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77歳の小学1年生「学校でもう一度勉強したい」 札幌の浅野さん、市教委に訴え実現

(11/16 17:00)

国語の授業で児童に交じり、元気よく手を挙げる浅野京子さん=札幌市立川北小

国語の授業で児童に交じり、元気よく手を挙げる浅野京子さん=札幌市立川北小

 戦中戦後の混乱期、目の感染症で中傷され義務教育を受けられなかった札幌市白石区の主婦浅野京子さん(77)が、自宅そばの市立小学校で1年生と一緒に国語の授業を受けている。「もう一度、学校で勉強したい」。そんな思いを札幌市教委にぶつけ、実現した。文部科学省などによると、義務教育未修了者を既存の小中学校が受け入れるのは全国的にも珍しい。支援者は「他のまちにも広がる第一歩に」と期待している。

 「はーい」。子どもの元気な声が響く札幌市立川北小1年1組の教室。小さな手に交じって、しわが刻まれた手が挙がった。浅野さんは5月から週1、2回、ひらがなやカタカナ、漢字の読み書きを学ぶ国語の授業で児童29人と机を並べている。

 札幌で生まれ育った浅野さんは幼いころ、感染症で右目の視力を失った。「目腐れ」といじめられ小中学校に通えなかった。つくだ煮工場などで働いた後、結婚して3人の子どもを育てたが、読み書きができず、病院で問診票が書けないなど負い目を感じていた。「ばかにされるんじゃないかと、人に会うのも苦手でした」

 さまざまな事情で義務教育を受けられなかった人たちが通う自主夜間中学「札幌遠友塾」の存在を知ったのは74歳の時。「これだ」と、学びを再開した。

 この春で遠友塾の3年制コースを卒業した。詩集や絵本などを読めるようになったが「書くのがまだ苦手。基礎から、もっと学びたい」とスタッフに相談。正規の学校に通ってみたいとの思いもあった。遠友塾が、自宅そばの川北小で授業が受けられるよう市教委に要請し、受け入れが決まった。

 道内の自主夜間中学関係者は道や札幌市に対し、公立夜間中学の開設とともに、希望者を既存の小中学校の授業で受け入れるよう求めてきた。学校教育法は学齢に達しない子どもは小学校に入学できないと規定するのみで、学齢を超えた人については触れていない。文科省は「市町村教委の判断で、今回のような場合は許可しても差し支えない」(教育制度改革室)との立場だ。

 ただ、札幌市教委が許可したのは今回が初めてで「学校側が受け入れ可能だったため、個別に対応した」(生涯学習推進課)と説明。道教委によると、札幌市以外では「聞いたことがない」(義務教育課)という。(報道センター 玉邑哲也)<北海道新聞11月16日夕刊掲載>

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