特集ワイド:どこへ行く、小泉劇場第2幕 本気で原発ゼロ ケンカ戦法再び
毎日新聞 2013年11月13日 東京夕刊
会談の詳細について「オンカロの話を聞かせてもらった。今、日本がやらなければいけないのは、事故の深刻さを直視し、世界中が危惧する福島第1原発の汚染水や4号機の使用済み燃料プール問題に迅速に対応することだ。核廃棄物の捨て場も確保せずに原発を再稼働するのはとんでもないことだ。新党とか、いろいろ言われているが、私はそういうことには全く関心がない。小泉さんもそうだと思うが、政治の世界に戻るつもりはない。脱原発は、ある種の国民的な広がりにならなければだめだ」と話す。政界再編よりも国民運動や世論。両氏の主張は共通している。ただ、運動方針については話していないといい、国民運動のイメージについても「それぞれが声を上げていく」と述べるにとどめる。
脱原発を掲げる野党との連携も微妙だ。10月29日に「小泉氏に真意を聞きに行った」という社民党の又市征治幹事長は「安倍首相が脱原発を政治決断できない理由をどうみるか、と問うと小泉氏は『脱原発以外の道はないのだから、その決断をせざるを得ないと迫るような世論がまだ弱いということだろうね』と言っていた」と語る。大江健三郎さんら脱原発を主張している文化人との共闘を提案したが「『いやいや、やっぱり世論だよ』と逃げてしまう。政治的に利用されたくないということだろう」と推測。今後、連携して活動する予定はないとする。
かつて小泉郵政改革の「抵抗勢力」と呼ばれた鈴木宗男・新党大地代表は「小泉さんは首相時代に原発を推進したわけだから『国民の皆さんに深くおわび申し上げる』と言えば、もっと迫力が出た」と鋭く指摘。「小泉発言と、原発・電力以外の新興エネルギー業界との関係が全くないと考えるのはどうか。うがった見方をする声も私には聞こえてくる」と含みをもたせる。そのうえで「原発は時間軸の長い問題。自民党の若手議員も20年、30年後を考えて発信をすべきだ。21世紀は環境の世紀だ。今こそ原発ゼロに向けて立ち上がってほしい」と発破をかける。