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転生から十五歳まで
7話 5歳。やったねシャロちゃん、ステータスが見れるよ。
こにゃにゃちわー。ちょっと前のカードを使って戦う似非魔法少女のヌイグルミ見たいな挨拶から始まります。シャロンです。

前話から4年ほど飛んで、今日は5歳の誕生日になります。

どの家でも、5歳の子の誕生日は祝いません。なぜなら、神からステータスと言うスキルを授かるからです。この日は厳粛な日とされ、祝い事は家内では出来ないのです。

まあ、俺的にはステキイベントなだけだけどねww。

ステータス、と言うスキルは生まれた日の生まれた時間ぴったりに授かれるスキルです。発動方法は簡単。授かった後に、ステータスと唱えるだけ。そうすると俺が転生時に設定したステータスウィンドウに酷似したのが現れる様になっているそうな。
何故知っているかは親父様に頼んで見せてもらったから。LVが273なのにはビックリしたわ。さすが元騎士団長って所か。ステータスも高いし、スキルも多いし。まさに憧れの父親と言う奴か。ドヤ顔してたのはムカついたけど。

さて、そろそろ俺の生まれた時間なんだが…。
母様に教えてもらった時間を、壁に掛けられた時計をチラチラと見て確認する。内容知っているとはいえ、ちゃんと反映されてんのかと思うと心配になるんだよねー。実は内心バックバクです。口から心臓飛び出んじゃねえの?って思うくらい。

そんな事を表には億尾にも出さず、唯チラチラと時計を眺めている俺。時間までテンカウントとなると、息を吸い込んでいつでも言えるように準備する。

時計の長針と短針が俺の生まれた時間を指した瞬間、俺は小さいながらも叫んでいた。

「ステータス!」

フォン、と軽い音を立てて目の前に現れる懐かしき半透明の板。書かれている内容を早速実装された知恵の図書館から引っ張り出した転生前の物と見比べる。

………うん。間違いはないね。スキルが幾つか増えてたけどそれは後で理由を確認でもすればいい。それと転生前に取った殆どのスキルがユニークスキル扱いなのは些細な事なのだ。

……些細な事なのだ!大事な事なので二度言いました!

…ふぅ。少し慌ててしまったか。
まず最初にするのは、

「隠蔽だな」

流石にこのまま家族に見せるとぶっ倒れられる自信がある。それだけ俺のステータスやスキルはぶっ飛んでるのだ。

スキル使用:隠蔽LV10

早速スキルを使いつつ、ウィンドウの表面を軽くなぞってみる。すると、指が通った後は、俺の望む数値とスキルだけが表記された状態になっていた。うん。成功だ。

無事成功したことにフゥ、と息をつ…こうとした所で、新たに別のウィンドウがステータスウィンドウの横に現れる。

「なんだ?」

新しいウィンドウは俺も慣れ親しんだマークが刻まれていた。横長の長方形に、上の変に逆三角形がくっ付いた――

「メールマーク?」

そう。携帯などでよく見たメールの文を示すマークが上っ側にチョコンとついていたのだ。

ウィンドウの方に目を落とすと、そこにはnewと書かれた、件名不明、宛先ミノールとなっているメールがあった。

メールできんなら別に夢ん中で合わなくてもいいんじゃね?と思いつつそのメールを開く。そこには現代と全く同じ意匠での文字が書き込まれていた。

――――――――――

やあ、元気かい?琢磨君。いや、今ではシャロン君か。
僕は変わりないよ。なんてったって神様だからね。
このメールを見たって事は、ちゃんとステータスのスキルを貰えたって事だね。
おめでとう。

さて、前フリはこのくらいにしておいて、本題に入ろうか。
端的に言うと、今から既に君は仲間である、神獣(最弱)を召喚することが出来るよ。
そっちではステータスを授かった時に神獣や幻獣の仲間を持っている人もいるからね。大丈夫だとの判断から、そうさせてもらったよ。
中身はランダムだから僕も知らないけど、癒し系だから可愛いと思うよ。可愛がってあげてね。
それじゃあ、これからも頑張ってね。

追伸
何時でも呼んでくれて良いからね?

――――――――――

「長ぇ……俺こんな長文メール打ったこと無いぞ」

精々30字か。それでも少ないし。

兎も角、仲間を召喚できるのは良い事だ。と言うか早く見てみたい。俺、仲間がモフモフ系だったらイッパイモフモフするんだ。

「しょうかn」
「シャロちゃ~ん。ステータスのスキルは貰えたかしらー?」

俺が召喚しようとすると、母様が俺の部屋に入って来て訊ねてきた。むぅ。何と間の悪い。
しかもその後ろからマイファミリーが続々と入ってくるし。どんだけ楽しみなんだよ、あんた等。

だがまあ、別に見せるのを渋るものでも無し、俺は素直に見せてみる。嫌だけど。

「ほう。結構高いな。それに剣術持ちか」
「アラアラ。凄いわねェ、シャロちゃん」
「シャロン良いなー。わたしとこうかんしてよ!」
「お兄ちゃん、つよいの?」

両親はウィンドウを興味深げに見て、ミルニアが俺の右腕を引っ張っておねだりし、カレンが俺の裾を掴んで見上げてくる。うん。こうなりそうだったから見せたくなかったんだ。

さて、どうするか。
頭の中に選択肢が浮かんでくる。俺はギャルゲーの主人公か。

①逃げる
②逆切れする
③高い筋力を如何なく発揮して脱出
④神獣を出してそちらに意識を向けさせる

うん。④だな。一番平和だし。④でファイナルアンサー。

「あ、皆ちょっと下がっててくれるかな?」
「どうしてー?」
「ちょっと召喚獣を召喚してみようと思って」
「ああ。お前は当たりか」

アグレストでは、ステータスを貰った時から仲間がいる状態を当たりと言うらしい。俺はそれよりだいぶ前からになるんだけど…。まあ些事か。

4人が少し距離を取ったのを確認し、俺は自身の中に意識を向ける。仲間は別名召喚獣と呼ばれ、それらの召喚獣を有するためには契約魔法を結ぶことで契約することが出来るようになるのだが、それらが契約した後にどこに行くのかと言われれば自身の体の中だ。
だからこうやって自分の中を探れば…見つけた。

体の中から反応が3つ反ってくる。そのうち2つはとても強大で、しかし今は眠っているようで非常におとなしい。残りの1つは2つに比べると弱いが、それでもこの世界基準で考えれば十分強い反応だ。既に覚醒しているようで、早く出たいと暴れまわっている。元気だなぁ。
とりあえずそれを外に出そうと掴んで、体の外に放り出す。

「出でよ。フェンリル」

無意識に呟く。

意識を元に戻すと、俺が放り投げた方向に魔方陣が現れ、俺の魔力を吸って形を成す。本来の手順的には魔方陣を形成し、魔力を介して繋がっている魔方陣に召喚獣を送る、と言うプロセスになるのだが、今回はやり方が分からなかったから適当にやった。この方法を知るのは後になってからだ。

必要量の魔力を吸い取ると魔方陣が崩れていき、魔方陣上にキラキラとした魔粒子(魔力が視認化できるようになったものが粒子化するときの物体の名称)が散っていく。
失敗か、と俺が思っていると、その散って行った魔粒子がさっきまで魔方陣の有った場所あたりに集結し、次第に獣の姿をとっていく。
構築の過程はすぐに終わり、少し眩く光ったと思うとそこには群青色の毛を全身に纏い、尻尾をユランと揺らしている子犬の様な動物が居た。

おおう。こ、これは……。

「モッフモッフや~!」

俺の高い敏捷を如何なく発揮し、逃げる間もなく召喚獣を捕獲する。主である俺に対しては絶対従順なのか、何の抵抗も無く抱きあげられるフェンリル(?)。モフモフした手触りに我慢できなくなった俺は、フェンリルの腹に顔を押し付ける。

「おおーー!」

温かい!毛がサラサラ!それとモフモフ!後モフモフ!大事な事なので二度言いました!

モフモフや モッフモフやで モッフモフ byシャロン

思わず季語のない俳句を詠っちまったぜ。ああ、それにしてもモフモフ。いいわぁー。これは確かに癒し系だわー。だって俺の心が途轍もなく清んでいくのを感じるし。

俺が若干トリップしていると、その様子を見ていた姉妹が俺に群がってフェンリルをモフモフしたのは言うまでもないだろう。
フェンリルの容姿が「ネコみたいな」となっていましたので、「子犬の様な」に修正致しました。


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