小泉元首相:日本記者クラブでの会見内容
毎日新聞 2013年11月12日 20時36分(最終更新 11月12日 21時56分)
歴史をみると、すさまじいピンチを日本は乗り越えてきた。関東大震災は90年前。第二次世界大戦で300万人以上が命を落とした。それでもくじけなかった。最大の敵・米国を最大の味方にして、今日の平和国家を造った。東日本大震災のピンチをどうチャンスに変えるか。震災のピンチを国民の望む方向に持っていく権力を、安倍首相は持っている。望ましい方向、夢のある方向だ。それを理解していただきたい。
【日中関係】
2004年、チリでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議への出発前、中国との首脳会談を申し入れた。中国は「来年、小泉首相が靖国神社を参拝しなければ首脳会談を行う」と返事してきた。私はこう返事しろと言った。「来年、小泉首相は必ず靖国を参拝します。それで会談を断られるのはしょうがない。しかし小泉は日中友好論者です」
しばらくしたら先方からオーケーが来た。「ただし『来年参拝するかしないか』と聞かれても、するとは言わないでくれ」とのことだった。だから私は聞かれる度「適切に判断する」と言っていた。
今、日中首脳会談ができないでいるが、中国も本心では困っていると思う。私の辞めた後、首相は一人も靖国参拝をしていない。それで日中はうまくいっているのか。対中国は今の安倍首相の対応でいい。首脳会談ができなければ、他の政治家、行政、経済、文化、スポーツ、さまざまな交流を進めればいい。時がくれば、中国も「靖国批判は大人げなかった」と恥ずかしい思いをすることになる。
【沖縄問題】
今後、沖縄の基地負担軽減や日本の安全保障のため、メガフロート(人工の浮き島)を政府が真剣に検討した方がいいと思う。攻撃用ではなく海上移動基地。いざ災害となれば自衛隊の救援活動にも役立つ。領土が広がるようなものだ。
【会場との質疑】
−−脱原発への流れをどう作るのか。
自民党の石破茂幹事長が「小泉さんの方向と違わない」と言っている。彼が音頭をとって党内で議論すればいい。賛否両論を併記で「首相、どちらを判断しますか」と上げればいい。首相が決めたことに従えばいい。
−−政権にかじを切らせるために自身はどう働きかけるか。