【岡林佐和】男女平等の度合いを示す世界経済フォーラム(WEF)の「男女格差報告」で、日本と同じく低レベルをさまようのが韓国だ。低迷からの脱出を目指してもがいている。国会議員に女性を増やす積極的な制度をもうけるなど、思い切った政策にも乗り出している。

■比例名簿の奇数は女性

 「特に0歳、1歳の子の預け先がぜんぜん足りない。働き続けるには母親を頼るか、シッターを雇うしかない」。8月に出産し、途方にくれているのはソウルの民間企業に勤めるカン・ミンイさん(33)。育休中で来春に復帰するつもりだが、保育施設には入れそうもない。住み込みか通いのシッターを雇うしかないと覚悟を決めている。

 結婚・出産を機に仕事をやめる女性が多く、就業率がM字カーブを描くのが、日本と韓国だ。男性は労働時間が長く、家事や育児時間が短いのもそっくり。10月に発表されたWEFの「男女格差報告」では日本が105位、韓国は111位。ともに低迷中だ。韓国は、男女の賃金格差や女性の就業率が悪化したことが足を引っ張った。

 だがそんな韓国も、底辺から抜けだそうともがく。日本よりも、政治や経済の分野で、積極的で強力な制度を取り入れている面がある。その一つが、議員選挙のクオータ(割り当て)制だ。女性議員を増やすため、あらかじめ候補者の一定割合を女性に割り当てておくもので、2000年から導入した。

 韓国の国会は一院制。比例代表と小選挙区がある。いまは政党が比例名簿の奇数順位を女性にする決まりで、小選挙区でも30%を女性にすることが努力義務になっている。国会議員の女性の割合は15・6%にのびた。世界平均の20%には及ばないが、日本(衆院議員8・1%)はすでに追い抜かれた。

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