2013年11月14日18時46分
国会で審議入りした特定秘密保護法案をめぐり、京都弁護士会が「反対」の動きを活発化させている。京都市中心部で繰り返し街頭宣伝を実施しているほか、13日には弁護士4人が東京の国会議員会館を訪れ、廃案を訴えた。
◇街頭宣伝や講演会・寸劇
「国家の情報は誰のものか。主権者である国民の財産です」
13日夕、下京区の四条河原町交差点。京都弁護士会で秘密保全法制対策本部事務局長を務める小笠原伸児弁護士(58)ら7人が声を張り上げ、通行人に「なんでも『ヒミツ』になってしまう」と書かれたビラを配った。「権力者の思うままに情報が隠されてしまうおそれがあります」
法案は「漏洩(ろうえい)が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあり、特に秘匿することが必要な情報」について、大臣ら行政機関の長が、「特定秘密」として指定すると定める。
特定秘密の範囲は、防衛、外交、スパイ活動など特定有害活動の防止、テロ防止の4分野。国民の知る権利の保障に資する報道、取材の自由に十分に配慮▽取材は、専ら公益を図る目的を有し、法令違反や不当な方法でないと認められない限り正当な業務――などとされている。特定秘密を漏らせば、最長懲役10年の罰が科せられる。
京都弁護士会は今年7月、法制定阻止を目的に、秘密保全法制対策本部(本部長・藤井正大会長)を設置した。9月には法案概要の公表を受け、「特定秘密の範囲があいまいかつ広範」とする会長声明を発表。「秘密が無限定に拡大され、市民の生活や権利に重大な影響を及ぼす情報が隠されるおそれがある」と指摘した。
また、特定秘密に触れる公務員らの家族の国籍や飲酒習慣、経済状態などを調査する「適性評価」については、「人的管理であり、対象者や周辺の人々のプライバシーが侵害されるおそれがある」と批判した。
10月に入ってからは、宇治、舞鶴の市民に、寸劇や講演会で法案の危険性や問題点を伝えた。法案が25日に閣議決定されると、会の各弁護士に「法制定阻止に向けた至急のお願い」を出し、国会議員への要請や街宣の協力を訴えた。
◇地元国会議員を訪問
小笠原弁護士らは13日の街宣の前、東京の議員会館を訪問。衆参の地元選出国会議員や秘書らに会い、法案の危険性を主張した。
法案は、特定秘密の指定期間の上限を5年と定める一方、延長も認める。計30年を超える場合は内閣の承認を必要とするが、小笠原弁護士は「仮に秘匿すべき情報であっても、ある程度の期間がたった後で開示し、チェックする機会を与えなければいけない。いまの法案のままでは『違法秘密』を隠し通すことすら可能だ」と話す。