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天皇の葬送―「お気持ち」を尊ぶ形に

できるだけ国民生活への影響の少ないものとすることが望ましい――。天皇、皇后両陛下が、ご自身の葬儀や、お墓にあたる陵について「お気持ち」を公表した。[記事全文]

日展の疑惑―抜本改革を進めるとき

談合で作品の評価が決まる。選ばれれば金銭で謝礼を払う。そんな公募展ならば、まっとうな芸術の追究とは言えまい。美術の世界で106年の歴史をもつ公募団体展・日展に疑惑が浮上[記事全文]

天皇の葬送―「お気持ち」を尊ぶ形に

 できるだけ国民生活への影響の少ないものとすることが望ましい――。

 天皇、皇后両陛下が、ご自身の葬儀や、お墓にあたる陵について「お気持ち」を公表した。

 宮内庁は、その意向を受けた形の方針をまとめた。陵の規模を小さくし、土葬を火葬に改めるという。

 「お気持ち」には象徴天皇としての深い信念が込められていよう。それを尊重しつつ粛々と準備を進めるべきだ。

 宮内庁によると、陵の敷地は天皇と皇后を別々にせず、同じ敷地内にお二人の陵を並べる。全体の面積は、昭和天皇と香淳皇后の陵と比べると8割ほどになるという。

 近世から昭和天皇まで土葬は皇室の伝統だった。江戸期以前は火葬もあった。今回の方針では、いまの国民に一般的な形に近づく。

 一方で、火葬の施設は葬儀ごとに新設するという。やや縮小したとはいえ、陵の形式や葬儀の手続きなどは、戦前のルールを踏襲している。

 火葬施設について、ご夫妻は「節度をもって必要な規模にとどめてほしい」と述べている。全体に、宮内庁方針よりさらに簡素なかたちが心にあるのではないか、と考えさせられる。

 葬儀の場所や儀式の詳細はまだ決まっていない。宮内庁は安易な前例踏襲とならないよう、創意工夫を尽くすべきだ。

 象徴天皇制での葬送のあり方は本来、1989年の昭和天皇逝去の際に論議すべきだった。だが結局、大正天皇と大きく変わらない形で行われた。

 今回の方針は将来の天皇の葬送の基準となりうる。健在なうちにみずから問題提起したご夫妻の真摯(しんし)な姿勢に、共感を感じる人は多いことだろう。

 課題は、神事を伴う皇室行事としての葬儀と、政府主催である「大喪の礼」の切り分けだ。

 昭和天皇のときには東京・新宿御苑で二つが連続して行われ、政教分離の観点から批判が向けられた。政府はその区別を明確にし、大喪の礼から宗教色をなくさねばならない。

 天皇逝去の際について考えることがタブーでないことはご夫妻が自ら示している。とくに国内外から多くの人が集まる大喪の礼のあり方については、オープンに論議すべきだろう。

 昭和天皇逝去のときは、さまざまな行事が長らく中止され、結婚式を延期するなど国民生活に「自粛」の空気が広がった。

 ご夫妻が、そんな行き過ぎた制約を望んでいないのは「お気持ち」から明らかだろう。

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日展の疑惑―抜本改革を進めるとき

 談合で作品の評価が決まる。選ばれれば金銭で謝礼を払う。そんな公募展ならば、まっとうな芸術の追究とは言えまい。

 美術の世界で106年の歴史をもつ公募団体展・日展に疑惑が浮上している。

 「書」の一部門で09年、書道界の重鎮が、有力8会派に入選者数を割り振るよう審査主任に指示していた疑いがでている。

 文化庁は日展に対し調査を求めた。日展は「書」など全5科の関係者を含む調査委員会と、元最高裁判事らによる第三者委員会を立ち上げ、今月中に結果をまとめる予定だ。

 日展は昨年4月、内閣府から公益社団法人に認定され、税制面で優遇されている。1万円で誰でも応募でき、1万3千もの作品が集まる公募展である。

 09年にとどまらず、今年まで各年の選考がどう進められてきたのか、徹底調査が必要だ。

 疑惑の焦点に立つ書道界の人物は本紙の取材に対し、09年度の指示は否定したが、その後は審査前に日展理事らで合議し、入選者数を有力会派に割り当ててきたと認めている。

 別の取材では、洋画でも、団体の規模に応じ、審査員を割り振ったと幹部が認めている。特選10人を決める時には「うちの団体から3人入ってしかるべきだ」などと主張するという。

 それが本当なら、作品の質ではなく、組織の利益配分を優先した談合というほかない。

 とりわけ「書」は師匠の「お手本」を写すので、有力会派の師匠の作品に似ていると一目でわかる作品が入選しやすいと指摘されてきた。

 抜本改革に乗り出すしかないだろう。審査に有識者など外部の目を入れるほか、審査員が属する団体の作品については選考に関与しないといった改善策が最低限必要ではないか。

 談合のほかに、金銭授受の疑惑も出ている。入選や特選になれば、会派代表の作品を買ったり、謝礼を支払ったりすることが慣例化しているという。

 とくに「書」はその傾向が強いとされる。かつて専門誌が読者に「書を学んで不満に思うこと」を調べたら、「お金がかかる」がトップだった。

 日展は特選2回で審査員・会員となり、出世の階段をのぼるシステムだ。それは美術の国際潮流から外れ、日本の美術界でも存在感が薄れている。

 それでも、文化勲章受章者を輩出した歴史のある公募展である。その存在価値を守るうえでも、身内の論理だけで現状を続けるべきではない。組織のあり方から見直してはどうか。

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