9施設で健康な独身女性に卵子凍結を実施11月10日 13時30分
不妊治療をする夫婦などに限るべきだとされている卵子の凍結保存について、国内の少なくとも9つの医療機関が、健康な独身女性を対象に実施していることが岡山大学のグループの調査で初めて分かりました。
グループは「ルールが決まっていないなか、なし崩し的に広がっており、懸念される状況だ。実施すべきかどうかを含めてルール作りを急ぐ必要がある」と指摘しています。
卵子の凍結保存について、関連する学会は不妊治療をする夫婦とがんの治療で卵子に影響が出るおそれがある患者などに限るべきだとしていますが、晩婚化が進むなか、健康な独身女性の間でも関心が高まっています。
このため日本生殖医学会はことし8月、40歳以上は推奨できないとしたうえで、年齢などが原因で不妊になる可能性が懸念される場合、健康な独身女性にも認めるガイドラインの案を示しましたが、確実に妊娠する保証はないことなどから反対の声も出ています。
岡山大学のグループは、ガイドラインが示される1年前の去年8月、日本産科婦人科学会に登録している医療機関を対象に、卵子凍結などについてアンケート調査を行い、415施設から回答を得ました。
その結果、36の医療機関が卵子凍結を希望する健康な独身女性の診察を行い、このうち9つの医療機関が、卵子凍結を実施したと答えたということです。
また、独身女性の卵子凍結に倫理的な問題があるか聞いたところ、62%の医療機関が「問題はない」とし、17%が自分の施設でも行う可能性があると答えたということです。
健康な独身女性を対象にした卵子凍結の実態が明らかになるのは初めてです。
調査を行った岡山大学大学院の中塚幹也教授は「ルールが決まっていないなか、なし崩し的に卵子凍結が広がっており、懸念される状況だ。女性の人生設計に与える影響を検証したうえで、実施すべきかどうか、実施するならばどのように行うべきか、議論を急ぐ必要がある」と話しています。
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