11月から12月にかけて、肉眼でも見えると話題になっているアイソン彗星。
アイソン彗星っていったいなに!?というみなさんへ、基本情報をご紹介します。
一期一会の天体・アイソン彗星
アイソン彗星は、2012年9月21日に発見されました。国際的な観測グループに所属する2人の観測家により発見され、グループの名称「アイソン(ISON:International Scientific Optical Network)」から彗星名は名づけられました。
発見された位置は太陽から約7億8千万km離れた、木星軌道よりさらに外側、太陽~地球間の6倍以上の距離のところです。発見後、各地の天文台などで詳しく観測をすすめると、彗星の軌道が明らかになってきました。この彗星は太陽系の果て、彗星の故郷と呼ばれる「オールトの雲」から数百万年かけて初めて太陽に向かってきた新彗星であることがわかりました。11月29日には太陽にもっとも近いところを通過、そして、猛烈なスピードで太陽を折り返して、再び太陽系の果てへと向かい、二度と太陽付近には戻ってきません。アイソンはわれわれが一度しか見ることができない、一期一会の彗星なのです。
「オールトの雲」から数百万年かけてやってきた彗星は、11月29日に太陽をかすめ、再び太陽系の果てへと去っていきます。
アイソン彗星の特徴は?
(1) 太陽に大接近!
アイソンの特徴はなんといっても太陽に大接近するということ。彗星は太陽のように自ら光を放つ天体ではなく、太陽光を反射して輝いて見えます。太陽に近づくということは、当然、その分明るくなります。2013年3月のパンスターズ彗星は太陽に最も近づいたときでも約4500万kmの距離がありました。しかし、アイソン彗星は約190万km。太陽の表面からは約80万kmのところをかすめて通過します。明るくなるのはもちろん、強力な太陽エネルギーを受けて、ガスや塵が放出されるので、尾もかなり伸びるはずです。アイソン彗星の核の大きさは3~5km。大きさとしては並なのですが、この大きさの彗星がここまで太陽に近づくのは1965年の「池谷・関彗星」以来、実に50年ぶりです。
(2) 日本から観測しやすい
彗星は、その軌道と「太陽-彗星-地球」の位置関係によって、地球上からの見え方や見える位置が変わるため、観測のしやすいものと、観測しにくいものに分かれます。近年雄大な尾をたなびかせた2007年のマックノート彗星、2011年のラブジョイ彗星は、明るさのピークを迎えたのが南半球の空だったので、日本からはその姿を見ることができませんでした。しかし、今回のアイソン彗星は北半球、日本からも比較的好条件で観測できます。
アイソン彗星はいつ、どこで見られる?
観測しやすいのは11月~12月です。
【11月中旬ごろ】
11月中旬に入ると5等級ぐらいの明るさになると予想され、日に日に明るさを増していきます。観測に向いているのは月明かりの影響を受けない11月16日まで。双眼鏡があるとその姿を見やすいでしょう。
【11月29日の近日点通過前後】
彗星が太陽にもっとも近づく11月29日の前後数日間は、太陽に近い位置に彗星があり、危険なので、見ることができません。彗星は、太陽に接近して太陽の熱に炙られた近日点通過後、明るさが増し、尾も伸びるなど、大きく成長する傾向があります。この後、12月上旬が見ごろになります。
【12月3日ごろ~10日ごろまで】
12月の初旬2週間ほどは、月明かりの影響を受けないため、アイソン彗星の一番の見ごろとなります。彗星の本体も明るさを増し、すらっとした美しい尾が見られると予想されています。この後、太陽から次第に離れるにつれて、地上からの高度もあがり、見やすくなりますが、彗星の明るさは日に日に暗くなっていきます。