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<愛知・稲沢市議拘束>「ナイジェリア人から預かった」

毎日新聞 11月16日(土)2時20分配信

 愛知県稲沢市の桜木琢磨市議(70)が中国で覚醒剤を所持していた容疑で拘束された事件で、市や市議会は15日、情報収集に追われた。議会関係者によると、桜木市議が中国当局に対して容疑を否認し、「ナイジェリア人から預かった」と説明するスーツケースの中から違法薬物が見つかったとの情報が外務省から入ったという。ただ、真偽を確認する手段は現時点ではほとんどなく、市や議会は対応に苦慮している。

 市議会事務局によると、議員が海外渡航する際、休会中は行き先を議会側に連絡する義務はないが、ほとんどの議員は休会中でも口頭や文書で渡航先を知らせていく。加島和典議会事務局長によると「桜木議員については何の連絡もなかった」という。

 市議は本会議や委員会の欠席が続いても、月額48万円の議員報酬は満額支払われる。一方、月2万円の政務調査費は実費精算のため、議員活動停止が続く現状では支給されなくなるという。

 議会は、強制力のない辞職勧告決議や強制的に失職させる除名も可能。しかし15日に開いた会派代表者会議では「情報が乏しい」などを理由に議論はなかった。議会側が必要と判断すれば政治倫理審査会で協議することになるが、「情報が全くない中では判断できない」との声もある。

 愛知県選管によると、公職選挙法では禁錮以上の刑が確定した場合は公民権停止となり、議員の身分を失うと規定している。ただ、海外での事例について県選管は「条文上に明確な規定はない」として、総務省に確認する方針。

 桜木市議の支持者の間には動揺が広がった。2011年9月の市議選で桜木議員に投票した30代の主婦は「そんなことをするとは思えない」と困惑。50代の男性は「ボランティアや草刈りなどに積極的に参加する人だった。10日に神事について話し合う予定だったが連絡がつかず、みんなで心配していた」という。【渡辺隆文、駒木智一】

 ◇「麻薬の密輸は死刑もあり得る重罪」

 日本と中国の司法制度では容疑者の勾留期間などが大きく異なる。

 日本では、捜査当局が逮捕してから48時間以内に検察庁へ身柄を送り、最大20日間の勾留期間を経て起訴、不起訴など刑事処分を決める。

 一方、在中国日本大使館によると、中国では犯罪の疑いがある場合、捜査当局が身柄を最大30日間拘束し、逮捕の有無を決める。逮捕後は捜査当局が原則2カ月間勾留して取り調べを行うが、事案によっては延長も可能だ。さらに検察が1カ月間取り調べ、起訴するかどうかを決める。

 裁判は2審制で、日本の地裁にあたる中級人民法院や、省や自治区・直轄市に置かれる高級人民法院(高裁)で審議される。死刑判決の場合は最高裁に当たる最高人民法院で刑の執行が判断される。

 早稲田大の小口彦太教授(中国法)は「中国では麻薬所持は罪に問われない一方、麻薬の密輸は死刑もあり得る重罪で長期間拘束されることになる。その場合、判決が出るまで約1年はかかるだろう」と話す。【三木幸治】

最終更新:11月16日(土)2時42分

毎日新聞

 

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