「県外処分」約束引き継ぐ 中間貯蔵搬入の汚染廃棄物 大島本部長に聞く
東京電力福島第一原発事故からの復興に向けた自民、公明両党の第三次提言を手掛けた自民党東日本大震災復興加速化本部の大島理森本部長(衆院青森3区)は15日、福島民報社のインタビューに応じた。提言では中間貯蔵施設に搬入する汚染廃棄物の県外処分について言及していないが、「(県外での最終処分は)政治が負うべき責任だ」として、継続して取り組む考えを強調した。
―中間貯蔵施設について、民主党政権は昨年、貯蔵開始後30年以内に県外で最終処分する方針を閣議決定した。しかし、提言では県外処分に言及していない。
「県外処分は前政権が約束し、県民の共通認識になっている。それを(政権が変わったといって)否定することは妥当ではない。重い課題として取り組まなければならない」
―ただ、受け入れ先の確保は容易ではない。実現に向けた方策は。
「実際に建設し、5年、10年(の運用実績)を見ながら、(線量などが)こうなるので受け入れてほしい、とお願いしないと『とんでもない』と断られるだろう。今の段階では現実的な話し合いにならない。あまり急ぎ過ぎてもいけないのではないか」
―提言は、従来の全員帰還の方針を維持しながらも、移住支援による生活再建を打ち出した。
「地域の絆を分断させたくないという気持ちは私も地元首長も同じ。ただ、震災から間もなく2年9カ月となり、被災者の皆さんにも次なる人生を決断したいという思いがある。生きるとは自分のすみかを定め、仕事を持ち、家族を育てることだ。希望をつくることが政治の責任だと思う」
―移住支援の対象範囲を、どう捉えるのか。
「基本的には(除染による効果などを見ながら)面的に判断していくことになると思う。ただ局所的に放射線量が高いといったケースもあるかもしれない。一人一人に寄り添った柔軟な姿勢が必要だ。町村長の皆さんと調整しながらやっていく。願わくば知事にもさらに汗をかいてほしい」
―東電の分社化にも触れているが、廃炉事業部門を本体から切り離せば、東電の責任の所在が曖昧になるのではないか。
「東電の原発事故に対する責任は最後まで逃れられない。一方で関東に安定した電力を供給する責任も負っている。両立してやらせるには、2つの責任を負える体力と人材を維持しないといけない。党内には新会社にした方がいいとの議論もあるが、起こしたことに責任を取らせるため、破綻はさせないというのが原則だ」
―提言には具体例として、社内分社化や資本を分離する完全分社化、独立行政法人化が示されている。
「社内分社化がいいと思うが、あくまで個人的な思いだ。年内には東電が結論を出すだろう」
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