処分について語る橋下共同代表

　日本維新の会国会議員団は１２日の役員会で、参院の許可を得ずに北朝鮮を訪問したアントニオ猪木参院議員（７０）の副幹事長職を５０日間停止する処分を決めた。党員資格も５０日間停止とするよう幹事長の松井一郎大阪府知事（４９）に求める方針も確認した。

　処分はいずれも１２日付で、停止期間は１２月３１日まで。猪木氏は国会議員としての活動は可能だが、党会合には参加できず、党から活動資金も支給されなくなる。処分について維新の会共同代表の橋下徹大阪市長（４４）は１２日「国会議員団が判断したことですから。（猪木氏は国会議員のため）僕が処分する立場じゃないですから」と我関せず。そっけない対応だった。

　一見、消極的に見える橋下氏だが、実は水面下ではヤル気満々。他党議員らは戦々恐々となっているほどだという。維新の会地方議員は「橋下さんは維新の会という政党を残すことに一切こだわっていない。逆に政界改編で新党を結成するために維新を抜けることを励行しているぐらい。それに他の党は焦っているのです」と明かした。

　橋下氏は「僕の賞味期限は（７月に行われた）参院選まで」と自ら語っていた予言通り、維新の会は参院選で手痛い敗北を喫し、９月の大阪・堺市長選でも敗れ完全に勢いを失った。橋下氏に対する世間の注目は一気に薄れた。しかし、これで逆に動きやすくなったという。

「橋下さんは自民、公明、民主、みんなとそれぞれに独自のルートを持っている。隠密行動大好きな橋下さんにとって、大きな選挙がしばらくない今が一番目立たずに働きかけやすい。表立った新党結成の動きがないだけに、流れを見極めようとみんな必死ですよ」（前出議員）

　かつて政界の風雲児とみられた橋下氏だけに、次の一手が注目だ。