原子力規制委員会は13日、東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原子力発電所6、7号機(新潟県)の安全審査を開始することを決めた。福島第1原発の汚染水トラブルのため1カ月半も棚上げの状態だったが、東電が8日に発表した対策を「一応の評価に値する」(田中俊一委員長)と判断した。柏崎刈羽の再稼働へ一歩前進だが、新潟県の泉田裕彦知事の同意も含め課題は山積している。
「東電から具体的な対策が示された。柏崎刈羽の審査もほかの原発と同じように進めたらどうか」。田中委員長は13日の会合の終了間際、こう提案した。ほかの委員からも「一度も公開会合を開かない状態は好ましくない」(更田豊志委員)など賛同の声が続き、審査開始の方針が決まった。規制委は来週にも審査会合を開く見通しだ。
東電は9月27日に柏崎刈羽の審査を申請した。通常なら1週間ほどで公開の審査会合が開かれるはずだったが、同じ時期に福島第1原発で汚染水をめぐる初歩的ミスが続発。規制委内に東電の能力や対応を疑問視する声が広がり、審査着手が保留扱いにされていた。
規制委の態度が軟化したきっかけは、東電が11月8日に発表した福島第1原発の対応改善策。規制委が東電に検討を指示したもので、作業員の手当増額や休憩所の建設などが盛り込まれた。本来、規制委は出された申請に速やかに対応する義務がある。審査入りをこれ以上延ばせば、「法的な問題になりかねない」という判断も働いた。
だが安全審査がすんなり進む保証はない。規制委の審査は、仮に順調に進んでも半年程度かかるとされる。柏崎刈羽の場合、ほかにも多くの課題を抱え、田中委員長は「すいすい進むとは考えられない」と指摘する。
第一の関門は、柏崎刈羽が福島第1原発と同じ「沸騰水型軽水炉(BWR)」である点だ。審査が先行する4電力会社の6原発は加圧水型軽水炉(PWR)という別のタイプで、BWRは今回が初めて。BWRは放射性物質を取り除くフィルター付きベント(排気)装置の導入などが義務づけられているが、国内では導入例がなく、規制委側の作業も手探りになる。
敷地内断層の問題も見過ごせない。柏崎刈羽では6、7号機の真下などに活断層があるのではないかと疑われている。東電は「断層は20万年前以降は動いておらず、活断層ではない」と主張するが、立証に手間取れば審査は長期化する。
3つ目の波乱要素は福島第1原発の廃炉作業だ。同原発では汚染水への対応や4号機プールからの使用済み燃料取り出しなど、今後も難しい作業が続く。田中委員長は「福島第1で困った事態が起これば(柏崎刈羽の)審査中断もありうる」とクギを刺す。
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