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核燃サイクル「ガラス固化体」前提 青森の関係者ピリピリ

 原発の高レベル放射性廃棄物の最終処分をめぐる政府答弁で、処分対象を「使用済み燃料」と表現する発言が目立っている。国策とする核燃料サイクルでは最終処分の対象を、再処理した上で廃液にガラスを混ぜるガラス固化体と定めている。「使用済み燃料」という認識が広がれば、再処理をしない直接処分を許容するとも取られかねず、全量再処理の方針堅持を求める青森県などの関係者は神経をとがらせている。

 「全国で1万7000トンの使用済み燃料を保管している。次の時代まで先送りできない」
 茂木敏充経済産業相は先日の参院予算委員会で、「高レベル廃棄物の処分問題をどう考えているか」との問いに、こう答えた。安倍晋三首相も衆院代表質問の最終処分場に関する答弁で、処分対象を「使用済み燃料」との前提で答えている。
 高レベル廃棄物処分の流れは図の通り。政府方針がガラス固化体を最終処分対象としていることは明白で、「使用済み燃料の最終処分」とは本質的に意味が異なる。
 経産省は5月、高レベル廃棄物最終処分を加速する有識者会議を設置した。地下300メートル以深の地中に埋める「地層処分」の妥当性を中心に検討するが、経産省は「仮に直接処分する場合も、ガラス固化体と共通課題が多い」と説明した。最終処分方法を保留する暫定保管も議論している。
 青森県六ケ所村では、県外での最終処分を絶対条件に固化体約1400本を一時貯蔵している。政府は再処理路線を継続する方針だが、核燃サイクルに協力してきた青森県側は気をもむ。
 10月31日にあった原発立地14道県議会議長と自民党との意見交換会で、西谷洌青森県議会議長が最終処分地問題の政府主導による解決を求めた際、同席した経産省幹部から「使用済み燃料の処理」との言葉が漏れた。
 終了後、西谷氏は「高レベル廃棄物と言えば固化体のことだ。核燃サイクル路線をどうするのか議論が乏しい」と不満げに話した。

[ガラス固化体]使用済み核燃料を再処理し、ウランとプルトニウムの回収後に生じる廃液をガラスと混ぜて固形化した放射能濃度が極めて高い廃棄物。30〜50年間貯蔵管理し、深地層に埋設する。国内の原発と青森県六ケ所村の再処理工場の貯蔵分に、英仏への再処理委託分を加えた使用済み燃料を全て再処理すると総計約2万5000本の固化体が発生する。


2013年11月15日金曜日

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