移住支援に理解 避難区域抱える12市町村長ら 自民・大島氏と会談
自民党東日本大震災復興加速化本部の大島理森本部長は13日、郡山市で東京電力福島第一原発事故による避難区域を抱える12市町村の首長らと会談した。出席者からは、帰還困難者の移住支援などを盛り込んだ与党の第3次提言に一定の理解を示す意見が上がった。帰還困難の対象範囲や支援の具体策の明示を求める声も相次いだ。
会談の冒頭、大島氏は「原子力政策を推進してきた政治的責任を感じながら対応しなければならない。与党として(復興の)全体像を提示するのは政治の責任だ」と述べた上で、「狙いは被災者、被災地の再生のただ一点。現場の市町村長の意見を取り入れ、着実にスピード感を持って復興を進めたい」と強調した。
これ以後、会談は非公開となったが、第3次提言に早期帰還希望者とともに、移住希望者を支援する内容が盛り込まれた点を評価する意見が大勢を占めたという。
一方、支援範囲の線引きや賠償の内容によっては地域の分断が起きるとの指摘もあった。町外コミュニティー建設への支援充実を訴える首長もいたという。
大島氏は会談後、記者団に「分断のための提言ではない。一人一人に寄り添って判断できる環境をつくる趣旨だ」と語った。
■首長人口流出を懸念
大島氏との会談を終えた避難区域の首長は報道陣の取材に応じ、移住支援策の実施によって人口流出が進む事態を懸念、さまざまな対策を国に要望した。
双葉町の伊沢史朗町長は「短期間での町民帰還は難しく、支援の内容次第で自治体存続に大きな影響を及ぼす。存続のための支援を国に要望したい」と述べた。大熊町の渡辺利綱町長は「帰還できないとされた地域の除染が打ち切られるのでは」と不安を口にした。浪江町の馬場有町長は「提言には(移住を促すともとれるような)誤解を招く文言もあり、町の分断を防ぐ取り組みが必要」と指摘した。
富岡町の宮本皓一町長は「帰還できない地域以外の賠償も充実させてほしい」とくぎを刺した。
楢葉町の松本幸英町長は「古里に戻る、戻らないにかかわらず住民の生活再建をしっかり考えてもらいたい。雇用の確保が最重要課題だ」と語った。葛尾村の松本允秀村長は「森林や田畑の賠償方針を明確化してほしい。村内の飲用水の安全確保も必要だ」と訴えた。
南相馬市の桜井勝延市長は「最優先で解決すべき課題には市が先行して取り組む。国は予算を担保してほしい」と注文した。飯舘村の菅野典雄村長は「森林除染は住民の不安を和らげるのに不可欠だ。森林除染に関する財源を確保してほしい」と求めた。
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