JR北海道のレール異常の数値改ざん問題で、証拠となる点検数値の手書きの台帳を、函館保線管理室の社員が廃棄していたことが同社関係者への取材で分かった。11月に入ってから、社内の内部調査中にごみ箱で見つかった。改ざん前の数値が記されており、同社は、社員が改ざんを隠すために捨てたとみている。

 同社は10月末に寄せられた改ざん情報をもとに、函館保線管理室を対象に内部調査を開始。11月、「台帳がごみ箱に捨てられている」との情報も寄せられ、情報通り台帳が見つかった。台帳には基準値を超えた数値も含まれていた。

 当初、同管理室の社員全員が改ざんを否定していたが、台帳がごみ箱から見つかると、一部の社員が一転して改ざんを認めた。同管理室には20人の社員が勤務しているが、同社はその半数近くが改ざんにかかわった疑いがあるとみている。

 改ざん問題について、太田昭宏国土交通相は15日の閣議後会見で「鉄道事業の安全のしくみを覆し、大変問題だ」と話し、野島誠社長ら経営陣について「重大責任がある」と指摘した。台帳の廃棄については「改ざんの発覚を恐れて廃棄されることがあってはならない」と述べ、14日からの3回目の特別保安監査で担当者への聞き取りや記録の精査を進める。