宮城のニュース

グループ化補助金1億3000万円不正受給 石巻の水産会社

加工設備の整備をめぐり、補助金不正受給の疑いが浮上した工場=登米市豊里町

 宮城県は13日、石巻市の水産加工会社シンコーが、東日本大震災の被災企業を支援する国の「グループ化補助金」約1億3000万円を不正に受給したとして、交付決定を取り消して返還を命じたと発表した。同日までに補助金適正化法違反の疑いで、同社と丹野耕太郎社長を石巻署に告訴した。グループ化補助金の不正受給が発覚したのは全国で初めて。
 県によると、シンコーは登米市豊里町に新設した豊里工場で、加工設備が納品されていないのに、取引先のメーカーに設備代約1億8000万円を支払ったように装い、補助金を不正に受け取った疑いが持たれている。
 昨年12月、工事完了を確認するため県が実施した現地調査で、シンコーは設備メーカーに設備代金を支払ったとする通帳や納品書を提示したが、偽装や偽造があった可能性が高いという。
 県によると、調査時点で工場に加工設備はなく、シンコーは「別の場所に保管している」などと説明し、設備の写真を提出した。加工設備はことし1月に納品されたが、現在もシンコーから代金が支払われていない。
 ことし6月に匿名の情報が県に寄せられ発覚した。県新産業振興課は「復興のため国民にいろいろな負担をしてもらっている中であり、極めて残念だ」と話した。
 丹野社長は取材に対し「不正受給をしていたという認識はなかった。仮に間違いがあったとすれば、責任は取らなければならない」と説明した。
 シンコーは津波で石巻市の主力工場が被災し、旧豊里小跡地を登米市から取得して工場を新設した。グループ化補助金は「石巻水産業復興グループ」(199社)に参加して申請。2011年12月に11億325万円の交付決定を受け、12年6月と13年1月に計約7億900万円を受給した。

◎「被災企業の信頼低下も」/地元商工関係者、不安の声

 多くの事業者がグループ化補助金を活用する石巻市では、被災企業全体のイメージ低下などを不安視する声が上がった。
 国のグループ化補助金は、事業再建に向けてグループ化した企業に対して再建費用の最大4分の3を助成する。
 石巻市では2011年12月、石巻商工会議所を取りまとめ役に水産加工業者約200社がグループを組んで申請し、補助金交付の決定を受けた。他の被災地に先駆けてまとまった受給にこぎ着け「先行例」と言われた。
 商工関係者は「工場を再建しても震災で失われた販路の回復など本格的な再建はこれから。頑張っている他の企業にマイナスにならなければいいが」と心配する。
 グループ化補助金で工場を再建した水産加工業者は「建設工事の人件費や資材費の高騰で見積もり段階より費用が増え、持ち出しが増えた企業がほとんど」と説明。「今後、補助金の審査が厳しくなる可能性もある」と影響を懸念する。
 シンコーと工場の立地協定を結び、市有地を用地として売却した登米市の藤井敏和副市長は「市内で大規模な水産加工業者の立地は初めてで、期待感は大きかった。早期に信頼回復を図ってもらいたい」と話した。


2013年11月14日木曜日

Ads by Google


宮城
RSS

△先頭に戻る

新着情報
»一覧
特集
»一覧
  • 47NEWS