していきます。
 ある経営コンサルの先生の話ですが、会社というのは必ず衰退・消滅していくという宿命を背負っている。会社の経営者というのは、企業を存続・発展・維持させなければならないという使命を背負っている。会社経営というのは、この会社の宿命と経営者の使命との壮絶なる戦いであるという話が心に残っています。
 今年創業100年を迎える会社には大手でいうとシャープ、大正製薬、西武鉄道、JTB、吉本興業等があるわけですが、全国で1854社があるそうです。大半は中小企業であると思います。会社が設立されましてから、30年存続する確率は0.025%という統計があります。10万社設立されて25社しか残らない。まして100年存続するというのは、奇跡的確率といえるのではないでしょうか。弊社の社員には、このことに対する自信と誇りと自覚を持っていきましょうと話をしました。
 経済環境はまだまだ厳しく、変化をしていくと思いますが、環境変化に負けることなく、100年を迎えさせていただいた感謝の気持ちを忘れることなく未来に向かって、チャレンジしていきたい。


■板硝子協会合同委員会開く 石村会長あいさつ(平成24年1月23/30日)








あいさつする石村会長
 板硝子協会(石村和彦会長)は、1月21日に東京・丸の内にある東京会館において、協会役員やや各委員会委員長やその委員らの出席の下、板硝子協会合同委員会を開催した。石村会長は冒頭に、「住宅エコポイントの普及に注力し、地球温暖化防止に貢献しつつこの長引く不況を皆さんと一緒になって乗り越えていきたい」(要旨別項)とあいさつした。
 この後、建築委員会(市川公一委員長=旭)、輸送機材委員会(犀川泰彦委員長=日本板)、規格委員会(加藤勇委員長=セ社)、環境・技術委員会(前田浩一委員長=日本板)、税制委員会(金子惠治委員長=セ社)等の各委員会の委員長より、今抱えている問題や今後の方針を発表(内容については次号で紹介予定)。最後に来賓を代表して経済産業省製造産業局住宅産業窯業建材課・土橋秀義企画官が祝辞を述べた。また、合同委員会終了後、場所を12階・ロイヤルルームに移動して平成24年ガラス産業連合会(板硝子協会、硝子繊維協会、電気硝子工業会、(社)日本硝子製品工業会、日本ガラスびん協会、(社)ニューガラスフォーラムの6団体が加盟)の新年会も盛大に行われた。
 ▽石村会長のあいさつ
 厳しい状況が依然として続いている。建築業界については4月以降国内の指標はプラスに転じたが、10月以降はマイナス領域に戻った。慎重な状況が求められる。そのような中で、復興支援・住宅エコポイント制度が再開されたことは、我々にとって明るいニュースだ。
 既築住宅の断熱化・省エネ化のための改築工事が広く一般に浸透してきていることは、皆さんも実感していることと思う。
 私どもはこの制度の普及に注力し、地球温暖化防止に貢献しつつこの長引く不況をメーカー・流通・工事に係わる皆様とともに乗り越えて行きたい。
 板硝子業界も低炭素循環型の持続可能な社会の実現と安全・安心の確保という大きな課題に全力で取り組み、エコガラス・薄板化による省エネ、原料から廃棄までのリサイクル、太陽電池カバーガラスなどによる創エネ、合わせガラスによる防災などを普及・推進に努めてきた。
 今年は住宅建築物の省エネを進めるための省エネ基準の適合の義務化、新たな省エネ基準の設定、ゼロエネルギー住宅の推進などの活動に積極的に協力していく。自動車の分野ではかねてより主要課題となっていた国際的な整合性などにも配慮して活動していきたい。
 板硝子協会、会員会社、関連団体の皆様には、さまざまな場所でこれらの課題に直面しつつ活動を進めていくと思われるが、それらを足かせとするのではなく、新たなビジネスチャンスと捉えて行動することによって板硝子業界全体が活力ある業界になっていくものと信じている。このためにもこれまで以上に、ここに参席されている皆様や関係省庁の皆様、さらにはガラス産業連合会の皆様や他業界との連携を強めて着実な取組を進めていきたい。


■関信越卸と都硝協合同新年会 リフォーム異業種参入問題 業界挙げPR必要
 (平成24年1月23/30日)







関信越卸松本理事長

 関東甲信越板硝子卸商業組合(松本巌理事長)と東京都板硝子商工協同組合(永島光男理事長)は、119日、東京・千代田区にあるホテルルポール麹町において、合同の新年賀詞交歓会を開催した。今年で3回目となる合同新年会には、100名を超す会員らが集まり、華やかなムードの中で進められた。
 司会を務めた岡上浩二氏(卸・福利厚生委員)の開会宣言で賀詞交歓会はスタート。まず主催者を代表して松本会長が次のようにあいさつした。
 「住宅の新築着工戸数は84から85万戸ぐらいになりそうで、今年も昨年ぐらいの数になるのでは。希望が持てるのはリフォーム市場で、戦後膨大な建物がたって、そういったものをいかにリフォームしていくか。これから有望な市場となる。そういう中で、いろんな異業種の方がこの市場に参入してきている。YKKさんの窓ショップが約630店あり、そのうち半分が異業種とのことであった。その話を聞いて愕然とした。異業種が参入してくるということは将来に可能性があるからだと思う。またある人から聞いた話だが、窓をリフォームするのにどこに頼めば分からなかったが、たまたまあるホームセンターのチラシが入っていたので、そこに頼んだという。せっかく業界にとって有望市場というものがありながら、異業種にとられてしまっている。業界を挙げてPRしていかないととんでもないことになってしまう。大勢の方がアピールしていかないとガラス店の存在感がなくなってしまう。ガラスをメインに扱っている業界ですので、存在感を出して行くことが大事だ。皆さんと一緒になって業界を良くしていきたい」
 引き続き来賓を代表してセントラル硝子東京の代表取締役社長・玉田保浩氏が「量的に言えば、リフォームでボリュームを確保していく。実質的にはLow―Eガラスということで、PRをしっかりやりながらチャンスを拡大していく。住宅だけでなく最近はビル用でも増えてきている。業界をあげてPRしていく」と挨拶し、新年会に華を添えた。乾杯の音頭は永島理事長が担当。しばし歓談を楽しんだ後、AGCグラスプロダクツ・東日本関東営業部長の中締めで会が終了した。なお、当日の来賓団体・企業が次の通り(敬称略)。

☆関東卸=▽板硝子協会▽AGCグラスプロダクツ▽日本板硝子ビルディングプロダクツ▽セントラル硝子東京▽ガーディアン・ジャパン・リミテッド▽ピー・ジェイ・エル・リミテッド
☆都硝協=▽東京都職業能力開発協会▽関東板硝子工事協同組合▽全硝連関東甲信越地区本部▽東京都鏡商工業協同組合▽東京板硝子施工組合▽東京板硝子鏡加工組合▽日本自動車ガラス販売施工事業協同組合▽城東労務管理事務所▽東京都板硝子商工協同組合(相談役)


■山一 盛大に三越劇場観劇会 お客様など500名招待(平成24年1月23/30日)









会場入り口でお客様を迎える伊藤社長

 且R一(本社=東京都立川市曙町1−20−1、伊藤和枝社長)は、114日(金)午前1020分より東京・日本橋三越本店にある三越劇場において、同社のお得意様など500名以上が集まり、盛大に三越劇場観劇会を開催した。
 劇場内は満席状態で、会の冒頭に伊藤社長が次のようにあいさつした。
 「本日は早朝より、第21回目の有力お得意様観劇会にご参加していただきありがとうございます。この企画も昨年3月、山田洋次監督が監督生活50周年を迎えるあたり、日本の家族をテーマにこの1年間演出をされ、その第1作目として、三越劇場にて『東京物語』が上演する企画があると伺い、特に3.11の大変な災害等で、国中の人々の苦しみの中で、家族を描き続けている山田監督の思いを大切なお得意様にお届けできればと思いました。
 ご商売でも大変厳しい中、私どもを力強くご支援下さっております旭硝子様、YKK AP様のお力添えをいただき、今回の開催に結びつけた。
 政府のエコポイント政策を追い風に窓のリフォーム、断熱の需要に対応すべくそのポイントとなる製品の性能、技術などを観劇の前にメーカー様よりご説明をいただき、ご商売に役立てていただければと思います。
 硝子事業者として、それぞれの地域にしっかりと根を下ろし、地域発展の担い手としていつまでもご活躍されることを願っています。またそのためのご支援も当社拠点も結束の一本線となって行っていく」
 また同社の有力仕入れ先を代表してAGCグラスプロダクツ鰍フ太田勝也副社長が「省エネリフォームだけでなく、防災・安全・安心といった商品もかならず需要がでてくるので、ぜひこの機会に皆様方の商売につなげて欲しい」。さらにYKK AP鰍フ松谷和男常務(事業本部東京住宅建材統括支店長)が「去年は生活者の意識が変わった年。山一様と一緒になって窓リフォームをアピールしていきたい」とあいさつし、観劇会に華を添えた。
 この後、AGCグラスプロダクツ、YKK APの両社よりお薦めリフォーム製品(まどまど、ペヤプラス、スマートカバー工法)の説明も併せて行われた。
 午前11時からは、第1部が開演。この「東京物語」は家族を描き続ける山田洋次監督が、監督生活50周年を迎える記念作品として再び小津作品を手掛けたもの。みどころとしては、時代は昭和28年夏。故郷尾道から久しぶりに東京に出てきた老夫婦が、子どもたちの家を訪ねるが、それぞれの生活で精一杯のため歓迎されない。そんななか、戦死した息子の未亡人だけが親身になってくれる…そんな人の温かさ、親子の情愛、そして、失われてゆく「日本人のこころ」をテーマに描かれている。
 今回の舞台化では、東京を訪ねる老夫婦とみ(映画では東山千栄子)を水谷八重子、その夫の周吉(笠智衆)を安井昌二、次男の未亡人紀子(原節子)を瀬戸摩純、飲み屋の女将加代(櫻むつ子)を英太郎、そして長女志げ(杉村春子)を波乃久里子が演じた。
 お昼は豪華なお弁当で食事をした後、午後12時半より第2部が開演。観客らは涙しながら、舞台の演技に見入っていた。終演後、伊藤社長より出演者に花束の贈呈、さらに、出演者代表によるあいさつもあり、午後3時に終了、参加者らは有意義な1日を過ごした。記者も昔、映画で「東京物語」を見たことがあり、笠智衆の哀しい表情が特に印象に残っている。
 なお、同社は大正8年の創業から今年で94年目を迎え、あと数年で100周年という大きな節目を迎える。



■旭硝子 石村社長が’12方針 必ず打ち「克」つ1年に(平成24年1月16日)
 旭硝子梶i本社=東京都)の石村和彦社長は、年頭のあいさつの中で、2012年度方針説明(要旨)を次のように発表した。
 2012年度の世界経済は、欧州での財政・金融問題や長期化する米国経済の停滞の影響により、先を読むことが大変難しい状況にあります。これらに起因して新興国を含む世界の景気悪化が懸念されることに加え、FPD市場の構造変化や原燃材料コスト上昇などの環境変化が予想されます。
 その一方で、原発事故を契機とした省エネへの関心の高まりや、スマートフォンなどの新しいディスプレイパネル市場の伸びなど、新たなビジネスチャンスも広がっています。
 グループの成長基盤構築のためには、このような環境変化を捉えたGrow Beyond施策の着実な実行が不可欠であり、AGCグループは2012年を「環境変化に打ち克つ強い事業体質をつくりあげ、成長基盤の構築をしっかりと進める年」と位置付け、以下に定めた年度方針の実現に取り組んでいきます。
 1.2012年度方針
 @徹底的に体質強化に取り組む〜歩留・生産性・資産効率向上とコストダウン〜
 ・歩留・生産性の向上によるコストダウン。
 ・棚卸資産圧縮によるキャッシュフローの改善。
 A狙いを定めた成長分野・新興地域への事業拡大を加速する。
 ・当面注力する成長分野での事業拡大。
 ◇ディスプレイ関連部材では、TFT・PDP用ガラス基板以外の新機能製品の事業拡大を推進する。
 ◇環境関連事業分野では、省エネルギー製品と省エネルギーに貢献するプロセス技術の両面で事業拡大を加速する。
 ・「第2のグローバリゼーション」の推進。
 ◇既に投資を決定した新興地域では、着実にプロジェクトを実行に移すとともに、未進出地域の探索、及び戦略構築を継続する。
 B新たな時代に向け、人材と組織の力を強化する
 ・体質強化の施策や事業開拓に向けた取り組みを支える、グループの人財および組織を強化する。
 2.2012年度のキーワード
 2011年「進」(更なる体質強化に取り組み、Grow Beyond施策を強力に推し進める)
 →2012年 「克」
 2012年のAGCのキーワードは、「克」(英語:Overcome)です。
 グループが直面する、経済情勢の悪化、市場の環境変化、成長分野での事業開拓の競争といった難局に必ず打ち「克」つ1年にします。
 AGCグループメンバーには、創業精神「易きになじまず難きにつく」を胸に抱き、それぞれの職務で高い目標を掲げて、果敢に挑戦していくことを期待します。
 一人ひとりの力強い取り組みを通して、この1年、グループが着実に成長することを信じています。


■三協立山アルミとの提携 進捗状況 パナソニック・足立グループ長に聞く(平成24年1月16日)

 パナソニック電工梶i本社=大阪府門真市、長榮周作社長)は三協立山アルミ梶i本社=富山県、藤木正和社長)と、昨年10月に省エネルギー型建材に関する共同開発契約を締結、共同で福島県の仮設住宅約百戸に断熱改修を無償で提供すると発表した。短工期、省施工で部分断熱改修可能な「内貼断熱パネル・窓システム」の開発やアレル物質を抑制するとともに、省エネ効果の高い「通風・換気システムの開発」を行い、2012年度中に商品化を目指すとしている。両社合算で年間100億円の売上増を目指しているという。
 そこで今回はガラス・サッシ流通業界でも注目の両社ということで、当時(取材は昨年の12月)のパナソニック電工鰍フ大阪本社で同社住建綜合技術・商品開発センター 機能建材システム開発グループ・グループ長の足立真治氏にご登場をお願いし、商品開発の経緯、提携の進捗具合、さらに福島県での工事の状況や住民の感想などを聞いた。

 ――まず、両社の提携の進捗具合は。

 足立 記者会見でも発表しましたが、両社推進リーダーが集まって原則1ケ月に1回リーダー会議を行っています。先日もその会議で富山に行ってきました。当社のリーダーを担当しているのが私です。三協立山さんでは、開発担当の本川透部長がリーダーを担当されています。各テーマの進捗確認や新規テーマについて検討していますが、ほぼ軌道化しつつあるという状況です。

――「内貼断熱パネル」の開発経緯をお話下さい。

足立 もともとの発端はCO2削減の話です。 
 環境省ではCO2削減に対していろいろな対策を打ち出していますが、住宅市場に対しては具体的な対策が打ちにくいという課題認識をされていました。
 特に約5700万戸の既築住宅に対しての取り組みについては、CO2排出量の削減に影響が大きいということで、環境省から、既築住宅の断熱改修工事を普及・加速させるための技術開発ができないかと応募がかかりました。その際に、当社からは部分的にしかも室内側から行うことができる断熱改修をやりましょうという提案をさせていただきました。
 その提案が、環境省からの委託事業として受託されて、平成22年度から平成23年度の2年間ということで、今推進している状況です。
 特に北海道とか東北のような北欧と同じような文化をもった高断熱住宅が普及する地域では問題は少ないのですが、V・W地域、いわゆる温暖地域といわれているところ、90%以上の人々がそこに住んでいるわけですが、そこには断熱改修というカルチャーがまだ確立していません。
 そういう地域の方に、投資をして断熱改修をやっていただけるかというと、それだけの費用対効果があるかということについては、ものすごくシビアに見られると思います。
 今までの改修工法ならば、足場を組んで壁を壊し、断熱材を入れて新しい外装材でふたをする、そういう作業となり、一概には言えませんが、300万円を超えるぐらいの投資となりますし、工期的にも1カ月近くかかるということになってしまう。
 そもそも断熱改修の文化が希薄な地域で、そういう手間のかかることをやってもらえるかというとかなり難しいと思います。
 それで我々は、この地域の改修なら家全体を覆わなくてもよいのではないだろうかという視点から調査しました。そうしたところ、リビング・ダイニング・キッチンでの熱負荷が家全体の約七割をしめるということ、従ってここだけを部分断熱しても効果的であるということがわかりました。
 併せて着目したのは、通常のリフォームを考えた場合、リビング・ダイニングの内装リフォームの需要が多いということです。リビング・ダイニングのインテリア改修をやるのと同時に断熱改修も行う。優れた断熱性能を保有している断熱パネルを既存の壁に貼っていくだけであれば、住空間もきれいになるし断熱効果もグッとあがる。そういう改修ができる技術やシステムができたならば、普及・促進が図れるのではないかということで、国の評価も得まして、この方向で進めようということになりました。

――では、なぜ今回三協立山さんと共同開発しようということにつながったのか。

足立 私たちが目標として掲げたのは旧省エネ基準(昭和55年基準)で建てられた住宅を、部分的にではありますが断熱改修を行うことで、次世代省エネ基準(平成11年基準)に変えるということです。
 旧省エネ基準で建てられた建物の熱が逃げて行く部位を調査したところ、窓部からは25%(リビング内)の熱が逃げて行くということがわかりました。従って壁のみの断熱工事で終わり、窓に手を加えないときちっと断熱改修をしたとは言えないということです。窓も含めた改修をと試行していた矢先に、三協立山さんから技術開発、商品開発を共同でやらないかという打診がありました。
 そこで協議を重ねた結果、三協立山さんは窓の改修部分を、我々は内貼りのパネルシステムという強みを持ち寄り、両社の技術・商品力を融合することによって、より早く、よりきれいに断熱改修を行えるシステムの構築に目処をつけることができました。
 現在も、何をどのレベルやれば国益への貢献とともに両社の事業シナジーを生めるのかという視点で協議を重ねています。

――先日の発表ではよくわからなかったのですが、「内貼断熱パネル」は、すでに販売されている商品ですか。

足立 今開発中の商品で早急に商品化に取り組んでいるところです。ですから商品名もこれからということになります。

 ――福島県の仮設住宅を改修されたということですが。

 足立 東日本大震災の仮設住宅の冬期断熱対策が急がれているのは皆さんご存知のことだと思います。
 環境省より被災地のこの現況に対して、開発途中ではあるものの、断熱性能などの基本性能が確立されたこの技術について、現地の対策支援として、モニター検証を兼ねて実施することを当社に対して提案いただき、検討してきました。
  その後、実際に環境省から自治体への提案を経て、福島県福島市に建設されている仮設住宅のうち、約100戸分の内貼断熱パネル・窓システム(施工含む)を三協立山さんと共同で無償提供することになりました。
  昨年の11月中に工事は無事終了し、住民の方からは、工事の期間が短いのに驚いた。部屋が暖かくなった。エアコンの効きがよくなったなどの喜びの声をいただくことができました。
  これからも両社の強みを生かした新しいエナジーソリューションを展開することで、CO2排出量の低減や、「快適」と「エコ」が両立するライフスタイルの提供を目指していきたいですね。

――我々ガラス・サッシ業界の応援もお願いします。ありがとうございました。


■硝子業界 弊紙からの提言(平成24年1月16日)

 弊紙から提言をさせていただきたい。それは「異業種との差別化」を図ろうということだ。この休み中に日刊紙の広告欄やチラシを見ていると、DIY店や電気店の広告のところに「内窓」取り付けの広告が盛んに掲載されていた。震災以降の国民の省エネ意識の高まりと住宅エコポイントの延長で、一般ユーザーの窓に対する意識も高まってきた。そういう事情を背景にして、異業種にとっても窓業界は「美味しい市場」と映っているようだ。先日のYKK社の記者会見でも「MADOショップ」627店の内、半数がガラス・サッシ業界以外のところが加盟しているということだった(6面参照)。
 ところで今の我々の業界を見ていると、後継者不足や高齢化などで業界全体が衰退してきており、全硝連傘下の協同組合の組合員数も減少している。そういう状態の中で、我々の業界が異業種と比べ何が優れているのかと問われてもはっきりと答えることができないお店も多いように思う。
 複層ガラスの登場以降ガラスを切断する機会も減少、さらに、サッシもメーカーからは、完成品で出荷されるようになってきた。このままでは「窓」素人の異業種となんら変わらない。価格も異業種のほうが安いかもわからない。販売方法を考えないと、このままでは業界として成り立たなくなる恐れがある。
 そこで、異業種との差別化を図るため
 (1)ガラス店はガラスを切ることをやめてはいけない。自らサッシの組立業務を放棄してはならない
 (2)異業種との競争に勝ち抜くため、豊富な商品知識を身につけよう、この二つを弊紙から提言したい。
 (1)については、自分たちで組み立てできれば、いろんなガラスとサッシを組み合わせすることができ、それだけ「窓」のバリエーションが増えることになり、ユーザーに対していろんな形の商品を提案することができる。現状では価格だけの商売で、単発の商品しか提案できない異業種には十分勝てる見込みがある。(2)については、当然のことで、環境マイスターや省エネ検定の資格などをとって、ユーザーに安心感を与える必要がある。
 また、ガラスメーカーに対しては、新商品の開発をもっと進めてもらいたい。ここ数年建築関係の新商品は少ないように感じる。さらに、サッシメーカーに対しては、「窓」について、まったく同じ製品で、ノックダウンのタイプと完成品のタイプと両方のタイプを出荷してもらうことを要望したい。しっかりと窓の性能表示ができる販売店に対しては、ノックダウンでも商売が成り立つよう、従来どおりの形態で出荷してもらいたい。
 でないとこのままでは、異業種にこの業界が浸食され、「窓業」だけではメシが食えなくなり、いずれガラス業界と言う言葉も無くなってしまう危険がある。ガラス交換という言葉もなくなるかもわからない。