小泉元首相:日本記者クラブでの会見内容
毎日新聞 2013年11月12日 20時36分(最終更新 11月12日 21時56分)
自民党の小泉純一郎元首相が12日、日本記者クラブで行った会見の主な内容は次の通り。
【原発ゼロ】
最初に私の原発ゼロ発言への批判に反論したい。代案を出さずに発言をするのは無責任で楽観的だという批判だが、原発問題は広くて大きくて深い問題だ。国会議員だけで代案を出そうとしてもなかなか(結論が)出る問題ではない。ましてや私一人では不可能だ。政治で一番大事なのは方針を示すこと。原発ゼロという方針を政治が出せば、専門家や官僚が必ずいい案を作ってくれる。
何年かけてゼロにするのか、再生可能エネルギーをどう促進していくか。廃炉の専門家をどう確保するか、原発ゼロになったあとの地域の発展をどう考えるか。そういう広範囲な問題が残る。一政党、一議員で(答えを)出せるわけがない。専門家の知恵を借り、その結論を尊重して進めていくべきだ。
もう一つは、原発ゼロにすれば燃料の輸入量が上がり、電気料金は高くなり、二酸化炭素(CO2)排出も多くなるとの批判だ。しかし、日本は時代の変化を読むことに非常に敏感だ。先日、数年以内に燃料電池車が実用化されるという話を聞いた。国内外の自動車会社もハイブリッドの電気自動車を必死に開発している。
LEDもそうだ。設置費が多少高くても、「省エネの観点からLEDがいい」と。太陽光パネルと輻射(ふくしゃ)式冷暖房を導入した新本社で、旧本社時代に比べてCO2排出量を70%削減した企業もある。これはほんの一例だ。
原発ゼロにして原発建設に向けた費用をふり向ければ、水力や太陽光、風力、地熱とさまざまな代替エネルギーの開発が進む。その技術を日本企業は持っている。またそういう企業に日本国民は、少々高くても協力する。
一番の批判は、核廃棄物の処分方法は技術的に決着していて、問題は処分場が見つからないことだというものだ。そこまでは私の考えも一緒だ。だが、ここからが(原発)必要論者と私の違うところだ。彼らは「(処分場選定の)めどを付けるのが政治の責任だ」と言う。付けられると思う方が楽観的で無責任だ。東京電力福島第1原発事故の前に見つけることのできなかったものを、事故後に見つけだせるというのが必要論者の主張だ。