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燃料取り出しへ 福島第一原発4号機

東京電力福島第一原子力発電所4号機の使用済み燃料プールから燃料を取り出す作業が、今月18日に始まります。40年にも及ぶとされる廃炉の工程の最初の大きな節目と位置づけられていますが、作業が着実に進められるかが課題となっています。

燃料をどうやって取り出すか

燃料取り出しの手順

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燃料は専用の機器で1秒に1cmという速度で水面から露出しないよう慎重に専用の容器(キャスク)に収められます。キャスクには最大22本の燃料が入ります。
キャスクは大型クレーンで水中から取り出されたあと、トレーラーで約100m離れた「共用プール」に保管されます。
一連の作業が終わるのに8〜10日かかるということです。1500体余りの燃料すべてが取り出されるのは来年末になる予定です。

燃料取り出しに向けた準備

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おととし11月から1年余りかけて屋上部分のがれきの撤去が行われました。ことし8月からは燃料プールの中に落ちたがれきの撤去が続けられています。燃料を取り出すために、建屋の南側に鉄骨を組み合わせた高さ53mのカバーを設置して、専用の機器やクレーンも取り付けました。

4号機燃料プールとは

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4号機の燃料プールには1533体と福島第一原発では最も多くの燃料が保管されています。このうち1331体が高い放射線を出し続けている使用済み燃料です。
東京電力は、プール内の燃料に目立った腐食や損傷はないとしています。また、震度6強の揺れでも建屋は壊れないと評価しています。しかし、地元の不安は根強く、まず、4号機の燃料プールからの取り出しの準備が急がれていました。

燃料取り出しの課題

燃料の損傷やがれき

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取り出し作業が進むと、これまで見つからなかった燃料の損傷やがれきが新たに見つかるおそれがあります。また、細かいがれきが燃料を収める容器と燃料との隙間に入り込んでいるとみられ、作業の際に燃料が抜けなくなったり、損傷したりする懸念もあります。

作業員の被ばく

現場は今も1時間当たり200マイクロシーベルト程度と通常より高い放射線量が観測されています。トラブルなどの対応が長引けば、熟練の作業員の被ばく量が増え、作業に影響がでるおそれがあります。

作業中の地震

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燃料を入れたキャスクをクレーンで持ち上げているときに地震が起きるおそれがあります。このため、クレーンには巨大なバネが取り付けられ、落下を防ぐようになっています。

廃炉の工程は

福島第一原発の廃炉作業は3つの工程に分かれています。▽第1期は4号機の燃料プールからの燃料の取り出し開始まで、▽第2期は原子炉で溶け落ちた燃料の取り出し開始まで、▽第3期は建屋の解体など廃炉を終えるまでです。
4号機の燃料取り出しは、第1期の完了に当たる大きな節目と位置づけられています。しかし、廃炉の完了には30年から40年かかるとされ、工程全体から見ると廃炉作業は緒についたばかりです。

今後の燃料取り出し開始のスケジュール(最も早い場合)

 燃料プール原子炉
1号機392体平成29年度〜平成32年度上半期〜
2号機615体
3号機566体平成27年上半期〜平成33年度下半期〜
4号機1,533体平成25年11月18日〜(燃料なし)

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