(ジャカルタ 14日 中央社)第二次世界大戦中に日本軍兵士として活躍し、戦後はインドネシア独立のためオランダと戦った台湾の男性が先月亡くなり、このほど同地の英雄墓地に埋葬された。生前は酒井充子監督のドキュメンタリー映画「台湾アイデンティティー」に出演していた。
この男性は日本統治時代の1922年に台南で生まれた宮原永治さんで、本名は李柏青。太平洋戦争の勃発後に志願して日本軍に入隊、フィリピンやミャンマーなどへ転戦した。終戦後は連合軍に投降せず、約900人の戦友とともに当時オランダ領だったインドネシアのゲリラ部隊に参加し宗主国と戦った。独立してからもおよそ300人の仲間と同地に留まり、2005年には建国60周年記念式典で同国のユドヨノ大統領から建国の英雄勲章を授与された。外国人として初めての受賞だった。
生前のインタビューで宮原さんは1974年に一度台湾へ戻ったが、白色テロ全盛の時代もあり、ミャンマーでは国民党軍と一戦を交えたことから身の危険を感じ、両親と顔を合わせたあと、インドネシアにとんぼ返りしたと語っている。その後日系人コミュニティーの活動に積極的に参加、日本語を教えるなどし、インドネシアの女性と結婚してから地元国籍を取得、3人の子宝にも恵まれたが、10月16日、ジャカルタの病院で91歳で亡くなった。
宮原さんはインドネシア独立と建国に貢献したとして国軍の英雄墓地に埋葬された。これは同国政府の最高の敬意を表すものとされる栄誉で、27歳になる宮原さんの孫は「生前から独立戦争の話を聞かされた。祖父も参加したことを誇りに思っていた」と語った。
(周永捷/編集:齊藤啓介)