紅綬褒章:小学生救助の中国人留学生に 天皇陛下と面会
毎日新聞 2013年11月13日 22時24分(最終更新 11月14日 15時24分)
9月の台風18号で増水した大阪市の淀川に飛び込み、濁流にのまれた小学生を助けた中国人留学生、厳俊さん(26)=大阪市北区=が13日、紅綬褒章を授与され、皇居・宮殿で他の受章者と共に天皇陛下と面会した。陛下から「どういうふうに人命救助したのですか」と尋ねられたといい、「天皇陛下は親切な人と感じました。すべきことをしただけだけど、日中友好の役に立ったのならうれしい」と喜びを語った。
厳さんは9月16日午後5時ごろ、淀川の堤防沿いをジョギング中、「助けて」という声を聞き、濁流にのまれる小学4年の男児(9)を発見した。川に飛び込み何度も救助を試みたがうまくいかなかったため、ぬれた衣服を脱ぎ、近くの人が持っていたロープを体に巻き付けて再び飛び込み、男児を右手でつかんで助け出した。
2カ月が経過した今、厳さんは「川に入った後は水も飲んで死も覚悟したけど、自分にはまだ力があると言い聞かせた」と振り返った。勇気ある行動は中国でも報道され、中国版ツイッターで称賛の声が相次いだ。
厳さんは上海出身で3年前に来日。来春から大阪市立大大学院で経済を学ぶことにしている。褒章を胸に着け「社会の役に立つ仕事をしたい」と語った。
厳さんにはこの日、安倍晋三首相からも感謝状が贈られた。
【長谷川豊】