覚せい剤3kg所持容疑で市議拘束 中国外務省が拘束認める
3kgもの覚せい剤を所持していたとして、愛知・稲沢市の現職市議会議員が、中国で身柄を拘束された。
現職の市議が中国で拘束されるという事態を受けて、議会事務局は、朝から対応に追われた。
10月31日、愛知・稲沢市の桜木琢磨市議(70)が、中国・広東省広州の白雲国際空港で、覚せい剤3kgを所持していたとして身柄を拘束された。
桜木市議は、10月29日から31日までの予定で、中国に渡航していたが、11月1日から連絡が取れなくなっていたという。
稲沢市議会の野村英治議長は「貿易をやってみえたものですから、たまに外国の方に行かれた」、「事実であれば、反社会的行為であり、市民の負託を受けた議員として、あるまじき行為であります」と話した。
現在、中国で裁判に向けた司法手続きが進められている桜木市議だが、本人は、容疑を否認しているという。
今後について、中国にくわしいジャーナリストの富坂 聰氏は、「販売目的、いわゆる商業利用なのか、自分でやるのかという区別が、非常に重要になってくる。所持していた量で決まりますので、3kgということになると、販売目的であって、さらに組織であるという認定がされる可能性があるので、死刑ということが出てくる可能性が高い」と語った。
中国では、覚せい剤所持の最高刑は、無期懲役だが、密輸が目的の場合は、量によっては死刑になる。
15日午後、中国外務省は、会見で「桜木琢磨市議が、広州白雲空港で薬物を運び出そうとして、公安当局に刑事勾留された」と、桜木市議の拘束を認めた。
妻と娘と3人で、稲沢市の家に住んでいたとみられる桜木市議。
近所の住民によると、近所づきあいは、それほどなかったという。
近所の人は「突っ走るところはある。変わった性格だなと思っていた」と話した。
桜木市議は、当選5回を数えるベテラン市議で、総務委員長などを歴任してきた。
市議会の議事録によれば、これまで、中国の歴史教育を疑問視していたほか、日本の外交に対しても、2007年8月、「戦後60年を過ぎても、中国・韓国に謝罪をさせられているが、なぜこれをやめないのか」と発言していた。
過去のこうした発言と、今回の身柄拘束に関連がある可能性はあるのか。
富坂 聰氏は、「中国が歴史問題で、そこまで日本人を陥れるとは考えにくいとは思うんですけどね。金銭がからむトラブルだと、嫌がらせのために、物を入れることも、かつて、なかったわけじゃないので、そういうことなら、あってもおかしくない」と語った。
国交正常化以降、中国で、日本人が死刑判決を受けて執行された例は、少なくとも4件あり、いずれも麻薬密輸罪に問われたものだった。
中には、およそ1.25kgの所持で死刑判決が確定している例もある。
今回の桜木市議の場合は、覚せい剤およそ3kgの所持の疑いで身柄を拘束されている。
桜木市議が現在、どのような状況下に身柄が置かれているかなどについて、くわしいことはわかっていない。