七回、右翼線に二塁打を放った緒方【拡大】
ヒ・ミ・ツ♪
その響きは、来るべき2014年タイガースの野球にプラスαの夢を抱かせた。
「緒方もヒットの内容がいいよね。秘密兵器になるような…。ヒミツにしないけどね。ここから成長してくれて大和とかとポジション争いをすればおもしろい」
和田監督が思わず頬を緩めるほどに、背番号65の打撃と、スピードには希望が詰まっている。
七回表の守備からセンターに入っていた緒方は、その裏一死一塁の場面で左打席に入った。初球変化球に対してうまくバットを反応させて打球は右翼線へ。ポトリと落ちたときには、すでに快足を飛ばして二塁へ。
さらに続く北條の左前打に、高代三塁ベースコーチは何の躊躇(ちゅうちょ)もしない。緒方なら…。グルグル回した右手に応えるように、一気にホームへ滑り込んだ。
「結果的に二塁打になりましたが、ああいう形で良かったです」
秋季キャンプ最大の成長株かもしれない。前日15日に行われた坂道ダッシュのタイムトライアル。タテジマの俊足といえば、上本であり、俊介であり…。でも、ラップを奪ったのは50メートル走5秒8の緒方だった。キャンプ地最速の称号は、そのまま猛虎の武器となる。
同じく前日。指揮官は付きっきりで緒方にバントの指導をした。かつてのバントの名手が手取り足取り…。そして、こう漏らしていた。
「聞けば、大学時代は一回もバントしたことがなかったらしい。でも、プロでは立ち位置はクリーンアップの前だから」