徳勝龍との取組で負傷し、車いすで運ばれる琴勇輝=福岡国際センター
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◇九州場所<6日目>
両横綱はともに6連勝で、白鵬(28)=宮城野=は高安をすくい投げで退け、日馬富士(29)=伊勢ケ浜=は小結隠岐の海を寄り切った。琴勇輝(22)=佐渡ケ嶽=が徳勝龍に負けた時、左膝を痛めて7日目からの休場が濃厚になった。佐渡ケ嶽部屋では琴欧洲、琴奨菊に続いて3人目の途中休場となりそうだ。このまま3力士が途中出場できなければ、昭和21(1946)年11月場所(当時の秋場所)の伊勢ケ浜部屋以来、67年ぶりの珍事。けが人続出に、佐渡ケ嶽親方(元関脇)も顔をしかめるしかなかった。
土俵際で徳勝龍の右のど輪に体をえびぞりにして耐える琴勇輝。しかし力尽き、押し倒された時、左のつま先が俵に引っ掛かったまま相手に乗っかかられた。大の字になって倒れ、動けない。車いすに乗せられ、うめき声を上げながら医務室へ直行した。師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)も駆けつけ、応急処置が施されたが、痛みで着替えもできない姿で救急車で病院に搬送された。
本人に代わって、佐渡ケ嶽親方が顔面蒼白(そうはく)で報道陣に対応した。
「左膝です。まだ何ともね。倒れた時、音がしなかったというので、まだ(症状は)いい方かもしれないが、あとは診断の結果待ちです」。痛めた箇所と、あの痛がりぶりから、靱帯(じんたい)を損傷した可能性が高い。
何という負の連鎖か。佐渡ケ嶽部屋では、琴奨菊、琴欧洲の両大関に続いて西前頭10枚目の琴勇輝までが戦列離脱のピンチに陥った。7日目に出場できず、3人の幕の内力士が途中休場となったら、照国、若瀬川、備州山の3力士が休場した伊勢ケ浜部屋以来、67年ぶりの同時期に1場所同一部屋3幕の内力士の途中休場という珍事となる。
「何なんですかね。場所前は、みんな調子が良かった。今場所はいいかなと思っていたのに…。(休場するかは)あした本人と相談して考えます」と、それでも親方は憔悴(しょうすい)した表情で語った。
追い打ちをかけるように十両では、関取としてただ一人奮闘中の琴弥山がこの日も徳真鵬に敗れて6連敗。まだ初日が出ない。あまりの部屋の低調ぶりに「まあ、けがは終わってしまったこと。しょうがない」と佐渡ケ嶽親方は話すのが精いっぱいだった。 (竹尾和久)
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