将棋のコンピューターソフト同士が対戦する「将棋電王トーナメント」が11月2~4日、都内で開かれた。これは来春、プロ棋士と将棋コンピューターソフトが対戦する「第3回将棋電王戦」の団体戦に出場する将棋ソフトを決める大会だ。予選を勝ち抜いた12の将棋ソフトが争い、上位5位までがプロ棋士への挑戦権を得た。今春の第2回電王戦では将棋ソフトが5戦中3勝し、「コンピューターが人間を破った」と話題になった。将棋ソフトはどこまで強くなれるのか。今大会4位の「やねうら王」にスポットを当て、進化し続ける将棋ソフトの現状を取材した。
■最善手を絞り込む力がポイント
やねうら王を開発したのは、やねうデザイン社長の磯崎元洋氏。同氏は「やねうらお」のハンドルネームで活動する天才的プログラマーとして知られる。磯崎氏は自身のウェブサイトで将棋について「最善手を選ぶためのくじ引きをしているようなもの」と表現している。
人間も将棋ソフトも、将棋の強さは日本将棋連盟が運営に関わる「将棋クラブ24」というサイトで対局することで計測できる。結果は「レーティング(R)」というスコアで出され、客観的な判断が可能だ。当然、高いスコアを取る人やソフトほど強いということになる。
R評価が高い人やソフトは対局中、次の差し手として数多くの選択肢のうちどれが最善かを迅速に見抜く力があるといえる。例えば、R500程度の人が次の手を20手の中から選ぶとすれば、R1000の人はさらに先を読むことで10手まで絞り込む実力があり、R2000だと5手、R3000なら3手ぐらいまで絞り込むことができるという。
磯崎氏は「ハイレベルな対局では素人が思うほど指し手に自由度はない。広大な砂漠で一粒の種を探すかのように、悪手ではない手を探さなければならない」とその難しさを説明する。
平均的なプロ棋士のR評価はR2800程度。これに対し、一部の将棋ソフトはR3000を超え始めているという。そのため、R評価を基準にすると、理論上は将棋ソフトの実力がプロ棋士を上回りつつあるといえる。
将棋より指し手の選択肢が少ないチェスの場合、IBMのスーパーコンピューターが人間のチェスチャンピオンを初めて破ったのが1996年。だが、今やスマートフォンに搭載されたチェスアプリでも人間に圧勝するほどコンピューター側は進化してしまった。将棋の世界でもいずれ人間は将棋ソフトにかなわなくなるとの見方が有力だ。
コンピューター、将棋ソフト
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