日馬富士が裾取りで豊ノ島を下す=福岡国際センターで
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◇九州場所<4日目>
(13日・福岡国際センター)
両横綱が全勝を守った。九州場所7連覇を目指す横綱白鵬(28)=宮城野=は旭天鵬を一方的に寄り切り、日馬富士(29)=伊勢ケ浜=は豊ノ島の投げに体勢を崩しながら裾取りで下した。大関陣は稀勢の里が小結隠岐の海を寄り切り、連敗を免れて3勝目を挙げた。鶴竜は安美錦をはたき込み、連敗を2で止めて星を五分に戻した。琴欧洲は左肩鎖関節脱臼で休場した。大関とりの足固めを狙う関脇豪栄道(27)=境川=は4戦全勝とし、ホープの遠藤は初日を出した。勝ちっ放しは平幕の千代大龍、舛ノ山、翔天狼を含めて6人となった。
一瞬ヒヤリとした。日馬富士は強烈な左のど輪で豊ノ島を土俵際に追い込んだが、右の張り手を空ぶった際、腕を取られて振られ、前のめりになった。この直後だ。とっさに左手で豊ノ島の右かかとをつかむ。その時、手が土俵に付いたようにも見えたが、珍しい決まり手の「裾取り」でピンチ脱出。物言いも付かず、際どく全勝を守った。
「(裾取りは)久しぶりです」と日馬富士。幕内で「裾取り」の決着は自らが大関時代の2010年秋場所2日目、豊真将戦以来3年2カ月ぶり。豊ノ島の粘りに冷や汗をかきながらも再び珍手を繰り出し「さすがしぶといですね。まあ、流れです。ふくらはぎは太くて取れない。危なかったけど、右を差していましたから。どんなに体重が重い相手でもあそこを取ると足が上がる」。自分のかかとを触りながら「ここを取ったんだ」と言わんばかりに説明。北の湖理事長(元横綱)も「審判が下から見ているんだから間違いない」と話した。
この日、場所に向かう車中で師匠で審判部長の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が体調不良で緊急入院したことを聞いた。前日の夜は夕食をともにし、いつもと変わらぬ姿を確認している。動揺したが、部屋をまとめる立場として絶対に負けるわけにはいかなかった。
「驚きました。入院したとしか聞いてない。もちろん心配です」
初日からの4連勝は、全勝優勝した今年初場所以来5場所ぶり。白星を積み重ね、リズムに乗ると爆発的な強さを発揮するのが日馬富士の特徴。打ち出し後はすぐ病院へ駆けつけた。病床の師匠を元気づけるためにも久々の賜杯に向かって突き進んでいくしかない。(竹尾和久)
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