大気中濃度一時的に上昇 福島大が放射性物質測定 影響なし
東京電力福島第一原発事故以降、大気中の放射性物質濃度を継続して測定してきた福島大は13日、これまで一時的に濃度が上昇するケースが出ていると発表した。上昇しても放射性物質はごく微量で、周囲の空間放射線量に影響しないレベルだが、担当の渡辺明教授は「変動状況から、原発からの放射性物質の放出に伴う上昇と推測できる」として放出状況の継続的な監視強化を求めている。
測定は福島市の同大の建物屋上(地上24メートル)で、大気中に含まれる放射性セシウムの量を調べている。1立方メートルに含まれる量は、原発事故が発生した平成23年の平均値は1・99ベクレルの1000分の1だったが、24年には5・16ベクレルの1万分の1、25年(8月まで)には2・69ベクレルの1万分の1まで減少してきている。
しかし、今年5月27日の測定で1・35ベクレルの1000分の1という一時的に23年の平均に近い数値が出た。季節変化や気象の影響などを考慮しても不自然な数値であり、原発からの放出が要因と疑われるという。
同大は大気中の放射性物質の動態をより詳細に把握するため13日、放射線測定器を気球に付けて約30キロ上空まで飛ばす「放射能ゾンデ観測」をスタートさせた。今後、月1回、30回程度の観測を予定している。
(カテゴリー:福島第一原発事故)