メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

トピックス
このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック
特定秘密保護法案―成立ありきの粗雑審議

特定秘密保護法案の審議が衆院の特別委員会で続いている。自民、公明の与党は、来週中に衆院を通過させる構えだ。審議を聞くにつけ、この問題だらけの法案を、こんな粗雑な審議です[記事全文]

特定秘密保護法案―身近な情報にも影

国家秘密なんて大それたものに自分がかかわることはまずない。特定秘密保護法案は遠い世界の話だ。そう考えている人は多いのかもしれない。でも、本当にそうだろうか。この法案は、[記事全文]

特定秘密保護法案―成立ありきの粗雑審議

 特定秘密保護法案の審議が衆院の特別委員会で続いている。自民、公明の与党は、来週中に衆院を通過させる構えだ。

 審議を聞くにつけ、この問題だらけの法案を、こんな粗雑な審議ですませるつもりなのかという疑念が募るばかりだ。

 あぜんとするしかない答弁があった。

 法案担当閣僚の森雅子氏が与党議員の質問に、「さらなる改善を今後も、法案成立後も尽くしていく努力もしたい」と答えたのだ。これでは法案に欠陥があるのを自覚しながら、まずは成立ありきの本音を認めたのと同じではないか。

 菅官房長官は記者会見で、「法案成立後、運用の段階で不断の見直しを行っていくのは、ある意味で当然のこと」と森氏をかばった。

 だが、国民の権利を制限し、民主主義のありように大きな影響を与えかねない重要法案である。そんな一般論で片づけるのはあまりに強引だ。

 森氏の答弁には、ほかにもぶれが目立つ。

 秘密漏洩(ろうえい)で報道機関が強制捜査の対象になるかと問われ、森氏は「ガサ入れ(家宅捜索)が入るということはない」といったんは明言。ところが谷垣法相は「具体的事例に即して検察が判断すべきものだ」と答えた。

 また、この法案作成にからむ政府文書がほぼ全面墨塗りで開示されたことに対し、野党議員が全面開示を求めると、森氏は「開示できると思う」。これには内閣官房の官僚がすぐさま「検討する」と言い直す。

 どちらが政府の見解なのか、わからない。いずれにせよ、その場しのぎの答弁と言われてもしかたあるまい。

 来週中の採決をにらみ、与党は日本維新の会などとの間で修正協議に入っている。

 与党は、秘密指定の期間を「原則30年」とする程度の譲歩には応じる構えだ。とはいえ、外部からの検証メカニズムがないまま、実質的に官僚の裁量で幅広い情報を秘密に指定できるという法案の骨格を動かすつもりはなさそうだ。

 修正したとしても、残り数日間の審議で採決しようというのでは、乱暴きわまりない。

 与党は野党の要求を聞き入れた、野党は与党に法案の欠陥を認めさせた。こんなことを示す国会戦術のための微修正なら、まったく意味はない。

 それではすまない重たい問題をはらんだ法案だ。この短い臨時国会で議論が尽くせるわけがない。ここはやはり、廃案にするしかない。

検索フォーム

特定秘密保護法案―身近な情報にも影

 国家秘密なんて大それたものに自分がかかわることはまずない。特定秘密保護法案は遠い世界の話だ。そう考えている人は多いのかもしれない。

 でも、本当にそうだろうか。この法案は、一歩間違えれば生活にかかわる情報が市民に明かされなくなる危険をはらむ。

 法案のいう「特定秘密」には「テロ防止のための措置」が含まれる。重要施設への警察の警備態勢などがこれに当たる。

 問題は、テロ防止の必要性をもちだせば、何でも秘密にされかねないことだ。

 今でもこんなことがある。

 電磁波による健康被害を心配した神奈川県鎌倉市の市民が、携帯電話の中継基地局の場所の公開を求めた。市は昨年、「破壊活動を誘発する恐れがある」として非開示を決めた。

 社会の基盤となる施設を守る必要はわかるが、外から見える施設である。これで法案が通ったら、全国でどれだけ多くのインフラ情報が伏せられるのか。

 国がテロを防げと情報秘匿を強めれば、自治体も住民への周知よりセキュリティー優先に傾く。法案は自治体の情報公開を後退させ、やみくもな情報隠しを招きかねない、と情報公開に詳しい弁護士らは懸念する。

 原発や基地に限らず、さまざまな生活インフラにも事故や健康被害のリスクはある。市民生活と無縁ではない。

 警察情報を除けば、自治体の持つ情報は「特定秘密」には当たらない。が、多くの自治体の情報公開条例には、法令の定めや国の指示があれば情報を非公開にできる規定がある。

 秘密保護法に対応するため、自治体が条例にテロ防止関連の規定を新設する可能性もある。

 国が秘密にするつもりのない情報まで自治体が伏せてしまう「過剰反応」も起こりうる。

 前例がある。個人情報保護法ができたときだ。災害時に自力で逃げられない要援護者の情報を、消防や自治会に提供しない自治体が問題になった。

 このときは国が過剰反応を防ぐよう自治体に通知したが、今回は国が自ら秘密のハードルを下げるとは期待できない。そもそも何が秘密にあたるか例示もろくにしていないのに「そんなことまで秘密にしなくていい」と啓発のしようもない。

 情報は本来、社会のみんなのためにある。大原則は公開であり、秘密が許されるのは安全上やむをえない場合に限られる。

 この法案はその原則と例外をひっくり返し、秘密の範囲を際限なく広げかねない。そこに根本的な欠陥がある。

検索フォーム

注目コンテンツ

  • ショッピング今が買い時のフルサイズ一眼

    高画質なのに小型で軽量

  • ブック・アサヒ・コムこれでいいのだ!タモリ論

    満31年、週5回のアルタ通い

  • 【&M】高級時計が当たる!

    アンケートに答えて当たる

  • 【&w】渡辺有子 秋の味わい方

    好物のぎんなんを…

  • 【&C】牧草地はハイジの世界

    スイスの風景を写真で

  • Astand山本太郎「直訴」事件

    日本にはびこる他者への暴力性

  • 朝日転職情報

  • 就活朝日2014