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業界交差点

この人に聞きたい:第368回
(週刊水産タイムス:12/11/26号)

東北復興へ4万t冷蔵庫建設

(株)シンコー 代表取締役  丹野 耕太郎氏

(たんの・こうたろう)宮城県石巻市出身。バイタリティーあふれる行動力とグローバルな視点で水産加工事業を拡大してきた。昭和25年3月生まれ。62歳。

宮城県石巻市の水産食品加工会社で、隣接する登米(とめ)市に約60億円を投じて新工場を建設中。東日本大震災で本社工場と渡波(わたのは)新工場の1階部分が浸水。既に復旧しているものの、今後のリスク分散も考慮して内陸部での生産拠点を拡充する。来年春に完成する。

 東日本大震災から1年9カ月。東北の水産基地・石巻市は漁港の整備は進んでいるものの、冷蔵倉庫、水産加工施設の立ち上げが遅れ、漁港自体の機能回復にも影響している。
 具体的な復興が強く望まれる中、宮城県登米市に建設中の新工場(豊里工場)が来春、待望の完成を迎える。「世界的な水産物の需要拡大、中国の人件費アップ、地元の雇用機会創出など考えて踏み切った」という。
 建築面積約1万平方メートル。鉄骨コンクリート造り3階建てで延床面積は2万2636平方メートル。事務室、加工場、機械室、冷凍庫、冷蔵庫を備え、トラックヤードは9基。魚フレークやエキス製品の生産などの高度加工と集配などを行い、「復興に拍車」をかける。
 「4万t規模の冷蔵倉庫は内陸部ながら東北屈指の規模。津波の心配がない営業用冷蔵倉庫としても活用する」と今後の新たな事業展開と、本格的な震災からの復興に意欲を燃やす。
 石巻漁港は背後に控えた20万tの冷蔵倉庫が地元の水揚げを支えてきた経緯がある。本社工場は22mのトンネルフリーザーを持ち、魚を切り身加工した上で凍結・包装。直線の製造工程で作業効率がよく、刺身ルームは空調・オゾン殺菌装置・真空パック機を備える。高圧静電気による解凍で、原料の凍結前の身質を再現できるのも特徴。
 渡波工場は生鮮加工品、海藻類加工品、惣菜加工品、ソフト食品、魚卵の味付け加工品などを生産。これら既存工場と新工場が石巻漁港を含めた地域活性化への起爆剤となることが期待される。

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