柏崎刈羽原発:審査通過しても新潟知事の壁 再稼働不透明
毎日新聞 2013年11月13日 21時46分(最終更新 11月13日 22時31分)
原子力規制委員会は13日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の安全審査を始める方針を決めた。東電は来夏をめどに再稼働にこぎつけ、財務を改善させたい考えだ。ただ、審査がスムーズに進む保証はない。審査を通過しても、再稼働に否定的な泉田裕彦・新潟県知事の理解を得るという「最大の山場」(東電幹部)が残り、依然として再稼働時期は見通せない状況だ。
審査入りが決まったことを受け、東電は、策定中の新しい総合特別事業計画(再建計画)で、同原発の再稼働時期を「来年7月」と仮定する方向で調整する。原発1機が年間フルに動けば、1000億円の収益改善効果がある。12月末に控える約3000億円の新規融資に金融機関の協力を求める上でも審査入りはプラスだ。東電のある幹部は「審査は半年程度かかるとされるから、早ければ来年5月に終わる。金融機関などへの説得力も増す」と話す。
とはいえ、審査は長期化も予想される。福島第1原発と同じ沸騰水型で初の審査になる上、東電は事故を起こしただけに、「一段と厳しい審査になる」との見方もある。原子炉直下に活断層があると認定されれば、再稼働は絶望的だ。
規制委内には、東電が福島第1原発の汚染水対策と柏崎刈羽原発の再稼働準備を両立できるか、懸念も根強い。規制委の田中俊一委員長は13日の記者会見で「福島第1を最優先でやってもらわないといけない」と注文をつけた。汚染水問題が悪化すれば、柏崎刈羽の審査は中断されそうだ。
審査をパスしても、再稼働には地元同意という高いハードルがある。泉田知事は13日、記者団に「新規制基準をクリアしても(大事故時には住民が)健康影響のある被ばくをし得る」と述べ、規制基準は不十分とする姿勢を改めて強調。東電の計画する「来年7月の再稼働」についても、「絵に描いた餅」と述べている。ある大手電力の幹部は「審査が半年で終わっても、知事の説得にさらに半年かかるケースも十分あり得る」と指摘する。【浜中慎哉】