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牛脂注入肉「ステーキ」にアレルギー物質 道内31施設表示なし

(11/16 07:00)

 食材の虚偽表示問題で、牛脂注入肉を「ステーキ」として提供していた道内のホテル、旅館などの宿泊施設のうち、少なくとも31施設で使われていた牛脂注入肉に小麦や卵、乳などのアレルギー物質が含まれていたことが15日、各施設への取材で分かった。食品衛生法は、この肉をスーパーなどで販売する場合、卵など7品のアレルギー物質の表示を義務付けているが、外食では義務がない。この肉自体は問題がないが、専門家は「アレルギー体質の人が摂取したら命に関わる恐れもある」と注意を呼び掛けている。

 バイキング料理などで牛脂注入肉と明示せずに「ステーキ」として提供していたことが15日までに判明したのは、道内の35施設。このうち、31施設が過去に提供した牛脂注入肉にアレルギー物質が含まれていることを確認した。残る4施設は「調査中」としている。

 31施設のうち、23施設は発覚後、加工肉と表示するとともに、アレルギー物質が含まれていることも明記するよう改めた。残り4施設はアレルギー物質の表示はしておらず、さらに4施設は加工肉の提供自体を中止したという。

 アレルギー物質も表示するようになった23施設のうち、道内3カ所の運営ホテルで小麦、卵、乳を含む牛脂注入肉を使っていたカラカミ観光(札幌)は「重大な問題と分かり、表示を徹底した」。野口観光グループ(登別)も小麦が添加されていたため「表示を指示した」とする。

 一方、新さっぽろアークシティホテル(札幌)は10月で牛脂注入肉の扱いをやめたが、過去の提供分について「アレルギー物質が含まれていたとの認識が欠けていた」と陳謝。グランドホテルニュー王子(苫小牧)は「牛脂注入肉への理解が得られない」と今月9日から提供を中止した。

 虚偽表示があった道内のホテルに、これらの肉を出荷した食肉加工業者の幹部は「道内に流通している牛脂肉のほぼ全てにアレルギー物質が含まれている可能性がある」とみる。

 アレルギー物質の表示をしていない4施設のうち、十勝川温泉第一ホテル(十勝管内音更町)は「表示する方向で検討している」。川湯観光ホテル(釧路管内弟子屈町)は「アレルギー体質と申告があったお客さまには加工肉を出していない」という。<北海道新11月16日朝刊掲載>

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