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リンゴ有機栽培、試行錯誤を本に
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10年間、リンゴの有機栽培に取り組んできた伊藤准教授 |
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リンゴの有機栽培研究に2004年から取り組んできた弘前大学農学生命科学部藤崎農場の伊藤大雄准教授は、10年目の節目を迎えたのを機に今年で同研究を終える。JAS規格(日本農林規格)で作物に使用しても有機農産物と認められる水和硫黄剤の散布や、サクランボの雨よけビニールハウスなどで防除効果を確認。「農家の参考になれば」と、10年間の試行錯誤を本にまとめることにした。
伊藤准教授は、02年に社会問題となったリンゴの無登録農薬使用問題をきっかけに、農薬を使わない栽培を追求しようと決意。2年後に学生たちと研究を開始した。
藤崎農場の「ふじ」12〜16本を、栽培条件別に数区画に分けて病気の状況を比較した。1年目はマシン油と交信撹乱(かくらん)剤だけを使い、発病を見ながら食酢、生石灰、ニンニクで追加防除する方法だったが、黒星病とモニリア病が多発した。その後も微生物入り堆肥で肥培管理したり、落葉の焼却などで効果を調べた。
防除効果がはっきりしてきたのは11年ごろから。サクランボの雨よけ用ハウスで木を覆った場合、褐斑病と黒星病の発生が激減。伊藤准教授は「病原菌の胞子が水分不足により定着できなくなることや防除剤が流れ落ちにくいためではないか」と分析。米国の有機栽培で使われる水和硫黄剤の散布も黒星病に効果があると分かった。伊藤准教授は「彩香(あおり9)のように黒星病に強い品種をハウスで栽培し、有機リンゴなら高値でもいいという買い手が確保されれば、経営的に成り立つ可能性はある」と話している。
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