東日本大震災:福島第1原発事故 いわき漁協、操業海域を拡大へ 相馬双葉漁協などと協議 /福島
毎日新聞 2013年11月16日 地方版
原発事故から2年7カ月後に試験操業を始めたいわき市漁協などは15日、底曳(そこびき)部会と理事会を開き、震災前同様、県全体に操業海域を広げるよう、相馬双葉漁協などと協議することを決めた。
試験操業は、楢葉・富岡町境から南の海域の水深150メートル以深で実施している。県によると、いわき市漁業などの漁獲量は、震災前3年のデータでは、135メートル以深で試験操業の2倍、120メートルでは同2・7倍あったという。
このため「水深120メートル以深」「10トン未満の小型船も操業登録」など、試験操業の条件を拡大する案もあったが、これらは継続協議とした。
一方、14日の3回目の試験操業で漁獲されたキアンコウから、1キロあたり10ベクレルの放射性物質が検出されたため、全量廃棄とし今月は漁獲を自粛することにした。他のマアジ、ミギガレイ、ヤナギダコ(ミズダコ)、スルメイカなど12種計約2・1トンはすべて検出限界値未満(ND)で、同市や郡山、福島などの卸売市場に出荷された。
矢吹正一組合長は「県漁連独自基準(1キロあたり50ベクレル未満)の放射線量を下回っているとしても、販売する以上は消費者に不安を与えてはならない。キアンコウは冬場の主力魚種で(全量廃棄、漁獲自粛は)苦渋の決断だが、県のモニタリング調査結果を見極めながら今後の対応を考えたい」と話した。【中尾卓英】