ナゴヤ球場に姿を見せた中田（１４日）。顔写真は広島・大竹（左）と日本ハム・鶴岡

　４位からのＶ奪回を目指すソフトバンクは史上初の「ＦＡ３人獲り」に動く。日本ハム・鶴岡、広島・大竹の２人に、ＦＡ獲得の人数制限に引っ掛からないＣランクの中日・中田賢を加えた３人で、１４日小林海外兼中長期戦略担当部長は「３人に興味を持っています。獲りにいきます」と明言した。

　福岡県出身の中田賢と鹿児島県出身の鶴岡は鷹軍にとって「ご当地選手」で相思相愛ともいわれているし、大竹に関しても王球団会長がぞっこんで豊富な資金をバックにもくろみ通りの“全制覇”も十分可能。だが、このＦＡ大補強の動きに対してチーム内には冷ややかな目もある。

　過去２年もソフトバンクは２桁勝利を期待できるとしてＦＡで帆足と寺原を獲得したが、故障もあって不発。ある選手は「例えば（かつての沢村賞投手で西武からＦＡの）涌井１本に絞って全力でいくという方が、まだいいと思うけど」と首をひねる。

「大竹はいい投手だと思うけど肩を痛めていたでしょ。またなんてことにならなければいいけど…」と不安がるのは球団スタッフの一人。別の関係者も「中田賢と、今のウチの先発陣との力の差が大きいとは思わないし、大竹にしても２桁は勝つかもしれないが、絶対的エースになってくれるわけじゃない。大竹と鶴岡の分の人的補償で投手２人を獲られたら、実際は少しのプラスくらいにしかならないんじゃないか」と渋い表情で話すのだ。

　フロントは大張り切りだが、ナインや関係者は…。ＦＡ大補強計画を前にしてソフトバンクには何とも微妙な空気が漂っている。