服のシワは髪の毛や手とならび最も描くことが難しい部位。
髪専門、手専門、服のシワ専門の参考書が売られるくらい、本当に初心者にとって頭を悩ませる部分です。
実は初心者がなかなか服のシワを覚えられないのには明確な理由があります。
それはとあるトラップがあるからです。
そしてそのトラップに気づくことができてやっと、シワを描くための第一歩を歩むことができるのです。
●服のシワの大前提を知る
服のシワとは、布地が盛り上がっている場所のことです。
服がその服を着ている人間の動きによって引っ張られたり、押しつぶされたりすると布地が盛り上がります。
そしてその布地に光が当たることによって、明るいところと暗いところが生まれ、私たちはその陰影を見て服にシワがあると認識します。
つまり服のシワは
1.体の動きによって服の布地が盛り上がる
2.布地の盛り上がりに光が当たることによって明るいところと暗いところが生まれる
ということです。
2つのポイントをしっかりと押さえてください。
これが服のシワの大前提になります。
●初心者が服のシワを覚えられない理由
シワは布地が盛り上がっているところです。
そしてそこに光が当たることで、明るいところと暗いところが生まれます。
つまりシワは明るいところと暗いところ合わせてワンセットなわけです。
でも一般的な萌え絵を見てください。
萌え絵の服のシワは暗いところ、いわゆる「陰」の部分だけ描かれています。
シワの明るい部分はどこ行った?というと省略されて描かれていません。
萌え絵は陰の部分だけを描いてシワを表現しています。
初心者が萌え絵でシワを覚えようとするとき、暗い陰の部分しか見ていなければ当然シワを正しく覚えられるわけがありません。
それどころか暗い陰の部分のみがシワだと勘違いするとさらに泥沼になります。
シワを正しく覚えるためには、描かれている陰の部分と描かれていない明るい部分の両面を把握しなければなりません。
●シワを描くためには3つの視点が必要
服のシワを描けるようになるためには次の3つの視点が必要です。
①シワのできる場所
服の中でシワができやすい場所のことです。
たいへん資料が集めやすく、自分の姿を鏡で確認もできるので覚えやすいところです。
単純なポーズであるならば、だいたいシワのできる場所は決まっていてテンプレ化できるようですね。
②シワの種類
ひとくちにシワといっても色々種類があります。
そしてその種類によって陰影のつき方が変わったりします。
その人の観察眼が試されるところです。
しっかり観察し、どんな種類があるか探してみてください。
③シワの描き方
シワの描き方とはシワを塗るときの筆の動かし方、つまり運筆のことです。
もっと詳しく言えばどの筆を使うか、筆の大きさはどうするか、そしてどう筆を動かすかということです。
個人的にはここが一番知りたいところですが、正直情報が少ないです。
あえて挙げるならプロのメイキング動画がありますが、早回しだとどうにもならないですね……
シワを覚えるためには模写練習が一番良いと思います。
でも模写の題材をしっかり選ばないとせっかく模写しても意味がなくなってしまいます。
個人的にはシワを一本の線だけで描いた絵を使って模写するのは正直おすすめできません。
なぜならシワを一本の線で描いた絵は①のシワの場所はわかりますが、②のシワの種類と③の運筆についてはわからないからです。
シワを覚えたいのならば①②③の全ての要素をなるべく含んだ絵を選ぶことをおすすめします。
単純に上手いと言われている人のカラーイラストを模写すれば良いかと思います。
●まとめ
布地の盛り上がりの部分こそがシワと理解してはじめてスタートラインに立ったといえます。
これから色々なイラストを見て、服のどこの場所が盛り上がっているか探してみるといいでしょう。
またシワを観察するときは、服のどこにシワが寄っているか、どんなタイプのシワか、どう色を塗っているかを考えると良いでしょう。
一日一夕でシワは身につきませんが、そういった細かい観察や理解の蓄積がのちのちシワを描くための土壌になります。
腰を据えて取り組んでいただければと思います。