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難病の名古屋の5歳児 きょうだい一緒に通いたい

(2013年11月16日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

同じ病の兄と姉 生き生き通学

次女成美ちゃん(中)が、長女千尋さん(左)や長男剛史君(右)と同じように小学校の普通学級で学べるように願う本田芳和さん、千恵さん夫妻=名古屋市瑞穂区で

 無呼吸発作などがある難病「ミトコンドリア脳筋症」のため、人工呼吸器を着ける名古屋市瑞穂区の本田成美ちゃん(4つ)は来年4月から小学生。保育園の友人や同じ病気の姉や兄とともに地元の瑞穂小へ通いたいと願っている。姉の千尋さんは「成美ちゃんのことを学校のみんなに知ってもらいたい」と、きょうだいで通学する日を心待ちにする。

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 「ほんだなるみちゃーん」。母親の千恵さん(48)の呼び掛けに満面の笑みで返す。「保育園で同世代の友だちができてから、本当に表情や感情表現が豊かになりました」。人工呼吸器を着けているので言葉を発せられないが、機嫌の悪い時にはむすっとしたり、呼吸器をわざと外してアラームで訴える。ある日、千恵さんが叱ると成美ちゃんが初めて涙を流した。「この子泣けるんだって、うれしかった」

 ミトコンドリア脳筋症は染色体の病気で、10万人に5人が発症するとされる「ミトコンドリア病」の一つ。成美ちゃんは2歳の時に発症した。無呼吸発作を起こして集中治療室(ICU)に入院してから人工呼吸器を使い、食べ物が飲み込みにくいためチューブで胃に栄養を流し込む胃ろうで食事を取る。小学校では、痰(たん)の吸引などのため看護師の付き添いが必要だ。

 成美ちゃんは今年春から、保育園の年長クラスに通い始めた。手足が思うように動かせないが、看護師の付き添いで人工呼吸器を載せたバギーに座ってみんなと散歩に出掛けたり、給食をミキサーにかけて胃ろうで食べるのが楽しみだ。

 千尋さんと兄の剛史君(8つ)は、成美ちゃんと同じ病気だが看護師の付き添いは必要ない。今年4月、千尋さんが「私もみんなと一緒に授業を受けたい」と打ち明けたことがきっかけで、瑞穂小の特別支援学級から普通学級へ移った。千尋さんは難聴で手足に力が入りにくく、剛史君は車いすで介助が必要だが、時には車いすを押してくれたり荷物を持ってくれたりする同い年のクラスメートとますます仲良しになった。

 勉強も運動もみんなと同じようにはできないが、子どもたちは生き生きとした表情を見せる。千恵さんは「勉強も大事だけど、楽しく仲良く学校へ通ってほしい。友だちと仲良くしたり、けんかをしたり。そんな学校生活を味わいながら成長してほしい」と願っている。
 (柚木まり)

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