与論島の復興を手助けしようと行動を起こしたグランパスのGK高木=愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで(木村尚公撮影)
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名古屋グランパスのGK高木義成(34)が台風被害に苦しむ島の手助けに立ち上がった。サッカー教室などで縁がある与論島(鹿児島)が、10月に台風24号の直撃で甚大な被害を受けたことに衝撃を受け、知人に復興支援Tシャツの製作を提案。売上金の一部を復興に役立てる計画だ。
おとこ気あふれるベテランGKが出身地の東京、名古屋に続く、「第3の故郷」と位置づける与論島を救おうと行動を起こした。「できることをやらないと。(知名度のある)現役のJリーガーだからできることがある」。熱い思いを語った。
高木と与論島との付き合いは9年前の04年に始まった。当時在籍していた東京Vの同僚と一緒にサッカー教室を開催。島には国士舘大サッカー部の後輩の実家もあり、すぐに地元に溶け込んだ。今年1月には一人でサッカー教室を開いた。
そんな愛着ある島が台風に直撃されたのは10月7日。人口5500人ほどの小さな島が暴風雨にさらされ全半壊の住宅は200棟以上、農業被害は数億円に上っている。台風が去った後、高木のもとへ「ほとんど報道はされていないけど、大変なことになっている」と被害の詳細を知らせる連絡が入った。
高木はすぐに反応した。「(台風被害で死者が多数出た)伊豆大島もそうだけど、住んでいる方は苦しい思いをしている。そのことを数多くの人に知ってもらわないと」。自身のブログで与論島の被害の様子を毎日のように取り上げ、情報発信に尽力した。さらに名古屋などでショップを経営する知人に、復興支援Tシャツの製作を提案。早ければ11月中にも発売されるTシャツの売上金の20%を、与論島へ寄付すると決めた(発売日、場所などの詳細は高木義成公式ブログへ)。
「与論島は自分が何も考えずにリラックスできる場所」。一人のJリーガーの優しさが、荒れ果てた島に光をともす。 (木村尚公)
<与論島> 鹿児島県の最南端に位置し、沖縄本島から北へ23キロに浮かぶ島。一周約24キロ、面積は約20平方キロメートル。周囲をエメラルドグリーンのサンゴ礁で囲まれた美しい島としても知られる。人口は約5500人。特産品は黒糖焼酎「有泉」など。
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